5 / 40
第1
4話
しおりを挟む
「お兄さん、何か困り事ですか?」
ナノにしつこく声を掛けてきた男の肩をポンポンと叩き、にこやかに聞いてきた人を2人組の男とナノが見る。その人物は騎士団の制服を着て緑の瞳をジット2人組の男に向け、さぁっと吹いてきた風に金髪をなびかせていた。
「え……いや…あーと……ちょっと…」
ナノを掴んでいた男はシドロモドロに答える。
「おい、この人…バッチと腕章付けてるぞっ」
コソコソと2人組の男が焦ったように話し出す。
「この子は知り合いでね、やぁこんにちは」
ひょいとナノを覗き込むような体勢になり、挨拶をしてくる。彼は食堂で声を掛けてきた大きな男だった。
「あ…俺たちは…えーと、道、道を」
「そう!道を聞いていただけなんですよ~」
酷く不自然な様子で2人組の男は言い訳を並べ立ててナノには『助かったよ~』などと言いながらヘラヘラと去って行った。
残されたナノは一難去ってまた一難、といった心持ちであった。しつこい男達からは助かったが、目の前には食堂で会ったあの大きな男。そんなナノの気持ちなどお構いなしの様子で話しかけてきた。
「大丈夫だった?絡まれてるなぁって思ってさ」
「…………ありがとうございました……」
ボソボソっとお礼を言いながらペコリと頭を下げるナノ。手にはまだジュースを握りしめていた。
「いやいや~これも仕事のうちだからね。あ、もし帰るようなら送って行こうか?」
そんなやりとりの中、後ろから呆れたような声が聞こえてきた。
「ちょっとちょっと副団長~今度はあんたがナンパしてどうすんですか…」
「え!?俺??」
早技でナノの肩に回っていた手をぺチリと叩かれ、びっくりして後ろを向く大きな男。
「さっきの男達と今副団長がやってる事で違いがあるんすか?しかも前に振られてますよね?その子にとって迷惑行為である事は変わらないんじゃないですか?」
ズケズケと言いながら腰に手を当て説教スタイルで諭される。
「いや、そんなつもりは…本当にちょっと気になったっていうか……そうだ!名乗って無かったね」
ナノの顔をしっかりと見ながら話し出す。
「私は騎士団精鋭部隊エーのトップにして、騎士団副団長、シュシュル・フレイザー。このバッチがエーの証明であり、この腕章が副団長の証」
指先でバッチを弾き、腕章を摘んでみる。
「副団長……恥ずかしいっす…」
(間違って無いけど、自信満々に言われると…)
先程から副団長に注意をしている彼は苦笑いである。
「おい、俺は怪しい者ではないと証明しているだけだぞっ恥ずかしいとはなんだ…事実を言ったまでだろうが…」
「はいはい、ちなみに俺は騎士団第2隊隊長フワーム・ツツーです。あの食堂にはよく通うので以後お見知り置きを」
「……はぁ…。あの…騎士団の制服を着ているので……大丈夫です……」
ナノはそれでも俯き加減でボソボソと話す。
「よし、身元も証明した。それでは行こうか」
「え?……いや、だ、大丈夫…です。あの、1人で帰れるので……」
「いやいや、また絡まれるかもしいれないだろう?」
「店員さん…申し訳ないですが、副団長の気が治まらないと思います。なので~番犬だと思って頂いて…どうかお店まで送らせてやって下さい」
ペコリと頭を下げられてしまった。
「はぁ……分かりました……」
ナノは諦めて了承した。本当は騎士などと関わり合いになりたくないのだが、仕方がない。変に断り続けて騒がれても面倒だ。
「良かったですね、副団長」
「お前出来るやつだな~言い方どうかと思うけど」
「では、早速…もぅ戻ってもいいですか?」
「そうだね、行こう!じゃあなフワーム」
仲間の騎士に手を振り、ナノの方に振り向くと自然な動作でナノの背中に手を当てる。
「お店に戻るためにしゅっぱーつ」
「…………よろしくお願いします」
ナノは終始俯き加減でいたが、手に持っていたジュースの残りを一気に飲むため顔を上げた。クイッと飲み干しコップを捨てようとしたらヒョイと隣の男に取られ、素早く代わりに捨てられてしまった。
