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第三章「迷宮都市アイゼンシュタイン編」
第七十三話「二人の弟子」
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白い鱗に覆われた体長三メートル程のホワイトドラゴンが卵を守る様に立ち上がると、ゲイザーに切り裂かれたであろう傷から血が滴り落ちた。既に目を開けている事すらままならないのか、僅かに右目だけを開いて俺達を見つめた。
「ヴィクトリア、ヒールを!」
エレーナとヴィクトリアが両手から聖属性の魔力を放出し、ヒールの魔法を唱えた瞬間、ホワイトドラゴンは口から冷気を吐いて回復魔法を掻き消した。
「俺達は君に危害を加えるつもりはない! どうか回復魔法を受けてくれ!」
瀕死の体で見ず知らずの人間から魔法を受ける事はやはり難しいのだろ。相手が悪意を込めた魔力を注げば、魔力が傷口から体内に侵入し、弱り切った肉体を内側から傷つける。
ホワイトドラゴンは血を流しながらも回復魔法を拒み、卵を守る様に俺達の前に立ちはだかると、ゆっくりとファルケンハイン防衛章を見つめた。オリハルコン製の勲章にはホワイトドラゴンの紋章が入っている。
「ファルケンハイン王国の者か?」
「はい、封魔師のユリウス・フォン・シュタインと申します。どうか体の治療をさせてくれませんか?」
「その必要はない。回復を受けても私はすぐに命を落とすだろう。私はゲイザーと遭遇する前から病に肉体を蝕まれていたのだ」
「そうですか……」
「うむ。しかしファルケンハイン王国の者がドーレ大陸に居るとは珍しいな。かつてはその紋章を持つ者達がホワイトドラゴンと共に王国を防衛していたと聞いた事がある」
ホワイトドラゴンは痛みに耐えながら目をうっすら開き、俺を見つめている。
「私の母は第十二代国王の召喚獣であった。命を落とす前に心正しき封魔師と出会えた事は不幸中の幸いという訳か。ユリウスよ、私の子を任せても良いか?」
「はい、お任せ下さい」
「では頼むぞ。私の代わりにこの子を育ててくれ。名はフィーネ。私の母の名だ」
ホワイトドラゴンが白い卵を大事そうに俺の方に押しやると、俺の顔に自分の顔を擦り付けた。
「ユリウス、そなたは封魔師なのだろう? どうか私を魔石に変えてくれないか?」
「俺にあなたを切れと言うんですか?」
「そうだ。このまま命が尽きるのを待つのも良いが、魔石としてユリウスの役に立ちたい」
ヴィクトリアとエレーナが俺の肩に手を置き、悲し気に俺を見つめると、俺は石宝刀の柄を握った。魔石化の力は全ての魔物を魔石に変える事が出来る。もしこのホワイトドラゴンが魔石持ちの個体じゃないのなら、命が尽きれば彼女の魔法能力もこの世から消え去る。
彼女が魔石に変わればブリザードの魔法を秘めた魔石が残るのだ。魔石砲に込めて使えば強力な攻撃手段になるだろう。もし俺が森林を凍らせる程の範囲魔法を使えたら、ゲイザー討伐の成功率も上がるに違いない。
「あなたの魔石を使ってゲイザーを討伐し、愛情を注いでフィーネを育てると誓います」
「うむ。やはりファルケンハイン王国の国王が認めた者は心正しき冒険者なのだな。さぁ私を魔石に変えるが良い。私は魔石になってそなたに尽くそう」
ホワイトドラゴンが翼を広げると、俺は涙を流しながら石宝刀に魔力を注いだ。こんなに悲しい魔物討伐は初めてだ。自分の死を悟り、生まれてくる子を俺に託し、死の瞬間を子に見せない様に魔石に変わる事を選択したのだろう。
「封魔石宝流抜刀術・雷光閃!」
全身全霊の一撃をホワイトドラゴンに放つと、強烈な冷気が発生し、ホワイトドラゴンの肉体が消滅した。瞬間、冷気の中から美しい魔石が現れ、地面に魔石が落ちた。
魔石の中には激しい吹雪が発生している。Aランク・ホワイトドラゴンの固有魔法であるブリザードの魔石。俺は魔石砲の弾倉からウィンドエッジの魔石を抜き、ブリザードの魔石を込めた。
