召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

文字の大きさ
180 / 188
第四章「騎士団編」

第百七十九話「王女の魔法」

しおりを挟む
〈翌朝〉

 今日からはルナ、クーデルカ、アイリーンと共に行動する。俺はシルフとシャーロットを部屋に置いて、エミリアを迎えに行く事にした。

「エミリア様の魔法授業、サシャがどんな魔法を使うのか楽しみなの。サシャは魔王を倒してから随分強くなったの」
「俺が強くなったのはヘルフリートのお陰かな。海賊船での移動期間で基礎から剣術を教わったんだよ」
「もうあたしではサシャには勝てないの……」
「それはどうか分からないよ。アイリーンだって魔王軍と戦い続けていたじゃないか。アイリーンの戦い方に憧れて槍で戦う兵士が増えたって話をこの前聞いたよ」

 俺は以前、城の兵士からアイリーンに関する噂を聞いた。俺は王国に戻ってきてから、仲間の活躍が知りたくて兵士相手に話を聞いて回った事があるからな……。

「知らなかったの……」

 少しだけ恥ずかしそうにしながら尻尾を体に巻き付けている。俺達は三階に上がってエミリアを迎えに行った。

「サシャ、今日はシルフとシャーロットは一緒じゃないのね……?」

 エミリアは少しだけ残念そうにして雷撃の盾を握っている。なぜ今盾を持つ必要があるかは分からないが、俺が盾を作ってあげてからは肌身離さず持ち続けている様だ。

「その代りに今日は違う仲間が一緒だよ」
「聖戦士様が二人に大魔術師様が一人! 楽しみだわ!」

 クーデルカを今日連れてきたのは正解だったかもしれない。エミリアには色々な魔法を見て貰いたいからな。

「それじゃ早速行こうか」

 俺はフランシスとオーガを迎えに行ってから城を出た。フランシスとオーガはエイブラハムの助手をしてもらうからだ。ちなみにエイブラハムは本拠地が完成するまで本拠地の土の家に滞在するらしい。城を出ると既にワイバーンとドラゴン達が待機していた。

「フランシスはオーガと一緒にレッドドラゴンに乗ってくれ」

 俺はエミリアと一緒にワイバーンに乗り、ルナとクーデルカ、それからアイリーンはブラックドラゴンに乗った。

「それじゃ早速本拠地に向かうよ!」

 俺達は今日も本拠地に向けてワイバーンを飛ばした。

「サシャ、授業が終わったらどうするつもり?」

 今日はレイリス町で奴隷をありったけ買わなければならない。

「今日は奴隷を買いに行くよ。買った奴隷を解放して俺達の町作りを手伝ってもらおうかと思ってさ」
「奴隷解放に町作り……どんな町になるんだろう!」

 エミリアは俺と同じくらい新しい町の完成を楽しみにしている。果たして町の完成とは何をもって完成なのかは分からないが、市民が不自由なく生活出来る環境を作り上げれば完成なのだろうか?

 まぁ、難しく考えるより今はひたすら行動だ。行動して失敗すれば目標を再度設定して行動をすればいい。金がある限り、町作りが失敗する事は無いとは思うが……。俺は朝から必要のない事をワイバーンの背中の上で考えていると本拠地に到着した。エイブラハムは朝から土の家の前で何やら作業をしている様だ。俺達がエイブラハムの近くに降りるとすぐに駆け寄ってきた。

「サシャ! ここで一晩過ごしてみたが意外と寂しいものだな。早く仲間を増やしてくれんか?」
「ああ、寂しい思いをさせてごめん。計画通りなら今日、大量の奴隷が仲間になるよ」
「そいつは楽しみだな! 一緒に酒が飲める仲間が欲しいわい!」

 エイブラハムは朝から元気だな。レイリス町でエイブラハムのために酒でも買って帰るとしよう。俺はエイブラハムに今日の予定を伝えた後、早速エミリアの授業を始める事にした。

「サシャ、授業の間、私達は何をしていたら良い?」

 そう言ったのはルナだった。オーガはエイブラハムと共に作業を始めた様だ。フランシスにはエミリアの授業と並行して剣術を教えよう。城の兵士にも剣術を教える約束をしているが、エミリアの授業中にフランシスを鍛える事が出来れば時間の短縮になるからな。

「そうだね、それなら……クーデルカは俺と一緒にエミリアと魔法の授業をしようか。ルナとアイリーンはフランシスに戦い方の基礎を教えてくれないかな?」
「わかったの! フランシス! 斧を持つの!」

 アイリーンは朝からやる気満々だな。フランシスは昨日俺が作った斧で戦い方の練習をするつもりらしい。アイリーンが俺の代わりに鍛えてくれるならそれでも良いだろう。俺は早速エミリアの授業を始める事にした。

「エミリア! ファイアショットを見せてくれるかな?」

 まずは復習からだ。エミリアは俺が昨日、木を切っている間にひたすらファイアショットを練習していたらしい。

「分かったわ! 見ていてね!」

 そう言って彼女は右手で杖を構えた。杖に魔力を集中させると、杖の先端が激しく燃え出した。炎は瞬く間に球状に変わり、杖から少し離れた位置で宙に浮いている。エミリアは既に球状に作り上げた炎の球を完璧に制御出来るようになったらしい。

『ファイアショット!』

 エミリアが宙に作り上げた炎の球を土の壁に目がけて放つと、球はかなりの速度で土の壁に激突し、心地の良い破裂音を立てて消滅した。エミリアのファイアショットは完璧だった。速度、威力、炎の球を生成するまでの時間。ファイアショットはファイアボールとは違い、瞬時に炎の球を作り出して飛ばす魔法だ。

 この魔法は、時間を掛けずに魔法を放つ事が大切だ。反対にファイアボールは多少時間が掛かっても威力が高ければ良い。威力の高い炎の球と、威力は低いが発射速度の早い炎の球の攻撃を使い分けられるようになって、初めて初級卒業という感じだろうか。時間が有る時に『火と炎の魔術・初級』を読んで、俺自身が更に魔法を覚える必要がありそうだな……。

「クーデルカ、今の魔法をどう思う?」

 俺はクーデルカの意見を聞いてみる事にした。

「威力は低いけど、なかなかの速さね。魔法の制御もかなり上手。流石サシャの弟子と言ったところかしら?」

 エミリアはクーデルカに威力が低いと言われた事を少しだけ気にしている様だ。当たり前の事だが、強力な氷の魔法を自由に操るクーデルカの魔法と比較すると、エミリアの魔法はかなり威力が低い。

 エミリアのファイアショットは、敵がスケルトンや低級な魔獣相手なら倒せるとは思うが、戦いに慣れている者や高度な知能を持つ魔物には通用しないような単純すぎる魔法だ。更に威力の高いファイアボールを教えるとしよう。

「エミリア、今の魔法はかなり良かったよ。沢山練習したんだね!」

 俺がエミリアを励ますと、満面の笑みを浮かべて喜んだ。

「そうよ、毎日練習しているんだから! 暇な時は常にファイアを作り出しているわ」

 偉いな。昔のクリスタルを思い出す。俺は次にファイアボールを教える事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...