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8の扉 デヴァイ 再
神々の宴
しおりを挟む目が、覚めると。
いつの間に、戻って来たのか
見慣れた天蓋、美しいビロードの空にあるは星図
所々に散る大きな光達が「おかえり」と言っている様で、安心の中息を吐いた。
瞬く星達の呼吸、隣にいつもの暖かさがあるのを確認して「運んでくれたのかな」とも、思う。
魔女部屋?神域?
何処だったっけ ?
この頃「跳んでいる」感覚が、前より強い。
負担ではないけれど、なんだか「散っている」気がしなくも、ない。
だから、きっとこうして「いつもの場所」にいる事は自分を確かめるいい時間になる筈だ。
きっと「自分で自分を確かめる」のと、「他者との距離で自分を確かめる」のは、違うから。
でもな…………
この人 「他者」って言うには 近い よね??
その、温もりと気配を窺いながら、そう思う。
私が起きた事に気付いているだろうか。
いや、暫くはこのままぬくぬくしていよう。
そう
最近
なんか 「なかみ」が 忙しい し ??
そうして暫く。
ただ、心地良い温もりに、包まれていた。
「羽衣」
ゆっくりと温かく私の中に浮かぶのは、新しく齎された
あの いろ 輝き
美しく 波打つ 柔らかな質感
光り透ける 薄地に 真珠の艶
織り込まれた 様々な いろ
「何色」とも 言えない その 様子
自分の胸の「なか」に。
「羽衣」がしっかりと鎮座しているのが、分かる。
あれ は 現実に ある 「もの」なのか
それとも 私の中の チカラの 一種か
どうなのだろう な?
つらつらとその美しさを反芻しながら、その衣を纏う時のことを、思う。
そう 「羽衣」は。
私が 準備ができた から 現れたもの で。
「そう、そうね………。きちんと確かめて、………心の準備?いや、それはできたのよ。だから、何だろうな………?」
出発準備?
景気付け?
なんか、こう。
パーっと?
やりたい、よね ??
ブツブツ呟き始めた所為か、心地よい感触が髪を滑り再び私を夢の中に誘おうとしているのが、分かる。
きっともっと休ませたいのだろう。
この人は。
この頃の私の「いろいろ」の事も、分かっているだろうから。
それなら お言葉に? 甘えて ??
いや 喋ってない けど
そんな事を考えていたら。
自分の感覚がスルリと滑ったのが、分かって。
眠るのではないけれど「別の何処か」へ、誘われたのが分かり、しかし安心の「色」「空気」に。
何故だか「いいこと」が待っていると知っていた私は、そのまま惹かれる白い場へ移行したのである。
「うん?あ、ウン。」
ボーッとしていた私の膝に乗って来たのは、ウンだ。
どうやら神域へ移行したらしい。
しかし何故だか目の前の景色は「宴会場」の様に、煌びやかに飾り付けられていて。
「えっ、なんで??どこから??」
そう、いきなり現れたいつもと違う神域、まるで幻想的な宴の様子に、とりあえず目が忙しく動き始めた。
桃の木 舞う 花弁
柔らかな灯りの 提灯 暗くなっている 空
ぼんやりとする太陽の円に対して
月明かりが 煌々とし
辺りは 落ち着くしっとりとした 場に変化している
提灯の間に 張られている 金の糸
発光しながら飛ぶ 蝶達
緩りと流れる 窮の 黒く艶めく 長い体
その上に乗って 楽しそうにリュートを弾く ラーダが とても美しく可愛らしい
何故だか慶は 小さく分離して 小花の様に
沢山 舞っているし
その 小さな一人一人は 分離したからなのか
千手ではなく 普通の観音の 姿である
しかし、その光は。
やはり、私の中では「真ん中」に近い光だけあって。
特異な輝きを持ち、「慶の色」を放ちながら舞っているのだ。
分離したとしても、すぐに判る、くらいに。
黎は巨大に変化して 向こうで夜の風を送ってくれているのが、わかる。
その風に乗って。
蝶達が舞い、花弁も舞っているのだ。
「えっ、なんだろうか、この演出。なんで??」
まるで夢の様な景色の中
そう、一人呟いていると私を迎えに来たのはディーだ。
等身大になったその姿は、さながら「もう一人の私」である。
「えっ。」
ゆっくりと近づき無言で差し伸べられた、手を。
一瞬見つめてしまったが、そっと自分の手を乗せてみる。
するとどうやら正解だった様で、そのままフワリとした手に誘われ、「中央」へと案内された。
「真ん中」には私の為に用意された場所が設えられていて、心地の良さそうな敷物、フワフワだろうクッション、美味しそうな果物や飲み物が「どうぞ」と私を待ち構えている。
えっ
なんだ これは どうしよう
いや どうもしない んだけど
これは どういうこと なんだ ???
