透明の「扉」を開けて

美黎

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7の扉 グロッシュラー

白い部屋と透明の私

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ん?

何も、無いな?

白い……………。


あれ?キラキラの、本は?



開いた青の本から溢れ出した星屑が、段々と増え湧き出る様な光に飲み込まれたのは覚えている。

でも、ここはどこ?
青の本も、持ってないし…………。



しかし、自分の手から顔を上げた私はすぐにここが何処なのか分かった。

あの、白い部屋だ。


そう、辺りはぐるりと扉が浮いていたし、なんなら私の後ろには白いシンが立っていたから。




何も言わずに私を見ているシンを、私もじっと見ていた。

ああ、そうか。
今は、シンラだ。

グロッシュラーにいる彼よりも真っ白の髪に赤い瞳。
しかしその瞳の中央が金色に光るのを見て、思い出す。

そう、彼は扉の中の誰でも無い、シンラだと。

そうしてそれが解ると共に、私は今回も扉を使って移動しなかった事を思い出した。
ここに、来た理由。それが、中央屋敷の神殿の扉から移動したからではないかと思ったのだ。


「久しぶりだね………?」

何だか一人で納得した私は、少しシンラに近づいてそう、話し掛ける。
返事をしてくれるだろうか。
何だか少し、また人っぽくなっている気もするのだけれど。



「息災で何より。して、目的を忘れてはおらぬか。」

私が完全に近づく前にそう言った、彼の声を聞きあの灰白色のシンを思い出した。
あの、少し距離を置く話し方だ。

あれ?前回は…………どうだったっけ?んん?
確か………いや、普通だったよね?

前にこの白い部屋に来た時は、まだ私達の距離は近かったと、思う。


これってあっちとリンクしてるのかな…。
だって…………そうだよね?あの、シンと同じ感じだもん。何?シンラも、気焔と喧嘩してるの?

でも、気焔は「道が分かれたら」と言っていた。
喧嘩とは、違うのかも知れないけど二人の仲が今迄と違うのは確かなのだろう。
でもそれと、私との距離感は関係あるのだろうか。全く、解らない。

「何となく、今回は見守ろうとしてるのは解るんだけど………どうしたの?二人………。」


じっと、シンラの様子を伺いながら話す。
少しの表情の変化も、見逃さない様に。だって彼はやはり「無」のシンラになっていたから。



しばらくの沈黙の後、シンラは答えてくれた。
もしかしたら、返事は無いかもしれないと思った。そのくらい、「無」のまま彼は固まっていたから。

「いや。だからこそ人は面白い。いや、人では無いが「想い」が生まれたからには近しいものではあろうな。」

めっちゃ文章喋った。

私は内容よりも、シンラがきちんと長く話した事に驚いていた。表情は「無」のままだが、彼の声には少しだけ、楽しそうな響きが感じられる。
抑揚の無い声で、彼は続ける。

「長く在るのも無駄では無いと思える。だがそれにより私は「見る」に転じた。それが、代償。どれだけのものか、「見る」のもまた、楽しみ。」

え?「見る」?

「しかし…………私とて何も無い訳でも無いのだが………。」


シンラが宙に向かい手を伸ばすと私の身体が自然と引き寄せられ、腰に手が回る。

え?なに?

見知った彼が、今は何故か少し、怖い。
以前はあんなに安心できた存在が、今は初めの頃の「畏怖」に戻った様な気がするのだ。

でも、嫌な感じは無い。

じっと私を見つめる金の瞳を何故か目を逸らさずに、見つめ返した。




どの位、そうしていただろうか。

いつもの、優しい金の瞳が恋しくなってきた頃シンラは言った。

「或いは。長く「在る」という意味で言えば、若しくは。」

ん?今度は「在る」?

