呪いを解くには【真実の愛】が必要です!

三川

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第2章 愛されました!

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「これはチャンスだぞ手嶋」
「そうだチャンスだ手嶋」

家主の逢崎が一番風呂を浴びに行った隙に、多川と新沼が膝を寄せて詰め寄ってきた。

「なんのチャンスだよ」
「真実の愛ってやつだよ!」
「そういえばなんかそんなん探してたな」
「忘れるな忘れるな」
「おまえが一番記憶力良いんだから」
「俺達アホだから」
「おまえに覚えててもらわないと俺らじゃ全く全然ダメダメだから」
「俺ら記憶力ミジンコだから」
「ゴミだから」
「クズだから」
「クソ以下だから」

そこまで卑下しなくてもいいと思う。

「で、真実の愛がどうしたって?」
「逢崎と手嶋が結ばれれば、それはきっと真実の愛だよ」
「それはない」
「なんで」
「逢崎はべつに俺のこと愛してるわけじゃないから」
「はあ? 逢崎は恋人になりたいんだろ?」
「違う」

多川と新沼が怪訝な顔をした。

「逢崎はただ俺とセックスしたいだけだ」
「どういうこと?」
「全然わからん。アホにもわかるように説明してくれ」

手嶋はアホにもわかるように説明した。
あまりにも女との触れ合いが無さすぎて逢崎の性欲がバグったこと。異常な性欲が何故か全部手嶋に向いていること。セックスしたいと言われたが、手嶋は恋人としかセックスはしたくない。じゃあ恋人になってくれ、と逢崎に言われたこと。

「好きとか愛してるとか、そういうことじゃないんだ。ただの性欲だよ」

多川と新沼は全く同じ腕組みポーズで顔を見合わせた。

「そうかあ?」
「そうかなあ?」
「そうなんだよ」
「でも少なくとも手嶋は逢崎好きだよな」
「は、」
「あ、やっぱり? 俺もそう思ってた」
「待て待て本人がわかってない」

動揺もあらわに両手をさまよわせる手嶋をよそに、多川と新沼は二人だけでわかりあっている。

「だって手嶋、気づいたらいっつも逢崎のこと見てるじゃん」

それは……逢崎の面が無駄に良いから、目がついつい追ってしまうだけで。

「逢崎になんかあると真っ先に気づくのも手嶋だし」
「逢崎がちゃんと飯食ってるか、おまえは逢崎のお母さんかよってくらい心配するし」
「今日も逢崎んちなのに手嶋が飯作ってたしな」
「焼きそばうまかったな」
「また作ってくれ」
「……おう」
「んでさ、手嶋」

多川が、幼い子に優しく問いかけるような声で、言った。

「おまえ、逢崎が女口説いてる時、自分がどんな顔してるかわかってるか?」
「どんな顔…………」

わからなかった。
俺は、女を口説く逢崎を、どんな顔で見ていた?

「手嶋は女口説く逢崎見て、いつも何思ってる?」

新沼も、優しい顔をしていた。
まだまだ庇護が必要な幼子を、見守るような眼差し。

「……羨ましい」
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