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第四話「魔術師ギルド」
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〈魔法都市グロスハイム・魔術師ギルド〉
室内に入ると爽やかな薬草の香りがした。
木のテーブルの上には、見た事もない薬草が乱雑に置かれており、魔術師は大鍋に薬草を入れて煮込んでいる。
室内で魔法の練習をする者も居る。
氷の魔法だろうか、魔術師が杖を振るとゴブリンの様な容姿の氷のモンスターが生まれた。
魔法といっても、攻撃魔法以外にも様々な魔法があるんだな……。
入り口付近で室内を見渡していると、受付の女性が俺に手招きをした。
深緑色のローブを身に纏い、メガネを掛けている優しそうな女性だ。
ウェーブが掛かっている金色の髪がとても美しい。
「魔法都市グロスハイムの魔術師ギルドへようこそ! 私は受付のアンジェラ・グロックです」
「どうも……俺はフリッツ村から来ました、アルフォンス・ブライトナーです。魔術師になりたくてこの町に来ました」
「魔術師の登録をご希望なのですね。かしこまりました。それではこの水晶の上に手を置いて下さい。魔力を計測します」
受付の女性は美しい水晶をカウンターの上に置いた。
ここに手を置けば良いのだろうか。
右手を水晶の上に置いた瞬間、魔力が水晶の中に流れる感覚がした。
水晶の中には俺の魔力の数値が表示されている。
どうやら俺の魔力は70らしい。
「魔力が70なのでレベルは7ですね。それから……使用可能魔法は、ファイア、アース、メテオストライク……え? メテオストライクですって?」
水晶の中には、俺が使える魔法のリストが表示されていた。
自分自身の魔力を水晶に流す事によって、魔力の強さと、使用可能な魔法を調べる事が出来るのだろう。
受付の女性は驚いた表情で俺を見つめた。
青い目がとても美しい。
年齢は二十代前半だろうか。
「ブライトナーさん。魔法はどこで覚えましたか?」
「魔法はモンスターから覚えました。俺はモンスターを倒すと、モンスターの魔法を覚えられるんです」
「モンスターから? 信じられませんね……まさかメテオストライクを使いこなす方が、魔術師の登録すらしていないなんて……」
「俺、魔術師になれるのでしょうか? 十五歳まで一度も魔法を使った事が無かったんです」
「なんですって? 一度も……? と言う事は、もしかすると……虚無の属性をお持ちなのですね?」
「そうみたいですね。村の友達からは『魔法が一切使えない、虚無のアルフォンス』なんて言われた事もあります」
「虚無の属性の持ち主が才能を開花させた時、全ての魔法を習得出来るという言い伝えを聞いた事があります」
まさか、俺が全ての魔法を習得出来るなんて。
そんな事は無いと思うのだけど。
十五歳までは炎の杖の様なアイテムを使わなければ、魔法を使う事すら出来なかったんだ。
「ブライトナーさん! 当ギルドはブライトナーさんの魔術師としての人生を全力でサポートさせて頂きます!」
「サポートだなんて、ありがとうございます!」
「それでは、こちらが魔術師として身分を証明するギルドカードです。クエストを受ける際には必ず提示して下さいね」
「はい、ご丁寧にありがとうございます」
俺は受付のグロックさんから小さな銀色のカードを頂いた。
カードには俺のステータスが表示されいてる。
『LV7 精霊魔術師 アルフォンス・ブライトナー』
武器:白金のブロードソード(魔力上昇・聖属性)
装飾品:ベルギウスの首飾り(魔力上昇)
魔法:ファイア アース メテオストライク
加護:ベルギウスの加護(殺害したモンスターの魔法を習得する)
「精霊魔術師? というのはどういう事なのですか?」