私が首を捻ると一度閉じた口をまた開く。

「いや、まだ生まれたばかり。これからの成長が楽しみだ。」

「ただ、依るは為さねばならぬ事、忘れるなよ?」

そう言って私をトン、と放すともう白い部屋は終わりなのだと、気が付く。

え?もう?早くない?
まだ、何も…………でも、そうか。


「見る」と言ったシンラ。
今迄と、これからの違い。
私の、「為すべき事」。

そう、ここに来てすっかり自分が忘れていた事に気が付いた。
私がやらなくてはならない事。それは、姫様の石を探す事だ。

グロッシュラーでは一度も、気焔にその話はされていない。何故かは、分からないけど。
もしかしてシンラはその為に私を呼んだのかもしれないし、扉を、通らなかったからかもしれない。

でも私が受け取ったメッセージは姫様の石を探す事と、やはり二人の形が変わったのだという事。
その意味はまだまだ分からないけど、きっと何か、ある。

私はそれでもただ、頑張るだけだ。
そう、姫様を探してシンラを助ける為に。


「また忘れちゃうよね…………。」

そう、白い部屋の事は扉の中では覚えていない。
しっかりと忘れていた事を、今度は覚えていられる様に心に刻む。

いや、だってそもそもの目的を全然、全く、最近思い出していなかった事実に、私自身ちょっと凹んだのだ。

何やってんだろ…………。

少し距離を取った赤金の瞳を見ながら、ちょっと反省する。
大丈夫。まだ、グロッシュラーは始まったばかりだ。

「ありがとう、呼んでくれて。」

シンラの本意は、分からない。
さっきもよく分からない事を言っていたし。
気焔の事………だよね?

じっと、「無」に戻った彼を見て感覚が薄くなってきた事に気が付く。

もう、終わりだ。


「じゃあ、また!」


そう言った時には、私は既に厚みのある絨毯の感触を感じていたのだった。









「びっくりしたわよ。もう。何してたの?」

朝にそう言われて、ベイルートには足の先から頭の天辺まで歩かれても、私はまだボーッとしていた。


本が、光って手に取ったのは覚えている。

でも、何だっけな?その後光ったんだっけ?
読んで、寝ちゃったのかな??


朝が言うには、図書室探検をしていたら本棚の奥で私が倒れていたので物凄くビックリしたらしい。慌ててぐるぐるしていたら、丁度私を探していたベイルートも飛んできて二人で起こそうと色々試したらしかった。
道理で、何だか顔に嫌な感触が、ある。
きっと朝が舐めたに違いない。

何しろ、見つけてくれたのが朝で良かったと、私はホッとしていた。
見学して早々に、ネイアに目をつけられるのは御免だ。こんな所で寝てたなんて、ヤバイに決まっている。
でも朝曰く「寝てたじゃなくて、「倒れてた」だから、事件よ。」って言ってたけど。


とにかくまだ少しボーッとするので、本棚に凭れてまだ座っている所だ。
何故か本は、持っていない。

光っていた辺りを確認したけれど、怪しい本は見つからなかった。もしかしたら、青の本かと思ったのだけれど。


そうしてしばらく休むと大分調子は良くなったのだけれど、二人の忠告を聞き今日はこれで部屋に帰る事にした。

確かに、今からまた本を探すのも何だ。きっとそのうち夕食の鐘が鳴るだろう。
時計は無いが、私のお腹はそう言っていた。





そうして夕食も済ませ、お風呂に入る。

やはり少し疲れていた様で、ルシアの石鹸の香りが爽やかさから甘さに変わり、自分の中で疲れが取れていくのが分かる。
泡を沢山立てて、疲れも流す様、洗っていく。

マスカットグリーンのお湯に浸かって、また一息吐いた。

「姫様の、石ね…………。」

白い壁の棚に置かれた、マスカットグリーンの原石を見ながら呟く。
何となく、図書室から頭に浮かんでいた私の目的。

そう、すっかり忘れていた、目的。

グロッシュラーに来るプレッシャーと、今迄には無かったルールやしがらみが沢山ですっかり忘れてしまっていた。
そう、やりたい事は沢山ある。
レナと店もやりたいし、レシフェが問題だと思っている事も避けては通れないだろう。
ウイントフークさんのお母さんの事もあるし?
何だか気になる、神殿の件も、ある。

