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8の扉 デヴァイ
それそのもので 在ること
しおりを挟む暫く、黙っていたと思う。
私は、そのまま薄茶の瞳を眺めていて「やっぱり似てるなぁ」なんて。
呑気な事を、考えていた。
しかし。
イストリアの方は、そうでもなかった様だけど。
「ふむ。「源」、それは。きっと、この世界全てを含む、なにかなのだろうね。今はここも別れているだろう?しかしね、きっと。本当は全部、その「源」の「なか」なのではないかとも、思うんだよ。」
「あ、なんかそれ。分かります。そんな感じに、近い?かも??」
「フフッ、同じものかは分からないが。しかし、きっと君の世界も全ては。「源なか」なのかも知れないね。」
その、言葉を聞いて、深く頷いていた。
この人は、あの白い部屋の事は知らない筈だけど。
やっぱり、私もそう思うんだ。
世界は 全部。 繋がってるって。
「全部が全部、その中で、結局「それ」が、なんなのか。分からないんですけど。でもきっと「なにかが生まれる」所で、「なにかが還って行く」場所でも、あると思うんですよね………なんか、あの。………祭祀の扉、みたい、な………???」
自分で言って、言葉が泳ぐ。
えっ。
うん?
でも??
あの、白い部屋が それ?
いや その 源的な、なにか だとして
そうなると。
扉 が 「それ的」な
え? 源に 近 い? え
そんな 展開………???
いやいや、待って…………
「ちょ、こんがらがって………??」
「いや、とりあえず。きっと「全てでも、ある」ならば。そうでも、あるのだろうよ。あまり深く考えなくても、いいと思うけどね。その辺りはきっと、沼だ。考えて解る様な事でも、ないのだろう。しかし進めばきっと、……自ずと見えてくるかも知れないね。」
「成る程、それはありますね………。」
その言葉に賛同して、ぐるぐるをポイと投げた。
とりあえず、本題は。
何処に、行ったんだっけ??
くるりと向き直ると、言いたい事が分かったのだろう。
クスクスと笑いながら、再び質問を繰り出すイストリア。
そう、私が考えていたのは。
「石によって 何が違うのか」だった。
そうそう、それよ。
大分ズレたな??
そもそも、なんで。
源の話に、なったんだっけ??
「あ。」
くるりと再び、薄茶の瞳を見る。
「思い出しました!結局、その「源」からチカラを貰ってるから、私の世界では石にそもそも、力が備わってるのかなって。こっちだと。外が無いとか、空が無いとか。結局、縛られてる?うん?でも私の世界が全くの自由かと、言うと………??それに、「源」が、「全部」なら………???」
再び頭の中は絡まって、フワフワとした思考の雲の中。
本題は何処に行ったのか、しかしそれに関連する沢山の雲が頭の中を漂っている。
思えば。
沢山の事があった中で、思った筈だ。
そんなに、どちらも。
変わらないと。
「…………うん?でも、とりあえず。自然は多いし、石も多い、大きいのも沢山、あるだろうし?うん。でも………?」
大きさ、とか。
そういう問題でも、ないんだよね………。
チラリと腕輪に目をやり、考える。
私の、石とここの、石屈では。
やはりここの柱の方が、チカラも大きいと思うし。
柱がある世界は、こちらだけれど。
しかし透明度は、この子達の方が高いけれど?
基準?
