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第1章 呪われました!
01
「逢崎、なんかおまえ、今日変じゃないか?」
最初に指摘したのは手嶋だった。
朝からずっと気になっていたのだ。女であれば産声をあげたばかりの赤ん坊から棺桶に片足突っ込んだ老婆まで口説くほどの女好きが、すれ違う女に見向きもしない。いつもなら目をハートにして熱い視線を送り、TPOが許す限り必ず声をかけにいくのに、今日はそれもない。おかしい。怪しい。不審すぎる。
「やっぱ変だよな?」
「俺も思ってた」
多川と新沼も後続する。
逢崎は不可解そうに眉間にしわを寄せ、首を捻った。
「俺が変っていうか…………世界が変だ」
「なんか変なこと言いだした」
「やっぱ変なのはおまえじゃないか」
「世界は普通。おまえが変」
「世界はこんなにも地獄だったか……?」
手嶋達三人の意見はシカトして、逢崎は訝しげに大学構内を見渡す。彼なら真っ先に目を留めるであろう女を、ことごとく素通りして。
やっぱり、変だ。異常事態が起こっているとしか思えない。
こいつが変なのか?
そもそもこいつは本当に逢崎か?
視界に入る全ての女に秋波を送らずにはいられない男が、今日一日一回も女を口説いていないのはおかしいだろ。
言いようのない不安がこみ上げてきて、手嶋は逢崎の肩を掴んで確認していた。
「おまえ、逢崎だよな……?」
振り向いた逢崎は一瞬瞠目し、首を傾げる。
「俺以外の誰に見えるんだよ。おまえもおかしくなっちまったのか?」
「変なのはおまえだ」
「おまえが変だ」
「いや、変なのは世界だ」
堂々巡りになってきた。
「その、世界が変ってのは、なんなんだ。どう変なんだ」
手嶋が切り込むと、逢崎は真顔で答えた。
「一夜にして世界が地獄に変わってる」
要領を得ない。
手嶋から見た世界は、昨日と地続きのまま、何も変わってなんかいやしない。
「その地獄ってのは、どういう風に地獄なの?」
新沼が深堀りする。
「朝家を出てから、ずっと、周りが男ばっかりなんだ。一人も……レディを見てない……おかしい……男しかいないわけないだろ……男しかいない世界なんて地獄だ……」
「何言ってんだ、おまえ……あっちにも、そっちにも、朝からずっと、講義中だって、いただろ、女!」
冗談だと思いたかった。掴む肩に、指が強く食い込む。思わず語気が荒くなった手嶋の傍らで、多川と新沼が顔を見合わせていた。
「俺は今日、一人もレディを見ていない」
青褪めた無表情で、にわかには信じがたいことを言う。ついさっきだって、女子大生二人組が、手嶋達の進行方向上を横切って行ったのに。
「俺、心当たりあるわ」
無言で見つめ合う手嶋と逢崎の間に、挙手した新沼が割って入った。
「それ俺だわ」
続いて、多川が遠慮がちに挙手した。
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