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中等部のころ
《24》
ニヤニヤとした顔は変わらず、グイッと近付いて来た夕。
「だからさ……誰なの?その男は?里葉くんの想い人はぁ?」
「めちゃくちゃ楽しそうですね」
「だから言ったでしょ?僕はゴシップ大好き」
「ゴシップ……まぁいいですけど…1年の人です」
「もう一声!」
「はぁ……山岡って人です」
「ほぅほぅ…あっ!分かったぞ!!」
「何でしょう」
「里葉くんの事助けた奴でしょ」
うぐっと言葉が続かなくなる。
「ふふん、僕知ってるんだよ~。ゴシップには命がけってくらい大好きだからさ~…この間…里葉くん襲われちゃったでしょ」
「え!?」
誰も知らないはずだ。当事者か関係した風紀の少人数のはずだ。教師にも知らされていない。
(どうやって…知ったんだ)
「確かな情報筋なんだよね~あ、勿論、企業秘密だけどね。安心してね、僕はただ知りたいだけだから。他の人が知っちゃったら意味ないし。僕だけが独占して知ってるってことの方が重要なんだよね~」
思わず里葉は変な顔をしてしまった。
「あは、理解出来ないって顔してる~」
「だ、だって……夕先輩」
「山岡くんかぁ~里葉くんのナイト様は」
「ナイト様……そんな…」
そして夕はゴソゴソとスマホを出して操作している。そして納得したと頷いだ。
「山岡央歌、へぇカッコいいね」
「ちょっと…夕先輩……それに何入ってるんですか?山岡くんの顔も入ってるんですか?」
「僕には色んなルートがあるのさ。さて、里葉くんの秘密の情報いっぱい知っちゃったから…僕の事も一つだけ教えちゃおうかな~」
「何ですか?なんか…怖いんですけど…」
「僕にも好きな人がいるんだよ~しかも生徒会じゃない人が」
「…そうなんですか?」
「うん、里葉くんみたいにロミジュリ状態じゃないけどね。ふふふ」
「誰ですか?」
ロミジュリと言われて少しむくれた里葉は唇を突き出してボソッと聞いてみた。
「内緒だよ?いい?」
「僕は夕先輩に逆らえませんから」
「実は誰かに言いたかったんだよね~僕の彼氏カッコいいから」
「お付き合いしてるんですか!?」
(う、羨ましい……)
「図書委員長だよ、知ってるでしょ?里葉くんなら、いつも図書室に通って来てるって聞いてるもんね」
「あ、はい。知ってます」
(あの人か…)
図書委員長は物静かな人だという印象だった。背が高くていつも静かな水面みたいな人だ。
「僕と付き合ってくれるなんて、変わり者でしょ?彼。でも僕もなかなか可愛いからね~」
ふふふ、と悪戯に笑う夕はどうしても憎めない雰囲気を持っている。陰陽でいえば間違いなく陽だ、里葉は自分が偽りの陽であり、本質はどこまでも陰であると自覚していた。
「これからは、風紀を見たら…ウフフ~って思いながら見ようっと」
「夕先輩…」
笑顔でじっと顔を見つめられる。そして穏やかに言われた。
「里葉くんの恋が成就されると良いね」
嫌味なく、素直に言われたと分かる。夕はそんな先輩だった。続けて、
「大丈夫だよ~高校も一緒でしょ?落とすには時間はたっぷりあるし、他の人にしても良いし。里葉くんの未来は明るいよ!」
「…ふっ……はい」
不思議なことに夕に言われると本当にそんな気がしてくる。
(本当にそうなればいいのにな…)
「うんうん、良い子良い子。里葉くんの本物の笑顔は貴重だからな~」
頭をポンポンとされる。この人にかかれば里葉はまるで子供扱いだ。
「あーそういえばさぁ。最近親衛隊の中で気になる子がいてね、僕たちのチームじゃないんだけど……」
「はい」
「手島匠、里葉くんと同じ1年でS組の子。あのタイプは気をつけた方が良いよ。特に今じゃなくて僕たち今の3年が卒業してから、いきなり豹変するタイプだね」
「今じゃないんですか?」
「そーそー、絶対隊長とかやって威張り散らすタイプだよ」
親衛隊は比較的綺麗どころが集まっていたが、手島匠と言われる人物は確かに1年生の中でも目立っていた。
(うん、いた。僕でもすぐに覚えた気がする)
「里葉くんが1年生の間は、僕がしっかりと心身共にサポートするからね!」
目をキラキラさせながらそう高らかに宣言された。
季節は移り行きすっかり夏になっていた。
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