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第二章「王都編」
第六十四話「どうやら俺はエリカの専属もちもち係兼サポーターだった件について」
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エリカを抱きしめると、彼女は俺の手を優しく握ってくれた。
改めてファッシュが俺を追放した意味を考える。
エリカの言葉によって、パズルのピースが綺麗に嵌る様な心地良さを感じた。
「俺はファッシュに成長を妨げられていたのか。そんな考え方は一度もした事が無かった」
「お前は優しすぎるのだ。普通、荷物持ちがダンジョンで罠を解除するために先頭を歩いたり、七十キロもの鞄を一人で担ぎながら矢を放って敵の注意を引いたりすると思うか?」
「改めて問われると、俺はサポーターとしては働きすぎだったのかもしれないな」
「アドリオンで冒険者と話した時、サポーターの仕事について聞いたのだが、一般のサポーターは罠の解除や魔物のヘイト管理までは行わないのだとか。そして持ち運ぶ荷物も最大で三十キロ程度らしいぞ」
「え? たった三十キロ? 死ぬほど重い鞄を担いで山とか登らされた事もあるんだけど」
「ファッシュは余程お前を恐れていたのだろう。お前が根を上げてパーティーの脱退を宣言するまでいじめ抜くつもりだったのだろうな。だが、お前は何をされても耐え抜いた。そして並外れた精神力と、私の戦闘訓練に耐えられる強靭な肉体を手に入れた。お前の五年間は無駄ではなかったのだろうな」
俺はどれだけファッシュが無茶ぶりをしても答えてきた。
エリカの予想通り、ファッシュは俺の成長を恐れて、俺を虐め続けたのだろう。
いつかは冒険者という職業を投げ出して田舎に帰るとでも思っていたのだろう。
だから俺を五年間も自分の傍に置いていた。
そして何をやっても俺が諦める事が無いと思い、遂に俺を追放した。
「勇者はもっと早いタイミングでお前をパーティーから追放する事も出来た筈だ。だが、五年間もお前を追放しなかったのは、お前を他のパーティーに取られたくなかったからだろう。まともなパーティーに加入すれば、お前はたちまち才能を開花させ、持ち前の粘り強さで剣士や魔術師として大きく成長していた筈だ。勇者の奴はお前の成長を恐れて抑えつけていたのだろうな」
「俺が冒険者を諦めるか、クエストの最中に命を落とすまで俺と共に居たのはそのせいか」
「何にせよ、偽りの勇者の勘は正しかったという訳だ。お前は勇者から自由になるや否や、急激に戦闘能力を開花させたのだからな」
エリカが優しく俺を抱きしめてくれた。
彼女の豊かな胸が俺の体に当たる。
こんな時間がずっと続けば良いと思う。
本当にエリカと出会えて良かった。
ファッシュが俺をこき使っていた意味も今ならはっきりと分かる。
流石に千年以上生き続けているエリカは知能が高い。
彼女の言葉でやっと俺はファッシュの行動の真意を理解した。
「王都での生活、楽しみだね」
「そうだな……これから仲間が増えても、私と過ごす時間はしっかり確保するのだぞ」
「わかってるよ」
「うむ。それではそろそろ上がるか……」
それから俺はエリカと共に浴室を出た。
退屈そうにソファで横になってたアナスタシアが起き上がる。
九本の銀色の尻尾を揺らしながら俺に近付いてくると、再び俺の体に頬を擦り付けた。
「何をするのだ、アナスタシア。せっかくお前やエステル達の匂いが落ちたというのに」
「落ちれば再び匂いを付ければ良いだけの事。わらわ、気に入った人間には自分の匂いを付けたいのじゃ。それはエステル達も同じだった様じゃの」
「全く……アナスタシアはとんだ発情狐だな……」
「わらわはお主と違って素直なのじゃ。好きな相手にはこうして匂いを付ける。魔物として当たり前の事をしているだけなのじゃぞ」
「もう……勝手にしろ! ラインハルトもそんな女狐に構ってないで私の髪を乾かすのだ!」
エリカがバーカウンターに座ると、俺は彼女の長い黒髪を丁寧に乾かした。
それからパジャマを手渡すと、彼女は俺に目を瞑る様に言った。
慌てて目を隠すと、ドレスからパジャマに着替えたエリカが俺に抱き着いた。
