精霊物語 - 精霊の最強パーティーで成り上がり -

花京院 光

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第十七話「新たな魔法」

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 宿を出て魔法石を探しに行く事にした。火属性の攻撃魔法の魔法石を購入し、新たな魔法を習得しよう。パーティーには三人も火属性の使い手が居るのだから、魔法石を一つ購入すれば三人で共有する事が出来る。他の属性の魔法石よりもお得という訳だ。

 俺達はオスカー・ゲーレン氏が営む魔石屋に向かう事にした。フィリアの魔石とユニコーンの魔石を譲ってくれた店主が営む店だ。主に召喚用の魔石を取り扱っているが、店内には魔法石も幾つかあった。

 イリスが破壊した店は既に元通りになっており、通常通り営業している様だ。店内に入ると、店主のゲーレンさんが駆け寄ってきた。

「冒険者、ユリウス・ファッシュ! 魔石を取り戻してくれてありがとう。君が居なければこの町はドラゴンに襲撃されていただろう。本当に感謝しているよ」
「お役に立てたなら光栄です。それから、ユニコーンを譲って下さってありがとうございました」
「なぁに、気にする事はない。それより、ドラゴン討伐の報酬を冒険者の家族に分配したんだって?」
「はい。今お金が必要なのは俺ではありませんからね……今回の事件で、冒険者として地域を守り続けた人達が大勢亡くなったと聞きました。俺に出来る事はお金を寄付する事くらいですから」

 イリスは目に涙を浮かべてゲーレンさんに頭を下げた。エルフリーデを誘拐されたとしても、襲撃事件を引き起こしたのはイリスに違いない。彼女がドラゴンの魔石を盗まなければ、冒険者達は廃城で命を落とす事も無かっただろう。

「ゲーレンさん、本当に申し訳ありませんでした……」
「良いんだよ。俺の店はこうして元通りになった。修復の魔法に長けた魔術師が店を直してくれたんだ」

 ゲーレンさんが微笑むと、イリスは涙を流しながら俺の背中に抱きついた。俺はそんなイリスを優しく抱きしめた。

「ゲーレンさん、今日は相談があるのですが。火属性の魔法石って取り扱ってますか?」
「魔法石の種類は少ないが、いくつか取り揃えているぞ。うちは召喚用の魔石、召喚石の専門店だからな」
「そうだったんですね。どうりで魔物の魔石が多いと思いました。ところで魔石にも色々種類があるんですね」
「うむ。魔石は大きく分けて三種類。属性石、魔法石、召喚石。属性石は名前の通り、属性を持つ魔石。駆け出しの魔術師が属性の雰囲気を掴むために使用する魔石だ。魔法石や召喚石の事は知っているだろう?」
「はい。魔法石は魔法を使用出来る魔石、召喚石は魔物や精霊を召喚するための魔石ですよね」
「そうだ。魔法石は強い魔法能力を持つ魔物が死の際に落とす魔石。召喚石は空の魔石に魔物や精霊を封印したもの」

 ゲーレンさんはカウンターに三種類の魔石を乗せた。火属性の属性石とファイアの魔法石、それからゴブリンの召喚石だ。

「属性石はダンジョンの中で見つける事が出来る。空の魔石とは、属性石が力を失った物だ。属性石を繰り返し使用すれば、魔石内の魔力が枯渇する。魔力を失った魔石に魔物や精霊を封印した物が召喚石だ」
「ダンジョンを探索すれば属性石を見つけられるんですか?」
「そうだ。ダンジョン内でも魔力が濃い下層で見つける事が出来る。魔物は属性石の力に魅了されてダンジョンに潜るという説を唱える者も居る。ダンジョン自体が属性石を作り出すのだ」
「そうだったんですね」

 俺は一通り魔石の説明を受けると、ゲーレンさんはカウンターに火属性の魔法石を置いた。魔石の中には火属性の魔力で作られた炎の槍が漂っている。

「これはフレイムランスの魔法石。炎の槍を作り出し、対象を貫く攻撃魔法だよ」
「炎の槍ですか。この魔法石はいくらですか?」
「250ゴールドだよ」

 俺はゲーレンさんからフレイムランスの魔法石を買い取った。フィリアは俺が火属性の魔法石を購入したからだろうか、嬉しそうに微笑んで俺の手を握った。ガントレット越しに彼女の心地良い火の魔力が流れてくる。

 魔石屋を後にすると、俺達は町を出てダンジョンに向かった。今日は三階層を攻略する。可能であれば四階層にも挑戦するつもりだ。幸い、三階層には闇属性の魔物の棲家になっている。聖属性の魔法の使い手である俺は属性的に有利に戦う事が出来る。

