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第二章「王都編」
第六十八話「冒険者ギルド・レッドストーンに到着したらクラウディア殿下が大歓迎してくれた件について」
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ビスマルク騎士団長と共に王都を歩く。
石畳が敷かれた美しい街に思わず息を呑み、背の低い住宅が立ち並ぶ通りを進む。
「シュヴァルツ様は王都は初めてですか?」
「はい、私はアドリオンを拠点にしていたので、王都を見るのも初めてです」
「そうですか、ここは住みやすい街ですよ。冒険者の登録者数も王国内で最も多いので、周辺の地域で魔物討伐を行う冒険者が多いからか、魔物の襲撃によって命を落とす市民も少ないんです」
「都市を防衛する力が高いから、戦う力を持たない市民が安全に暮らせるという訳ですね」
「その通りです。勿論、時折一般の冒険者や衛兵の手に負えない魔物も街を襲撃してきます。そういう時はクラウディア殿下と王国騎士が討伐に向かいます」
騎士団長はどうやら街で絶大な人気があるのだろう。
通りを歩いているだけで若い女性達が熱心に見つめている。
彼が軽く手を振ると女性達の歓声が上がる。
超絶イケメンでありながら、ファッシュを一瞬で捕らえる事が出来る反則的な能力の持ち主。
いつかは彼の強さに追い付きたいものだ。
「クラウディア殿下も魔物との戦いに参加されるんですか?」
「勿論です。殿下は王国の民を守るためなら、率先して戦いに参加します。それに、殿下自身はBランクの魔術師ですので、大抵の魔物は殿下一人でも討伐出来るのです」
「クラウディア殿下はBランクの魔術師だったんですか……」
「はい、すっかり忘れていましたが、シュヴァルツ様はハンナ・リヒターの逮捕とイステルでのゴブリンロード討伐の功績が認められ。Bランクに昇格する事が決まりました」
「私がギルドマスタークラスの冒険者ですか……」
「そういう訳です。やっと私と同じランクまで上がってきましたね。あなた程のお方ならすぐに追い付くだろうとは思っていましたが、正直、こんなに短期間でBランクに昇格した人はシュヴァルツ様以外には知りません」
俺が騎士団長と同ランク……。
他人を守るために奮闘した甲斐があったというものだ。
「ビスマルク騎士団長もBランクの称号をお持ちなんですね」
「はい、レベル73の魔法剣士です。私は王族を守る騎士ですが、ギルドでは魔法剣士として登録しているんですよ」
「魔法剣士ですか。私はまだ剣も魔法も中途半端なので、暫くはサポーターのまま活動しようと思います」
「ブラックドラゴンや九尾の狐の固有魔法、更には酒呑童子の固有魔法までも習得しているシュヴァルツ様の魔法が中途半端とは! 謙遜するのも美徳ですが、私はシュヴァルツ様程優れた魔術師はいないと思っております」
「ビスマルク様は私が王都で最も優れた魔術師とお考えですか?」
「はい、現代では間違いなく最強です。ソロモン王の死後、魔物の固有魔法を習得出来た者は誰一人居ませんから。このまま鍛錬を続ければ、魔力もすぐに上昇するでしょう。事実、既にシュヴァルツ様はアドリオンに居た頃よりも大幅に魔力が向上した様ですから」
「確かに、魔力は日に日に上昇しつつありますが……私が王都で最強の魔術師とはとても思えません」
騎士団長と共にギルドが立ち並ぶ通りに入る。
どうやらここは様々なギルドが密集するエリアの様だ。
まるで小さな城の様な石造りのギルドがあれば、木造の小さな小屋の様なギルドもある。
「ギルド区は王都中のギルドが密集する区画です。冒険者ギルド・レッドストーンはノイラート城をデザインした魔術師が建設したギルドですので、外観が城に良く似ています」
「あの小さな城みたいな建物ですか?」
「はい。大理石製、ギルド区で最も背の高いギルドなので一度見れば忘れる事はないでしょう」
初めて自分の所属ギルドを見た。
白く美しい大理石の建物にはステンドグラスが嵌っている。