卵は母親の死と共に殻に亀裂が入り、ゆっくりと殻が割れて小さなホワイトドラゴンの雛が生まれた。フィーネは俺を親と認識しているのか、卵から這い出てくると、俺はフィーネの体をタオルで包み込んだ。体重は三十キロを超えるだろうか。あまりにも大きすぎる魔物の雛を抱き上げると、俺は初めての子育てに戸惑いを感じた。
「ユリウス、まずはアイゼンシュタインに戻りましょうか。ホワイトドラゴンの事は残念だったけど、新たな命の誕生に立ち会えた事は嬉しいわ……」
「そうだね、俺が責任を持ってフィーネを育てるよ」
エレーナが変化を解除すると、彼女は変化の腕輪を俺の方に押しやった。ホワイトドラゴンの姿のまま、街でフィーネを育てる事は出来ない。ドラゴン系の魔物の成長速度は高い。きっとフィーネはもすぐに成長するだろう。人間の姿で暮らして貰った方がこちらも助かる。
生まれたばかりのフィーネと召喚契約を結んでから腕に変化の腕輪を嵌めると、フィーネの肉体が輝き、身長百センチほどの幼女に変化した。見た目は完璧に人間だが、精神は生まれたばかりのホワイトドラゴンだから、これから言葉や常識等を教えなければならない。
心地良さそうに眠るフィーネを抱きしめ、ヴィクトリアと共にエレーナに乗り、アイゼンシュタインの街を目指して移動を始めた。
「まさか、ユリウスがホワイトドラゴンを育てる事になるとはね」
「人間の姿なら子育ても楽そうだよ」
「赤ん坊の姿に変化しなくて良かったわね」
「確かにね。だけど精神はまだ幼いから、これからしっかり育てなければならないな……」
「大丈夫よ。ユリウスはララの事だって育てたんだし」
「奴隷だった十歳のララの心を開くために奮闘していた頃が懐かしいよ」
「やっぱり出会った当初のララと今のララは違ったんでしょう?」
「ああ。自分の要求も言わず、常に俺の顔色ばかり伺っていたよ。だけど俺が真剣に彼女と向き合ったからか、彼女もすぐに心を開いてくれたんだ。それでも、奴隷時代の悲しい生活を全て忘れた訳ではないだろうけど……」
幼いフィーネは目を覚ましたのか、美しいエメラルド色の瞳で俺を見つめ、何度も俺の頬を舐めた。フィーネは人間にしか見えないが、やはり人間とはどことなく異なる雰囲気がある。長い銀の髪が美しく、小さな頭を撫でると、フィーネは無邪気に微笑みながら俺に抱き着いた。
「そうだ、素晴らしいニュースがある事を忘れていたわ! 実は、ファルケンハイン王国内での奴隷取引が法律によって禁じられる事になったの」
「本当!? 人間だけじゃなくて獣人も!?」
「ええ、全ての奴隷取引が禁じられたわ。お父様が奴隷の開放を続けるユリウスの行動に心を打たれて、遂に獣人奴隷の取引を禁じる法律を制定したの」
「俺の長年の活動は無駄じゃなかったんだ……奴隷を開放するために働き続けた甲斐があったよ」
「本当に立派だと思うわ。私はあなたを誇りに思っているわ」
「封魔剣舞は獣人奴隷が編み出した剣技。俺はいつも技を使う時に過去の封魔師達に感謝していたけど、陛下にも俺の想いが伝わったのかな」
暫く飛行を続けると、俺達は迷宮都市アイゼンシュタインに到着した。都市を脅かす魔物の襲撃も無い様で、平和な街の正門に着地すると、俺は衛兵に身分を証明してから街に入った。
それから冒険者ギルド・レッドストーンに戻り、エドヴィンさんに戦場の雰囲気やホワイトドラゴンとの出会いを話すと、彼は深刻そうな表情を浮かべてフィーネを見つめた。
「ホワイトドラゴンでもゲイザーには敵いませんでしたか。ゲイザーが不意に街を襲撃して来なければ良いのですが」
「いつゲイザーが襲撃してきても駆逐出来る様に警備を厳重にした方が良いでしょう。それから、この地域の魔物は集団で行動する事を好む様ですから、ドラゴニュートやデュラハン、ブラックベアなどの動きにも注意を払わなければなりません」
「そうですね。廃村に冒険者殺しが現れた際にも、無数の魔物が集団で行動していた様ですし、最近はドラゴニュートの襲撃も頻繁に発生しています」
「敵はゲイザーだけではないという事ですね」
「はい。ユリウス君、私もゲイザーとの決戦に向けて稽古をしようと思います」
「俺も今日から訓練の時間を増やします。といっても、当分は子育てで手一杯でしょうが……」
ギルドでエドヴィンさんと今後の予定について話し合っていると、エルザとレオンハルトがギルドに戻ってきた。今日は二人で都市の地下にあるダンジョンで魔物討伐をしていたらしい。
「師匠、その子は誰ですか?」
「この子はホワイトドラゴンのフィーネだよ。今日から育てる事になったんだ」
「ホワイトドラゴン!? 人間じゃないんですか?」
「ああ、人間にしか見えないだろう?」
「変化の腕輪によって姿を変えているんですね。という事は、当分はエレーナさんはペガサスの姿で過ごすんですね」
「そういう事だよ。さぁ今日の稽古を始めようか」
「はい!」
俺はレオンハルトの肩に手を置くと、エルザが俺の服の裾を掴んだ。何か俺に言いたい事でもあるのだろうか。左手にユニコーンの杖を持ち、上目遣いで俺を見上げる彼女もまた可愛らしい。
「あの……シュタイン様、私にも戦い方を教えて頂けませんか? 私もシュタイン様の弟子になりたいです!」
「わかったよ。それなら今日からエルザを俺の弟子にする」
「本当ですか!? 嬉しいです! 私、頑張ってシュタイン様を支えられる魔術師になりますね!」
「ああ、君ならきっとなれるよ」
俺はエルザの頭を撫でると、レオンハルトがエルザを見つめている事に気が付いた。やはり異性として意識しているのだろう。エルザはレオンハルトの視線に気が付き、恥ずかしそうに俯くと、俺は二人の恋愛が始まりつつある事に気が付いた。
「ヴィクトリア、三時間だけフィーネを任せても良いかな」
「ええ、勿論よ。宿で待っているからね」
「すぐに戻るよ」
俺達はヴィクトリア達と別れ、迷宮都市アイゼンシュタインの西口を出て森に入り、徹底的に二人を鍛える事にした。人間としてエルザに戦い方を教えるのは初めてだが、ガーゴイルの時に毎日指導していたから、魔法に関しては粗削りだが才能が開花し始めている。
Cランク、火属性のブラックベアが出現するという洞窟の近くまで来ると、俺は洞窟の入り口で魔石砲を抜いた。借りるぞ……ホワイトドラゴンの魔法。銃口を洞窟内に向け、引き金を引く。
「ブリザード!」
銃口から強烈な冷気が飛び出すと、洞窟が瞬く間に氷り始めた。内部に冷気が充満したのか、ブリザードの魔法に耐え切れなくなったブラックベアの群れが二十体程飛び出してくると、エルザとレオンハルトは恐怖のあまり顔をひきつらせた。
「俺が封魔石宝流の継承者試験を受けた時は、魔大陸で無数のデュラハンに囲まれ、大勢の兄弟弟子を殺され、高ランクの魔物からケットシー達を守り、ベヒモスの討伐を行った。当時十五歳。最悪の大陸を何とか生き延びてエレオノーレ様から技を教わる資格を得た。二人の勇気と覚悟を俺に示してくれないか? 俺がかつて自分自身の勇気をエレオノーレ様に示した様に!」
二人は改めて勇者の弟子として戦闘技術を学ぶ重大さに気が付いたのか、恐れながらもやる気に満ちた瞳で俺を見つめた。ブラックベアが俺達を取り囲むと、エルザがユニコーンの杖をブラックベアに向けた。
「ウォーターボール!」
ユニコーンの杖からは巨大な水の球が飛び出し、高速で宙を飛んだ球がブラックベアの腹部を捉えた。仲間を攻撃されたブラックベア達が爆発的な咆哮を上げると、レオンハルトが涙を流しながら疾風刀を抜いてエルザの前に立った。
思い出せばエレオノーレ様の継承者試験は地獄の様だった。魔物達から逃げるためにラザルスの屋敷に逃げ込んでも、人間に化けたサキュバスに殺されかけた。だが、そんな最低な毎日をどうにか生き抜いて今の強さを手に入れた。
俺はエレオノーレ様から技を教わる前に自分自身の覚悟を証明した。エレオノーレ様に比べれば俺はレオンハルトとエルザによってかなり優しい師匠だろう。
巨体のブラックベアが口を開いてフレイムの魔法を放つと、レオンハルトは疾風刀に風のエンチャントを掛け、鋭い突きを放って火炎を切り裂いた。魔大陸でさんざんブラックベアを狩り続け、栄養不足だったケットシーを育てるため、毎日の様にブラックベアの肉を要塞に持ち帰った。
あの頃に比べれば生活は随分楽になった。だがこうして圧倒的な数の魔物に囲まれると、厳しかった頃の生活を思い出す。魔物達が俺に向ける圧倒的な殺意。禍々しい憎悪を秘めた魔力が周囲に蔓延しており。一つ動作を間違うだけで確実に命を落とす戦いの場。
精神が高ぶり、命懸けの戦闘に全身を流れる魔力が強く反応する。
「レオンハルト、これが封魔石宝流抜刀術・雷光閃だ!」
本気の雷光閃を放ち、ブラックベアの体を真っ二つに切り裂く。仲間を殺されたブラックベアが再び咆哮を上げると、俺は石宝刀を構え直した。
「裂空斬!」
石宝刀から魔力の刃を飛ばし、二体のブラックベアを一度に仕留める。魔物が命を落とした瞬間、強く輝いて魔石に代わる光景は、何度見ても喜びを感じる。
「一閃!」
ブラックベアの頭上高く飛び上がり、垂直切りを放って体を左右に割る。オリハルコン製の石宝刀と、血を吐く程の筋力トレーニングによって成長を遂げた肉体があればブラックベア程度の魔物は一刀両断出来る。
「疾風閃!」
最速の突きでブラックベアの心臓を貫く。まるで剣舞を踊る様に、殺意が籠ったブラックベアの攻撃を優雅に避けながら、雪が降る静かな森でレオンハルトに剣技を見せる。
「円月閃!」
回転切りを放ち、俺を取り囲んだ三体のブラックベアを一度に仕留める。ブラックベアの肉体が輝いて魔石が地面に落ちると、俺は奥義のために精神を集中させた。
「これが封魔石宝流奥義・流星斬だ!」
まるで七回の流星の輝きのごとく、超高速の連撃を叩き込むと、全てのブラックベアが息絶え、地面には無数の魔石が散乱した。
「以上の剣技に封魔陣を加えたものが封魔石宝流の封魔剣舞。これを四閃二斬一陣と言う」
「え……? 師匠、一人でブラックベアを十八体も倒して仕舞ったんですか?」
「あ……そういえば二人の魔物を残すのを忘れていた……」
ついうっかりエルザとレオンハルトに狩らせるつもりの魔物まで仕留めて仕舞った。最後の流星斬で裂空斬を連発し、残る全てのブラックベアを仕留めてしまったのだ。
「シュタイン様……! 凄いです! これがシュタイン様の剣技なんですね!」
「ああ、これが今の俺の全力の技だよ。まだ俺の師匠であるエレオノーレ様には及ばないけどね」
「師匠! やっぱり師匠の本気は凄いです! ヴァルターを仕留めた流星斬も凄かったですけど、Cランクの魔物を舞いながら倒してしまうなんて!」
「将来は俺を追い抜かしてくれよ、レオンハルト。君にはその力がある。勿論エルザもだ」
エルザとレオンハルトの肩に手を置くと、二人は興奮した面持ちで俺を見上げた。まずは二人を鍛えながらフィーネを育て、ゲイザーの襲撃に備えなければならない。まだまだ忙しい毎日が続きそうだが、俺が二人に本気の戦いを見せる事によって、二人の顔つきが明らかに変わった。
きっと二人なら俺とボリスの様な最高のペアになれるだろう。王都イスターツに帰って、仲間達にエルザとレオンハルトを自慢するのが楽しみで仕方がない。
「それでは訓練を始める」
まずは今、この瞬間に集中しよう。限られた時間で、二人を徹底的に鍛えなければならない……。
「ヴィクトリア、ヒールを!」
エレーナとヴィクトリアが両手から聖属性の魔力を放出し、ヒールの魔法を唱えた瞬間、ホワイトドラゴンは口から冷気を吐いて回復魔法を掻き消した。
「俺達は君に危害を加えるつもりはない! どうか回復魔法を受けてくれ!」
