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9の扉 グレースクアッド
私の 千手観音
しおりを挟む「ふぅん?」
「えっ、なんか変??………てか、また少し薄くなった?ね??」
肌の色は、変わっていない。
髪は少し、また薄くなった様に思う。
自分の髪を片手に、繁々とその変化を見つめながら。
極彩色の「感想」を、待っていた。
しかし降って来たのは「感想」ではなく、やはり「含みのある言葉」だったけど。
「しかし、結構な大きさの「光」が来たもんだな。」
「えっ?「光」?…まあ、慶は確かに光ってたけど………ああ、「そっち側」だから光になる、ってことか………」
急に湧いてきた「光」という言葉に、少し混乱したが千里の言うことも解る。
多分、私の髪色が明るくなったから。
きっと「反対側」が加わった事が、分かるのだろう。
「ケイ?…ケイと言っていたのか?」
「う、うん。?」
なにか、まずい事でもあるのだろうか。
驚いた様に私を振り返り、回るのを止めじっくりと検分し始めた極彩色。
傍らの金色は、未だ無言である。
「ふぅん?どんな姿だった?色は?それはなんだった?」
「えっ。」
何この質問。
なんか、怖いんですけど………。
しかし。
黙っていても、きっとすぐバレる。
とりあえず髪色以外の変化がないか、一通り確認しながらも、つらつらと慶の姿を思い描き始めた。
「なんか、白くて。とりあえず、綺麗。それでフワフワしてて、花がいっぱいあって?飛んでて………」
「要領を得ないな………」
「「なんだったか」で、言えば。神様みたいな、姿なワケ。うーん、なんか見たことない神様なんだけど「千手観音」に、一番近い。手がいっぱいあるの。でも、綺麗でフワフワしてて、お花みたいで。それでね、なんか可愛いの。」
「ほ、う。」
楽しそうに、キラリと光る紫の瞳。
「続けろ」というその色に、頷いてはみるが、そう細かな所までは覚えていない。
なにしろ、夢見心地だったから。
「とりあえずフワフワ私の周りを舞ってて、もしかしたら「加わりに」来てくれたんだなぁと思って。ほら、千里も「暗い方が多い」って言ってたじゃん?だからかなぁって。」
「それで、こう、なったん、だけど…………?」
無言で彷徨く極彩色は、未だ私から目は離さずに再び回り始めている。
しかし、ポツリとこれだけ訊いた。
「それは、名を言っていたのか。」
「うん。「ケイよ、ケイ」って、アピールされた。なんか。漢字まで教えてくれたし?可愛いよね?知ってる?そんな千手観音。」
「いいや?しかし、お前に名を教えたという事は「お前だけの千手観音」なのだろう。それに、その字は「喜び」という意味だしな。まあ、なんというか………」
それきり、黙ってぐるぐる回る千里。
漢字は私の頭に浮かんでいたのを、読んだのだろう。
「「慶事」の慶だよ」と、言う様に。
説明をした訳じゃない。
どうせきっと、姿も覗き見してるんだろうけど…。
なにしろ「喜び」なんて言われて、少し顔を覗かせていた不安がヒュンと形を潜めた。
楽しそうだが真剣な紫の瞳に。
少しだけ、早い変化が不安になったのかも、知れない。
でも、いい変化だから。
大丈夫、な筈。
うん。
そうして一人納得し、くるりと金色を確認すると。
どうやらこちらも私を検分していた様だ。
足元にあった視線が、ずっと身体を辿り、なんとなく擽ったくなった所で、目が、合う。
「えへへ?どう?ちょっと変化が早いけど。」
「いや。少し、安心した。」
「ん?少し??」
安心 ??
それきり黙って私を懐に入れ、いつもの様に髪を梳き始めた金色。
しかしとりあえずは、心地の良いその腕の中で。
不都合の無い私は、極彩色を眺めながら回られている真ん中の暗色も眺めていたのである。
白い 光の花の様な 千手観音
綺麗だったなぁ
優雅だったし 美しいとは あのことか
フワフワして 柔らかそうで
白い手が 沢山あって なんか?
色々?持ってた??
あんま 覚えてないけど 優しい「色の なにか」
だった様な 気が するな??
ボーッとしながら、慶の姿を思い描き反芻して一人楽しんでいた。
ピタリと止まった千里はまだ、闇の隣で考え事をしていたし。
闇は変わらず、揺らぎは止まったまま、ただ「黒く」そこに、在る。
桃色は再びの「新しい私」を歓迎する様に、こちらに手を振る様に揺れ、美しい花弁を見せていた。
うーん 成る程
私も あれくらい? 美しく ありたい
いや? でも慶、取り込んじゃったから??
