透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

魂の 家族2

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「そういうのはね。「魂の家族」と、私は呼んでいるけどね。」

「「魂の家族」?なんだか、素敵ですね?」

「そうだね。何故、「魂の」と言うのか。分かるかい?」

「えっ。」

何故?
魂、の?なのか??

それは中々、難しい問題ですねフリジアさん………。


でも。

なんとなく、だけど。


ふと、これまでの事を考えてみる。
多分、だけど。

所謂、バラバラなのだ。

みんな。協力してくれる人、というのが。


だから………なんて言うか、同じ世界で友達だからとかじゃなくて…えーと。
なんていうか…………


ふと、浮かぶ青空と緑の丘。

白く、美しい神殿。

小さな木造の礼拝堂で、みんなの前で話している様子。


バラバラだけれど、「私のなかみ」に在る、もの。
時折夢に見る「あれ」は、何なのだろうか。

でも。
沢山の時、沢山の場所、沢山の「ひと」が。

 「私」に、関わっている のは、解る。

例えが。

夢であろうと、現実であろうとも。


「もしかして………それ?いや………でも。それ、か?」

チラリと顔を上げ見る、抹茶色の瞳。

ただ微笑むその姿は否定も肯定も無く、ただそこに優しく在るだけである。

その顔を見てパッと降ってきたあの言葉。



   『私は 私の 本当のこと を』



「そう、だよね………。えっと、なんとなくだけど。分かり、ました。」

フリジアの瞳は少し大きく開いたが、すぐに面白そうだという顔になり頷いて続きを促す。

「えっと………「私」には、沢山の人が関わっているから。場所とか、年齢とかも関係なく、沢山の「関わりのある人」が、いるって事ですよね?」

「…………そうだと、思うよ。「正解」は、分からないけどね、私も。」

「でもきっとフリジアさんだってですよ。ふふっ、なんだか楽しくなっちゃうかも?これはいいですね………何処かでみんな、繋がってて。また、助け合って進んで行く。最高じゃないですか。」

「そうさね。。「魂の家族」と、言うのだろうよ。」

確かに。

なんだかしんみりとそう言うフリジアの表情を見ながら、頷いていた。


ここできっと、沢山の物事や人を、見てきただろうフリジア。
私の知らない沢山の事が。

この、表情には含まれているのだろう。


何故、人は。

何故、世界は、時間ときは。


複雑に絡み合って、時には交差し重なり合って。

また、離れて。

きっと、繋がっている様に見え離れていたり、離れている様に見えて繋がっても、いるのだろう。

この頃感じる、繋がらない「ズレ」「夢」も。

「ずれている」のではなく、きっと「それぞれ本当」で、私がだと、思えば。


「どっかしら………繋がってて、登場人物が………同、じ?っでも、見た目………中身が同じ………うぅん??」

私のぐるぐるが、こんがらがってきた、所で。

休憩の、合図が鳴った。


「おやおや、失礼。そういやまだお菓子を出していなかったね。」

「…………すみません。」

そう、勿論合図は腹の虫である。

真剣に慣れない事を考えていたものだから、余計かも知れない。
うーーーむ。


そうしてフリジアが、お茶菓子を用意している様子を見ながら。

ぐるぐるの続きではなく「美味しそうな色だな」なんて、考えていたので、ある。





「でもお前さんはやっぱり、魅力があるよ。」

「えっ、何ですかそれ。嬉しい。」

モグモグといつものおやつを頬張りながら、お行儀を気にせず反応してしまった。

なんだか褒められるのは久しぶりな気がしなくも、ない。
しかも「魅力がある」なんて、素敵な言葉で。


「オーラというものを見た事があるかい?」

それは、もしかしてアレですよね………。

ポワポワと思い出される、ブラッドフォードの家での、こと。

「多分。が、そうかな、って言うのはあります。でも、いつも見える訳じゃないんですけど、あれはどういう仕組みなんですかね?」

「仕組み」と言うのは語弊があるかも知れない。
だが、私が思うにその「オーラ」と言うものはきっとみんなにある筈なのだ。

だって「いろ」を纏っていない人なんていないだろうし、その「強さ」が関係するのであれば。

きっともっと、他にも見える人がいるだろうから。


「それは私にも分からないが。まあ、その時のお前さんの調子とか、相手の気分とか。色々、あるんじゃないかい?実験した事はないから、分からないけどね。」

「フリジアさんは見えるんですか?」

そう尋ねた私を楽しそうにニコニコして見る、フリジア。

ぐるっと一周、私の全身を眺めた後こう言った。

「私もね?「見たい」とは、ずっと思っていたんだ。昔は、見える人は沢山いたんだ。ここ、デヴァイはまじないが強い者が多かったのは知っているね?だからかどうか、見える大人が沢山いて、「誰がどの色」なのかは、みんなの知る所だったんだよ。」

「えーーーー!何ですかそれ。なんか楽しそうだな………?」

「そうさね。平和なうちは、なんのあれも無くそうして回っていたんだ。が普通だったからね。だが、見えない者が増え出して、見える者が特殊になってきた。なんにせよ、「別れる」と、いう事は。問題を生むよ。多かれ、少なかれね。今はもう、見えない者が殆どだろう。」

その、「問題」がなんなのかは訊けなかった。

楽しい話ではない事が、その口調からはありありと感じ取れたからだ。

「なにしろ、私がオーラを認識したのはお前さんが初めて、かね?いいや、頑張って「見よう」、とした事はあったんだ。それで年嵩の者なんかで強い者は見える者も、いる。しかしなんだかモヤモヤと「これかな?」という程度だ。だがね、お前さんの「色」は、はっきりと見えるんだよ。。」

「…………ご迷惑をお掛けしていませんか。」

あまりにもキッパリとそう言われてしまって、いつも「撒き散らしている」「振り撒いている」と言われている私は思わずそう言ってしまった。

多分、悪い事じゃないのは、分かるんだけど………。


ね。多分、眩しいんだよ。きっと「わかる」んだ。お前さんに、「関わり」があった者なら、「その色」に惹きつけられずにはいられないだろうよ。」

そう言って「アハハ」と笑い出してしまった。


えーーーーー。

そんな、笑われる程?の、色?

ピッカピカとかだったら、なんか嫌だな………。



でも。

「ピッカピカ」を思い出して、ポッと頬が、熱くなる。

自分でも思った事が、あるからだ。


 あの、金色にたっぷりと、浸された様に。

「ピッカピカ」にされたことが、ある から。



「うぅぅ…………。」

悶えながら頬を押さえている私を、楽しそうに見ているフリジア。
なんだか満足気なのは気の所為だろうか。

「まあ、とりあえず。「目印」になるのだから、良いじゃないか。それにきっと、殆どが見えない者だろうから、感じるのは雰囲気だけさ。「なんとなく いい感じ」そんなものかな?」

「えーー。それも、いいな………。」

そのくらいなら、有り難い。

うん、ピッカピカは良くないよ、ピッカピカは………いや、良くなくはないけど、恥ずかしいじゃん…………。


そうして再び、頬をピタピタと冷ましながら。

二杯目のお代わりを淹れてくれるフリジアを、見ていたのである。


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