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第四章「騎士団編」
第百八十一話「レイリス町」
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俺は城から金貨の詰まった宝箱を運び出してワイバーンの鞍に固定した。出発の前にキング達には帰りが遅くなるかもしれない事を伝えておいた。ワイバーンには俺とルナが乗り、ブラックドラゴンにはゲルストナーが、レッドドラゴンにはクーデルカとアイリーンが乗った。
アルテミス王国とレイリス町の距離は近く、以前はアレラ山脈内のダンジョンの中を抜けてアルテミス王国まで移動したが、今回は上空からアレラ山脈を越えてレイリス町に向かう事にした。今の俺達ならブラックドラゴンの群れに襲われたとしても絶対に負けないと思ったからだ。
いざとなればガーディアンも作り出す事が出来るし、メテオストームを使えば何とかなるだろう。それに、高度な知能を持つブラックドラゴンが、ワイバーンやドラゴンが二体も同時に居る状況で、わざわざ襲い掛かってきたりはしないだろう。
「サシャ。久しぶりのレイリス町だよね。私、奴隷市には初めて行くよ。前はサシャが連れて行ってくれなかったからね」
前回奴隷市に行った時は、幼いルナには危険だと思って俺とクーデルカの二人で行った。今回は奴隷商と徹底的にやり合う。値段を下げさせるためには強力な仲間は多ければ多い方が良い。俺は奴隷商相手には手段を選ばないつもりだ。勿論、力づくで奪うような事はしない。相手も仕事で奴隷を販売している訳だから、相手に損をさせると逆恨みされるかもしれないからな。
奴隷の販売を許す事は出来ないが、俺が一度に大量に奴隷を買うと言えば奴隷商は値段を下げてくれるのではないだろうか。俺は考え事をしながらワイバーンを飛ばすと、すぐにレイリス町に到着した。幸い、ブラックドラゴンの姿も見当たらず、空の移動は快適だった。やはり、山脈内のダンジョンを抜けるより遥かに楽だな……。
さて、今日はここからが本番だ。俺は自分の存在をアピールするためにも、しばらく町の上空を旋回した後、町の中心にワイバーンを降ろした。一度にワイバーンとブラックドラゴン、それからレッドドラゴンが町に降り立ったからか、町に滞在していた冒険者は敵襲だと勘違いして武器を構える者も居たが、俺達が背中から降りると安心して武器を納めた。武器を抜いたところでワイバーンに敵う冒険者はこの町には居ないとは思うが……。
「皆、早速奴隷市に行こうか」
俺達は早速奴隷市に向かう事にした。もう二度と来ることは無いと思っていたが、またこの町の奴隷市に来る事になるとは。確か以前来た時は、「闘技会」と称して奴隷同士で戦わせていた。自分の所の奴隷が強い事を証明するためだったらしいが、奴隷商達も観客も、どちらの奴隷が勝つか金を掛けて楽しそうに観戦していた。俺はその闘技会で弱い方の奴隷に大金を掛け、イカサマをして勝負に勝った。
「サシャ、そろそろ着くわね」
「そうだね、ここも久しぶりだな。また来る事になると思わなかったよ……」
「そうね、随分と久しぶりに来たような気がするわ」
レイリス町の裏路地を進むと、俺達は忌々しい奴隷市に到着した。奴隷市に入ると、そこには奴隷を買い求める人で溢れていた。奴隷を買いに来た人に対して、奴隷商は気味の悪い笑みを浮かべて値段の相談をしている。早速、俺達も奴隷を見てみる事にした。
ざっと確認してみると、奴隷市には十人ほどの奴隷商が居た。奴隷の値段は五千ゴールド、高くても一万ゴールドだった。特に容姿が優れた女性は二万ゴールド以上の値段が付く者も居た。どの奴隷達もみすぼらしい恰好をしていて、中には服すら着ていない者も居た。高く売れる奴隷には高価な服を着させて、安くしか売れないような奴隷には服すら与えない。
人間としての尊厳すらない、物の様な扱い方だ。俺はこの空間の全てが気に入らない。奴隷商や奴隷を買う人間、全てだ。俺は怒りを抑えながらも、ゲルストナーの意見を参考にしながら、健康状態の良い奴隷を探す事にした。
「ゲルストナー、健康で働けそうな奴隷を選んでくれないか? 奴隷商との値段の交渉は俺がするよ」
「ああ、任せておけ」
こんな時にはゲルストナーの育成士としての経験が大いに役に立つ。彼は奴隷をじっくり見て、触りながら健康状態を確認し始めた。一番最初に選んだのは三十代程の男性だった。ゲルストナーが健康状態を調べている間も、人生を諦めたかのような目で地面を見続けていた。俺はこの奴隷の素性を奴隷商から聞く事にした。
「奴隷商よ。この奴隷の素性を教えてくれないか?」
「旦那様! この者は戦争捕虜ですよ。武器を持たせてダンジョンに放り込むのも良し、鉱山送りにして金を稼がせるのも良いかもしれませんね。病気もなく、犯罪歴もありません」
