透明の「扉」を開けて

美黎

文字の大きさ
1,565 / 2,047
14の扉 星の領域

しおりを挟む

「    あ 」

   そう  か 。

 
   「そういうこと」 か。


「えっ、なに?…びっくりしたじゃない。」

「ああ、ごめん 。」
「どうしたの?」

「   いや、その。 なんか、「ピコピコ」が、「ウワ~」ってなったから どうしてなのかなぁって。 思って、たんだけど。 うん、ごめんなさい。」

「………せめて、もう少し分かりやすく。説明、してくれるかしら?」
「 はい。」

 私が 針を持ちながら。

いきなり、大きな声を出したものだから 
 目の前で飛び上がったエローラに 私も釣られて驚いたけれど。


「  うん、それがね  」

 その「大声の理由」

いや、そこまで「大きな声」ではなかったと 思うのだけど。

 なにしろ「黙々と刺繍をしていた私」がいきなり声を出したから驚かせてしまったのだろう。

 既に 立ち上がり「休憩」とばかりにお茶の支度をしている灰色の長い髪を眺めながら
 「もうポニーテールにはしないのかな」
そんな事を考えつつ くるくると玉留めをする為に糸を巻いてゆく。


「………ていうか。結構出来たわね?今日幾つ仕上げるつもりなの?」

「  ? いや、特に目標はないんだけど。」
「まぁね。なにしろ助かるわ、ありがとう。」

「いえいえ 。」

 因みに 「私が今やっている刺繍」
それは
いつもエローラの店でご馳走になっているお茶やご飯のお礼として 始めたものだ。

 始めは「石」や「金の蜜」を
 「お礼として」、持ってこようとしたのだけど。

「………いや、それは止めておくわ。石は危な過ぎるし、金の蜜はルシアの所と被っちゃうし。そうねぇ、「ヨルにやって欲しい事」か…。」

そう言ってエローラが提案してきたのは「店のロゴ」の刺繍で。

 「なんとなく 守りになりそう」

そんな気配がしたその提案を、直ぐに呑んだ私は 時々こうして「お茶兼 刺繍」をしにやって来て、情報交換をしているのだ。

 いや
 それはもう 殆ど「お喋りしてるだけ」
  それでも あるのだけど。


「    ふぅむ。 あのね、えっ、「わかりやすく」?? なんかね、ほら レナも言ってたけど。「私のやること」、その「裏方的なこと」?エローラには前から、「祈ってるだけ」とか言ってたからわかると思うんだけど。 そのね、「状態」が 「ピッと上にアンテナが立ってるだけ」だったんだけど、 最近? なんか、今日「ピッて立てよう」と思ったらそれが「アンテナ」じゃなくて「放射状」になってて。  なんかね、四方八方に散ってるのよ。「それかたちの変化」が、なんなのかなって 思ってたんだけど。 まあ、そのうちわかるかなって思ってたら 「あ、星なんだ」ってさっき気付いて。 そしたら全部ピタピタって嵌ってきて、成る程なぁって思って、「あ 」って言っちゃったんだよ。 」

「…………………………ふぅん?成る程。」

 その なんだか
 「わかった様な」「含みのある」「ふぅん」に。

とりあえず「返事待ち」をしてみたけれど
 エローラ的には別に「いいたいこと」は無いらしい。

「まあ、ヨルが星なのは。前から分かってる事じゃない。………ふぅん、でも、その?自分の中に形が見えるの?面白いわね。相変わらずどうなってるのかしら。」

「   ん~? でも、エローラだっていつも「作りたい服のデザイン」がポンポン湧いてくるでしょう?」

「…………なるほど確かに。そういう感じなのか。でも、ヨルの「それ」は範囲が広過ぎて意味が分かんないだけなのね。」

「  うん。  まあ  そういうことだね。」

 確かに
 「今 縦横無尽に展開するスペース想像のなかみ」

 それは
以前よりも広範囲で縦にも横にも 拡がり「星をも含んだ」からして。


「     なるほど  成る程。 だから、「星」、それもあるな。 てか まあ。 そういうことなのか。」

「ささ、それ片付けちゃって。今日はもう、終わりにしようか。」
「ああ、うん、ありがとう フフフ」

「いいのよ。それに、やっぱりみんな気付いていようといまいと。「その効果お守り効果」は確実に出て来てるのよ?こないだなんかね…     」
「  えっ  そうなの???」

 そうして エローラの「お守り報告」を 聞きながら。

くるくると 廻る「星の理由意味」がわかった私は
 とても落ち着いて。

「その 報告内容に応じた」「次の刺繍糸」を想像しつつも
 しっとりとお茶を啜っていたので ある。









「    でも、こないだのは好評だったでしょう?」
「うん、普段着ない色だったけど。私は自信が無かったけど、家族や彼にも好評だったの。」
「やっぱり!………だからこれとかも合うと思うんだけど 」
「そうね……こっちは?」
「いやいや、それじゃいつも通りじゃない。」
「う~ん。そうね  」

 
   やってる やってる。

 フフフ
   やっぱり 服を選ぶのって 楽しいよね

 エローラコーナーも好評みたいだし
 てか 貴石に卸してる服ってどんななんだろうか
   それも気になる な ?? 


