透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

白い観音

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「ていうか、ウンは「なに」がウンになったんだろうか………。」

つらつらと呟くは 深い夜 森の枝の下
湯煙が心地良い  夜の景色と涼しい空気

今ここは、秋なのだろうか。

この前、夏だと思ってたけど??


そっとお湯を掬い、ふっと息を吹きかけ、バスタブに落ちる滴が吸い込まれてゆく様子を眺めて、いた。

私の手のひらにある時は、少しだけ星屑が混ざりキラキラと波打つお湯。
しかし、大海原に旅立った滴達はすぐさまピンク色のお湯に馴染み溶け出した星屑は姿を消してしまう。

でも、このバスタブのお湯も。
ピンクのキラキラが豊かに波打つ、大きな海なのだけど。

「手のひらにある時は、私のチカラが混じってるからなのかなぁ…?」

はっきりと見えていた星屑は、溶け込む瞬間サラリと光の粉の様に変化し大海に馴染んでいる。

「うむ。なにしろピンクの海はいいね………。海か…………泳ぎは得意じゃないけど。見たいなぁ………。」

海水浴?

でも、「海」無いし………
「海底墓地」なら、あるけど…………。
時期的に微妙、かなぁ。


デヴァイここはきっと、季節が無い。
グロッシュラーにはあるのに、何故無いのだろうか。

「室内」だから?
いや、でも多分。

「ある」と、「思えば」??

チラリと浮かぶあの黒の廊下、今は真っ黒な窓もいつか景色を映すことができるだろうか。

「…………いや、きっとイケる。紅葉の景色だってもしかしたら見れるかもしれないな…。」

ボーッと、頭上の枝を目に映しながら考える。


そう、実は。
そんな現実逃避を図っているのは、この森を出ると「新しい色」が待っているからでも、ある。

確かに色々気になる点は、ある。

ウンのこと、とか。
あの「リュート」のこと、とか。

あの白い女の子が変化した 「私の白い観音」の
こと とか。


然しながら、あの「なんか違う金色」をチラリと目に映してしまっていた、私は。

「あの色は 危険」という、自己防衛が働きこうしてのんびりと森のリラックスタイムを楽しんでいる所なのだ。


 いや。でも。
 思い出しちゃった、からなぁ………

つらつらと神域での事を思い出すと、「ポン」と頭の中に展開していく景色、白い空間。

あの、新しく光る、二つが優しく見守る空間で。

金色を避けたかった私は、慶の繊細になった衣装を確認したり、手に持っている「なにか」を調べてみたり。

ウンが本当に「ウン」しか言わないのか、確かめたり、窮の黒く靡く生地を楽しんで装飾を堪能したり。

 あ そうそう
  あの「白い観音」 あれも 凄かったなぁ…


白い観音ディディエライト

 それは 純白の観音で 
「白」と言うよりは「パール」に近い光を放つ、ほぼ姿形は変わらない「白い女の子」そっくりな観音である。

 透け感はあるものの ほぼ変わらない顔立ち
 真珠の様な艶が輝く 長く真っ直ぐな髪
 白が眩しい 緩くたっぷりとした布を纏い 
  手には竜胆リンドウ
  もう片方には 笛

