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第四章「騎士団編」
第百四十九話「森でのひととき」
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久しぶりにアレラ山脈方面にユニコーンを走らせる。アルテミス王国を出ると豊かな森林地帯が広がっており、朝の冷たい風が頬を撫でる。最近は海賊船の中で暮らしたり、城の中に居る時間が長かったから、たまには自然に触れるのもいい気分だ。それに、シルフやシャーロットに外の世界を見せてあげたい。
「サシャ、森って気持ち良いね!」
「ああ。俺は自然に囲まれた村で生まれたから、都会よりも森の中の方が落ち着くよ」
「そうね。空気も美味しいし。朝の森は涼しくて気持ちがいいわ」
シャーロットの髪には朝日が当たり、何とも言えない美しさを醸し出している。今日はシャーロットのための買い物もしなければならない。彼女だけ自分の服も装備も持っていないからな。今の装備はルナのお下がりだし、普段着ている服はクーデルカの物だ。
「シャーロットはどんな魔法が使えるの?」
「私が使う魔法は相手を確実に死に至らしめる魔法よ」
子供相手には少し重い内容だな。だが、的確な説明だ。シャーロットの魔法は抜群の威力を誇り、一撃で相手の命を奪うだろう。生まれたその日に俺と共に魔王を討伐したのだから……。シャーロットを召喚するために、俺の魔力とデュラハンの魔力、それにヘルフリートの魔力を込めて召喚したからか、強力な魔法を使いこなせる状態で生まれた。
「そうなんだ! 今度見てみたいな!」
「今度見せてあげるわ」
シャーロットはエミリアの頭を撫で、柔和な表情を浮かべている。シャーロットは既にエミリアと打ち解けた様だ。シャーロットもシルフもエミリアの友達になって貰おう。これからは一緒に居る時間も増えるのだから……。
エミリアに魔法を教えている間も、シルフとシャーロットは共に行動してもらおう。俺の魔法に対する考え、使い方をシルフとシャーロットにも知ってもらう必要がある。シルフとは海賊船での移動中に共に鍛錬を重ねた仲だが、シャーロットはまだ俺の戦い方もあまり知らない。
今のままでは急に敵に襲われたり、戦う必要が来た時に不便だからな。何より、シャーロットとは一緒に居る時間が足りないような気がするし、もっと彼女の事を知りたい。
しばらくユニコーンを走らせると、森が開けて小川が流れている場所を見つけた。見た事もない果実が実る木が生い茂り、小動物が気持ち良さそうにうたた寝をしている。心地良い魔力がこの場所に流れている。ここはまだ冒険者に開拓されていない綺麗な土地の様だ。綺麗な森の中でも、野営をするために木を切り、ゴミを捨てる者も多い。
「サシャ、この場所は落ち着くわね」
「そうだね、ここで休もうか」
俺達はしばらくこの場所に滞在する事にした。ユニコーンからエミリアとシャーロットを降ろすと、エミリアは嬉しそうに草の上に寝転んだ。ユニコーンは自慢の角で果実のなる木を突いて実を取ろうとしている。シルフは俺の肩の上から飛び立つと、木に実る赤色の果実を取って地面に落とした。
「サシャ、あれはシュルスクっていうのよ。お父様が好きな果実で、中を割ると小さな種が入っているんだけど、その種をすり潰すと魔力を回復させる薬になるんだって」
陛下が好んで食べる果実か。いくつか獲って城に帰る事にしよう。果実は手の平に収まる大きさで、甘酸っぱい匂いがする果実をシルフに二十個ばかり取ってもらった。俺はシルフから受け取ったシュルスクをマジックバッグの中に仕舞った。城に料理人に頼んで今日のデザートにして貰おうか。俺はエミリアが持ってきた箱を降ろすと、エミリアは嬉しそうに箱を開けた。中には見た事もない不思議な食べ物が入っていた。
