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7の扉 グロッシュラー
想ってしまえば、こっちのもの
しおりを挟むもう、沢山想ったんだ。私。
ここに来て。
いくつも、扉を巡って。
いい事も、嫌な事も、沢山あって、でもやっぱり来てみたら楽しかったりもして、大切な友達もできた。
ラピスを思えば涙なんてすぐ出るし、シャットにだってまた行きたい。
いつ、行ける?
いつ、繋がる?
私達は、前に、進めるよね?
大丈夫、だってみんな。
光は降ったし、扉も開いた。
石も、創る。
できる。
木も、伸びた。
きっと緑も、戻る。
また祈れば、空だって見える。
ここが、緑になったら。
いいよね?
そうか、緑にすればいいんだ。
そうして増やして、豊かになればみんながいいよね?
奪い合うのでなく。
自分達で協力し合って、進む事。
「無い」から奪うんだよ。
でも、「無い」と思っているのは決めつけじゃない?
石だって。
みんなで協力して祈れば、きっとできる。
力が、大きくなくても。
みんなが、集まれば。
そうしてきっと、少しずつ、成長して空が見えて。
そう、すれば。
きっと、空からは沢山の力が降る筈だ。
ここなら、きっと。
だって、「空の島」だし「空中都市」だし。
それを生かさずして、どうするの??
なんとなく、私は分かっていた。
その、場所場所で力を受けやすい祈りの場所は、あるけれど。
そもそも、力をくれる「与えてくれるもの」って?
いや、「与えられる」訳じゃないな。
なんだろう。「チャージする」?
いや。
多分。
「受け取る」かな?
だって。
きっといつだって、どこだって、多分「今」だって。
「力」は降り注いで、いるんだろうきっと。
私達が気付かないだけで。
気付くことを、忘れてしまった、所為で。
目の前の事に惑わされ、欲を掻きもっともっとと欲した挙げ句、「奪う」事に気付きそれに取り憑かれてしまった。
そうなればもう、自然に力を受け取る事は不可能だろう。
それでなの?
忘れてしまったから?
空すら、見えなくしてしまったの??
薄く差し込む光は、何も応えない。
ただ、淡く美しい、だけ。
まだ、今の私には分からない。
時間がくれば分かるのかもしれない。
でも、今。
知りたいんだ。
だから。
「頂戴?いいよね?あげるから。私の、「想い」。」
ぐるぐると考えた自問自答の間に、私の周りには大分モヤモヤが溜まっているのが判る。
プラスだって、マイナスだってあるよ。
だって、仕方ない。
モヤモヤだってきっと、時にはエネルギーになるよ。そう、想ったもん勝ち。
よし。
飛ばせ。 行ける。
「よし!」
バッと腕を振り上げ、モヤモヤを円窓の外へ放り投げる様に飛ばす。
泳いでいる様に腕をかき、くるくると回って全部、飛ばす。
行け。
ニヤリと口の端が上がるのが分かる。
フワリ 風が起きた。
それが、合図。
よし。
そう
行ける。 飛んで?
ぜんぶ。
ブワッと、
あれもこれも、ぜんぶ、飛ばして。
飛ばすけど でも。
その分、返して。
私は欲張りだから。
色にして、返して?
みんなに渡すの。
くるり、くるりと回ってモヤを全部飛ばすと、真ん中に「ドン」と音を立てて立つ。
わざとだ。
「ほら、私は飛ばした。石を、寄越して、そして私達を導いて。「その場所」と、「本当のこと」へ。あなたには、それが出来るでしょう?」
そう呼び掛ける。
これくらい、要求してやればいい。
強気でいい。
こちとら、ずっと扉を渡って、旅をしてるんだ。
頑張ってるんだ。
結構、心細かったりするけど、金の石はいるしみんなも、いるけど。
だって、私だって。
ただの、女の子なんだ。
「道標」くらい、頂戴よ?
そう、私は空に、円窓に、要求していた。
祈りと想いは途中から何故か脱線して、我儘な要望、自分の要求。
私の、本音。
それを、バーンと言ってやったんだ。
ダサくていい。
私はかっこいいヒーローでも、ヒロインでも無いんだよ。
頑張ってんの。
だから。「宇宙」よ。
「ご褒美、頂戴。」
私は最終的に、その円窓の下の鏡面、そのど真ん中を踏み付けながら威張っていた。
両手を広げ、空に伸ばし、いつでも「ご褒美」が受け取れるように。
そう、待って、いたんだ。
「ん、ん??」
しかし、腕を広げ空を仰ぎ、目を瞑って待っている割には一向に何も降って来ず、代わりに何だか足が熱い。
「まさか…………。」
ハッと気が付いて、下を見た。
「ギャッ!!」
可愛くない悲鳴が出たけど、そんな事は構っていられない。
地面が。
そう、あの鏡面が。
キラキラと光り輝いて眩しい光を放ち、私のスカートの中を照らしていたからだ。
咄嗟に飛び退き、まじまじと光を見る。
本当は、感動したかった。
でも。
「ちょ、眩し………!!」
どんどん、光を増すその鏡面が、直視出来なくなるのとパッと気焔が私を抱えるのが同時だった。
「大丈夫だ。」
えっ?なにが??
