召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第二話「旅の仲間」

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 北の街道の森の中には魔物を祀った石碑がある。以前、サイモンおじさんから聞いた事がある。この石碑に祀られている魔物は、遥か昔、リーシャ村が魔物に奇襲された時に村を守ってくれた神聖な魔物だ。名前はスケルトンキングと言うらしい。

 石碑の付近は森が開けており、心地の良い魔力を感じる。剣の練習をするにはうってつけの場所だ。暫くここでショートソードを使った戦い方の練習をしよう。俺は剣の練習の前に、魔物の石碑に頭を下げた。少しだけこの場所を貸して貰うのだから……。

 それから直ぐに剣の練習を始めた。父の遺品であるガントレットから心地良い魔力を感じ、ショートソードの刃がガントレットと共鳴するように光り輝いている。武器と防具の相性が良いのだろう、体内に魔力が満ちる感覚を覚えた。どうやらガントレットは俺自身の魔力を大幅に強化してくれている様だ。

 まずは剣を振る事にした。ショートソードを垂直に切り下ろすと、キラキラした銀色の魔力が刃から溢れた。武器に魔力が籠もっているのだろう。それから俺は暫く剣を振り続けた。垂直斬りや水平斬り、袈裟斬り等を練習すると、上半身の筋肉に心地良い疲労を感じた。すっかり日が暮れた夜の森には、野生動物の鳴き声が響き、時折、悍ましい魔物の呻き声が轟く。夜の森は恐ろしいが、これから冒険者になるんだ、魔物の呻き声に怯えているようではやっていけないだろう。

 石碑の前で焚き火をし、体を温めた。疲れた体を休めるために横になり、市場で買ったパンを齧る。口の中には柔らかな甘味が広がった。弾力あるパンの触感を味わいながら、ゆっくりと飲み込む。少ない食料を切り詰めながら隣町を目指さなければならない。明らかに食事の量が足りないが、今はお金に余裕がない。直ぐに冒険者ギルドで登録をし、クエストを受けてお金を稼がなければならない。空腹を紛らわす様に母さんと過ごした村での思い出に浸っていると、俺はいつの間にか眠りに就いていた……。

 動物達の鳴き声で目を覚ました。夜間に魔物に襲われなかったのは運が良かった。直ぐにフィッツ町に向かおう。ショートソードを腰に差し、ガントレットを嵌めて鞄を背負った。北の街道を北上し、深い森の中を進む。リーシャ村とフィッツ町の中間地点には、魔物が巣食う墓地があると聞いた事がある。

 北の街道を道なりに進み、六時間が経過した。足腰には自信があったが、流石に歩き続けているからだろうか、下半身に疲労を感じる。そろそろ休んだ方が良いと思いながら、早く冒険者になりたいという、止められない気持ちに突き動かされ、ひたすら森を進む。

 しばらく歩くと墓地に到着した。フィッツ町までの難所であり、墓地の付近にはアンデッド系の魔物が巣食っている。錆びついた金属製の柵の中には朽ち果てた墓石がいくつも建っており、白骨の魔物が虚ろな目で空を見上げていた。スケルトンか……。

 目には赤い炎を灯し、右手にメイスを持っている。スケルトンは魔物に殺された冒険者や、不当に殺害された人間が蘇った姿。スケルトンは俺の姿を見るや否や、メイスを振り上げて襲い掛かってきた。突然の敵襲に狼狽しながらも、直ぐにショートソードを引き抜いた。

 スケルトンがメイスを振り下ろした瞬間、俺は剣で敵の攻撃を受けた。スケルトンの体を右足で蹴り、距離を取ってから、ショートソードに魔力を込めて振り下ろす。俺の剣はスケルトンの胸部を捕らえ、剣は強い魔力を散らして、スケルトンの骨を砕いた。

 スケルトンは力なく倒れると、俺は勝利を実感した。冒険者として、初めての戦闘に勝利したのだ。随分手応えが無かったが、スケルトンとはこれほど弱い魔物なのだろうか。地面に倒れるスケルトンに視線を落とすと、スケルトンはメイスを握り締め、俺の左足に振りかぶった。

 メイスの一撃を喰らうと、俺の左足には人生で感じた事も無い程の激痛が走った。油断していた……スケルトンがこんなに弱い訳が無かったんだ。もしかしたら骨が折れているのかもしれない。逃げ出す事も出来ずに、俺は地面に倒れ込んだ。勝てなかった……俺はここで死ぬのだろう。俺は自分の死を予感した。

 きっと次の一撃で俺は殺されるんだ……こんな事になるなら旅に出なければ良かった……誰か助けてくれ……! スケルトンは気味の悪い笑みを浮かべながら、ゆっくりと近づいてきた。スケルトンはメイスを振り上げると、最後の一撃を放った。

「助けてくれ……!」

 大声で叫ぶと、ガントレットは強烈な光を放った。強い光はスケルトンを吹き飛ばすと、敵の体は粉々に砕け散った。これが魔法だろうか? 目を凝らして光を見つめると、光の中には一体の魔物が立っていた。

 光が穏やかに消えると、その場には一体のスケルトンが立っていた。まさか、俺はスケルトンに助けられたのだろうか? しかし、彼の体からは清い魔力を感じる。神聖な魔物が放つ魔力だ。墓地に巣食っている悪質なスケルトンとは大きく異る魔力を持っている。

「キング……ヨロシク……」
「え……? キング?」

 キングと名乗るスケルトンは、俺の頭を撫でると穏やかな表情を浮かべた……。
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