多分、あれはフルートだと思うのだけど。
でも、「銀色の笛」なのかも知れない。

なにしろ「白」「銀」「真珠の光沢と遊色」「青」で
大方纏められたその出立は、「私が観音だったら」をそのまま現した様な見事な姿で。

自分でも、「ああ 美しいな」と。

思ってしまう、程だった。

それに、なにか。


その 内側から発光する「愛」「慈悲」「赦し」

 それ そのものの 様な。

あの雰囲気、存在、「なかみ」が「全部愛」そのものを体現した様な、その「かたち」が。

 胸に ぐっと 
 そう 奥まで。

「侵入」して くるのである。


 包み込まれる よりは
 「なか」から グワリと 「そと」へ
 ぐるりと捲られる よう な。



「……………なんか。感無量………。」

危うく頭に血が上りそうである。

そう、私は一人つらつらと「バスタブで」考え事をしているのだ。

「危険………危険よ………。」

もし、ここで倒れよう、ものならば。

「いやいやいやいやいや   」

とてつもなく 「恐ろしい恥ずかしい」事になるのは
流石に、分かる。

うん。


「なにしろとりあえず。………着替えるか………。」

ゆっくりとバスタブに腰掛けて、「白い観音ディディエライト」のことを反芻する。

少しこの熱を冷ますには、丁度良さそうだ。

白いし、なんか、スッキリしてるし。

「うーん、そうね………てか、「白い観音」だと、長いな名前が。でも………?」

私の中で、彼女は「あの子」「白い女の子」「ディディエライト」そんな感じである。

 今更………名前?

「ディディ」

チラリと思い浮かぶはエルバが呼んでいた、あの名だ。

しかし。
今は「観音」、なんだか「ディディ」はイマイチである。


「うーーーん。「デイ」いや 「ライト」いやいや。」

なんか 「ウン」も 変わってるけど

  私の名前センスも まあ  ねぇ?

うん  


自分に言い訳をしつつ、頭の中をつらつらと浚いヒントを探って行く。

 うーーーーー   ん

    白  ディディエライト   光

   「白」? 単純過ぎ??

 でも「観音」だからなぁ  なんか ライトは ないよ ない

 でもなあ  漢字 観音 音の響き

 イメージ  名は 体を表す  し

「うむむ。」

でも。
やっぱり。

ちゃんと きっと「お母さん」が。

 名付けてくれた あの名前が あるんだから。

 いや?お父さん?かな??
 でも。 あの、刺繍。


 フワリと齎される 白く小さな服に刺された
 少し歪な 刺繍   その 名前


思い出すだけで涙が、出る。

あの「これだけは」と、縫い付けた「想い」が。

ブワリと、私の中に蘇るからだ。


 うん いいのよ いい 
    泣いても。  なんでも。

 私は  「そのまま」で  「私」で 

   いいんだから。


しかし、落ち着くのは早い。
切り替えが上手くなったのだろう、涙を拭いて、ついでに体も拭き始める。

ふんわりとしたタオルの優しさが沁みる、夜の森。

きっと、あの刺繍をした手も。
こうして「温かさ」を伝える為に。

一針一針、縫った事が知れる。

 「繋がっている」それを、胸にそっと置きながら。


「うん、じゃあとりあえず。「ディー」に、しとこ。」

観音だけど。
「こうじゃなきゃいけない」、は無いし。

「よし!………でも、ウンはリュートを持ってて、今度は笛?フルート?………楽団でも作るのかな………いや、でもそれ。楽しそうだな………?」


  私  観音達   動物達

     蝶   
 あの 二つの  丸い  太陽と 月の 様な

  あの 二つが見守る 空間 で  ?


 賑やかに 煌びやかに  しかし 静かに

   行われる   宴 


「うん、宴は、いいな………。」

頭の中に展開する景色、フワリと音色が聴こえそうな気がしてふと、自分の手に視線を下ろした。

「…………ある。」

 いや
 私の「なか」に  「ある観音」だから

 まあ  そりゃ そう なのか
 いやいや あった方が  いい んだ  けど??