「あ…………すみません……ありがとうございます」
「いーえー」
それから二人はゆっくりと歩き出した。
「あの……」
「はいはい、何何?」
何だか嬉しそうに聞き返す隣の男。
「僕……早く歩けなくて…この速さが精一杯っていうか…」
「あれ?そうなの?……わざとゆっくり歩いてくれてるのかと思っちゃったよ…俺との時間を少しでも長引かせてくれているのかと…残念。でも大丈夫?無理しないでね?なんなら俺が抱えて行くから何時でも言ってね」
「や……はぁ…………僕……自分で歩きたいので…」
「そっかぁ偉いねぇ…ところで男の子か女なの子か聞いても良いかな?」
まだ聞くかと思いながら面倒くさくなったナノはポツリと答えた。
「男です」
「あぁ!やっぱり!そうだと思ってたんだけど間違えちゃいけないと思ってね~確認だよ。中性的でとっても良いと思うよ?」
「はぁ…………」
「それで…お名前は?」
「……………………ナノ……です」
「ナノ君?ナノ君!ナノかぁ~可愛い名前だね」
(20分って…結構あるな…)
「副団長さん……お仕事、大丈夫なんですか?」
「えぇ~俺の心配してくれるの?ありがとうーでも大丈夫だよ!なんなら途中で休憩でもする?」
「そうですか……休憩は大丈夫です」
(騎士とは関わりたくない…しかもあの副団長だったなんて……どうにか、どうにか何事も無く店に着きますように……絶対に、僕のこと…分からないでいてくれ……)
ナノはドキドキする心臓を押さえながら足を前に進めた。
ナノにしつこく声を掛けてきた男の肩をポンポンと叩き、にこやかに聞いてきた人を2人組の男とナノが見る。その人物は騎士団の制服を着て緑の瞳をジット2人組の男に向け、さぁっと吹いてきた風に金髪をなびかせていた。
「え……いや…あーと……ちょっと…」
ナノを掴んでいた男はシドロモドロに答える。
「おい、この人…バッチと腕章付けてるぞっ」
コソコソと2人組の男が焦ったように話し出す。
「この子は知り合いでね、やぁこんにちは」
ひょいとナノを覗き込むような体勢になり、挨拶をしてくる。彼は食堂で声を掛けてきた大きな男だった。
「あ…俺たちは…えーと、道、道を」
「そう!道を聞いていただけなんですよ~」
酷く不自然な様子で2人組の男は言い訳を並べ立ててナノには『助かったよ~』などと言いながらヘラヘラと去って行った。
残されたナノは一難去ってまた一難、といった心持ちであった。しつこい男達からは助かったが、目の前には食堂で会ったあの大きな男。そんなナノの気持ちなどお構いなしの様子で話しかけてきた。
「大丈夫だった?絡まれてるなぁって思ってさ」
「…………ありがとうございました……」
ボソボソっとお礼を言いながらペコリと頭を下げるナノ。手にはまだジュースを握りしめていた。
「いやいや~これも仕事のうちだからね。あ、もし帰るようなら送って行こうか?」
そんなやりとりの中、後ろから呆れたような声が聞こえてきた。
「ちょっとちょっと副団長~今度はあんたがナンパしてどうすんですか…」
「え!?俺??」
早技でナノの肩に回っていた手をぺチリと叩かれ、びっくりして後ろを向く大きな男。
「さっきの男達と今副団長がやってる事で違いがあるんすか?しかも前に振られてますよね?その子にとって迷惑行為である事は変わらないんじゃないですか?」
ズケズケと言いながら腰に手を当て説教スタイルで諭される。
「いや、そんなつもりは…本当にちょっと気になったっていうか……そうだ!名乗って無かったね」
ナノの顔をしっかりと見ながら話し出す。
「私は騎士団精鋭部隊エーのトップにして、騎士団副団長、シュシュル・フレイザー。このバッチがエーの証明であり、この腕章が副団長の証」
指先でバッチを弾き、腕章を摘んでみる。
「副団長……恥ずかしいっす…」
(間違って無いけど、自信満々に言われると…)
