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第1章 Encounter
ひとりきりの前伴奏
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「では、このクラスの伴奏者は相原さんに決定です」
クラスメートがそう言うと、拍手が沸き起こった。それと同時に、チョークと黒板の擦れる音が軽く響く。
暑苦しい日差しが降り注いだ教室の中、その光が届くことの無い廊下側の席で、僕はその拍手を受け止めた。
「このあと、相原さんには楽譜を配るので、職員室へ来てください」
担任は僕を見てそう告げた。その表情は、心なしかいつもよりも明るい。僕はその期待に応えるように頷いた。
思えば、伴奏者になったのも、高校生活中では2回目だ。
僕は特別ピアノが上手いという訳ではないのだが、皆ピアノの伴奏は僕がいいと推薦してくれるのだ。
…いや、本当は「出来る人に任せよう」という本能から選んでいるのだろうけれど。
そうだったとしても、普段誰かに頼られることのない僕にとっては嬉しいことだった。
…これが「ピアノを弾く」ということでなければ、どれほど良かっただろう、とも思うが。
クラスメートがそう言うと、拍手が沸き起こった。それと同時に、チョークと黒板の擦れる音が軽く響く。
暑苦しい日差しが降り注いだ教室の中、その光が届くことの無い廊下側の席で、僕はその拍手を受け止めた。
「このあと、相原さんには楽譜を配るので、職員室へ来てください」
担任は僕を見てそう告げた。その表情は、心なしかいつもよりも明るい。僕はその期待に応えるように頷いた。
思えば、伴奏者になったのも、高校生活中では2回目だ。
僕は特別ピアノが上手いという訳ではないのだが、皆ピアノの伴奏は僕がいいと推薦してくれるのだ。
…いや、本当は「出来る人に任せよう」という本能から選んでいるのだろうけれど。
そうだったとしても、普段誰かに頼られることのない僕にとっては嬉しいことだった。
…これが「ピアノを弾く」ということでなければ、どれほど良かっただろう、とも思うが。
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