 聖属性は闇属性を滅ぼす属性。中でもホーリーの魔法は低レベルの闇の魔物を消滅させる力を持つ。スケルトン程度の魔物なら一撃で消し去る事が出来る。

 新しく購入したフレイムランスの魔法石を握り、新たな魔法の力を感じながら森の中を進む。左手に魔法石を持ち、右手から火属性の魔力を放出する。

「フレイムランス」

 魔法を唱えると小さな槍が現れた。大きさは大体三十センチ程だろうか。魔法自体は成功したが、まだまだ威力は低いみたいだ。ダンジョンまでの道で何度も炎の槍を作る練習をした。槍は徐々に長くなり、槍自体が持つ火の魔力は高まりつつあるが、フィリアのファイアストームの足元にも及ばない。

 生まれつき魔力が高かった訳でもなく、魔法能力は人よりも劣っていた俺は、努力を重ね、ついに聖属性の魔法を習得した。どんな魔法でも時間を掛けて練習すれば、いつか必ず習得出来る、そう思って聖属性の魔法を学んでいた。

「ユリウス。私もフレイムランスを試してみたいわ」

 俺はフィリアにフレイムランスの魔法石を渡すと、彼女は左手で魔法石を持ち、右手で杖を構えた。瞬間、爆発的な火の魔力が炸裂し、森の中の温度を一気に上昇させた。

「フレイムランス!」

 フィリアが魔法を唱えた瞬間、二メートル以上の巨大な炎の槍が現れた。フィリアは炎の槍を森に飛ばすと、木々をなぎ倒し、炎の槍は遥か遠くまで飛んだ。やはり生まれ持った魔力が違うんだ。破壊の精霊か……彼女の魔法能力に追いつくには、朝の二時間の狩りだけでは足りない。深夜も魔法の訓練をしよう。

 フィリアの魔法を受けた木々は瞬く間に燃え始めた。エルフリーデが森に対して氷の魔力を放つと、炎上していた木々は一瞬で鎮火した。フィリアだけではなく、イリスやエルフリーデも強力な力を持つ精霊だ。彼女達を守るためにも、俺は更に訓練を積んで強い冒険者になる……。

 暫く移動を続けると俺達はダンジョンに到着した。ダンジョンの入口にユニコーンとイリスのストーンゴーレムを待機させる。ユニコーンは心配そうな表情を浮かべ、顔をすり寄せてきた。ユニコーンの頭を撫でながら直ぐに戻ると伝えると、彼は満足そうに頷いた。

 ダンジョンに潜ると、一階層に魔物の姿は無かった。昨日俺達が狩り尽くしたからだろう。そのまま二階層に降りると、ファイアスライムが数体湧いていた。魔剣に風の魔力を込めて切り裂く。もはや数体のファイアスライムは俺達の敵ではない。

 三階層に続く階段を降りると、肌を刺すような禍々しい魔力が流れてきた。闇属性の魔物が居るのだろう。予めホーリーの魔法を作り上げ、ダンジョンを照らしながら薄暗い通路を進む。

 ジメジメした気味の悪い空気と、魔物が腐敗したような刺激臭が漂っている。リビングデッドの臭いだろうか、強烈な臭いを辿りながらダンジョンを進むと、通路の先には無数のリビングレッドの群れがうごめいていた。

 敵の数は三十体程だろうか、黒い肌に赤い目。体にはボロの布を纏っており、錆びついた剣や斧を手に持っている。リビングデッドの群れは俺達の存在に気づくや否や、武器を振り上げて一斉に襲い掛かってきた。

「ソーンバインド!」

 瞬間、イリスの茨がリビングデッドの足に絡みついた。エルフリーデが杖をリビングデッドの群れに向けると、無数の氷の針が放たれた。エルフリーデのアイスニードルはリビングデットの腐敗した体を貫くも、ダメージは少ないようだ。リビングデッドは足に絡みつく茨を強引に引きちぎり、武器を構えて襲い掛かってきた。

 俺は魔剣を右手で構え、左手に火の魔力を込めた。リビングデッドの攻撃を魔剣で受け、左手に溜めた炎で反撃をする。小さな炎の槍がリビングデッドを貫くと、腐敗した体は瞬く間に炎上した。

 燃え上がるリビングデッドに対し、魔剣での垂直斬りを放ち、敵を真っ二つに切り裂く。フィリアはファイアランスを次々と放ち、瞬く間にリビングデッドの群れを駆逐した。辺りには燃え尽きた無数の死骸が散乱している。

 やはりフィリアは強い。魔法を制御する感覚さえ覚えてしまえば、レベル50の威力で攻撃魔法が使えるのだからな。イリスはあまり活躍できなかったと嘆いたが、彼女のソーンバインドは一瞬で全てのリビングデッドの行動を阻害した。

 精霊達の魔法能力も高いが、アレックスの戦闘能力も非常に高い。無数のリビングデットに囲まれても、表情一つ変えず、次々と斧で敵を薙ぎ払う。力任せではあるが、技術の不足を余りある筋力でカバーしている。俺も彼等の強さに追いつくために鍛錬を積まなければならないな……。

 それから俺達は三階層に巣食うリビングデッドを狩り尽くした。最深層である四階層に降りるための階段を探していると、俺達は魔物が巣食う部屋を見つけた……。
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