「精霊魔術はモンスターの魔法を習得出来る唯一の魔術です。多分……精霊の錬金術師、ジェラルド・ベルギウスの首飾りを身につける事によって、モンスターの魔法を習得出来る、精霊属性が付与されているのでしょう。精霊属性を持つ魔術師という事ですね」
「精霊って、モンスターの魔法を習得出来るんですか?」
「ごく一部の非常に優れた精霊のみ、モンスターの魔法を覚える事が出来ると聞いた事があります。近年では殆ど精霊は存在しないのだとか。ジェラルド・ベルギウス、精霊族の偉大なる錬金術師ですね。まさか彼が製作した秘宝をお持ちだとは……」
「秘宝……ですか」
「はい。精霊の錬金術師、ジェラルド・ベルギウス氏が、生涯でたった一つだけ製作した、虚無の属性の持ち主のための魔法道具。精霊の秘宝、ベルギウスの首飾りです」
モンスターの魔法を習得出来る精霊の力……精霊魔術師か。
俺に素晴らしい加護を与えてくれたベルギウス氏の願いを叶えなければならないな。
廃村、フォルスターの権利を所有する、商人のグレゴール・アイクという男の情報を集めなければならない。
「もしご存知でしたら教えて頂きたい事があるのですが……グロックさん」
「私の事はアンジェラで良いですよ」
「わかりました、アンジェラさん。実は商人のグレゴール・アイクという人物を探しているのですが、ご存知ありませんか?」
「商人のグレゴール・アイク……どこかで名前を聞いた事があるような……」
「フォルスターという村の権利を持っている人で、かつては名の通った商人だったと聞きました」
「あ! 思い出しました。確か町の酒場に居るはずですよ」
ついにグレゴール・アイクの居場所が分かった!
これは運が良いな……。
早速酒場に向かうとしよう。
「アンジェラさん。色々教えて下さって。本当にありがとうございました!」
「いいえ、ブライトナーさん。あなたは当ギルドの魔術師なのですから、私が知っている知識は全てお教えしますよ」
「ありがとうございます! 良かったら俺の事もアルフォンスって呼んで貰えますか……? それから、俺みたいな若造に敬語を使わないで下さい。なんだか緊張してしましますよ……」
「わかったわ。アルフォンス」
アンジェラさんは俺に手を差し出した。
俺はアンジェラさんの手を握ると、優しくも力強い魔力が流れてきた。
レベルはどれくらいなのだろうか。
どんな魔法を使うのだろうか。
もっとアンジェラさんの事が知りたい……。
アンジェラさんは俺の手を両手で握ると、優しい笑みを浮かべた。
なんて素敵な女性なのだろう。
「アンジェラさん。明日からクエストを受けに来ても大丈夫ですか?」
「ええ、勿論よ。アルフォンがこなせそうなクエストを今日中に確認しておくわ」
「色々ありがとうございます! それではまた明日!」
「ええ、また明日ね。アルフォンス」
俺はアンジェラさんに手を振ってギルドを出た。
思いがけない場所で素敵な女性に出会えたな。
これから酒場に行って、フォルスターの権利を持っているアイクさんと話さなければならない。
俺は早速、アンジェラさんから教えて頂いた酒場に向かう事にした……。
酒場は魔術師ギルドから歩いて十分ほどの場所に位置している。
酒場の名前は【ベアトリクスの酒場】だ。
きっとベアトリクスという女性が営んでいるのだろう。
俺は酒場の扉を開けて中に入った。
今は午後の五時頃だ。
酒場では仕事を終えた冒険者達がお酒を飲んでいる。
楽しそうに今日の狩りの事を話しながら、エールを飲んでいる人が多い。
どの人がグレゴール・アイクなのだろう。
俺はカウンターでお酒を飲んでいる、店の主人と思われる女性に教えて貰う事にした。
年齢は三十代前半だろうか、長い銀髪を綺麗に結んでいる。
アンジェラさんとはまた違う大人の魅力を感じる女性だ。
革のベストを装備していて、腰には短剣を差している。
酒場の主人というより、冒険者の様な雰囲気だな。
「すみません、ちょっと教えて欲しい事があるのですが」
俺が話しかけると、彼女はお酒を飲みながら退屈そうに俺を見た。
ゴブレットに入っているのは葡萄酒だろうか、美味しそうに葡萄酒を飲むと、無言で俺にメニュー表を渡してきた。
知りたい事があるなら、お金を使えという事だろうか。
今日はゴブリンの装備をバイエルさんに買い取って貰ったから、お金には余裕がある。
お酒でも飲んでみようか。
十五歳で成人したのだから、俺もついにお酒を飲む事が出来る。
「それじゃあ、エールを下さい」
メニュー表でおすすめと書かれてるエールを頼むと、ゴブレットに入ったエールが出てきた。
値段は5ガルドだ。
俺は冷えたエールに口を付けた。
多少の苦味を感じるものの、麦の豊かな香りが口の中に広がった。
若干のアルコールを感じるが、強いお酒ではないのだろう。
これは飲みやすい。
「料理もどうだい? 坊や」
「坊やだなんて……そうですね。それではホワイトライカンの唐揚げと、ポテトを下さい」
適当に料理を頼み、エールを飲みながらしばらく待つ。
店内を見渡していると、俺は店の隅でチビチビとお酒を飲んでいる三十代程の男性を見つけた。
白いカーディガンを羽織り、黒い髪を長く伸ばし、ポニーテールにしている。
もしかすると、あの人がフォルスターの権利を持っているアイクさんなのではないだろうか。
「坊や、聞きたい事ってなんだい? 犯罪以外なら教えてあげるよ」
「坊やと呼ぶのはやめて下さいよ……俺はアルフォンス・ブライトナーです」
「私はベアトリクス・ダイスラーよ。よろしくね、小さなお客さん」
「もう……からかうのはやめてくださいよ」
「それで、聞きたい事ってなんだい?」
「実は、グレゴール・アイクという方を探しています。この酒場に居ると聞きました」
「その情報は誰から聞いたんだい?」
「魔術師ギルドのアンジェラさんに教えて頂きました」
「ほう……アンジェラが駆け出しの坊やに情報を提供するとはね。グレゴールはそこの隅で安酒飲んでるおっさんだよ」
「おっさん……」
「ああ。いつも一番安い酒だけ頼んで、閉店ギリギリまで粘るのさ。昔は商人をしていたみたいだけど、今は何をしているのかも分からないね。多額の借金を抱えているらしいけど、酒を飲む金だけはあるみたいなんだ」
やはり酒場の隅に居る男性がフォルスターの権利を持っている、グレゴール・アイクだった。
俺はフォスルターの権利を譲って貰うために、アイクさんと交渉する事にした……。
室内に入ると爽やかな薬草の香りがした。
木のテーブルの上には、見た事もない薬草が乱雑に置かれており、魔術師は大鍋に薬草を入れて煮込んでいる。
室内で魔法の練習をする者も居る。
氷の魔法だろうか、魔術師が杖を振るとゴブリンの様な容姿の氷のモンスターが生まれた。
魔法といっても、攻撃魔法以外にも様々な魔法があるんだな……。
入り口付近で室内を見渡していると、受付の女性が俺に手招きをした。
深緑色のローブを身に纏い、メガネを掛けている優しそうな女性だ。
ウェーブが掛かっている金色の髪がとても美しい。
「魔法都市グロスハイムの魔術師ギルドへようこそ! 私は受付のアンジェラ・グロックです」
「どうも……俺はフリッツ村から来ました、アルフォンス・ブライトナーです。魔術師になりたくてこの町に来ました」
「魔術師の登録をご希望なのですね。かしこまりました。それではこの水晶の上に手を置いて下さい。魔力を計測します」
受付の女性は美しい水晶をカウンターの上に置いた。
ここに手を置けば良いのだろうか。
右手を水晶の上に置いた瞬間、魔力が水晶の中に流れる感覚がした。
水晶の中には俺の魔力の数値が表示されている。
どうやら俺の魔力は70らしい。
「魔力が70なのでレベルは7ですね。それから……使用可能魔法は、ファイア、アース、メテオストライク……え? メテオストライクですって?」