瀕死の体で見ず知らずの人間から魔法を受ける事はやはり難しいのだろ。相手が悪意を込めた魔力を注げば、魔力が傷口から体内に侵入し、弱り切った肉体を内側から傷つける。
ホワイトドラゴンは血を流しながらも回復魔法を拒み、卵を守る様に俺達の前に立ちはだかると、ゆっくりとファルケンハイン防衛章を見つめた。オリハルコン製の勲章にはホワイトドラゴンの紋章が入っている。
「ファルケンハイン王国の者か?」
「はい、封魔師のユリウス・フォン・シュタインと申します。どうか体の治療をさせてくれませんか?」
「その必要はない。回復を受けても私はすぐに命を落とすだろう。私はゲイザーと遭遇する前から病に肉体を蝕まれていたのだ」
「そうですか……」
「うむ。しかしファルケンハイン王国の者がドーレ大陸に居るとは珍しいな。かつてはその紋章を持つ者達がホワイトドラゴンと共に王国を防衛していたと聞いた事がある」
ホワイトドラゴンは痛みに耐えながら目をうっすら開き、俺を見つめている。
「私の母は第十二代国王の召喚獣であった。命を落とす前に心正しき封魔師と出会えた事は不幸中の幸いという訳か。ユリウスよ、私の子を任せても良いか?」
「はい、お任せ下さい」
「では頼むぞ。私の代わりにこの子を育ててくれ。名はフィーネ。私の母の名だ」
ホワイトドラゴンが白い卵を大事そうに俺の方に押しやると、俺の顔に自分の顔を擦り付けた。
「ユリウス、そなたは封魔師なのだろう? どうか私を魔石に変えてくれないか?」
「俺にあなたを切れと言うんですか?」
「そうだ。このまま命が尽きるのを待つのも良いが、魔石としてユリウスの役に立ちたい」
ヴィクトリアとエレーナが俺の肩に手を置き、悲し気に俺を見つめると、俺は石宝刀の柄を握った。魔石化の力は全ての魔物を魔石に変える事が出来る。もしこのホワイトドラゴンが魔石持ちの個体じゃないのなら、命が尽きれば彼女の魔法能力もこの世から消え去る。
彼女が魔石に変わればブリザードの魔法を秘めた魔石が残るのだ。魔石砲に込めて使えば強力な攻撃手段になるだろう。もし俺が森林を凍らせる程の範囲魔法を使えたら、ゲイザー討伐の成功率も上がるに違いない。
「あなたの魔石を使ってゲイザーを討伐し、愛情を注いでフィーネを育てると誓います」
「うむ。やはりファルケンハイン王国の国王が認めた者は心正しき冒険者なのだな。さぁ私を魔石に変えるが良い。私は魔石になってそなたに尽くそう」
ホワイトドラゴンが翼を広げると、俺は涙を流しながら石宝刀に魔力を注いだ。こんなに悲しい魔物討伐は初めてだ。自分の死を悟り、生まれてくる子を俺に託し、死の瞬間を子に見せない様に魔石に変わる事を選択したのだろう。
「封魔石宝流抜刀術・雷光閃!」
全身全霊の一撃をホワイトドラゴンに放つと、強烈な冷気が発生し、ホワイトドラゴンの肉体が消滅した。瞬間、冷気の中から美しい魔石が現れ、地面に魔石が落ちた。
魔石の中には激しい吹雪が発生している。Aランク・ホワイトドラゴンの固有魔法であるブリザードの魔石。俺は魔石砲の弾倉からウィンドエッジの魔石を抜き、ブリザードの魔石を込めた。
卵は母親の死と共に殻に亀裂が入り、ゆっくりと殻が割れて小さなホワイトドラゴンの雛が生まれた。フィーネは俺を親と認識しているのか、卵から這い出てくると、俺はフィーネの体をタオルで包み込んだ。体重は三十キロを超えるだろうか。あまりにも大きすぎる魔物の雛を抱き上げると、俺は初めての子育てに戸惑いを感じた。
「ユリウス、まずはアイゼンシュタインに戻りましょうか。ホワイトドラゴンの事は残念だったけど、新たな命の誕生に立ち会えた事は嬉しいわ……」
「そうだね、俺が責任を持ってフィーネを育てるよ」
エレーナが変化を解除すると、彼女は変化の腕輪を俺の方に押しやった。ホワイトドラゴンの姿のまま、街でフィーネを育てる事は出来ない。ドラゴン系の魔物の成長速度は高い。きっとフィーネはもすぐに成長するだろう。人間の姿で暮らして貰った方がこちらも助かる。