ふと、思い出す「フルート」ともう一つ、ディーが持っていた、もの。

それは「リンドウ」だった。

「………なんで??」

 うちの 庭に  いや あったけど
 それ 関係   ある?? かな


ふと浮かぶ「白い リンドウ」

ずっとずっと、前に。

「怖がる人も、いるんだけどね」と。
おばあちゃんが、教えてくれたその花言葉。


リンドウには「誠実」「正義」の他に
「悲しんでいるあなたを愛する」の花言葉もある


「ブワリ」と 風が 吹いて。

   「うちの庭」の 匂いが 景色が

  「いろ」が。


 フワリと私の周りを 優しく包んだ。



  ああ 成る程

      か。


そう、それは。

受け取り方によって、どうとも取れる言葉で。

でも、「今の私」なら、解るんだ。


 「全てを」「置いていけない」「慈悲」

   「愛」「それでも」 「大丈夫」

 「いつも」 「いつでも」 「いいんだ」

 「もう いいんだ」 「なんでも」

    「どんな でも 」

  「齎される  赦し」  「差し伸べられる 手」


      「全てを  愛する」





        「赦す」とは。

フワリと私の中に現れた、ディーを見ながら考える。

その手に揺れるリンドウは、真っ白なリンドウで庭にはその白と紫、両方の色が咲いていたけれど。

この観音ディーに 合う 白の竜胆

 「赦し」「赦す」

 「全てを 受け入れる」

は 簡単なことじゃ ない

しかし。

「あんな経験想い」を、してきて。

赦しそこ」へ 至れた、こと。

それは一体、どうしてなのだろうか。

私は 散々 「色んな色」をみて

 して やって  思い 出して 

   そうして のたうち回って  やっと

 いや  まだ。  

 残りも あるのだけれど。


この観音ディー」に 「残りそれ」が 無いのは

 わかる んだ。


「なんで………  どうして   いや。愚問なのか。」


どうして。

許せたんだ ろうか。

どうやって  ?  赦したのだ  ろう か


 その時。

 フワリと流れた風

  あの 庭の匂い  白い 光。


心地の良いが 光と共に

  私の元に 優しく。 這入って  くる


  「 すべて が。  いい 悪い

  じゃ なくて


   受け入れる  でも なく

  許す でも なく
     
     なかったこと に するでもなく


  ただ。   「そうだったんだ」って。


  「わかる」「気が済む」「流す」

  そういうこと よ


  「赦す」って。


 人によって  その 「ゆるし」は

  違うと 思うけれど


  「あなた」は「わたし」で 「ぜんぶ」だから。


  きっと   よ  。」



光と共に降りて来た、それは。

静かに 静かに  ゆっくりと私に 沁み込んで。


だから
酷く、納得できたんだ。


そう  「受け入れなくとも」
「許す」、と意図して「そうできなくとも許せなくとも

 「そう 在る」こと は

「事実」で 「いい」も「悪い」も無い


 「そのまま」で  「在る まま」で。
  いい


そうして 自然に。
「頭」じゃなくて「真ん中」で。

   「流す」「洗う」「解き 洗い清める」

だからきっとこれは  私の「赦し」で。


私は そのまま。

進めば いい ということ。


そうして少しずつ。

「全て」と 一緒に 同じく 共に 

    在る     いる     なる 

  沁み込む   融け込む   わかる

      わかって いく


 だと  いうこと。



「なんか。…………解ったような、わかんない、ような…………。でも。ありがとう。」


くるくる、ふわふわと廻る私の「なか」「大切なカケラ」達、しかしそれも時が経つにつれて。

ゆっくりと馴染んで、行くのだろう。

だから、今は。



「…………はっ?えっ?…………いやいやいや。」

真っ白から、急にくるりと翻った私の「なか」の色、「それ金色」の威力に驚きつつも。

パッと顔を上げ、緑の扉をじっと見る。


なんか ノック?した??

きっと、私があまりにも遅いから。
心配しているに、違いないのだ。

いやしかし?

 ちょっとだけ、あなたの所為、ですけどね………???


しかし扉を開けられる訳には、いかない。

とりあえずは既に乾いた身体をパジャマに包み、「!」と自分でも「念」の強さに驚く。

「エローラさんよ…………。」

そう、何も考えずに掴んで来た、パジャマは例のネグリジェである。

「なんだかなぁ………。」

「あら、とっても素敵よ。彼も喜ぶわ。」

「えっ、………うん、ありがとう………?」

青の鏡に微妙な相槌を打ちながら、髪を整えくるりと回った。

「いかん。」

無意義に全身チェックをしている自分にツッコミつつも、とりあえずは扉の前に、立つ。


開ける そう 開けるのよ

  押すの そう 大丈夫

「あ。」

カチリと動いたノブ、思わず怪しい動きになった私をじっと見つめるあの、瞳。

うっ

「どう、した?大丈夫か?」

はい だいじょば ない です

 はい

「いや、うん、………大丈、夫うん」


そうして。

とりあえずは最後の「変化」、「あの色」を確かめるべく。

ウエッジウッドブルーの部屋へ、足を踏み入れたので、ある。
うむ。












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