召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第二章「王国を目指して」

第七十六話「ルナとアイリーンの稽古」

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 俺とクリスタルはアースウォールの練習を終えて土の家の中に入った。ルナの隣に座ると、ルナは俺に料理を渡してくれた。料理を頂きながら、葡萄酒を一杯飲む。やはり仲間と過ごす夜の時間は幸せだ。訓練がどれだけ辛くても、仲間の笑顔を見れば更に努力をしようと思える。

「師匠、アースウォールの魔法って楽しいですね! 私も早く土の家を作りたいです!」
「そうだね。きっとすぐに土の家を作れるようになると思うよ」
「それなら良いんですけど、魔力の消費が激しいので、あまり長時間練習出来ませんね」
「確かにね。あまり無理をせずに頑張るんだよ」
「はい! 時間を掛けて学ぶつもりです」

 クリスタルは良い弟子だ。俺のアドバイスをよく聞き、真剣に魔法の練習の取り組む。早く魔物を召喚させてあげたいが、王国に着いて生活が落ち着くまでは、新たな仲間を増やす事は出来ない。

 ゲルストナーはゴブレットに注いだ葡萄酒を豪快に飲みながら、剣の手入れをしている。お酒と武器が似合う大人の男だ。俺も彼の様な大人になりたいと思っている。

「ゲルストナーはいつから戦士をしていたんだい?」
「俺が剣を持ったのは十二の頃だったかな。戦士だった父から剣の手ほどきを受けて、十五の時に冒険者になった。それから戦士として戦い続けた。魔法動物の店を開くまでは、クエストを受けて生計を立てていたよ」
「そうだったんだね。ゲルストナーの戦士時代か……きっと今よりも強かったんだろうね」
「若かったからな。力は若い頃の方が強かったが、魔力なら今の俺の方が上だ」

 ゲルストナーは最近、毎朝剣の稽古と筋力のトレーニングを行っている。冒険者時代の体を取り戻すと言っているが、ゲルストナーは今でも素晴らしい肉体を持っている。俺も冒険の旅に出てから毎日鍛えているが、やはりゲルストナーの肉体には敵わない。

「アイリーン。食後の運動をしよう!」
「わかったの」

 ルナは夕飯を食べ終えると、アイリーンを誘った。剣の稽古を始めるのだろうか。騎士団でまともにルナの剣を受けられるのはアイリーンしか居ないからな。一撃の剣の威力では俺の方が勝るだろうが、ルナの高速の剣は俺の技術では防げない。生まれ持った才能が違うのだろう。そもそも、ルナは人間ではなくハーピーだからな。

 ルナとアイリーンの激しすぎる打ち合いを家の中から眺める。ルナはレイピアでの突きを放つが、アイリーンはルナの剣を槍で受け流すと、すぐに突きを放って反撃する。人間を凌駕する身体能力を持っているのだろうか、アイリーンはルナの剣をいとも簡単に回避し、瞬時に槍での強烈な突きを放つ。ルナはアイリーンの攻撃が避けられないと思ったのか、翼を開いて上空に飛び上がると、アイリーンは悔しそうにルナを見つめた。

 流石のアイリーンも、空を飛ぶ相手には攻撃する手段が無いのだろう。魔物との戦闘では、極稀に槍を投げる事もあるが、訓練では威力が高すぎて使えない。ルナは上空から次々と風の刃を飛ばすと、アイリーンはルナの魔法を切り裂いた。戦いのレベルがあまりにも高すぎる……。
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