ゴスロリ的なパジャマとでも言うのだろうか。
普段身に着けている黒のドレスをパジャマにした様なデザインだ。
全体的にフリフリしているが生地は柔らかく、胸の部分が大きく盛り上がっている。
彼女は自分の胸が小さいと思っている様だが、Dカップなら十分に大きいだろう。
すっかり目が覚めたレーネはシュルスクの果実を食べているみたいだ。
ケットシー達が分けてくれた物を家の中まで運んできたらしい。
この馬車の家も仲間が増えればいつか入りきらなくなる……。
早めに仲間達と暮らす家を確保しなければならないな。
「ラインハルト、今日は一緒に寝るぞ……」
「レーネも一緒!」
レーネが俺とエリカに抱き着くと、俺達はレーネの頭を撫でた。
ウェーブが掛かった栗色の髪が何とも可愛らしい。
身長はエリカよりも僅かに高いが、小柄な彼女はいつも俺の膝の上に座る。
眠る時も基本的に同じベッドを使う事にしているのだ。
「レーネ。前から気になっていたのだが、お前は一人だけ睡眠時間が短いだろう? 私達が眠っている間は何をしているのだ?」
エリカが問うと、レーネはウェーブが掛かった髪を指で回し始めた。
人差し指でクルクルと回しながら、たれ目気味の瞳を細めて微笑む。
「レーネは一人で本を読んだり、外でゴブリンを追いかけまわしたりしてるよ。それから、森にガーゴイルが居る時は一緒に木の実を探しに行ったりするかな」
「ゴブリンを追いかけまわす……なかなか特殊な趣味の持ち主だったんだな」
「違うの。馬車に近付くゴブリンが居れば追いかけて倒してたの」
「そういう事……私達のためにお前も頑張っているんだな。偉いぞ、レーネ」
「うん! レーネは皆の事が好きだから。何か役に立ちたいの!」
エリカは改めてレーネの頭を撫でた。
レーネは基本的に全メンバーと仲が良い。
最も性格が合うのはフローラだろうか。
二人とも物静かで、争いよりものんびりと過ごす時間を好む。
反対にギレーヌやエリカは戦闘を好む。
今日の戦いでもギレーヌはブラックベア相手に雷撃を落とし続けていた。
そして、普段温厚なレーネも戦闘になれば変貌する。
ギレーヌを守るため、勇猛果敢に戦場を駆け回る。
小柄の魔物なら、後ろ脚で蹴り上げれば即死させられる程の脚力を持つ。
それからアナスタシアが風呂に入ると、仕事を終えたフローラが戻ってきた……。
改めてファッシュが俺を追放した意味を考える。
エリカの言葉によって、パズルのピースが綺麗に嵌る様な心地良さを感じた。
「俺はファッシュに成長を妨げられていたのか。そんな考え方は一度もした事が無かった」
「お前は優しすぎるのだ。普通、荷物持ちがダンジョンで罠を解除するために先頭を歩いたり、七十キロもの鞄を一人で担ぎながら矢を放って敵の注意を引いたりすると思うか?」
「改めて問われると、俺はサポーターとしては働きすぎだったのかもしれないな」
「アドリオンで冒険者と話した時、サポーターの仕事について聞いたのだが、一般のサポーターは罠の解除や魔物のヘイト管理までは行わないのだとか。そして持ち運ぶ荷物も最大で三十キロ程度らしいぞ」
「え? たった三十キロ? 死ぬほど重い鞄を担いで山とか登らされた事もあるんだけど」
「ファッシュは余程お前を恐れていたのだろう。お前が根を上げてパーティーの脱退を宣言するまでいじめ抜くつもりだったのだろうな。だが、お前は何をされても耐え抜いた。そして並外れた精神力と、私の戦闘訓練に耐えられる強靭な肉体を手に入れた。お前の五年間は無駄ではなかったのだろうな」
俺はどれだけファッシュが無茶ぶりをしても答えてきた。
エリカの予想通り、ファッシュは俺の成長を恐れて、俺を虐め続けたのだろう。
いつかは冒険者という職業を投げ出して田舎に帰るとでも思っていたのだろう。
だから俺を五年間も自分の傍に置いていた。
そして何をやっても俺が諦める事が無いと思い、遂に俺を追放した。
「勇者はもっと早いタイミングでお前をパーティーから追放する事も出来た筈だ。だが、五年間もお前を追放しなかったのは、お前を他のパーティーに取られたくなかったからだろう。まともなパーティーに加入すれば、お前はたちまち才能を開花させ、持ち前の粘り強さで剣士や魔術師として大きく成長していた筈だ。勇者の奴はお前の成長を恐れて抑えつけていたのだろうな」