水晶の中には、俺が使える魔法のリストが表示されていた。
自分自身の魔力を水晶に流す事によって、魔力の強さと、使用可能な魔法を調べる事が出来るのだろう。
受付の女性は驚いた表情で俺を見つめた。
青い目がとても美しい。
年齢は二十代前半だろうか。
「ブライトナーさん。魔法はどこで覚えましたか?」
「魔法はモンスターから覚えました。俺はモンスターを倒すと、モンスターの魔法を覚えられるんです」
「モンスターから? 信じられませんね……まさかメテオストライクを使いこなす方が、魔術師の登録すらしていないなんて……」
「俺、魔術師になれるのでしょうか? 十五歳まで一度も魔法を使った事が無かったんです」
「なんですって? 一度も……? と言う事は、もしかすると……虚無の属性をお持ちなのですね?」
「そうみたいですね。村の友達からは『魔法が一切使えない、虚無のアルフォンス』なんて言われた事もあります」
「虚無の属性の持ち主が才能を開花させた時、全ての魔法を習得出来るという言い伝えを聞いた事があります」
まさか、俺が全ての魔法を習得出来るなんて。
そんな事は無いと思うのだけど。
十五歳までは炎の杖の様なアイテムを使わなければ、魔法を使う事すら出来なかったんだ。
「ブライトナーさん! 当ギルドはブライトナーさんの魔術師としての人生を全力でサポートさせて頂きます!」
「サポートだなんて、ありがとうございます!」
「それでは、こちらが魔術師として身分を証明するギルドカードです。クエストを受ける際には必ず提示して下さいね」
「はい、ご丁寧にありがとうございます」
俺は受付のグロックさんから小さな銀色のカードを頂いた。
カードには俺のステータスが表示されいてる。
『LV7 精霊魔術師 アルフォンス・ブライトナー』
武器:白金のブロードソード(魔力上昇・聖属性)
装飾品:ベルギウスの首飾り(魔力上昇)
魔法:ファイア アース メテオストライク
加護:ベルギウスの加護(殺害したモンスターの魔法を習得する)
「精霊魔術師? というのはどういう事なのですか?」
「精霊魔術はモンスターの魔法を習得出来る唯一の魔術です。多分……精霊の錬金術師、ジェラルド・ベルギウスの首飾りを身につける事によって、モンスターの魔法を習得出来る、精霊属性が付与されているのでしょう。精霊属性を持つ魔術師という事ですね」
「精霊って、モンスターの魔法を習得出来るんですか?」
「ごく一部の非常に優れた精霊のみ、モンスターの魔法を覚える事が出来ると聞いた事があります。近年では殆ど精霊は存在しないのだとか。ジェラルド・ベルギウス、精霊族の偉大なる錬金術師ですね。まさか彼が製作した秘宝をお持ちだとは……」
「秘宝……ですか」
「はい。精霊の錬金術師、ジェラルド・ベルギウス氏が、生涯でたった一つだけ製作した、虚無の属性の持ち主のための魔法道具。精霊の秘宝、ベルギウスの首飾りです」
モンスターの魔法を習得出来る精霊の力……精霊魔術師か。
俺に素晴らしい加護を与えてくれたベルギウス氏の願いを叶えなければならないな。
廃村、フォルスターの権利を所有する、商人のグレゴール・アイクという男の情報を集めなければならない。
「もしご存知でしたら教えて頂きたい事があるのですが……グロックさん」
「私の事はアンジェラで良いですよ」
「わかりました、アンジェラさん。実は商人のグレゴール・アイクという人物を探しているのですが、ご存知ありませんか?」
「商人のグレゴール・アイク……どこかで名前を聞いた事があるような……」
「フォルスターという村の権利を持っている人で、かつては名の通った商人だったと聞きました」
「あ! 思い出しました。確か町の酒場に居るはずですよ」
ついにグレゴール・アイクの居場所が分かった!
