ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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10.刷り込みはやったもん勝ち!

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マルクスと一緒にラムス殿の屋敷に向かう。
馬で行こうと思ったら、横のこいつが馬上では極秘な事も話せないと言って、無理やり馬車に乗せられた。


****


「で、極秘な話とは何だ」
「その女子"迷い人"だろ」
「・・・。」
「因みに、諜報部は探りに"あの国"に人を送ったぞ」
「・・・。」

この情報、此処だけの話しなと言って、人差し指を口の前に立ててニヤッと笑うマルクス。


「俺に何が聞きたい………」


そう言ってこいつが俺に本来聞きたい事を促した。

「お前が信用した理由----」

その直球な質問に言葉が出ない。何故なら道すがら話を聞いて"迷い人"という結論が出たが、礼がしたいと言ってこの国に連れて行こうとした時点では、それすらも分からない人間だった。
素性の分からない人間をじゃ何故信用したかと聞かれれば、直感としか今は答えようがない。それをマルクスに言ったら、要らぬ誤解を呼びそうだ。考えて出した答えが「会えば分かる」だった。

うーんと納得できなさそうに唸りながら、じゃ次!と言って「その女子の第一印象は?」と聞いて来た。
その質問に意味があるのかと聞くと、大いにあると鼻息を荒くして言われる。

仕方なくぽつりぽつりと印象を言うと、その度にその時どう思っただの、その時俺がとった行動を聞かれた。これは何の誘導尋問だと聞くと、マルクスはとんでもない事を言って来た。



「ベルナール君の一目惚れ度を確認してた」



思わず鞘に手をあてる。慌てて言い直すマルクス。

「冗談だ!!お前、嫌な奴はすぐ態度と言葉に出るんだよ。その女子に対する扱いがどうだったか知りたかったんだ。"刷り込みはやったもん勝ち"。好印象でこっちにその女子が付いてくれれば、いい手札になる」
「!」

マルクスの言葉は、利用する可能性があるではなく、利用する確定で話をしている。

「もうすでに手札として使ったけどな。ザルビアがこちらに使者を送る準備をしてるって、うちの間者から連絡が来た。まぁ、かの者が"迷い人"の可能性ありってわざと向うに情報を漏らしたせいだけどな」

俺の苦い顔をよそに、クスクス笑いながら続きを話すマルクス。

「で、使者が来るって事は、多分停戦だろう…その理由もその女子が原因、というかその後ろにある"あの国"のせいかな。うちの王もその停戦を受けるだろう。もう3年も膠着状態だからな。お互いの国の為にもならないし………さて振り出しに戻りますが、お前の話によるとターベル国いい人、ザルビア国悪い人の刷り込みが彼女には出来上がってるわけだが、あの子の印象を覆す為に、ザルビアは使者として誰を送って来るでしょうか?」

「………そんな事分かるか!王自ら来るとでもいうのか?!」
「おしい!皇太子の方だ。見目麗しいお前に対抗出来るのは、あの皇太子しか居ないよな」

「俺の事はどうでもいい、国と国との交渉ごとに外見は必要ないだろう!!」
「チ、チ、チ…。ザルビアはターベルではなく"あの国"=トーカ殿に目を向けてる。間違いなく話し合いにもあの子を持ち出して来るだろう……あの子、この世界を動かす爆弾って所かな」


俺の苦い顔に気づいたのか、すまなそうにマルクスが言う。

「好印象は一目惚れの鉄則みたいなもんだ…。"迷い人"にその刷り込みをお前がやった。それは政治的にはラッキー。そして、ベルナール…恋愛ではこの場合、アンラッキーだ」

「……………何でそこで恋愛が出る」
「んっ?気に入ったんだろ?お前、嬉しそうに頭撫でられたそうじゃないか」

「…………コロス」
「えええっ…、誰を?俺を?情報源を?わっ、鞘から手を離せ!!ぎぁー……………」


馬蹄は何やら馬車内から叫び声のようなものが聞こえたが、すでに目の前にラムス邸が見えた為、そのまま門をくぐり玄関前に馬車を進めた。

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