バタバタとした足音が耳に飛び込んでくる。
現れた彼の言葉の意味がわからないまま、とりあえず私は眩しい「それ」から目が離せなかった。
「どうした?!大丈夫か?」
レシフェが大きな声を出して、二人が走って来るのが分かる。
しかしまだ私の目は「それ」に釘付けで、目の前の鏡面はまだ眩く輝き光線を放つ。
しかし気焔に抱えられているからなのか、少しずつその光に慣れてきた、私。
それに光もなんとなく収まってきた様な気もしないでも、ない。
「大丈夫だ。」
もう一度そう言って、気焔はトン、と私を離し光の方へ押した。
多分、近づいても大丈夫という事なのだろう。
何が、そこにあるのか。
知っている、という事だ。
と、いう事は……………。
もしかして?
少しの恐怖が一瞬でワクワクに、変わる。
そうして一歩、また一歩と近づいたその先に、あったもの。
それは、鏡面が無くなった丸い空間にフワリと浮かぶ、透明なキラキラした、石だった。
「……………………………。」
これ、は。
なんだろう。
風が。
吹いてるんだけど。
その、石は。
浮いていると言うよりは、風に包まれその中にいる様な感じ。
風の巣に守られた、キラキラがそこにある。
くるりと振り返ると、頷く気焔がいる。
多分、手に取っても大丈夫だという事だ。
そっと、風の中に手を入れるが殆ど何も、感じない事に驚く。
ぐるぐると渦巻いている様に見えるのに、私の手を撫でるのは優しい微風。
そう、そのキラキラと輝く透明の石は。
きっと、私達の仲間。
この、7番目の窪みに、嵌る筈の石なのだろう。
「こんにちは。透明のあなた。名前は、あるの?」
そっと触れて、手を広げるとコロリと手の中に収まる様に落ちてきた。
そのキラキラは石たちの中で、一番はっきりと、輝きを主張している様に見える。
そうして落ち着いた声で、それは喋り始めた。
「私は「天啓の石」、ハキ。」
うん。
ちょっと、待ってみたけどどうやらコレで終わりの様だ。
うん、無口?なんだね??
「嵌めてやると、いい。」
手のひらをじっと見つめている私に、気焔が言う。
しかしもう、レシフェもクテシフォンも踊り場に着いていて、朝も既に辺りをチェックしていた。
もう、踊り場の真ん中はポッカリ空いて、いたからだ。
いいの?
金の瞳を確認する。
多分、これを嵌めると光が出るし、そもそも普段、腕輪は隠している。
まぁ、この場で知らないのはクテシフォンだけだけど。
「分かってる。」
気焔に視線を投げられたクテシフォンが、そう返事をした。
なんかこの二人、仲良くなってない??
私がそんな事を思っているとレシフェがニヤニヤしながら催促する。
「どうぞ?」
それに目を細めて応え、腕輪を袖から出す。
「久しぶりねぇ。」
「ホント。」
「いつぶりですかな?」
「さぁ?私だって合流したの、最近だし?」
「段々揃ってきたね。嬉しいな。これで…。」
うん?「これで…?」なに??
クルシファーが失言っぽくなった所で石たちが大人しくなった。
多分、この子達は私に隠し事をしている。
それは、分かってるし、仕方ないとも、思う。
それに。
聞かない方が、きっといい。
うん、絶対、なんか大変そうな話だもん。
そうそう、私は何も気付いてない。うん。
そうして石たちが大人しくなった所で、ハキを嵌める場所を確認する。
「ここ、だよね…。」
ちゃんと、ピッタリな形の場所があった。
楕円形のキラキラにカットが入った、この中では所謂典型の宝石っぽい形の石。
「天啓の、石かぁ…。なんだか、凄そうだね?」
パチリと嵌めた、その瞬間。
また眩い光が腕輪から出てブワリと光り、しかしそれは一瞬で終わる。
いつもの光景だ。
ハキが何も喋らないので少し不安になった私は、再び金の瞳を確認した。
きっと、言いたい事が分かるのだろう、ポンポンと私の頭を叩いた気焔は「心配ない」と言いクイと窓の外を示した。
その、意味を説明したのはレシフェだったけど。
「お前、それもいいが。外も、出来てるぞ?一応、俺らが触れると分からんからそのままにしてある。」
「えっ?!ホント??ハキ以外にも??ん?でも「これ」は元々……………。」
あ。
パタンと手で口を閉じた。
朝が「あらあら。」と私をしっぽで撫でながら階段を下っていく。
大丈夫。皆まで言ってない、よ??
逃げるが勝ちだ。
「え?じゃあ早く行かなきゃ!とりあえず、外行こう!」
元気よく声を出して、踵を返す。
そうしてまた私は、金色を見ない様にして朝の後を追ったのだ。
うん、ギリギリ、セーフだよ、セーフ。
背後から三人の足音が聞こえて来るのを確認して、足を早める。
「天啓か…。」
ポソリとベイルートが呟いたのを、聞きながら私はとりあえず逃げる事に集中していたのだった。
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