透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ 再

守りの設置

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「確かに。これ守りがある事で、私が安心してここを離れられる、って事なのかな………。」

 「人間ひとに 未練がある」それも。

 きっとこれが 手を 離す 
 良いきっかけには なりそうな気が する。



「姫様 どこ」と、神域へ降り立った私はぐるりとその場を見渡してすぐにその美しい髪を見つけた。

 なんで 見えなかったんだろう?
 無かった よね ???

この頃この空間をよく、見渡していた私の目に
姫様は映っていなかった。

しかし。

それは「まだだった」ということなのだろう。

 「今」それが 成ったのだ。

きっとそういうことなのだろう。


「ふむ?」

象牙色の大木から、少し離れた供物台の下に
ちょこんと鎮座している 姫様

銀糸の髪は艶やかに回復し 実際「元」はどうだったのか
私は知らないのだけど。

 「ああ こんなに美しかったんだな」
そう思う程度には回復している様に 見える。

「ふむ。」

そう、「見える」というのも「何かが足りない感」があるから

しかし
「あっ、そうか。」
と それが自分の機転不足なのを知り、腕を上げみんなが嵌る腕輪を見た。


「これ…………。外れるのかな?」

これまでは外せなかったそれ腕輪
しかしきっと「この場」に成ったからには外せる筈だ。

「大丈夫」
「そうよ。私達は二つで一つ!」
「もう 繋がってるから」
「アンカーをよろしく」
「  」
「いつでも、呼んで下されば」
「その色も中々素敵ね」

銘々が勝手に何か言っているが、気になるセリフが幾つか、ある。

でも。

「うーん、なんか。ありがとう。うん、いつでも。一緒、だよね。」

腕輪の中には「空席」が二つ、ある。

 あの 金色と アンカーの分

アンカーはきっと「黒の石」なのだろう。
黒い鳥だから、という単純な理由だけど、きっと そう。

そして宙が。
私の気になっていた、「アンカーのあれ」を教えてくれた。
そう、あのキャッチコピーみたいな やつだ。

「あれは「鎮魂の石」なのです。しかし、依るが「鎮める必要もない」と言っていたでしょう?だからきっとのでしょうな。」

「えっ。」

私の せい ??

「いや、それでいいのです。私達はここに「なければいけない」ものでも、ない。それは貴女が証明した筈。何も嵌まっていない様に見えても、「ある」のですよ。」

「  成る程。うん、ありがとう。宙達も、必要があったら呼んで、ね?」

「承知しました。だが、対があれば。大概のことは成るでしょう。」

「あ、そうかもね。」

落ち着いた声の宙と話しているうちに、私の「なか」も落ち着き黎の炎が回収されたのが、わかる。

それと同時に、スッと大きさの変わった腕輪が外れ
小さくなるのが、わかった。

 なるほど

そして それをそのまま、姫様の腕に 嵌めると。


シュッとその大きさにピッタリに縮んだ、金の腕輪
そこから姫様は「完全」に なって。


「う わ 」

 綺麗。

眩い 銀糸の髪  品の良い大きさの煌びやかな髪飾り
しっとりと光る レースと刺繍
そのどれもはシンラと対の 似た意匠なのが わかる。

 うん? でも   「あれ」は??

チラリと浮かんだ ウェッジウッドブルーの部屋にある「姫様の服」
しかしもう あれは。

 「新しくなった 私」と 同じで。

 きっと もう 「旧い」んだ。

少し、寂しくはある。
でも、このとびきりの繊細なレース、発光しているような生地の艶
それよりなにしろ 「ピッタリ」と馴染んでいる
姫様の 様子からは。

 「喜び」の波長が 感じられるのだ。

まさかそれを 脱がすことは できない、よね
  うん 。


「えっ、細か 繊細  ちょっと   これは  うん、えー。」

そうして一人、騒ぎながらもその美しい生地艶をまじまじと見つめ、そっと触れて感触を確かめる。

とてつもなく繊細な糸で編まれた レース
きっと「蜘蛛の精霊」の糸で 編んだ 様な。

そんな感触、傷つけない様そっと手を離したが
「ああ これもなんだ」と離した瞬間 それが解る。

 そう きっとこれも 慶が織った

  私の光から 生まれた 糸

あれに似ているのだ。

そう あの 教会にあった ヴェールの糸
 あの艶 感触  生地の滑らかさ。

 そう 「あれ」は セフィラの 創った生地だから。


ふと、左手を上げそこに嵌る 指輪を見た。

 うん 私には  これが。

チラリと「結局 セフィラは この中で??」と疑問が浮かんだけれど、きっとそれもまた「その時」なんだ。

 この 中に いてくれるのなら 安心。

そう、思える自分
姫様に戻った腕輪
変わらず賑やかなみんな
私の指にはとびきりの、味方。

 いや、みんな「味方」では あるのだけれど。

 これ指輪は とびきりの「身内」でも あるから。


「なんか。確かに、抜群の安心感は、ある。」

これも 「血の縁」か。


そんな事を思いつつも、美しく満たされた 姫様を抱き上げた。

 あとは これを 置く?だけ。

くるくると周りを廻る、光達を眺めながら
 導き出されるものを 確認する。


   「何処に」「相応しい」「護り」


その、カケラ達を眺めていると 私の「なか」に
浮かんでくる光景が ある。


「ああ、確かに。」

「場所」はもう、決まってる。

この二人が「いる」なら あそこ

自分の中に浮かぶ景色を反芻し、確認しながら「さて?」と思う。
私はシンラを迎えに、行かなければ。

ならぬ、だろうな??


「それじゃ、一応言ってから行きましょうかね…。」

そうしてくるりと、振り向くと。

既に待っていたかの様に 少し離れた位置で 私を見守って いる

金の髪が キラリと光るのが 見えたんだ。


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