これは運が良いな……。
早速酒場に向かうとしよう。
「アンジェラさん。色々教えて下さって。本当にありがとうございました!」
「いいえ、ブライトナーさん。あなたは当ギルドの魔術師なのですから、私が知っている知識は全てお教えしますよ」
「ありがとうございます! 良かったら俺の事もアルフォンスって呼んで貰えますか……? それから、俺みたいな若造に敬語を使わないで下さい。なんだか緊張してしましますよ……」
「わかったわ。アルフォンス」
アンジェラさんは俺に手を差し出した。
俺はアンジェラさんの手を握ると、優しくも力強い魔力が流れてきた。
レベルはどれくらいなのだろうか。
どんな魔法を使うのだろうか。
もっとアンジェラさんの事が知りたい……。
アンジェラさんは俺の手を両手で握ると、優しい笑みを浮かべた。
なんて素敵な女性なのだろう。
「アンジェラさん。明日からクエストを受けに来ても大丈夫ですか?」
「ええ、勿論よ。アルフォンがこなせそうなクエストを今日中に確認しておくわ」
「色々ありがとうございます! それではまた明日!」
「ええ、また明日ね。アルフォンス」
俺はアンジェラさんに手を振ってギルドを出た。
思いがけない場所で素敵な女性に出会えたな。
これから酒場に行って、フォルスターの権利を持っているアイクさんと話さなければならない。
俺は早速、アンジェラさんから教えて頂いた酒場に向かう事にした……。
酒場は魔術師ギルドから歩いて十分ほどの場所に位置している。
酒場の名前は【ベアトリクスの酒場】だ。
きっとベアトリクスという女性が営んでいるのだろう。
俺は酒場の扉を開けて中に入った。
今は午後の五時頃だ。
酒場では仕事を終えた冒険者達がお酒を飲んでいる。
楽しそうに今日の狩りの事を話しながら、エールを飲んでいる人が多い。
どの人がグレゴール・アイクなのだろう。
俺はカウンターでお酒を飲んでいる、店の主人と思われる女性に教えて貰う事にした。
年齢は三十代前半だろうか、長い銀髪を綺麗に結んでいる。
アンジェラさんとはまた違う大人の魅力を感じる女性だ。
革のベストを装備していて、腰には短剣を差している。
酒場の主人というより、冒険者の様な雰囲気だな。
「すみません、ちょっと教えて欲しい事があるのですが」
俺が話しかけると、彼女はお酒を飲みながら退屈そうに俺を見た。
ゴブレットに入っているのは葡萄酒だろうか、美味しそうに葡萄酒を飲むと、無言で俺にメニュー表を渡してきた。
知りたい事があるなら、お金を使えという事だろうか。
今日はゴブリンの装備をバイエルさんに買い取って貰ったから、お金には余裕がある。
お酒でも飲んでみようか。
十五歳で成人したのだから、俺もついにお酒を飲む事が出来る。
「それじゃあ、エールを下さい」
メニュー表でおすすめと書かれてるエールを頼むと、ゴブレットに入ったエールが出てきた。
値段は5ガルドだ。
俺は冷えたエールに口を付けた。
多少の苦味を感じるものの、麦の豊かな香りが口の中に広がった。
若干のアルコールを感じるが、強いお酒ではないのだろう。
これは飲みやすい。
「料理もどうだい? 坊や」
「坊やだなんて……そうですね。それではホワイトライカンの唐揚げと、ポテトを下さい」
適当に料理を頼み、エールを飲みながらしばらく待つ。
店内を見渡していると、俺は店の隅でチビチビとお酒を飲んでいる三十代程の男性を見つけた。
白いカーディガンを羽織り、黒い髪を長く伸ばし、ポニーテールにしている。
もしかすると、あの人がフォルスターの権利を持っているアイクさんなのではないだろうか。
「坊や、聞きたい事ってなんだい? 犯罪以外なら教えてあげるよ」
「坊やと呼ぶのはやめて下さいよ……俺はアルフォンス・ブライトナーです」
「私はベアトリクス・ダイスラーよ。よろしくね、小さなお客さん」
「もう……からかうのはやめてくださいよ」
「それで、聞きたい事ってなんだい?」
「実は、グレゴール・アイクという方を探しています。この酒場に居ると聞きました」
「その情報は誰から聞いたんだい?」
「魔術師ギルドのアンジェラさんに教えて頂きました」
「ほう……アンジェラが駆け出しの坊やに情報を提供するとはね。グレゴールはそこの隅で安酒飲んでるおっさんだよ」
「おっさん……」
「ああ。いつも一番安い酒だけ頼んで、閉店ギリギリまで粘るのさ。昔は商人をしていたみたいだけど、今は何をしているのかも分からないね。多額の借金を抱えているらしいけど、酒を飲む金だけはあるみたいなんだ」
やはり酒場の隅に居る男性がフォルスターの権利を持っている、グレゴール・アイクだった。
俺はフォスルターの権利を譲って貰うために、アイクさんと交渉する事にした……。
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