でも。

私の本当の目的は。

「姫様の石なんだよねぇ~。」

深い、ため息と共に口に出す。
何故、すっかり忘れていたのだろうか。

半分湯煙に埋もれながら、身を隠す様沈む。


でも。
実は。
ちょっとだけ、心当たりが、私にはあった。

最近、心地良すぎたのだ。

そう、私の場所が。あの、腕の中が。



ラピスで言われた、「信じろ」というあの言葉。


嬉しかったんだ、多分。

とても。

レナは「恋する乙女」って言うけど。
心の何処かでは、否定していた、その言葉。
だって。
恋なんてしても、叶わないって知っていたから。

だって、彼は石だ。
しかも、姫様の、石。

それは、どうしたって決まってる。
私にどうこう出来る問題では、無いのだ。


でも。
あの金の石は言った。

「お前が信じれば、それが力になる。」と。

信じちゃったんだよなぁ。
信じたいよ。それは。だって。信じたいもん。
あの、心地良い空間でそんな事言われたら。
イチコロよ?
ずっと、あそこに居たいもん。フワフワと、心地良いあの金の焔に包まれて。


だから、思い出したく無かったのかも、しれない。
「姫様の石」の事。
だって、思い出したら嫌でもあの金の石が、姫様の石だと思い知る事になるから。
私が自分の心に、閉じ込めていたのかもしれない。

あーあ。
思い出しちゃった。


駄目駄目、あーあじゃないよ、あーあじゃ。
そんなんじゃダメだ。

いや、駄目なのは私か………のぼせてきたな………。


そうして本当にぐるぐるしそうだったので、とりあえずお風呂から出る事にする。
身体を拭いて、着替え、櫛を通す。

鏡に映る自分は、今日も白い。
そう、髪留めを付けても銀髪位に見える様になっていた私は、勿論取るともっと薄い。
白水色だった髪はお風呂の灯りだとほぼ白いし、瞳の金は多くなっていた。

気焔よりも少し薄い、金色。
水色も、好きだったんだけどな?

確かめる様にパチパチと瞬きすると、一人頷いて洗面室を出た。




「気焔。」

窓からの薄明かりに照らされ透ける、薄金の髪。

洗面室から出ると、既にダイニングの椅子に座って気焔が待っていた。

自分が灯りを消していた事に気がついて、部屋の灯りをつける。
何だか真剣な顔をしている気焔。
どうしたんだろう?

とりあえず、寝る前のお茶を支度しながら私はまだ姫様の石の事を考えていた。

そう、今迄だったら「ごめん、忘れてた!これからは、ちゃんと探すから。」と言う所だ。
勿論、これからだってちゃんと探す。
ただあれに関して言うと、探すと言うよりはいつも偶然見つかるに近いからあちこち探し回るという訳じゃ、無いのだけれど。

でも、一応決意表明というか、宣言して安心させたい気持ちはあるのだ。
「ちゃんと、忘れてないよ」っていうアピール。
何となく、諸刃の剣の、アピール。

そう、その宣言をする事で自分に刺さる、その剣を恐れているだけなのだ。


ちっさいな、私。


ポットからいい色で出る糞ブレンドを見ながら、そう思う。

だってさぁ………仕方なく無い?
そんなに器用に、割り切れないよ。

私が「忘れてないとアピールして、ちょっと褒めてもらいたい」気持ちと、「でも姫様の事を思い出して欲しくない」気持ちでモヤモヤしていると、徐ろに手を出した、気焔。

何かを握った手を、出している。


「ん?」

多分、受け取れという事だろう、そのまま出されている手の下に自分の手を出した。

コロリと気焔の手から落ちてきたのは、小さな山百合だ。
しかし、少し形は変わっていた。色も、優しい金色になっている。

「着けておけ。」

そう言って、じっと私を見つめる気焔。

「え?でもこれ………ピアスだよ?」

私の耳に、穴は空いてない。それは、知ってる筈だ。でも私の事をじっと、見たままの気焔。
多分、着けられるという事だろう。


手のひらの可愛い山百合を見る。

何これ。可愛いんだけど。

それは私がピエロから作った山百合なのだけれど、丁度アクセサリーに適した大きさに縮んだ山百合になっていた。
淡く金色に輝く、小さな花。
しかも、一つだけしか無い。
でも、片耳でもいいかもね。

