召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第五十話「故郷への帰還」

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「サシャ。こっちは準備出来たわ。どうかしら? クリスタルの新しい装備」

 クリスタルは魔術師が被るような白い帽子とローブを着ている。革製のブーツとガントレット、手にはアースワンドを持っている。見習いの召喚士にしては十分な装備だろう。俺がリーシャ村を出た時はガントレットとショートソードしか持っていなかったからな。

「師匠! 私の装備、似合いますか?」
「うん。よく似合っているよ」
「装備まで買って下さって、ありがとうございます! お金はいつか返しますね」
「気にしなくて良いんだよ。仲間のための装備を買うのも団長の仕事だからね」
「仲間……ですか。嬉しいです、師匠!」
「それじゃ早速出発しようか」

 出発の前にミノタウロスと町長に挨拶をし、町の外で待っていた貰ったワイバーンに飛び乗った。ワイバーンはクリスタルをじっと見つめると、小さく頭を下げた。自分が認めた相手以外は背中に乗せたくないのだろう。

 ワイバーンは一気に上空に飛び上がると、リーシャ村に向けて飛んだ。懐かしい街道を見下ろしながら飛び続けると、直ぐにリーシャ村に到着した。やはりワイバーンでの移動は時間の短縮になる。リーシャ村の上空を飛ぶと、サイモンおじさんが店から飛び出した。

「サシャか! みんな、サシャが戻って来たぞ!」

 サイモンおじさんが大声で叫ぶと、俺はワイバーンの背中から飛び降りた。村人達は俺を歓迎してくれたが、やはりワイバーンが恐ろしいのだろう、誰もワイバーンに近づこうとはしない。母が家から出てくると、大粒の涙を流しながら俺を抱きしめた。抱擁を交わし、母は俺の頬に接吻の雨を降らせた。

「サシャ……随分早く戻ってきたのね。それに、こんなに逞しくなって……」
「近くに用事が出来たから戻ってきたんだよ。母さんも元気そうで良かった!」
「ええ。私はいつも元気よ。立ち話もなんだから、家に入って話しましょう」

 サイモンおじさんを家に招くと、母は紅茶を入れて俺達をもてなしてくれた。お土産を渡してから、冒険の話を始めた。

 キングとの出会いや、卵からルナを孵化させた事。騎士団を結成してフィッツ町を配下に入れた事。盗賊達のアジトに乗り込んで村娘を助け出した事や、新しい弟子が出来た事など。二人は開いた口が塞がらないと言った様子で、静かに俺の話を聞いていた。サイモンおじさんは俺の肩を叩き、「父よりも偉大な冒険者になったな」と褒めてくれた。

「フィッツ町を配下に入れたという噂はこの村でも流れていたわ。だけど、アシュトバーン村まで自分の配下に入れるなんて。サシャはもう偉大な冒険者になるという夢を叶えたのかしら」
「まだまだだよ。俺はこの大陸で最強の冒険者になる。それから俺は新しい目標を見つけたんだ。召喚獣と人間が共存出来る村を作る。それから奴隷制度を崩壊させる。これが俺の今の目標なんだ」
「村を作る? 信じられない様な話だけど、サシャならきっと上手くやれると思うわ。このまま突き進みなさい。自分が正しいと思う道を歩み、他人を助けながら最高の冒険者を目指しなさい」
「ああ。そのつもりだよ。俺は最高の結果を得るまで満足しない。この大陸に俺達騎士団の村を作った時、また戻ってくるよ」
「楽しみに待っているわ」

 それから暫くの間、俺達は家でくつろぎ、再びレイリス町に戻る事にした。俺の帰りを待つ仲間達が居るからだ。アイリーンにゲルストナー、キングにユニコーン。俺達の帰りを待ちながら、アレラ山脈を越える方法を探してくれているのだろう。

「母さん、サイモンおじさん、俺はそろそろ戻るよ」
「気をつけるのよ」
「元気でな、サシャ。今度は一緒に酒を飲もう」
「うん、それじゃまたね」
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