召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第四十話「早朝の訓練と装備制作」

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 今日もクーデルカに体を揺すられて目を覚ますと、俺はクーデルカを連れて朝の訓練に向かった。毎日四時に訓練を行う生活にも慣れてきた。ユニコーンにクーデルカを乗せ、クーデルカを後ろから抱きしめる要領で手綱を握る。

 レイリス町に出て森に入ると、ユニコーンから降りて一時間ほど走り込む。森の中は足場が安定していないから、三十分もしない内に下半身に強い疲労を感じる。これが体力作りになる。魔物との戦闘では体力が重要だ。重い鎧を身に着け、武器を持った状態で自由に動けなければならないからだ。

 それから筋力のトレーニングを二時間ほど行い、全身の筋肉を極限まで鍛えると、体はピクリとも動かなくなる。森に座り込んだまま、魔力を高めるため、剣に魔力を込める。剣の威力を高めるには筋力も重要だが、魔力の方がより重要だ。魔力を込めた剣技は、力任せの攻撃よりも破壊力が高い。三時間ほど運動を続けたからだろうか、体は鉛の様に重く、体内の栄養が枯渇している。

 鞄から乾燥肉とパンを取り出して栄養を摂取した。俺は最近、食事の回数を量を増やす事にしている。ゲルストナー曰く、「高タンパク質の食事を続け、筋肉に負荷を掛け続ければ、筋肉は爆発的に成長する」のだとか。少しでも強い仲間に追いつくために、俺は徹底的に己を鍛える。

「あまり無理しすぎないようにね」
「大丈夫だよ。俺は団長だから、皆を守るために強くならなければならない」
「頼もしいわ。魔術師として、戦闘の時は私が支えてあげる」
「ありがとう、クーデルカ」

 それからアースウォールの魔法を何度か使用し、体内に残っている魔力を全て使い果たした。毎日土の魔法を使っているからだろうか、壁の厚さも大きさも、かなり自由に作れる様になってきた。土の壁以外にも、槍や剣、盾なども作る事が出来る。実際に土で作った装備を使う事は少ないが、造形の練習として毎日様々な形の物を作る事にしている。

 今日は町に戻ったらアイリーンとキングの装備を作る予定だ。アシュトバーン村とフィッツ町の拠点には明日出発する。クーデルカをユニコーンに乗せ、彼女を抱きしめながら、ゆっくりとレイリス町に戻った。

 宿に戻るとルナとアイリーンが部屋で食事をしていた。筋肉を増やすために、俺は彼女達と共に朝食を食べ、今日の予定を伝えるために仲間を集めた。

「皆、今日はアイリーンとキングの装備を作る事にしたよ。場所は昨日装備を購入した武器屋の工房を借りようと思う」
「俺は引き続きアレラ山脈超えについての情報を集めよう。アラスター、手伝ってくれるかな?」
「勿論です」
「ルナはアリスとセシリアと一緒にお留守番をしているね」
「ああ、任せたよ、ルナ」

 俺はキングとアイリーン、クーデルカを連れて武器屋に向かった。クーデルカは魔族の魔装があるから新しい装備は必要ないだろう。しかし、クーデルカにも何か装備を作ってあげたい。彼女にはいつも助けられているからな……。

 武器屋に入ると、店主が駆けつけてきた。どうやら奴隷市での出来事を聞いたのか、俺のレベルと称号を知っていた。

「幻魔獣の召喚士様! また私の店に来て貰えて光栄です」
「こんにちは。実は今日はお願いがあるのですが」
「私に出来る事なら何でもお手伝いします!」
「実は装備を作ろうと思いまして。それで工房を貸して頂けないか相談に来たのですが」
「工房をお貸しする事は構いませんが、装備の製作は召喚士様には難しいと思いますが……」

 俺はギルドカードを取り出し、クラフトの魔法とエンチャントの魔法を使える事を証明した。自分自身の技能がギルドカードに表示されているのは便利だ。

「造形の魔法、クラフトとエンチャントが使えるんですね。わかりました、それでは工房をお貸ししましょう。自由に使って下さい。私に出来る事があるなら何でも手伝います」
「ありがとうございます!」

 それから俺は店主と相談して、キングとアイリーンの装備について話し合った。キングには魔力を高めるための装備を、アイリーンには敏捷性を高める装備を作る事にした。素材には白銀のインゴットを使う。

「私がインゴットを溶かすので、召喚士様が装備を作り上げて下さい。液体状に溶けた金属にクラフトの魔法を掛けて形を作り、エンチャントでマジックアイテム化すれば良いでしょう」
「わかりました。それではお願いします」
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