何と豪華な建物だろうか。
ガーゴイル達も多く暮らしている様で、屋根の上で楽し気に雑談をしている。
きっとレッドストーンに所属する冒険者の召喚獣だろう。
騎士団長と共に室内に入ると、まるで図書館の様な巨大な空間に言葉を失った。
壁際には本棚が設置されており、天井までぎっしりと本が詰まっている。
登録者数は意外と少ないのか、それとも今の時間は暇をしている冒険者が少ないのか、室内には十数人しか冒険者は居ない。
「まるで図書館みたいですね」
「初めてギルドに入った冒険者は皆同じ感想を言いますよ。レッドストーン加入者なら自由に使用出来る魔導書、大陸各地の地図、魔物図鑑や召喚書。それからマジックアイテム制作のための図鑑や、英雄の伝記等。冒険者活動をする上で必要な書物は全て揃えてあります」
「これらの本が全て読み放題ですか……」
「はい。ですから、レッドストーンの蔵書を読むためにだけギルドに加入する者も居るんですよ。勿論、加入には厳しい試験がありますので、簡単にはギルドには加入出来ません」
「確か、書類選考と戦闘技能試験、魔法技能試験を受ける必要があるんですよね」
「はい。今この空間に居る者達はシュヴァルツ様が免除された試験を合格して加入した方達です。ですから、皆シュヴァルツ様の実力に期待している様ですよ。いつ王都に到着するかと楽しみにされている方も多かったのですから」
「皆さんの期待に応えられる仕事をしたいものです」
「最も、一番シュヴァルツ様に期待しているのは姫殿下です。そして私もシュヴァルツ様の活躍には期待しております」
冒険者達は食い入る様に俺を見つめている。
加入試験を受けずにレッドストーンに加入した俺の実力が気になるだろう。
流石に姫殿下が選んだ冒険者だからか、身なりも整っており、皆雰囲気の良い人ばかりだ。
ギルドの奥にはカウンターがあり、クラウディア第一王女の姿が見える。
どうやら事務作業をしているのだろう。
王女自らギルドマスターとして勤務するとは何とも新鮮な光景だ。
職員達は全員女性で、グレーのローブを身に着けている。
どうやらローブが制服なのだろう。
ローブの胸の部分にはレッドストーンの紋章が入っている。
Bランク、火属性のレッドドラゴンだろうか。
赤い皮膚をしたドラゴンが剣を掲げているマークがこのギルドの紋章なのだろう。
ブラックドラゴンよりも体が小さく、ランクも一つ低いが、かつては人間と共に暮らしていた事もあるらしい。
ドラゴン系の魔物の中で唯一人間に友好的な種族としても有名だ。
「ラインハルト・シュヴァルツ様!?」
カウンター越しに姫殿下が俺を見つめた。
ウェーブが掛かった銀色のロングヘアが美しく、頭にはプラチナ製のサークレットを嵌めている。
高級感漂う銀のローブを身に着け、腰には金属製の短い杖を差している。
身長は百六十九センチ程だろうか。
ギレーヌよりは僅かに背が低いが、それでもスタイルは抜群。
嬉しそうに駆け寄ってくると、歩く度に豊かな胸が揺れた。
一体どれだけ巨乳なのだろうか。
アナスタシアと同じFカップくらいだろうか。
思わず王女の胸に見とれながら、慌てて跪き、深々と頭を垂れる。
平民の俺が王族である姫殿下に歓迎される日が来るとは思ってもみなかった。
「どうぞ立ち上がって、お顔をよく見せて下さい」
「お久しぶりです、クラウディア殿下」
「はい……シュヴァルツ様の到着を心待ちにしておりました! こうして再会出来て心から喜びを感じます……」
殿下が感極まって俺の手を握ると、彼女の強い魔力が体内に流れてきた。
恐らく聖属性と火、水属性の使い手なのだろう。
強い聖属性以外にも僅かに火と水の魔力を感じる。
それから彼女は親し気に俺の体に触れ、怪我は無いか心配しながら瞳に涙を浮かべた。
一体どれだけ俺の事を心配してくれていたのだろうか。
「イステルでゴブリンロードと対決したと聞きました。無事に戦いを乗り切れた様で何よりです」
「はい、何とか生き延びる事が出来ました。今日はチャールズ・ドーマクを引き渡すために王都に来たのです」