あのくらいは………イケる いや きっと
うん?
でも あんなに綺麗な 「千手観音」
私に 合うかな?
あんな 綺麗に 見える いや 舞える かな
自分の「なか」に、「在る」のは解るが、ふとした瞬間過ぎる不安。
つい金の瞳を探して、強請る様に見つめてしまう。
しかし、金色も解っているのだろう、言葉を少し、考えている様だ。
しかし、その「変化する瞳」を見て。
彼が今何を考えているか、解ってしまった。
「知っているのだろう?」
その、私の顔を見てそう言う金色は、少し意地悪だと思う。
「まあ、そう、だけど。」
仏頂面で答える私を、仕方無さそうに包んだ腕の中で。
頭上から降ってくる、言葉を聞く。
「変化は、これからもずっと、していくものだ。これからもっと、大きくなっていく「お前」を。信じて、「真っ直ぐ進む」事だけを。考えて、いれば良い。」
確かに。
そうなんですけど………。
「解っているけど不安な私」を、解っているのだろう。
返事を聞こうともせず、そのままキュッと腕が締まる。
その腕に手を掛けて、そのままじっと闇を見ながら考える。
私は「今の私」で。
「闇」を、どうしたいのか。
不安もある
反面 自信もある
拡大している
拡大したい
「究極の私」を 取り込んで
また 「私だけの 千手観音」も来てくれた
でも 未だ。
「暗色」が 圧倒的に多い 私の「なかみ」
でも。知ってる。解って るんだ
私 は やれるし やるしか ないし
もっと もっと できるし
もっと 光って 大きくなって。
純度を 上げ 自分 を 研ぎ澄ませて
あの 色と 一緒に。
ひかりたい んだ よ
「置いては行けない 想い」それと同義になった「闇」
それは「今の私」から、してみれば。
「暗い色」程度の黒さだ。
少しの「絶望」と多数の「諦め」、それは見えるが「究極」まで行っているものは無いだろう。
それなら? どう する ??
「連れて行く…まあ、「置いて行けない」なら、そうなるよね?どうやって??」
「うーーーん。何かに入れる?でも入れる物なんて、無いな………しかもあの「闇」を、入れる物でしょう??うーーーーん。」
ポンポンと、自分の身体チェックをするがポケットに手応えを感じたのはあの「袋」二つのみである。
流石に「水色袋」に入れるのは
憚られるな??
え? じゃあ臙脂?それはいいけど
「闇」とか。 入るの??
でもあの人製だから なぁ
ポケットをぐりぐりしつつ。
考えて、いた。
しかし。
なんとなく、だけど。
まじない袋に 入れる のは 違うな??
そう、思う。
じっと見つめたままの「闇」、くるくると回る私の頭、「今の私」で弾き出した最適解は。
「えっ。……………でも。いや、これしか、なく、ない…………?????」
ふと、腕が緩んでくるりと振り返った。
その、瞳は。
きっと私が「今から何をしようか」知っている色、だが咎める様な色は意外にも含まれていない。
「えっ、いいの?」
「…………やるのだろう?」
「えっ、まあ、うん………。」
「駄目と言われても やるのだろう」、そう言いたかったのだろう。
でも、なんでかその言葉は飲み込んで。
後押しをする様に、そう言った彼の気持ちが伝わって胸がキュッとする。
「ごめんね?…ありがとう。」
そう言って、チカラをそっと伝えた私に。
背後から、声が聞こえて、きた。
「お前ら、イチャつくのはいいが俺は先に戻る。少し前もって知らせておいた方がいいからな。」
「えっ?そんなこと、できるの??」
いや、できるんだろうけど。
しれっと、言いましたよね?この人。
隣で頷く金色に、何やらアイコンタクトをしてさっさと歩いて行った千里。
なにしろ千里がこの場を見て、根回しした方がいいと判断したんだ。
それならそれに、間違いは無い。
金の瞳にも、迷いの色は一切無くて。
それを見た、私も。
「よし!じゃあ、やりますか!………てか、どうやるんだろ???」
首を傾げつつ、腕を解いて立ち上がる。
そうして、デヴァイへ戻る為の「最後の大仕事」、「闇をも取り込む大作戦」を。
実行することに、したのである。
うむ。
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