「エミリア、これは何だい?」
「これはサンドイッチと言う食べ物で、パンに野菜や肉を挟んで作った物なのよ。私は朝にこれを食べるのが好きなの」
俺達はエミリアからサンドイッチなる食べ物を受け取って食べてみた。
「サシャ! パンの中に肉が入っているよ!」
「美味しいわ!」
シルフもシャーロットも喜んで食べている。エミリアが持ってきた箱にはサンドイッチ以外にも冷たい紅茶を詰めたビンが入っていた。エミリアはビンから紅茶用のカップに移して仲間に配った。俺は大きく口を開けてサンドイッチをかじると、パンの豊かな風味が広がった後に、鶏肉の香ばしい味を感じた。パンの間には鶏肉とレタスとチーズが入っており、一度に複数の食材を頂ける料理なのだとか。
「美味しいね! エミリア、サンドイッチって簡単に作れるのかな」
「勿論よ! 今度私が作ってあげる。そうだ、今日手に入れたシュルスクをジャムにしてサンドイッチに入れても美味しいかもしれない!」
エミリアは随分家庭的なんだな。俺の仲間には居なかったタイプの女性だ。一番性格が近いのはゲルストナーだろうか。ルナやクーデルカは基本的に料理をする事は無い。俺達が旅をしている時は、アイリーンとクリスタルが採ってきた獲物をゲルストナーが料理する。ルナやクーデルカは基本的には何もしないか、魔法の練習や剣術の練習をしながら料理の完成を待っている。
エミリアが注いだ紅茶を飲むと、口の中に清涼感のあるミントの香りが広がった。渋みがありながらも、すっきりとしたミントの風味が何とも言えず、味わい深い。
「これは私が一番好きな紅茶なの。何が入ってるかは知らないけど幼い頃から飲んでいるのよ」
王国から運んできたにも関わらず、ビンの中に入れられた紅茶やサンドイッチは冷えたままだった。俺は箱を調べてみると、箱自体が中に入っている物を冷やす魔法が掛けられている様だった。これは食べ物を長期保存するためだろうか? 世の中にはこんなに便利な物があったのか……。
そうだ、この機会にエミリアの魔法の授業の話をしよう。俺はまずエミリアに炎か雷の属性を選ばせる事にした。
「サシャ、森って気持ち良いね!」
「ああ。俺は自然に囲まれた村で生まれたから、都会よりも森の中の方が落ち着くよ」
「そうね。空気も美味しいし。朝の森は涼しくて気持ちがいいわ」
シャーロットの髪には朝日が当たり、何とも言えない美しさを醸し出している。今日はシャーロットのための買い物もしなければならない。彼女だけ自分の服も装備も持っていないからな。今の装備はルナのお下がりだし、普段着ている服はクーデルカの物だ。
「シャーロットはどんな魔法が使えるの?」
「私が使う魔法は相手を確実に死に至らしめる魔法よ」
子供相手には少し重い内容だな。だが、的確な説明だ。シャーロットの魔法は抜群の威力を誇り、一撃で相手の命を奪うだろう。生まれたその日に俺と共に魔王を討伐したのだから……。シャーロットを召喚するために、俺の魔力とデュラハンの魔力、それにヘルフリートの魔力を込めて召喚したからか、強力な魔法を使いこなせる状態で生まれた。
「そうなんだ! 今度見てみたいな!」
「今度見せてあげるわ」
シャーロットはエミリアの頭を撫で、柔和な表情を浮かべている。シャーロットは既にエミリアと打ち解けた様だ。シャーロットもシルフもエミリアの友達になって貰おう。これからは一緒に居る時間も増えるのだから……。
エミリアに魔法を教えている間も、シルフとシャーロットは共に行動してもらおう。俺の魔法に対する考え、使い方をシルフとシャーロットにも知ってもらう必要がある。シルフとは海賊船での移動中に共に鍛錬を重ねた仲だが、シャーロットはまだ俺の戦い方もあまり知らない。
