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第2章 愛されました!
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「呼ばれたので来たぜ、俺が」
シャワーを浴びて中に出されたものを掻き出し、服を着替えた。そして部屋の隅で膝を抱えてぼんやりしていたところ、呼んでないのに多川が来た。
「呼ばれたんだよ、逢崎に。こっちはもう寝てたのによ」
ちなみに逢崎の方には新沼が行ってる、と付け加えて、多川は手嶋の目の前に腰を下ろした。
「逢崎から話は聞いた」
身体が強張る。
「とりあえず、逢崎のことは殴っていい。蹴ってもいいし、手嶋の気がそれで済むってんなら、逢崎にされたこと、手嶋がそのまま逢崎にしてやってもいい。誰が許さなくても俺が許す」
「…………おまえに許されてもな……しねえよ、そんなこと……」
「なら、いい。それで?」
「それで……」
「逢崎のこと、許さなくてもいい。でも、それで?」
「それで……?」
「このまま許さず、逢崎とは、終わりか? 絶交か? それとも絶縁か?」
「おまえそれどっちも意味わかって使ってるか?」
「絶交は小学生が使うやつ。絶縁はそれよりもっとなんか重い」
まあ、大体合ってる。
「手嶋。俺、逢崎のこと許さなくてもいいって言ったけどな、めちゃくちゃ悪いことしたんだけどな、最低なんだけどな、それでもな、思うんだよ。たった一回の過ちで、これまでの逢崎との日々を、感情を、全部切り捨てるのか?」
逢崎と駆け抜けたこれまでの大学生活が、脳裏を駆け巡る。
全力で馬鹿なことばっかりやってた。
そこにはいつも、多川と新沼もいた。
いつだって、隣には必ず逢崎がいた。
「今回のことで全部切り捨てられるほど、おまえにとっての逢崎との関係は、簡単なものなのか? おまえはそんなに、逢崎との愛に自信がないのか?」
「…………愛、」
「そう、愛。手嶋から逢崎への愛。逢崎から手嶋への愛」
「……逢崎は俺を愛してなんかいなかった」
「それは違う」
多川は強く、否定した。
「それは違う」
しかも二度。
手嶋は首を振って、それを否定する。
「愛と性欲は違うんだよ。俺は今日、平田さんからそれを習ってきた」
「誰だよ平田さん」
「愛されてたかもって思える瞬間も、確かにあった。確かに、愛されてはいたんだろ。前は。でも、今回のことで、わかった。俺はもう、逢崎にとって愛する対象じゃなくなってしまったんだ」
多川は難しい顔をした。
「そもそもな? そもそも、逢崎はなんで手嶋をレイプしたんだ?」
「わからん……」
「はあ? わからんわけねえだろ。物事には必ず理由があんだろうがよ」
「心当たりは、これしか……」
首元を引っ張って中を見せると、無数の跡を見た多川が顔をしかめた。
「えっぐ。何それ、逢崎にやられたのか」
「平田さんにつけられた跡を、逢崎が上書きした」
「誰なんだよ平田。てかおまえ……浮気したのか!?」
「してない!」
前のめりになって否定する手嶋を、多川の両手が元の位置に戻した。
「ていうか、それじゃね? 理由」
「は……これ?」
「浮気されたと思ったんじゃね?」
そういえばなんか、犯される前、裏切ったな、とかなんとか、言ってたような気が……する。
「ようは嫉妬だろ嫉妬。愛されてんじゃん、手嶋」
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