「ドーマク!? まさか、父上が騎士団を派遣しても捕らえる事が出来なかった精霊殺しの事ですか!?」
姫殿下がサファイア色の大きな瞳を見開くと、騎士団長がドーマクの逮捕を報告した。
「やはり私の勘は正しかった様です。アドリオンで一目シュヴァルツ様を見た時から、きっとシュヴァルツ様は冒険者として偉業を成し遂げると思っていました。リヒター盗賊団の団長、ハンナ・リヒターを捕らえるだけではなく、酒呑童子や九尾の狐まで仲間に引き入れ、そしてドライアド殺しのドーマクまでを捕まえてしまうとは……!」
「仲間達に助けられてこれまで何とか生きて来られたんです。全て私が一人で成し遂げた訳ではありません」
「優れた統率力と、悪を見逃さない洞察力。やはりソロモン王が認めた冒険者は短期間で誰にも成し遂げられなかった偉業を次々と達成してしまうのですね。これからもシュヴァルツ様の活躍を期待しております」
柔和な笑みを浮かべながら、クラウディア殿下は俺の手を握って放そうとしない。
余程俺との再会が嬉しいのだろう。
雰囲気はフローラに近いが、フローラよりも遥かに積極的だ。
一緒に居るだけで気分が良くなる様で、やはり殿下が聖属性の使い手である事を実感する。
「シュヴァルツ様! 今日はノイラート城に招待致します。是非家族にシュヴァルツ様の事を紹介させて下さい!」
「クラウディア殿下、提案は嬉しいのですが、私はこれからシュターナーに戻らなければなりません。実は急ぎでドーマク達を運んできただけですので」
「まだお仲間はシュターナーに滞在されているのですね。そうですか……わかりました。それでは昼食には付き合って頂けますね? いいえ、せっかく再会出来たのですから、ご一緒して頂きますよ。よろしいですね? シュヴァルツ様?」
「は、はぁ……勿論、喜んでお付き合い致します」
俺の手を握りながら嬉しそうに微笑むクラウディア殿下に誘われると、どうしても断り切れない。
昼食を食べてから懸賞金を貰ってシュターナーに戻れば良いだろう。
それからクラウディア殿下はギルドの仕事を騎士団長に任せ、嬉しそうに俺の手を握りながらギルドを飛び出した……。
石畳が敷かれた美しい街に思わず息を呑み、背の低い住宅が立ち並ぶ通りを進む。
「シュヴァルツ様は王都は初めてですか?」
「はい、私はアドリオンを拠点にしていたので、王都を見るのも初めてです」
「そうですか、ここは住みやすい街ですよ。冒険者の登録者数も王国内で最も多いので、周辺の地域で魔物討伐を行う冒険者が多いからか、魔物の襲撃によって命を落とす市民も少ないんです」
「都市を防衛する力が高いから、戦う力を持たない市民が安全に暮らせるという訳ですね」
「その通りです。勿論、時折一般の冒険者や衛兵の手に負えない魔物も街を襲撃してきます。そういう時はクラウディア殿下と王国騎士が討伐に向かいます」
騎士団長はどうやら街で絶大な人気があるのだろう。
通りを歩いているだけで若い女性達が熱心に見つめている。
彼が軽く手を振ると女性達の歓声が上がる。
超絶イケメンでありながら、ファッシュを一瞬で捕らえる事が出来る反則的な能力の持ち主。
いつかは彼の強さに追い付きたいものだ。
「クラウディア殿下も魔物との戦いに参加されるんですか?」
「勿論です。殿下は王国の民を守るためなら、率先して戦いに参加します。それに、殿下自身はBランクの魔術師ですので、大抵の魔物は殿下一人でも討伐出来るのです」
「クラウディア殿下はBランクの魔術師だったんですか……」
「はい、すっかり忘れていましたが、シュヴァルツ様はハンナ・リヒターの逮捕とイステルでのゴブリンロード討伐の功績が認められ。Bランクに昇格する事が決まりました」
「私がギルドマスタークラスの冒険者ですか……」
「そういう訳です。やっと私と同じランクまで上がってきましたね。あなた程のお方ならすぐに追い付くだろうとは思っていましたが、正直、こんなに短期間でBランクに昇格した人はシュヴァルツ様以外には知りません」
俺が騎士団長と同ランク……。
