召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第二十五話「襲撃開始」

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〈奇襲開始〉

 俺はルナと奇襲をするにあたって、新しい魔物を召喚をする事にした。以前ゲルストナーから貰ったホワイトウルフの頭骨を使って、ホワイトウルフを三匹召喚する事にした。魔物に関する本で読んだが、狼系の魔物は団結力が強く、基本的には集団で狩りをするらしい。狼が三匹も居れば奇襲の際の大きな戦力となるだろう。俺は久しぶりの召喚を試みた。

「幻魔獣の召喚士、サシャ・ボリンガーの名によって召喚する……ホワイトウルフ・召喚!」

 地面に置いた召喚書からは三匹の中型のホワイトウルフが姿を現した。ある程度召喚に慣れてきたせいか、召喚によって生まれる魔物が、比較的強い状態で生まれている様な気がする。三匹のホワイトウルフは俺に近寄って頭を擦り付けた。どうやら俺が主人だという事を理解しているらしい。モフモフした白い体毛を撫でると、狼達は心地良さそうに目を瞑った。

 俺は狼達に武器を与える事にした。前足に装備するタイプの爪が良いだろう。硬い土で作られた爪を想像し、土を放出させて使って装備を作り上げる。硬質化された土の爪を狼達の足に付けると、俺はアースランスを握り締めた。これで準備は整った。あとはキングの合図を待つだけだ。


 アジトの裏側の茂みに身を隠し、合図を待った。すると、アジトの上空には雷雲が集まり始めた。規模はかなり大きく。見張りの塔を破壊するには十分な規模の雷雲だ。その時、雷雲の中からは爆発的な魔力が発生し、一筋の巨大な雷撃が見張り塔に落ちた。

 作戦が始まった。俺はルナとホワイトウルフを連れて、アジトの裏側から奇襲をかけた。
キングのサンダーボルトで盗賊達の大半が正門から飛び出した。キングが待機する正門に向かう盗賊に対し、地面から土の槍を放った。

 硬質化した土の槍が地面から生き物の様に伸び、盗賊の背中貫いた。一撃で心臓を捕らえたのか、盗賊は命を落とした。ルナはサーペントのレイピアを振り下ろし、三日月状の魔力の刃を飛ばした。

 紫色の刃は次々と盗賊を切り裂くと、盗賊達は恐れおののいて逃げ出した。ホワイトウルフが盗賊と取り囲むと、俺はアースランスを投げて盗賊の心臓を貫いた。腰に差しているグラディウスを引き抜き、背の高い髭面の盗賊に切り掛かる。

 盗賊はグラディウスの一撃を剣で受け止めたが、俺は盗賊の足元にアースウォールを作り上げ、盗賊の体を宙に浮かせた。地面から土の槍を伸ばし、盗賊の胸を貫くと、盗賊は一撃で命を落とした。

 ルナは俺を援護するようにウィンドアローを放ち、的確に盗賊を射抜いた。盗賊はルナの魔法の矢に恐れをなして逃げ出したが、キングのサンダーボルトが炸裂し、盗賊の頭上に落ちた。ゲルストナーはキングを守るように盗賊と交戦している。

 大剣を構えた大柄の盗賊が襲い掛かってきた。俺は敵の攻撃をグラディウスで受けると、グラディウスは敵の攻撃に耐えきれずに地面に落ちた。武器を失った俺は、急いで地面に両手を付け、ありったけの魔力を放出した。地面からは無数の土の槍が伸び、大男の体を串刺しにした。まるで拷問器具のアイアンメイデンの様だ。

 ルナはレイピアで次々と盗賊を切り裂くと、全ての盗賊が命を落とした。やはり俺の騎士団は強い。討伐数が一番多いのはルナだ。その次はキングだろうか。幻魔獣の力には毎日驚かされる。

 アジトに入り、村娘達を探す事にした。アジトの中は薄暗くて男臭い。こんな場所に娘達は二週間も囚われているとは気の毒だ。アジトの奥に進むと、大きな鉄の檻を見つけた。檻の中には、ボロの布を体に纏う人間の娘や、猫耳の娘が囚われていた。囚われている娘達は俺を見ると安堵の表情を浮かべた。ギルドカードを見せて身分を証明してから、娘達を開放すると、涙を流しながら俺に抱きついた……。
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