生まれたばかりのフィーネと召喚契約を結んでから腕に変化の腕輪を嵌めると、フィーネの肉体が輝き、身長百センチほどの幼女に変化した。見た目は完璧に人間だが、精神は生まれたばかりのホワイトドラゴンだから、これから言葉や常識等を教えなければならない。
心地良さそうに眠るフィーネを抱きしめ、ヴィクトリアと共にエレーナに乗り、アイゼンシュタインの街を目指して移動を始めた。
「まさか、ユリウスがホワイトドラゴンを育てる事になるとはね」
「人間の姿なら子育ても楽そうだよ」
「赤ん坊の姿に変化しなくて良かったわね」
「確かにね。だけど精神はまだ幼いから、これからしっかり育てなければならないな……」
「大丈夫よ。ユリウスはララの事だって育てたんだし」
「奴隷だった十歳のララの心を開くために奮闘していた頃が懐かしいよ」
「やっぱり出会った当初のララと今のララは違ったんでしょう?」
「ああ。自分の要求も言わず、常に俺の顔色ばかり伺っていたよ。だけど俺が真剣に彼女と向き合ったからか、彼女もすぐに心を開いてくれたんだ。それでも、奴隷時代の悲しい生活を全て忘れた訳ではないだろうけど……」
幼いフィーネは目を覚ましたのか、美しいエメラルド色の瞳で俺を見つめ、何度も俺の頬を舐めた。フィーネは人間にしか見えないが、やはり人間とはどことなく異なる雰囲気がある。長い銀の髪が美しく、小さな頭を撫でると、フィーネは無邪気に微笑みながら俺に抱き着いた。
「そうだ、素晴らしいニュースがある事を忘れていたわ! 実は、ファルケンハイン王国内での奴隷取引が法律によって禁じられる事になったの」
「本当!? 人間だけじゃなくて獣人も!?」
「ええ、全ての奴隷取引が禁じられたわ。お父様が奴隷の開放を続けるユリウスの行動に心を打たれて、遂に獣人奴隷の取引を禁じる法律を制定したの」
「俺の長年の活動は無駄じゃなかったんだ……奴隷を開放するために働き続けた甲斐があったよ」
「本当に立派だと思うわ。私はあなたを誇りに思っているわ」
「封魔剣舞は獣人奴隷が編み出した剣技。俺はいつも技を使う時に過去の封魔師達に感謝していたけど、陛下にも俺の想いが伝わったのかな」
暫く飛行を続けると、俺達は迷宮都市アイゼンシュタインに到着した。都市を脅かす魔物の襲撃も無い様で、平和な街の正門に着地すると、俺は衛兵に身分を証明してから街に入った。
それから冒険者ギルド・レッドストーンに戻り、エドヴィンさんに戦場の雰囲気やホワイトドラゴンとの出会いを話すと、彼は深刻そうな表情を浮かべてフィーネを見つめた。
「ホワイトドラゴンでもゲイザーには敵いませんでしたか。ゲイザーが不意に街を襲撃して来なければ良いのですが」
「いつゲイザーが襲撃してきても駆逐出来る様に警備を厳重にした方が良いでしょう。それから、この地域の魔物は集団で行動する事を好む様ですから、ドラゴニュートやデュラハン、ブラックベアなどの動きにも注意を払わなければなりません」
「そうですね。廃村に冒険者殺しが現れた際にも、無数の魔物が集団で行動していた様ですし、最近はドラゴニュートの襲撃も頻繁に発生しています」
「敵はゲイザーだけではないという事ですね」
「はい。ユリウス君、私もゲイザーとの決戦に向けて稽古をしようと思います」
「俺も今日から訓練の時間を増やします。といっても、当分は子育てで手一杯でしょうが……」
ギルドでエドヴィンさんと今後の予定について話し合っていると、エルザとレオンハルトがギルドに戻ってきた。今日は二人で都市の地下にあるダンジョンで魔物討伐をしていたらしい。
「師匠、その子は誰ですか?」
「この子はホワイトドラゴンのフィーネだよ。今日から育てる事になったんだ」
「ホワイトドラゴン!? 人間じゃないんですか?」
「ああ、人間にしか見えないだろう?」