そう思いながら、耳に当ててみる。

「どう?」

気焔に言いながら髪を耳にかけると、もう山百合が耳に収まったのが分かる。吸い込まれる様に、耳たぶにちゃんとくっ付いて揺れているのだ。


「いいな。やはり、お前にはこの花が似合う。」

何だか嬉しそうに手を伸ばし、私の髪をもう一度きちんと耳にかけながら、気焔が言う。

ぐっ。まただ。

輝きが増した金の瞳に見つめられ、そんな事を言われると何だかとても、悔しくなるのは何故だろう。
ついでの様にこう言われて、また震えてしまう私。

「これはほら、お前が言っていたろう?「しるし」の様なものがないかと。他のネイアに聞いたら、何か身に付けるものがあるといいと聞いた。目立つ所に。「しるし」だ。」

そう言って耳から頬に触れられて、そこから全身にゾワゾワが走る。

「これがあれば滅多な事は無いだろう。吾輩の色にも染めておいた。」

ちょっと涙目の私の事を見て、笑う気焔。

止めて。その顔も、ヤバイから。


そんな私の気持ちを知ってか知らずか、幸運な事に今日はこれから見回りなのだと言う気焔。
道理で来るのが早いと思った。

「あの、ここに来た時に私達が見つかったやつ?」
「そうだ。今日は吾輩が当番らしいぞ?」

何だか楽しそうだけど。

一緒に寝られないのは残念な様な、助かった様な。
複雑な気持ちだけど、今日はもういっぱいいっぱいだ。
ドキドキして、寝れないかもしれなかったので快く送り出した。
何だか意外そうな顔をしていたけど、「いってらっしゃい。」ときちんと扉から、送り出した。




「さて、と。」

無意識に洗面室に入り、ピアスを確認しに行った私。
鏡で揺れる山百合を確認していた所で、ハッとした。

ヤバイ。浮かれてる。

気を取り直して、ベッドへ入る。


分かってる。全然、目が冴えてるのだ。

深呼吸してみる。
余計、目が覚めた。



天井から下がる綺麗なドレープを見つめる。

白生地に光る金糸が星の様に見えて、私の中の何かのスイッチが入った。


ベッドの上で勢いよく起き上がり、閃きを行動に移す。

外に行こう。
て言うか、あそこ。天空の門。
星を見よう。見えないけど。歌うんだ。

歌えば、スッキリする。

それは分かる。
でもな?どうする?
駄目だって、言われてるし迷惑はかけたく無い。
そうして私は思い出した。ずっとしまってあって、使っていない、アレの事を。


うわぁ…………めっちゃ閃いた!
私、天才かも。


そうして私はゴソゴソと宝箱にしまった臙脂の袋を取り出し、ローブを掴む。

扉の前ではたと立ち止まり、「ん?」と気が付いた。

ラギシーって、気焔がやってくれるんだよね?

「勿論、手伝うわよ?」

そう、言ってくれたのは蓮だった。





外を歩きながら小声で話す。

「どうして?何でも出来るね?」
「まぁ。私は、愛の石だしね?」
「愛?」
「だって、依るが今動いているのは愛の為、でしょう?」


愛?

愛って、なんだろう。


急に星の様な金糸を見て、私の中の何かが行けと言った。あそこに。歌えと。

今は、夜。

夜は好きだ。何かを上手く、隠してくれてそれでいて空は同じく広く、深い。
どこまでも飛べるのは、夜でも同じ。でも、夜の方が遠くまで、行ける気がする。
それはまだ、私がやましい気持ちを抱えているからかもしれない。

言えない気持ち。
言いたい気持ち。
認めたいけど、認められない気持ち。


全部、夜なら、出せるのだ。


いいよね?