他人を守るために奮闘した甲斐があったというものだ。
「ビスマルク騎士団長もBランクの称号をお持ちなんですね」
「はい、レベル73の魔法剣士です。私は王族を守る騎士ですが、ギルドでは魔法剣士として登録しているんですよ」
「魔法剣士ですか。私はまだ剣も魔法も中途半端なので、暫くはサポーターのまま活動しようと思います」
「ブラックドラゴンや九尾の狐の固有魔法、更には酒呑童子の固有魔法までも習得しているシュヴァルツ様の魔法が中途半端とは! 謙遜するのも美徳ですが、私はシュヴァルツ様程優れた魔術師はいないと思っております」
「ビスマルク様は私が王都で最も優れた魔術師とお考えですか?」
「はい、現代では間違いなく最強です。ソロモン王の死後、魔物の固有魔法を習得出来た者は誰一人居ませんから。このまま鍛錬を続ければ、魔力もすぐに上昇するでしょう。事実、既にシュヴァルツ様はアドリオンに居た頃よりも大幅に魔力が向上した様ですから」
「確かに、魔力は日に日に上昇しつつありますが……私が王都で最強の魔術師とはとても思えません」
騎士団長と共にギルドが立ち並ぶ通りに入る。
どうやらここは様々なギルドが密集するエリアの様だ。
まるで小さな城の様な石造りのギルドがあれば、木造の小さな小屋の様なギルドもある。
「ギルド区は王都中のギルドが密集する区画です。冒険者ギルド・レッドストーンはノイラート城をデザインした魔術師が建設したギルドですので、外観が城に良く似ています」
「あの小さな城みたいな建物ですか?」
「はい。大理石製、ギルド区で最も背の高いギルドなので一度見れば忘れる事はないでしょう」
初めて自分の所属ギルドを見た。
白く美しい大理石の建物にはステンドグラスが嵌っている。
何と豪華な建物だろうか。
ガーゴイル達も多く暮らしている様で、屋根の上で楽し気に雑談をしている。
きっとレッドストーンに所属する冒険者の召喚獣だろう。
騎士団長と共に室内に入ると、まるで図書館の様な巨大な空間に言葉を失った。
壁際には本棚が設置されており、天井までぎっしりと本が詰まっている。
登録者数は意外と少ないのか、それとも今の時間は暇をしている冒険者が少ないのか、室内には十数人しか冒険者は居ない。
「まるで図書館みたいですね」
「初めてギルドに入った冒険者は皆同じ感想を言いますよ。レッドストーン加入者なら自由に使用出来る魔導書、大陸各地の地図、魔物図鑑や召喚書。それからマジックアイテム制作のための図鑑や、英雄の伝記等。冒険者活動をする上で必要な書物は全て揃えてあります」
「これらの本が全て読み放題ですか……」
「はい。ですから、レッドストーンの蔵書を読むためにだけギルドに加入する者も居るんですよ。勿論、加入には厳しい試験がありますので、簡単にはギルドには加入出来ません」
「確か、書類選考と戦闘技能試験、魔法技能試験を受ける必要があるんですよね」
「はい。今この空間に居る者達はシュヴァルツ様が免除された試験を合格して加入した方達です。ですから、皆シュヴァルツ様の実力に期待している様ですよ。いつ王都に到着するかと楽しみにされている方も多かったのですから」
「皆さんの期待に応えられる仕事をしたいものです」
「最も、一番シュヴァルツ様に期待しているのは姫殿下です。そして私もシュヴァルツ様の活躍には期待しております」
冒険者達は食い入る様に俺を見つめている。
加入試験を受けずにレッドストーンに加入した俺の実力が気になるだろう。
流石に姫殿下が選んだ冒険者だからか、身なりも整っており、皆雰囲気の良い人ばかりだ。
ギルドの奥にはカウンターがあり、クラウディア第一王女の姿が見える。
どうやら事務作業をしているのだろう。
王女自らギルドマスターとして勤務するとは何とも新鮮な光景だ。
職員達は全員女性で、グレーのローブを身に着けている。
どうやらローブが制服なのだろう。
ローブの胸の部分にはレッドストーンの紋章が入っている。
Bランク、火属性のレッドドラゴンだろうか。
