召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第十五話「新たな団員と幻獣の素材」

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「ユニコーンの角をダタで譲ってもいい。だが条件がある。俺もサシャの騎士団に入れてはくれないだろうか?」
「え? なんですって?」
「俺もサシャと共に旅をしたいのだ。魔物と人間が共存出来る村か……そいつは最高の夢だ! 実はこの町にはもう飽きていた所だったんだ。代わり映えのしない毎日。強い冒険者が居る訳でもなく、店を訪ねる者も少ない。そんな時、町に幻魔獣の召喚士が現れた……サシャ、俺を仲間に入れてくれ! 人生で最後の冒険をしたいんだ」
「そうですか……分かりました! 幻魔獣の召喚士、サシャ・ボリンガーは育成士、ゲルストナー・ブラックの入団を許可します。騎士団の団員として、これから俺達に力を貸して下さいね」
「うむ。久々に剣を持つ時が来た様だ。いつでも旅に出られるように、これから直ぐに支度を始めるとするよ」

 ゲルストナーはカウンターに魔物の素材をいくつも置くと、全て俺に差し出した。それから俺とゲルストナーは相談して旅の予定を立てた。二週間後に町を出て大陸を回る。目的の都市は未定だが、これから出発までに決める事にした。

 それからゲルストナーは財布を俺に渡すと、これで旅の支度をしろと言った。ゲルストナーからお金を借りて、旅に必要なアイテムを揃える事にした。ゲルストナーから頂いた素材を鞄に仕舞う。

 「幻獣・ユニコーンの角」「幻獣・ミノタウルスの頭骨」
 「コボルドの頭骨」×3 「ガーゴイルの翼」×4
 「ホワイトウルフの頭骨」×3

 俺はゲルストナーに礼を言って店を出た。新たな団員と幻獣の素材まで手に入った。最高の一日だ。更に召喚の知識を付けるために本屋で召喚魔法に関する本を買う事にした。ルナを連れて町の本屋を探しながら歩くと、二階建ての木造の本屋を見つけた。

 直ぐに店内に入り、目的の本を探し始めた。ルナは俺の肩から飛び上がると、一冊の本を持ってきた。『アルテミス王国の歴史』という本だった。アルテミス大陸で最も冒険者が多い都市、魔法教育に関する機関やギルドが密集する町だ。

 次の目的地はアルテミス王国にしようか。ルナが選んだのだから、きっと何か意味があるのだろう。キングがルナの卵を選んだ様に。幻魔獣の選択を信じよう。それから俺はゆっくりと店内を見て回り、必要そうな本を購入した。

・『アルテミス王国の歴史』
・『召喚術の衰退について』
・『町の作り方・町の人口の増やし方』
・『召喚士と魔物の関係』
・『無から召喚する方法』

 本を購入した俺達は、宿に戻る前にユニコーンを召喚する事にした。旅の直前に召喚するよりも、早い段階でユニコーンを召喚し、絆を深めておきたいからだ。宿の前に移動すると、俺は地面に召喚書とユニコーンの角を置いた。召喚の準備を始めると、辺りには人だかりが出来た。俺は既に幻魔獣の召喚士として面が割れているのだろう。

「あれって、スケルトンキングを召喚した冒険者ギルドのメンバーじゃないか?」
「また何か召喚するみたいだな。しかし、あんな子供が一人で幻魔獣を召喚したなんて信じられない。大人に手伝って貰ったんじゃないのか?」
「ああ、そうに違いない。王宮の召喚士だって束になって召喚するんだ。それに、幻魔獣が駆け出しの冒険者に従う訳が無い。きっと何か裏があるのだろう」

 心無い声に俺の気持ちは沈んだが、他人が何を言おうと関係ない。俺の意思が重要なんだ。この場でユニコーンの召喚を成功させれば良いだけなんだ。絶対に失敗は出来ない。地面に置いた召喚書と素材に両手を向けた。体内から魔力を掻き集め、ガントレットから放出する。

『ユニコーン召喚!』

 両手からは爆発的な魔力が流れ、召喚書からは強烈な光が放たれた。辺りに優しい魔力を放出しながら、光の中からは一体の美しいユニコーンが姿を現した。一見、普通の白馬の様に見えるが、体は随分大きく、頭部には白い角が生えている。召喚が成功すると、熱狂的な歓声が沸き起こった。

「幻魔獣の召喚士、サシャ・ボリンガーが幻獣の召喚に成功したぞ! しかも一人でだ!」
「こいつは凄い……たった一人で幻獣を召喚してしまうとは……!」
「肩の上に居る魔物はハーピーか? 二体の幻魔獣とユニコーンを従える最強の冒険者が俺達の町から生まれたぞ!」

 ユニコーンが優しい眼差しで俺を見つめると、俺は彼の体を抱きしめた。清らかな魔力を感じる、近くにいるだけで体には気力が溢れ、優しい魔力に包まれた。これがユニコーンの力か。ギルドカードを取り出してユニコーンの項目を確認する事にした。

『幻獣 LV0 ユニコーン』
 種族:幻獣・ユニコーン
 召喚者:幻魔獣の召喚士 サシャ・ボリンガー
 魔法:セイントヒール

 固有魔法で回復魔法を使用出来るのはありがたい。これからは馬車を牽く馬として、仲間として騎士団で活躍して貰おう。町全体に響き渡るのでは無いかと思える程の熱狂的な拍手を浴びながら宿に戻った……。
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