なんだ、ろうか。
「なにか」が、違う。
目を瞑り頭の中に思い浮かべるは、宝石と原石。
宝石はカットし、磨かれ店に飾られていて。
勿論、透明度は抜群で大きなものも、ある。
原石は。
自然それそのままの姿で、座していて。
山なのか、暗い洞窟の中、静かに来訪者を待つその姿が目に浮かんでくる。
「ああ、やっぱりな………。」
それ そのもので 在る ことの 美しさ
それに 敵うものなんて。
この世に、あるのだろうか。
「やっぱり。自然のまま、それそのもの、ありのままで。在ることが、一番良くて。透明度の「いい」とか「よくない」とか「大きい」「小さい」じゃ、なくて。その「存在そのもので 在ること」が、チカラを左右するんじゃないかと、思うんですけどね………。外側と内側が、合ってるというか…。」
ふと、シャットでのまじないの授業が思い出されて。
「適材適所」それとは少し、違うかも知れないけど。
「大きいから」「沢山蓄えられるから」いい訳じゃ、なくて。
ちゃんと、自分の「在り処」であるからこそ。
きちんと、チカラを発揮する、みたいな。
器の大きさ、質や素材の、差はあれど。
きっと「自然」で在るもの全ては「そう在る様に」出来ていて。
だからこそ、みんながみんな、人でも物でも、石でも、花でも。
それぞれの「在るべき場所」に
ピッタリと嵌って、在る、ことが。
「大切、なんじゃないかと。思うんですよね………だから結局、何が?違うのか?と、言うと………「在るべき場所で在る」事ができているか?それが、本来の実力を発揮するポイントに………なる、のか。石なら持つべき人が持って、道具でもそうだし、花はそれぞれ咲く場所は違うだろうし?」
「うーーーーむ。それだと結果として?「器」だと、考えれば。その環境にピッタリなほど、蓄えられる?うん??どう、なんだろうな??」
クスクスと、笑う声が聞こえる。
いつもの、事だけれど。
私はずっと、一人問答を、していて。
それを見て笑っているイストリアも、ある意味いつもの光景である。
うん、だからいいのよ、そう………。
「コホン」と咳払いをして誤魔化し、返事を待っていた。
私のこの、迷子になった独り言ならぬ「返事」に。
きっと答えが、返ってくる筈だからだ。
「確かに。」
頷き微笑む薄茶の瞳は細められて、お茶を一口、口に含む。
そうしてゆっくりと何かを考えながら、細い手は再びヴェールを手に取った。
「これだって、きっと誰かの石よりは力を持つだろうね。だから、大きさや質じゃ、ないんだ。それは私もよく分かるよ。君が来るまで考えた事も無かったが。まあ、そうなんだろうな。最終的には。そうあることが、望ましいだろう。」
「ま、しかし今は。まだ、ちょっとね…。」
優しく微笑む瞳に、思わず問い掛ける。
「あの。問題に、なると思いますか?今回、手元にこれが残ったなら?」
「いやしかし、薄くしか力は残らないだろう?多分、それは大丈夫だと思うけど。あの子も反対しなかったなら、きっとそれについてはあまり心配しなくて、いい。」
ホッと息を吐いて、背凭れに力を預けた。
思ったよりも。
力が入っていた様だ。
「なにしろとりあえず。新しい風を、吹かせる事が今回の目的だ。意図はどう、あれど。まあ、やってみて、だな。」
「そうですよね!………意外と何にも起こらないかもしれないし?まあ、星は降りますけどね??」
「ハハッ、違い無いね。心配ばかりしていても、仕方が無い。君は天に愛されているから。今回も、きっとどう、なるのか…楽しみでもあるな?」
イストリアはニヤリと笑ってそう、言うけれど。
うん、まあ、私も。
失敗するとは、思っていない。
星を降らせる、そこまではきっと成功する筈なんだ。
その、後は。
どうなるのか、分からないけど。
「うーーん?」
透けるグリーンのカップ、お茶の部分の茶色を睨みながら、ついつい声が漏れる。
そうして少し、夜空を想像し始めた時。
隣から聞こえる声に顔を上げ、水色髪を目に映した。
「そうだね………君は、天に愛されているけれど。もう、その枠からは出ているのだろうな。」
「えっ?うん?」
そう、やっと話が落ち着いたかに見えた、その時イストリアは。
手に持ったカップを見つめながら、そんな気になる言葉を呟いたのだ。
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