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8の扉 デヴァイ
星の祭祀 次の扉
しおりを挟む『ああ 呼ばれて いるんだ 』
「扉」を見た瞬間、解った。
きっと、もう、時間なんだ。
そろそろ、次へ。
進まなくては、ならない。
今すぐじゃ、なくとも。
なにしろ心残りをできるだけ解消したならば。
次へ、進まないと、きっと「解らない」んだ。
そう、思った。
その、宙に大きく浮き出ている、
深い宝石の様な
鮮やかな禍々しさを放つ
深紫を 見て。
扉は存外、禍々しいだけでなく、神秘的な深い紫を湛えた巨大な、もので。
光を放つでもなく、何かが出てくるでもなく、ただ大きく空に鎮座していた。
あの時、私が出した扉とは少し違う、色とその様子。
以前虹色だったその扉は、今、あの狐にも似た深い紫でしかし底知れぬその妖しさに、吸い込まれそうな色でもある。
しかも、扉といえどもそれは。
所謂、ドアの無い「入り口」の様にそこに浮いていて、中には宇宙に似た不思議な空間が見える。
深く、暗い紫が渦巻いて見えるその中は、目をじっと凝らしてみても。
奥が「なに」かは分からず、ただただ深淵の色が永遠に続いているかの様な、場で。
それが本当に、その扉の奥の世界なのか、異空間なのか、そもそもこれが次の扉なのか。
疑問が湧くと共にそれを打ち消す私の「なかみ」、きっとみんなは「そう」だと直接私に伝えて来ていて。
その、お陰なのか。
私の心臓は早鐘の様になっていたが、頭は意外と静かだった。
だって 多分
あれ
「私達」で 閉じれる よね??
以前、感じた「不可能」な感覚、「この世のものではない」ものへの、畏怖の様な怖れ。
しかし今、目の前にある扉からはかなりの圧は感じるけれどあの時程ではない。
それか、「私達」が。
変わった、のか。
くるりと向き直って金の瞳を探すが、再び羽と焔そのものに変化している、金色。
目も口も、顔すら認識できないその焔をじっと見つめ感覚を共有する様に色を合わせる。
するとやはり、「そうだ」と言っているのも解って。
それなら?
これ、どう、しようか。
ただ、「あるだけ」、なの………?
眼下に広がるガラスの光と、大小幾つかの、人のまじないの色。
あの大きな光はきっとレシフェだ。
あの緑はクテシフォンだろうな………?
見知った色と透き通る黒を見つけ、少し安堵し、体勢を整える。
そうしてまた、扉に視線を戻した、その時。
切り裂く様な悲鳴が聴こえ、一瞬で、場の空気が。
ガラリと、塗り変わったのだ。
「見ろ!上だ!!」
「う ゎ」「嫌 」
続いて上がる動揺の声、しかしそれ以上大きな悲鳴は続かず、何人か対応しているローブが見える。
空と扉に変化は無くただ、その出現に驚いているのかと前庭をぐるりと確認していった。
すると、その池の周りでパッと目に入ったのは何処かで見た、色。
意外と落ち着いている群衆の中、しかし一部の怯えが強い一角から昇るは、黒色の靄。
そして目を凝らしているうちに、その靄が一瞬にして空に昇り、その扉へ吸い込まれたのだ。
「うゎ!」
靄が見える者がいたのだろう、所々で上がる短い悲鳴と共に上がる大小の靄、それもまた上がる側からどんどん扉へ吸い込まれてゆく。
えっ
どう しよう
でも、その時。
視線の先、その、扉の奥が「笑った」様な、気がした。
あれ あいつ だ
誰だか 知らないけれど
なに? 面白がってるって こと?
それとも?
元々 これが 目的なの ?
何故かは分からないけれど、「あれ」が以前扉から出ようとしていた「なにか」なのは分かる。
しかも、「それ」は。
私達を見て、面白がっているのだ。
何も 見えない
ただの 暗い 黒くて 広い 空間
なんだけど。
わかる
あれは。
あの時 見た 「出してはいけないもの」だ
「とりあえず閉じよう!どうすれば、いい?」
咄嗟にぐるりと周りの焔を確認し、問い掛ける。
「斬れ。」
「えっ、そう、なの?」
「「大丈夫 だ」」
えっ みんなが そう 言うなら?
自ら「斬れ」と宣った彼は瞬時に焔の剣に変化し、私の手には既に。
金色に光る、燃える剣がある。
確かに。
「閉じる」部分が無い、あの穴の様な扉ならば斬った方が良いのだろう。
なにしろこれ以上、みんなの恐怖を煽って。
あの、きっと力であろう靄を吸い込ませるのを止めなくてはならない。
辺りを舞うのは 金 銀
紅 橙と 白金
踊る 焔の羽と 光の粒
光線を集めた様な 大小の羽
光 なのか 焔なのか。
そこだけ切り取られた幻想的な空間に浮かんでいる私は、金の揺り籠にいる、気分になって。
今なら、なんでも出来そうな。
気が、する。
いいや? 気が するんじゃなくて
できるんだ。
呼応する様に熱くなる手のひら、一段と強くなる、剣の光。
だから、大きく、振りかぶって。
再び、燃える、焔の剣を。
扉 目掛けて、 思いっきり
振り下ろしたんだ。
「 ふざけないで 」
多分、一番思っていたのはそれだったと、思う。
あの、「笑み」は質が悪い。
揶揄いを含んだ、矮小だと、馬鹿にした様な笑い。
何もかも 見透かしている様な
何もかもが 手のひらの 上だとでも
いう 様な。
そんな空間を、見せつけられて。
ここ、怒っていい 所だよね?
私達、馬鹿にされてるの?
造られた箱庭で。
ただ 飼育 されている とでも 言う様な
でも。
そう
なの かも
チラリと過ぎる、暗い褐色
そう、思えてしまう、自分も嫌で。
なにしろとりあえず、それ以上は考えずにただ光を飛ばして、いた。
焔に変化した金色の剣は、そのまま扉へ向かって一直線に、飛んでいたし。
手元に残る羽、「羽」は剣と繋がり「大丈夫」と直接私に伝えて来ている。
羽から延びる、光が瞬く間に扉を燃やし、その開いた空間を閉じ始めているのも、判って。
ただ、ただ。
その、美しい光景を眺めて、いた。
熱い焔、自分の、胸の、真ん中から直接羽を伝い流れる、光だけを、感じながら。
その、憤りなのか戸惑いなのか、なんなのか
解らぬ思いを、抱きつつも。
目の前で 眩く光る、
その金色の光と熱に 「なかみ」が
ブワリと 震えるのが わかって。
繋がる光、その、源となる胸の真ん中が、静かにしかし熱くなり、その震えが全身に伝わり始める。
思い切り ありのままで 晒される
生身の 自分
制限することなく 全て を
解放 できること の
心地良さ よ
そう、それはあの時黒の廊下を走っていた「ありのままの自分」と、同じで。
全てに 溶け込む こと
全部 と ひとつ になる こと
ただ その心地良さに 抗えずに。
その 震えに身を任せることしか
できなかった のだ。
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