「俺が冒険者を諦めるか、クエストの最中に命を落とすまで俺と共に居たのはそのせいか」
「何にせよ、偽りの勇者の勘は正しかったという訳だ。お前は勇者から自由になるや否や、急激に戦闘能力を開花させたのだからな」
エリカが優しく俺を抱きしめてくれた。
彼女の豊かな胸が俺の体に当たる。
こんな時間がずっと続けば良いと思う。
本当にエリカと出会えて良かった。
ファッシュが俺をこき使っていた意味も今ならはっきりと分かる。
流石に千年以上生き続けているエリカは知能が高い。
彼女の言葉でやっと俺はファッシュの行動の真意を理解した。
「王都での生活、楽しみだね」
「そうだな……これから仲間が増えても、私と過ごす時間はしっかり確保するのだぞ」
「わかってるよ」
「うむ。それではそろそろ上がるか……」
それから俺はエリカと共に浴室を出た。
退屈そうにソファで横になってたアナスタシアが起き上がる。
九本の銀色の尻尾を揺らしながら俺に近付いてくると、再び俺の体に頬を擦り付けた。
「何をするのだ、アナスタシア。せっかくお前やエステル達の匂いが落ちたというのに」
「落ちれば再び匂いを付ければ良いだけの事。わらわ、気に入った人間には自分の匂いを付けたいのじゃ。それはエステル達も同じだった様じゃの」
「全く……アナスタシアはとんだ発情狐だな……」
「わらわはお主と違って素直なのじゃ。好きな相手にはこうして匂いを付ける。魔物として当たり前の事をしているだけなのじゃぞ」
「もう……勝手にしろ! ラインハルトもそんな女狐に構ってないで私の髪を乾かすのだ!」
エリカがバーカウンターに座ると、俺は彼女の長い黒髪を丁寧に乾かした。
それからパジャマを手渡すと、彼女は俺に目を瞑る様に言った。
慌てて目を隠すと、ドレスからパジャマに着替えたエリカが俺に抱き着いた。
ゴスロリ的なパジャマとでも言うのだろうか。
普段身に着けている黒のドレスをパジャマにした様なデザインだ。
全体的にフリフリしているが生地は柔らかく、胸の部分が大きく盛り上がっている。
彼女は自分の胸が小さいと思っている様だが、Dカップなら十分に大きいだろう。
すっかり目が覚めたレーネはシュルスクの果実を食べているみたいだ。
ケットシー達が分けてくれた物を家の中まで運んできたらしい。
この馬車の家も仲間が増えればいつか入りきらなくなる……。
早めに仲間達と暮らす家を確保しなければならないな。
「ラインハルト、今日は一緒に寝るぞ……」
「レーネも一緒!」
レーネが俺とエリカに抱き着くと、俺達はレーネの頭を撫でた。
ウェーブが掛かった栗色の髪が何とも可愛らしい。
身長はエリカよりも僅かに高いが、小柄な彼女はいつも俺の膝の上に座る。
眠る時も基本的に同じベッドを使う事にしているのだ。
「レーネ。前から気になっていたのだが、お前は一人だけ睡眠時間が短いだろう? 私達が眠っている間は何をしているのだ?」
エリカが問うと、レーネはウェーブが掛かった髪を指で回し始めた。
人差し指でクルクルと回しながら、たれ目気味の瞳を細めて微笑む。
「レーネは一人で本を読んだり、外でゴブリンを追いかけまわしたりしてるよ。それから、森にガーゴイルが居る時は一緒に木の実を探しに行ったりするかな」
「ゴブリンを追いかけまわす……なかなか特殊な趣味の持ち主だったんだな」
「違うの。馬車に近付くゴブリンが居れば追いかけて倒してたの」
「そういう事……私達のためにお前も頑張っているんだな。偉いぞ、レーネ」
「うん! レーネは皆の事が好きだから。何か役に立ちたいの!」
エリカは改めてレーネの頭を撫でた。
レーネは基本的に全メンバーと仲が良い。
最も性格が合うのはフローラだろうか。
二人とも物静かで、争いよりものんびりと過ごす時間を好む。
反対にギレーヌやエリカは戦闘を好む。
今日の戦いでもギレーヌはブラックベア相手に雷撃を落とし続けていた。
そして、普段温厚なレーネも戦闘になれば変貌する。
ギレーヌを守るため、勇猛果敢に戦場を駆け回る。
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