赤い皮膚をしたドラゴンが剣を掲げているマークがこのギルドの紋章なのだろう。
ブラックドラゴンよりも体が小さく、ランクも一つ低いが、かつては人間と共に暮らしていた事もあるらしい。
ドラゴン系の魔物の中で唯一人間に友好的な種族としても有名だ。
「ラインハルト・シュヴァルツ様!?」
カウンター越しに姫殿下が俺を見つめた。
ウェーブが掛かった銀色のロングヘアが美しく、頭にはプラチナ製のサークレットを嵌めている。
高級感漂う銀のローブを身に着け、腰には金属製の短い杖を差している。
身長は百六十九センチ程だろうか。
ギレーヌよりは僅かに背が低いが、それでもスタイルは抜群。
嬉しそうに駆け寄ってくると、歩く度に豊かな胸が揺れた。
一体どれだけ巨乳なのだろうか。
アナスタシアと同じFカップくらいだろうか。
思わず王女の胸に見とれながら、慌てて跪き、深々と頭を垂れる。
平民の俺が王族である姫殿下に歓迎される日が来るとは思ってもみなかった。
「どうぞ立ち上がって、お顔をよく見せて下さい」
「お久しぶりです、クラウディア殿下」
「はい……シュヴァルツ様の到着を心待ちにしておりました! こうして再会出来て心から喜びを感じます……」
殿下が感極まって俺の手を握ると、彼女の強い魔力が体内に流れてきた。
恐らく聖属性と火、水属性の使い手なのだろう。
強い聖属性以外にも僅かに火と水の魔力を感じる。
それから彼女は親し気に俺の体に触れ、怪我は無いか心配しながら瞳に涙を浮かべた。
一体どれだけ俺の事を心配してくれていたのだろうか。
「イステルでゴブリンロードと対決したと聞きました。無事に戦いを乗り切れた様で何よりです」
「はい、何とか生き延びる事が出来ました。今日はチャールズ・ドーマクを引き渡すために王都に来たのです」
「ドーマク!? まさか、父上が騎士団を派遣しても捕らえる事が出来なかった精霊殺しの事ですか!?」
姫殿下がサファイア色の大きな瞳を見開くと、騎士団長がドーマクの逮捕を報告した。
「やはり私の勘は正しかった様です。アドリオンで一目シュヴァルツ様を見た時から、きっとシュヴァルツ様は冒険者として偉業を成し遂げると思っていました。リヒター盗賊団の団長、ハンナ・リヒターを捕らえるだけではなく、酒呑童子や九尾の狐まで仲間に引き入れ、そしてドライアド殺しのドーマクまでを捕まえてしまうとは……!」
「仲間達に助けられてこれまで何とか生きて来られたんです。全て私が一人で成し遂げた訳ではありません」
「優れた統率力と、悪を見逃さない洞察力。やはりソロモン王が認めた冒険者は短期間で誰にも成し遂げられなかった偉業を次々と達成してしまうのですね。これからもシュヴァルツ様の活躍を期待しております」
柔和な笑みを浮かべながら、クラウディア殿下は俺の手を握って放そうとしない。
余程俺との再会が嬉しいのだろう。
雰囲気はフローラに近いが、フローラよりも遥かに積極的だ。
一緒に居るだけで気分が良くなる様で、やはり殿下が聖属性の使い手である事を実感する。
「シュヴァルツ様! 今日はノイラート城に招待致します。是非家族にシュヴァルツ様の事を紹介させて下さい!」
「クラウディア殿下、提案は嬉しいのですが、私はこれからシュターナーに戻らなければなりません。実は急ぎでドーマク達を運んできただけですので」
「まだお仲間はシュターナーに滞在されているのですね。そうですか……わかりました。それでは昼食には付き合って頂けますね? いいえ、せっかく再会出来たのですから、ご一緒して頂きますよ。よろしいですね? シュヴァルツ様?」
「は、はぁ……勿論、喜んでお付き合い致します」
俺の手を握りながら嬉しそうに微笑むクラウディア殿下に誘われると、どうしても断り切れない。
昼食を食べてから懸賞金を貰ってシュターナーに戻れば良いだろう。
それからクラウディア殿下はギルドの仕事を騎士団長に任せ、嬉しそうに俺の手を握りながらギルドを飛び出した……。
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