「変化の腕輪によって姿を変えているんですね。という事は、当分はエレーナさんはペガサスの姿で過ごすんですね」
「そういう事だよ。さぁ今日の稽古を始めようか」
「はい!」
俺はレオンハルトの肩に手を置くと、エルザが俺の服の裾を掴んだ。何か俺に言いたい事でもあるのだろうか。左手にユニコーンの杖を持ち、上目遣いで俺を見上げる彼女もまた可愛らしい。
「あの……シュタイン様、私にも戦い方を教えて頂けませんか? 私もシュタイン様の弟子になりたいです!」
「わかったよ。それなら今日からエルザを俺の弟子にする」
「本当ですか!? 嬉しいです! 私、頑張ってシュタイン様を支えられる魔術師になりますね!」
「ああ、君ならきっとなれるよ」
俺はエルザの頭を撫でると、レオンハルトがエルザを見つめている事に気が付いた。やはり異性として意識しているのだろう。エルザはレオンハルトの視線に気が付き、恥ずかしそうに俯くと、俺は二人の恋愛が始まりつつある事に気が付いた。
「ヴィクトリア、三時間だけフィーネを任せても良いかな」
「ええ、勿論よ。宿で待っているからね」
「すぐに戻るよ」
俺達はヴィクトリア達と別れ、迷宮都市アイゼンシュタインの西口を出て森に入り、徹底的に二人を鍛える事にした。人間としてエルザに戦い方を教えるのは初めてだが、ガーゴイルの時に毎日指導していたから、魔法に関しては粗削りだが才能が開花し始めている。
Cランク、火属性のブラックベアが出現するという洞窟の近くまで来ると、俺は洞窟の入り口で魔石砲を抜いた。借りるぞ……ホワイトドラゴンの魔法。銃口を洞窟内に向け、引き金を引く。
「ブリザード!」
銃口から強烈な冷気が飛び出すと、洞窟が瞬く間に氷り始めた。内部に冷気が充満したのか、ブリザードの魔法に耐え切れなくなったブラックベアの群れが二十体程飛び出してくると、エルザとレオンハルトは恐怖のあまり顔をひきつらせた。
「俺が封魔石宝流の継承者試験を受けた時は、魔大陸で無数のデュラハンに囲まれ、大勢の兄弟弟子を殺され、高ランクの魔物からケットシー達を守り、ベヒモスの討伐を行った。当時十五歳。最悪の大陸を何とか生き延びてエレオノーレ様から技を教わる資格を得た。二人の勇気と覚悟を俺に示してくれないか? 俺がかつて自分自身の勇気をエレオノーレ様に示した様に!」
二人は改めて勇者の弟子として戦闘技術を学ぶ重大さに気が付いたのか、恐れながらもやる気に満ちた瞳で俺を見つめた。ブラックベアが俺達を取り囲むと、エルザがユニコーンの杖をブラックベアに向けた。
「ウォーターボール!」
ユニコーンの杖からは巨大な水の球が飛び出し、高速で宙を飛んだ球がブラックベアの腹部を捉えた。仲間を攻撃されたブラックベア達が爆発的な咆哮を上げると、レオンハルトが涙を流しながら疾風刀を抜いてエルザの前に立った。
思い出せばエレオノーレ様の継承者試験は地獄の様だった。魔物達から逃げるためにラザルスの屋敷に逃げ込んでも、人間に化けたサキュバスに殺されかけた。だが、そんな最低な毎日をどうにか生き抜いて今の強さを手に入れた。
俺はエレオノーレ様から技を教わる前に自分自身の覚悟を証明した。エレオノーレ様に比べれば俺はレオンハルトとエルザによってかなり優しい師匠だろう。
巨体のブラックベアが口を開いてフレイムの魔法を放つと、レオンハルトは疾風刀に風のエンチャントを掛け、鋭い突きを放って火炎を切り裂いた。魔大陸でさんざんブラックベアを狩り続け、栄養不足だったケットシーを育てるため、毎日の様にブラックベアの肉を要塞に持ち帰った。
あの頃に比べれば生活は随分楽になった。だがこうして圧倒的な数の魔物に囲まれると、厳しかった頃の生活を思い出す。魔物達が俺に向ける圧倒的な殺意。禍々しい憎悪を秘めた魔力が周囲に蔓延しており。一つ動作を間違うだけで確実に命を落とす戦いの場。
精神が高ぶり、命懸けの戦闘に全身を流れる魔力が強く反応する。
「レオンハルト、これが封魔石宝流抜刀術・雷光閃だ!」
本気の雷光閃を放ち、ブラックベアの体を真っ二つに切り裂く。仲間を殺されたブラックベアが再び咆哮を上げると、俺は石宝刀を構え直した。
「裂空斬!」
石宝刀から魔力の刃を飛ばし、二体のブラックベアを一度に仕留める。魔物が命を落とした瞬間、強く輝いて魔石に代わる光景は、何度見ても喜びを感じる。
「一閃!」
ブラックベアの頭上高く飛び上がり、垂直切りを放って体を左右に割る。オリハルコン製の石宝刀と、血を吐く程の筋力トレーニングによって成長を遂げた肉体があればブラックベア程度の魔物は一刀両断出来る。
「疾風閃!」
最速の突きでブラックベアの心臓を貫く。まるで剣舞を踊る様に、殺意が籠ったブラックベアの攻撃を優雅に避けながら、雪が降る静かな森でレオンハルトに剣技を見せる。
「円月閃!」
回転切りを放ち、俺を取り囲んだ三体のブラックベアを一度に仕留める。ブラックベアの肉体が輝いて魔石が地面に落ちると、俺は奥義のために精神を集中させた。
「これが封魔石宝流奥義・流星斬だ!」
まるで七回の流星の輝きのごとく、超高速の連撃を叩き込むと、全てのブラックベアが息絶え、地面には無数の魔石が散乱した。
「以上の剣技に封魔陣を加えたものが封魔石宝流の封魔剣舞。これを四閃二斬一陣と言う」
「え……? 師匠、一人でブラックベアを十八体も倒して仕舞ったんですか?」
「あ……そういえば二人の魔物を残すのを忘れていた……」
ついうっかりエルザとレオンハルトに狩らせるつもりの魔物まで仕留めて仕舞った。最後の流星斬で裂空斬を連発し、残る全てのブラックベアを仕留めてしまったのだ。
「シュタイン様……! 凄いです! これがシュタイン様の剣技なんですね!」
「ああ、これが今の俺の全力の技だよ。まだ俺の師匠であるエレオノーレ様には及ばないけどね」
「師匠! やっぱり師匠の本気は凄いです! ヴァルターを仕留めた流星斬も凄かったですけど、Cランクの魔物を舞いながら倒してしまうなんて!」
「将来は俺を追い抜かしてくれよ、レオンハルト。君にはその力がある。勿論エルザもだ」
エルザとレオンハルトの肩に手を置くと、二人は興奮した面持ちで俺を見上げた。まずは二人を鍛えながらフィーネを育て、ゲイザーの襲撃に備えなければならない。まだまだ忙しい毎日が続きそうだが、俺が二人に本気の戦いを見せる事によって、二人の顔つきが明らかに変わった。
きっと二人なら俺とボリスの様な最高のペアになれるだろう。王都イスターツに帰って、仲間達にエルザとレオンハルトを自慢するのが楽しみで仕方がない。
「それでは訓練を始める」
まずは今、この瞬間に集中しよう。限られた時間で、二人を徹底的に鍛えなければならない……。
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クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
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「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
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雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
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期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
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