奴隷を買う者の中には、買った奴隷にダンジョンの攻略をさせる者も居るのだろうか。えげつないな……。しかし、戦争捕虜か。戦争で負けて捕虜になって、奴隷商が安く買い取ったというところだろうか。奴隷の首には値札がさがってる。値段は一万ゴールド。五千ゴールドの奴隷も居るのにこの奴隷は一万ゴールドか、かなり高いのではないだろうか。俺は奴隷に対して町作りをする意思が有るか確認してから、値段の交渉をする事にした。
アルテミス王国とレイリス町の距離は近く、以前はアレラ山脈内のダンジョンの中を抜けてアルテミス王国まで移動したが、今回は上空からアレラ山脈を越えてレイリス町に向かう事にした。今の俺達ならブラックドラゴンの群れに襲われたとしても絶対に負けないと思ったからだ。
いざとなればガーディアンも作り出す事が出来るし、メテオストームを使えば何とかなるだろう。それに、高度な知能を持つブラックドラゴンが、ワイバーンやドラゴンが二体も同時に居る状況で、わざわざ襲い掛かってきたりはしないだろう。
「サシャ。久しぶりのレイリス町だよね。私、奴隷市には初めて行くよ。前はサシャが連れて行ってくれなかったからね」
前回奴隷市に行った時は、幼いルナには危険だと思って俺とクーデルカの二人で行った。今回は奴隷商と徹底的にやり合う。値段を下げさせるためには強力な仲間は多ければ多い方が良い。俺は奴隷商相手には手段を選ばないつもりだ。勿論、力づくで奪うような事はしない。相手も仕事で奴隷を販売している訳だから、相手に損をさせると逆恨みされるかもしれないからな。
奴隷の販売を許す事は出来ないが、俺が一度に大量に奴隷を買うと言えば奴隷商は値段を下げてくれるのではないだろうか。俺は考え事をしながらワイバーンを飛ばすと、すぐにレイリス町に到着した。幸い、ブラックドラゴンの姿も見当たらず、空の移動は快適だった。やはり、山脈内のダンジョンを抜けるより遥かに楽だな……。
さて、今日はここからが本番だ。俺は自分の存在をアピールするためにも、しばらく町の上空を旋回した後、町の中心にワイバーンを降ろした。一度にワイバーンとブラックドラゴン、それからレッドドラゴンが町に降り立ったからか、町に滞在していた冒険者は敵襲だと勘違いして武器を構える者も居たが、俺達が背中から降りると安心して武器を納めた。武器を抜いたところでワイバーンに敵う冒険者はこの町には居ないとは思うが……。
「皆、早速奴隷市に行こうか」
俺達は早速奴隷市に向かう事にした。もう二度と来ることは無いと思っていたが、またこの町の奴隷市に来る事になるとは。確か以前来た時は、「闘技会」と称して奴隷同士で戦わせていた。自分の所の奴隷が強い事を証明するためだったらしいが、奴隷商達も観客も、どちらの奴隷が勝つか金を掛けて楽しそうに観戦していた。俺はその闘技会で弱い方の奴隷に大金を掛け、イカサマをして勝負に勝った。
「サシャ、そろそろ着くわね」
「そうだね、ここも久しぶりだな。また来る事になると思わなかったよ……」
「そうね、随分と久しぶりに来たような気がするわ」
レイリス町の裏路地を進むと、俺達は忌々しい奴隷市に到着した。奴隷市に入ると、そこには奴隷を買い求める人で溢れていた。奴隷を買いに来た人に対して、奴隷商は気味の悪い笑みを浮かべて値段の相談をしている。早速、俺達も奴隷を見てみる事にした。
ざっと確認してみると、奴隷市には十人ほどの奴隷商が居た。奴隷の値段は五千ゴールド、高くても一万ゴールドだった。特に容姿が優れた女性は二万ゴールド以上の値段が付く者も居た。どの奴隷達もみすぼらしい恰好をしていて、中には服すら着ていない者も居た。高く売れる奴隷には高価な服を着させて、安くしか売れないような奴隷には服すら与えない。
人間としての尊厳すらない、物の様な扱い方だ。俺はこの空間の全てが気に入らない。奴隷商や奴隷を買う人間、全てだ。俺は怒りを抑えながらも、ゲルストナーの意見を参考にしながら、健康状態の良い奴隷を探す事にした。
「ゲルストナー、健康で働けそうな奴隷を選んでくれないか? 奴隷商との値段の交渉は俺がするよ」
「ああ、任せておけ」
こんな時にはゲルストナーの育成士としての経験が大いに役に立つ。彼は奴隷をじっくり見て、触りながら健康状態を確認し始めた。一番最初に選んだのは三十代程の男性だった。ゲルストナーが健康状態を調べている間も、人生を諦めたかのような目で地面を見続けていた。俺はこの奴隷の素性を奴隷商から聞く事にした。
「奴隷商よ。この奴隷の素性を教えてくれないか?」
「旦那様! この者は戦争捕虜ですよ。武器を持たせてダンジョンに放り込むのも良し、鉱山送りにして金を稼がせるのも良いかもしれませんね。病気もなく、犯罪歴もありません」
奴隷を買う者の中には、買った奴隷にダンジョンの攻略をさせる者も居るのだろうか。えげつないな……。しかし、戦争捕虜か。戦争で負けて捕虜になって、奴隷商が安く買い取ったというところだろうか。奴隷の首には値札がさがってる。値段は一万ゴールド。五千ゴールドの奴隷も居るのにこの奴隷は一万ゴールドか、かなり高いのではないだろうか。俺は奴隷に対して町作りをする意思が有るか確認してから、値段の交渉をする事にした。
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