召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第二章「王国を目指して」

第五十九話「ブラックドラゴン討伐のために」

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 今日から俺達はアレラ山脈を目指して旅を再開する。宿を出ると、騎士団の出発を祝福してくれる住人や冒険者などが集まっていた。集まってくれた人達にブラックドラゴン討伐を誓うと、町には熱狂的な歓声が沸き起こった。

 ユニコーンの馬車に乗り込んで町を出た。レイリス町を出て森林地帯を進む。御者席には俺とクリスタルが座っている。クリスタルは移動の最中も魔法の練習をしているみたいだ。宙に魔法の盾を浮かべ、魔力を使い続けている。魔力は使えば使うほど強くなる。己を鍛えるには、まず魔力を鍛える事が重要だ。魔力が高ければ魔法の威力も剣の威力も上がる。魔力の高さが冒険者としての身分の証明だ。

「師匠、マジックシールドの魔法にもかなり慣れてきました!」
「いつも頑張っているね。俺も抜かされないように努力しなければならないね」
「私が師匠を抜くなんて不可能ですよ。まだ一度も魔物を召喚した事もないんですから……」
「魔物を召喚するのは、アルテミス王国に着いたらにしようか。ブラックドラゴンとの戦いに、生まればかりの魔物を参加させる訳にはいかないからね」
「しょうがないんですよね」
「ああ。魔物の召喚はもうしばらく待ってくれるかな」

 クリスタルは毎日努力を続け、魔法の盾の防御力は日に日に強くなりつつある。いつか俺のアースウォールを超える防御魔法を編み出すのが目標なのだとか。俺も負けられないな……魔法の練習は順調だが、剣の技術はルナやアイリーンに劣る。一撃の攻撃力なら、俺とワイバーンの連携魔法、メテオがパーティーで最高の破壊力を持つが、俺が単体で強くなる必要がある。

 常にワイバーンと協力して戦えるのなら良いが、メテオは室内では使用出来ない。開けた場所でのみ使用出来る魔法だ。使い道も限られている。俺自身が更に強くなるには、グラディウスとクリスを使った戦い方を自分の技術として定着させる必要がある。

 それから土のエンチャントも練習しなければならない。剣に掛けた土の属性のエンチャントに、どれ程までの攻撃力があるか確かめておく必要もあるだろう。旅の間にキングと打ち合って練習する事にしよう。

 今、騎士団のメンバーで一番剣術の実力が近いのはキングだ。アイリーンとルナは強すぎて俺の練習相手にはならない。実力はアイリーンよりもルナの方が若干上だろう。奇襲に関してはアイリーンの方が得意みたいだ。馬車での移動中に魔物が現れれば、アイリーンが瞬時に槍を投げて駆逐する。誰よりも魔物の襲撃に敏感で、攻撃の速度も抜群に早い。

 今日も馬車での移動を終え、夜の訓練を行う事にした。クリスタルはゲルストナーと共に魔法の練習をしている。訓練の内容はクリスタルが作ったマジックシールドにゲルストナーが攻撃をする。クリスタルはゲルストナーの攻撃を防ぎつつ、反撃をするという内容だ。

 俺とキングはひたすら剣で打ち合いをしている。キングが使うハックやスラッシュは基本的な剣技だが、なかなか鋭い攻撃だ。剣の速度は力と魔力の強さによって変わる。キングはメイスを使って俺に攻撃を放ち、俺は土のエンチャントを掛けた剣でキングの攻撃を防いでいる。グラディウスとクリスの二刀流にも慣れてきたが、やはりエンチャントを掛けたまま戦うのは、魔力の消費が多すぎる。自分自身の魔力不足を実感する。

 暫く稽古を続けていると、ワイバーンが獲物を捕まえて戻ってきた。どうやら羊の群れを見つけたらしい、口に羊を咥えたまま地面に着地すると、ワイバーンは自慢げに羊を置いた。ワイバーンの頭を撫でて褒めると、彼は嬉しそうに俺の顔を舐めた……。
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