今のままでは急に敵に襲われたり、戦う必要が来た時に不便だからな。何より、シャーロットとは一緒に居る時間が足りないような気がするし、もっと彼女の事を知りたい。
しばらくユニコーンを走らせると、森が開けて小川が流れている場所を見つけた。見た事もない果実が実る木が生い茂り、小動物が気持ち良さそうにうたた寝をしている。心地良い魔力がこの場所に流れている。ここはまだ冒険者に開拓されていない綺麗な土地の様だ。綺麗な森の中でも、野営をするために木を切り、ゴミを捨てる者も多い。
「サシャ、この場所は落ち着くわね」
「そうだね、ここで休もうか」
俺達はしばらくこの場所に滞在する事にした。ユニコーンからエミリアとシャーロットを降ろすと、エミリアは嬉しそうに草の上に寝転んだ。ユニコーンは自慢の角で果実のなる木を突いて実を取ろうとしている。シルフは俺の肩の上から飛び立つと、木に実る赤色の果実を取って地面に落とした。
「サシャ、あれはシュルスクっていうのよ。お父様が好きな果実で、中を割ると小さな種が入っているんだけど、その種をすり潰すと魔力を回復させる薬になるんだって」
陛下が好んで食べる果実か。いくつか獲って城に帰る事にしよう。果実は手の平に収まる大きさで、甘酸っぱい匂いがする果実をシルフに二十個ばかり取ってもらった。俺はシルフから受け取ったシュルスクをマジックバッグの中に仕舞った。城に料理人に頼んで今日のデザートにして貰おうか。俺はエミリアが持ってきた箱を降ろすと、エミリアは嬉しそうに箱を開けた。中には見た事もない不思議な食べ物が入っていた。
「エミリア、これは何だい?」
「これはサンドイッチと言う食べ物で、パンに野菜や肉を挟んで作った物なのよ。私は朝にこれを食べるのが好きなの」
俺達はエミリアからサンドイッチなる食べ物を受け取って食べてみた。
「サシャ! パンの中に肉が入っているよ!」
「美味しいわ!」
シルフもシャーロットも喜んで食べている。エミリアが持ってきた箱にはサンドイッチ以外にも冷たい紅茶を詰めたビンが入っていた。エミリアはビンから紅茶用のカップに移して仲間に配った。俺は大きく口を開けてサンドイッチをかじると、パンの豊かな風味が広がった後に、鶏肉の香ばしい味を感じた。パンの間には鶏肉とレタスとチーズが入っており、一度に複数の食材を頂ける料理なのだとか。
「美味しいね! エミリア、サンドイッチって簡単に作れるのかな」
「勿論よ! 今度私が作ってあげる。そうだ、今日手に入れたシュルスクをジャムにしてサンドイッチに入れても美味しいかもしれない!」
エミリアは随分家庭的なんだな。俺の仲間には居なかったタイプの女性だ。一番性格が近いのはゲルストナーだろうか。ルナやクーデルカは基本的に料理をする事は無い。俺達が旅をしている時は、アイリーンとクリスタルが採ってきた獲物をゲルストナーが料理する。ルナやクーデルカは基本的には何もしないか、魔法の練習や剣術の練習をしながら料理の完成を待っている。
エミリアが注いだ紅茶を飲むと、口の中に清涼感のあるミントの香りが広がった。渋みがありながらも、すっきりとしたミントの風味が何とも言えず、味わい深い。
「これは私が一番好きな紅茶なの。何が入ってるかは知らないけど幼い頃から飲んでいるのよ」
王国から運んできたにも関わらず、ビンの中に入れられた紅茶やサンドイッチは冷えたままだった。俺は箱を調べてみると、箱自体が中に入っている物を冷やす魔法が掛けられている様だった。これは食べ物を長期保存するためだろうか? 世の中にはこんなに便利な物があったのか……。
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