神殿裏までは、すぐだ。
階段を上り、雲の中に立つ。

真っ暗では無い、夜。雲が濃いからか、ラピスの夜空より寧ろ、明るい気もする。


「大丈夫、見えないよね?」

「任せなさい。いいわよ?出して。全部、出しちゃいなさい。」

蓮にそう、言われて一瞬縮んだ思いが膨れ上がる。



いいんだ。
私だって、歌っていい。

だって。


小さな声で歌い始める。
伸ばして、響かせる。
徐々に、遠く、遠くまで。


あるんだもん。ここに。気持ちが。
失くせない。
あの、金の瞳に見つめられた時。

「私の事」を見てくれた時。

嬉しかった。
あの腕の中にいる時、一番安心するんだ。
心地がいいんだ。
すっと溶けて馴染むんだ。
ちょっとチクチクする髪も、陽に透ける綺麗な金も。
燃えた金の瞳も。
いつも私の手を取ってくれる、力強い手も。

大事。
大事なんだよ。
全部。


例えそれが私のものじゃなくても。

最後には、離れてしまうものでも。



でも、段々、なんだか私は歌と共に盛り上がってきていた。
勿論声も大きくなっていたし、感情は溢れていたし、なんなら涙も溢れていた。
隠れていた心が、顔を出すように。



でもさ。
言ったよね?
「信じろ」って。


気焔、ウソ言う? 
それは、無い。絶対。言わない事はあるけど、ウソは吐かない。

「わたし」が、って言った。
言ったよね?
「信じれば、それが力になる」って。


駄目じゃない?私が疑ってたら。

そうだそうだ。
盛り上げろ。
気持ちを。
「信じろ」
自分を。
彼を。



だって。

「好き」なんだもん。


「アハハ!」

大きな声で、歌いながら、笑う。

認めちゃった!やば。
一人だけど、恥ずかしい。何これ。

でも、なんかいいな?


その時既に、足でリズムを取っていた私。
顔を上げて、だいぶ勢い良く、声を響かせる。

もう、いいんだ。
いいや、やっちゃえやっちゃえ!
やったもん勝ちだ。

「好き」に、いい、悪いなんて無いよ。


なんだか楽しくなってきて、くるくる、踊る。

どうせ、見えないし?
下、パジャマだけど?

ローブがフワリと舞って、また楽しい。


回る度に分かる、雲の変化。

私は気が付いていた。
空の色の変化を。

でも、続けて歌う。
夜だし。
今日、見回り、気焔だし?
みんな、寝てるよ。てか、寝ててよ。

歌わせてよ。夜くらい。

否定しないで?
私の気持ちを。

ほら、こんなに綺麗な、色になった。

完成したよ?



頭上に拡がるのは、きっと私の心。


私を囲む空は、紫を差した淡いピンクに染まっていた。


所々、色が違う空をぐるりと確かめる。

空は広くて、まだ灰色の所もあれば濃紫から薄紫、夜空が透ける紺色に近い所もあれば、雲で殆ど白い所もある。
でも、私の上だけは、ピンクだ。淡く、優しく、拡がって、いる。


良かった、ピンクで。
だって好きだと思う気持ちで変わった空が、なんか紺色とかさ、ドドメ色とかになったら嫌じゃない?
まぁそれもウケるけど。


「フフフッ」

やれば出来るじゃん。

だから、多分大丈夫。
これは、自分に言い聞かせるんだ。


思いっきりジャンプして、腕を振り上げ回る。
リズムを取って、ローブを翻す。

明日から頑張れる様に、全部、出すんだ。
いい気持ち、嫌な気持ち、どうしようもない気持ちも、全部。
心の中身、全部だ。


流れるローブの端から、少しまた金平糖が溢れてきたのが目に入って、夜空にもほんのり舞い始めた。

そろそろお仕舞いにしなきゃ。

踊るのを止め、足でリズムだけ取り少しずつ声も、抑える。
キラキラはすぐに治り、空も色が薄れ始めた。



空に残るピンクの余韻を確かめながら、まだ私は小さく歌を呟いていた。

そう、始まってしまった気持ちが止められないのと同じ様に。







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