 暫しの 「お茶休憩」が終わって。

お客様が訪れた「マデイラ洋裁店」は 
 楽しそうな声が響き渡る「オシャレスポット」へ変化していて
あまり姿を現さない様にしている私は、衝立の影で黙々と作業中だ。

 だけど 勿論「耳だけ」は
 「楽しそうな女子達の話題」を捉えていて。

 その「話の内容」は 
細かく聞いていないのだけど「声色」「雰囲気」「全体感」そんなものは しっかりとキャッチしていて。

 「相変わらずのエローラ」と
 「様変わりしてきたラピスの様子」
その両方を楽しく聞きながら 店内の景色を思い浮かべて いた。


 基本的に「私がここにいる日時」はまちまちで
気が向いた時に現れ 
 エローラとお茶をしたり
 刺繍をしたり
 お昼をご馳走になったり
 店内を楽しんでいたりと 自由気ままに過ごさせて貰っている。

 その「間」に お客様が来ると
こうして衝立の影に陣取って。

 刺繍を再開してみたり
 おやつを食べていたりするけれど
実際私はこの時間が 意外と気に入っていた。


初めは なんだか「盗み聞きみたいだな」
 そう思っても いたけれど。

 その「街の変化」
   「みんなの 変化」

 それを「直接聞けること」
 そして「その瞬間に 」。

なんだか「その 重なり」が感慨深くなってきて。

 一針 一針に「込もるチカラの増幅」を感じながら
 じっと 「静かに煌めく自分のなかみ」も
 観察していたんだ。





 「賑やかな 声」が聞こえるけれど
 「静かで穏やかな」店内

  その「心地良い」空気
    「癒される」波長
 新しく視えてきた 「明るい光」の基盤 。


 そう その「ただ在ることわたしはせかい」の実践

今、その一部でもある「自分が「縫い」を入れること」
 「繋がり」の「部分」で ある「参加している 行為」。


 「それ行為」は 
一般的に外からは「見えない部分」だけれど
 "せかいの一部として参加している"「こと行動」でもあって

そうして「自分のチカラ」が「実際加わって起こる」、
 「変化の場面」
  「その ひとつひとつのピースカケラ
 「それが集まり 世界の流れが加速し」
 「それに伴う 変化の拡大」
そして
 「それを受けた みんなの表情」。

そう
その「私がやっていること」が 微細に影響し始めて。

 「そのこたえ意味が 観えてきたこと」。

それがまた「自分のなかでの 煌めき」となって
 「私が持つ 針」の光も強まり
 「糸に 純度の上がったチカラが通り」
 「一針一針が 織られてゆくまじない祈りとなって」。

  "実際に みんなを 護る"んだ

 今それが ようく わかる。



   'その「星であること」の 意味'


「ただ 放射していること」それは
 「ありのままで在る」で
 「そのエネルギーいろを発しているもの」で
それはやはり「私のやりたかったこと」で
 「なりたかった あの色」と同じことでもあり
 「自ら光る星」、「星達と関係性を織れる光」それに 他ならない。


 だからこそ 「私達は 光り合って」。

更なる拡大した 関係を築き
 そう「する」ことできっと「視えてくる 振れないせかい」

 その ヒントが。

なんだか「この 暖かい煌めき」には 含まれていると
 思うのだけど。


    ふぅ  む?


そうして 私が「自分のキラキラカケラ達」と 戯れていると。

 いつの間にか 
「ぴったりの服」が 決まった様で

 丁度
「パチン」と手を鳴らしたエローラと 嬉しそうな女の子のはにかむ声が 聞こえてくる。

「   ほら、絶対、こっちだった。」
「………本当だ。これなら、確かに。」

「髪型も、こんな風にして。いつもと違う雰囲気で色々な面を見せていくのも、いいと思うわ。」
「確かにこれも。…やっぱり、好きな色だし、これも「私」、だものね?」
「そうよ。自分の好きな服を着るのが、一番。」

 最後の、「相変わらずのエローラ節」が
  可笑しくて。

 つい 
チラリと衝立の隙間から 「眼だけ」を覗かせて見るけれど
「キラキラと煌めく表情の美しさ」に 思わずぐっと 胸をやられる。

  
   うっ
       おっ  とっ  と  ? ?


気付かれない様に、そっと椅子へ倒れ込んだ私が受けたのは
 「新しい"美"が 生まれる瞬間」の
  「煌の光」、それ そのものだ。

だから
 その「生まれている煌めき」を 
しっかりと胸に 留めながら。

 大きく 息を吸って
  吐く 息と共に また糸へチカラを込めたので ある。




 
 








 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

処理中です...