先程から副団長に注意をしている彼は苦笑いである。
「おい、俺は怪しい者ではないと証明しているだけだぞっ恥ずかしいとはなんだ…事実を言ったまでだろうが…」
「はいはい、ちなみに俺は騎士団第2隊隊長フワーム・ツツーです。あの食堂にはよく通うので以後お見知り置きを」
「……はぁ…。あの…騎士団の制服を着ているので……大丈夫です……」
ナノはそれでも俯き加減でボソボソと話す。
「よし、身元も証明した。それでは行こうか」
「え?……いや、だ、大丈夫…です。あの、1人で帰れるので……」
「いやいや、また絡まれるかもしいれないだろう?」
「店員さん…申し訳ないですが、副団長の気が治まらないと思います。なので~番犬だと思って頂いて…どうかお店まで送らせてやって下さい」
ペコリと頭を下げられてしまった。
「はぁ……分かりました……」
ナノは諦めて了承した。本当は騎士などと関わり合いになりたくないのだが、仕方がない。変に断り続けて騒がれても面倒だ。
「良かったですね、副団長」
「お前出来るやつだな~言い方どうかと思うけど」
「では、早速…もぅ戻ってもいいですか?」
「そうだね、行こう!じゃあなフワーム」
仲間の騎士に手を振り、ナノの方に振り向くと自然な動作でナノの背中に手を当てる。
「お店に戻るためにしゅっぱーつ」
「…………よろしくお願いします」
ナノは終始俯き加減でいたが、手に持っていたジュースの残りを一気に飲むため顔を上げた。クイッと飲み干しコップを捨てようとしたらヒョイと隣の男に取られ、素早く代わりに捨てられてしまった。
「あ…………すみません……ありがとうございます」
「いーえー」
それから二人はゆっくりと歩き出した。
「あの……」
「はいはい、何何?」
何だか嬉しそうに聞き返す隣の男。
「僕……早く歩けなくて…この速さが精一杯っていうか…」
「あれ?そうなの?……わざとゆっくり歩いてくれてるのかと思っちゃったよ…俺との時間を少しでも長引かせてくれているのかと…残念。でも大丈夫?無理しないでね?なんなら俺が抱えて行くから何時でも言ってね」
「や……はぁ…………僕……自分で歩きたいので…」
「そっかぁ偉いねぇ…ところで男の子か女なの子か聞いても良いかな?」
まだ聞くかと思いながら面倒くさくなったナノはポツリと答えた。
「男です」
「あぁ!やっぱり!そうだと思ってたんだけど間違えちゃいけないと思ってね~確認だよ。中性的でとっても良いと思うよ?」
「はぁ…………」
「それで…お名前は?」
「……………………ナノ……です」
「ナノ君?ナノ君!ナノかぁ~可愛い名前だね」
(20分って…結構あるな…)
「副団長さん……お仕事、大丈夫なんですか?」
「えぇ~俺の心配してくれるの?ありがとうーでも大丈夫だよ!なんなら途中で休憩でもする?」
「そうですか……休憩は大丈夫です」
(騎士とは関わりたくない…しかもあの副団長だったなんて……どうにか、どうにか何事も無く店に着きますように……絶対に、僕のこと…分からないでいてくれ……)
ナノはドキドキする心臓を押さえながら足を前に進めた。
161
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
大嫌いなこの世界で
十時(如月皐)
BL
嫌いなもの。豪華な調度品、山のような美食、惜しげなく晒される媚態……そして、縋り甘えるしかできない弱さ。
豊かな国、ディーディアの王宮で働く凪は笑顔を見せることのない冷たい男だと言われていた。
昔は豊かな暮らしをしていて、傅かれる立場から傅く立場になったのが不満なのだろう、とか、
母親が王の寵妃となり、生まれた娘は王女として暮らしているのに、自分は使用人であるのが我慢ならないのだろうと人々は噂する。
そんな中、凪はひとつの事件に巻き込まれて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる