誰よりも美しい花を捧ぐ。

音成さん

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10.神様に愛された男【捧げられし花テオエル】



待っているうちに泣き疲れて眠っていたらしい。
頭を撫でられる感覚に意識が浮上する。

「かみさま……?」

神様が贔屓したとしか思えない、息を呑むほどの美しい男が、彫刻のような無表情でテオエルを見下ろしていた。

少し癖のある銀髪は艶々ときらめきを放ち、寸分の狂いもなく配置された左右対称の整った顔立ちを彩る。凛々しい眉も銀色で、瞬きすれば風が起こりそうなほどの睫毛も銀。見つめられると視線を逸らすことがもったいないと思わせる瞳までもが、銀色に輝いていた。

美しいのは、首から上だけではない。

惜しげもなく晒された裸体も、程よく筋肉がつき、引き締まった見事なプロポーションをしていた。

どの角度から眺めても、完璧に整った男だった。

世界で一番、神様に愛されている人間はこの男をおいて他にいないに違いない。

「発狂せんな」

いや、彼こそが神なのだと言われても信じられるほどの美貌をもった男は、片眉をあげて妙なことを言った。

数瞬考えて、頷く。
確かに、気を違える者も出てくるであろう美しさだ。

「あまりの美しさに言葉を失っておりました」
「はあ?」

完璧に整った男は、相貌を歪めても美しかった。

「シドイェスカ様ですよね!? ご尊顔を拝見できて嬉しく思います。まさかこんなに美しいなんて……! 想像もしなかったというか、ここまでの美しさは僕の貧相な想像力ではとても思い描けなかったというかーー」

思わず早口になる。
顔を見たことがなくても、声でわかる。
この男はシドイェスカだ。
こんなに美しい男が、シドイェスカだったのだ!

「黙れ」

低くて凄みの利いた声だった。反射的に口をつぐむ。

「機嫌を取っているつもりか? そんな見え透いた嘘に騙されるとでも?」

シドイェスカは怒っていた。
美しい銀の瞳を憤怒で光らせ、テオエルの首を正面から鷲掴む。

「私を美しいと思うなら、私の顔を見ながら抱かれることも嬉しかろう。正面から抱いてやる」


急所をおさえられているのに。
大きな怒りを向けられているのに。


「狂って嫌がって暴れて抵抗しても押さえつけて何度でも犯す」


テオエルはシドイェスカに心底見惚れていた。
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