「歓迎」?「もてなし」??
嬉しいけれど、突然の「宴」にやや頭の中は混乱していた。
すると、私を座らせ、手を離したディーが正面に座り笛を構えたのが、分かる。
そして、その美しい構えに反して途切れ途切れの音が出てくる事が可笑しくて。
なんだか疑問は、どうでも良くなってきた。
なにしろとりあえず、この子達が。
私を労い、もてなしてくれているのが解ったからだ。
それなら いい か
リラックス して この景色を 楽しんで。
見て 感じて なんなら 味わって
「そうそう、これ、食べていいんだよね?」
まだ笛を吹いているディーはそのまま頷いて、練習を続けている。
その音は、途切れ途切れなのだけれど、とてつもなく美しいのだけは、確かだ。
「うん、ありがとう。なんか、ありがとう。」
瑞々しい果物は、勿論美味しい。
葡萄に似たそれは、見た事のない色をしているけれど。
不思議と抵抗なく口に運んだ自分に、アイプの色が思い出される。
そう、少し蛍光色が入るそのプリプリとした実はグリーンに蛍光紫が入る不思議な色合いだ。
しかし色の不思議さに勝るその艶、プリプリ感、「絶対美味しい」という謎の確信。
その勢いのまま、何かが注がれたカップに手を伸ばしそちらも堪能する。
「うん。美味い。」
「美味しい、でしょ」という朝のツッコミを懐かしく思いながらも、この素晴らしい景色をぐるりと見渡していると。
なんだか、胸が一杯になってきて しまった。
なんだ ろうか
この 感覚
満ち足りて いて あったかくて
この 「大丈夫」「いいよ」
「楽しもう」 「お疲れさま」
「頑張ったね」 って。
言われている、感じ。
「労い」
それだよね………
でも 確かに。
私 頑張ってる よ きっと 多分 うん
だから。 「みんな」が 私 を
また 応援 してくれて るんだね ?
私が好きな 色 雰囲気 香り
味 温度と 風 美しさ
この 全体の くうき
成る程 うん これで 一区切り して
ここでまた 準備 して
チャージ して
また 走れる様に チカラを付けて 確認して。
自分を 整え また 進む。
確かに。 「景気付け」は 必要よね
うん
自分の「なか」を 調えながら
沁み込ませながら チャージしながら
みんなが 私に 送ってくれる「いろ」を
ジワリと 取り込んで いく
「いろ」は。
なんだか 「特別」な 「いろ」で
美味しそう な 「いろ」でもあって。
なんだか とっても 「栄養」が ありそうな
「いろ」だから だ
そう、「これ」は。
最後の確認、旅立つ前の景気付け、「私の」「私による」「私の為の」「旅立ちの宴」なのだ。
この「神」達は、みんな「私」でそれぞれに私がチカラを送り、きっとみんなからも送られて。
「送り」「送り返して」「循環」して、「自家発電」の様に、なっているんだ、きっと。
でも。
それならそれが、一番いい。
だって、私は。
一人で、立ちたいんだから。
得も言われぬ美しい景色、言葉は無いが伝わる波動。
この神域の空気が震え
みんなが 私に 「愛」を「光」を
ひたすらに 送っているのが わかる。
なにしろ言葉が無かった私は。
ただ、その「愛」を、震えを有り難く受け取ることにして。
ただ、真ん中が震えるままに その光景を目に映していたのだ。
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