ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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43.ぎゃはははは・・・

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「皆、ナーニワが見えてきましたぞ!この国の名物はモルデガモのシチューですぞ!ワインもこの国の気候がいいのか天下一品!!」
「・・・。」


そう説明する、目の前のおっさんにガンを飛ばす俺。そして、昨日の晩の事を思い出す。

あの衝撃的な話の後、ゲル様は俺にトーカの後を極秘で追うよう命じた。ディオは元々トーカ付きの特別騎士隊の1人で、グランの部下だから勿論一緒に行く。


そこまでは、良かった。そ・こ・ま・で・は!


この呑気なおっさんのせいで、それが大人数の旅行になった……。

職を辞し暇な身の私も行こうと言い出したのが発端だ。
保留にされているだけだろう!とゲル様が突っ込むと、それならば保留の間の旅行ですなと、切り替えたおっさん。
それを聞いて、ならば私も有給を使って旅行に出ると言い出したベルナール。
個人の休暇に口は出せないゲル様を他所に、今度はクロード皇太子も、私も有給を使うかと言って加わった。じゃ、ついでに俺もいいすっかと便乗して名乗りを上げる健太……。


芋づる式に同行者が増え、皆旅行・・に出る事となった……。


そして、執務室に1人残されたゲル様が部屋で何を思ったかは言うまでもない…。
執務室に書置きをし、必死な顔で俺達を追ってきた時は、ターベル国は大丈夫かと心配になった。

今頃王城ではすごい事になっているだろう……………。


しかしこの面子、全員が目立つこと極まりない。
その目立つ1人であるKYなおっさんに、俺の他にギルスさんもガンを飛ばしていた。
この中で俺とギルスさんだけが、今のところ常識人だ。
あいつを番認定した人間は、本能むき出しの野獣になる。それを押さえる俺達は、人並みならぬ苦労をしてるわけだ……。

ギルスさんはまだいい、皇太子だけだからな!
俺は何人おもりをするんだ?!溜息をつきながら後ろを振り返る。

ラムス閣下にゲル様、ベルナール……。
健太までじゃねぇだろうなと思って顔を見たら、それを察したのか自分を指さして、ブンブンと横に首を振った。番認定していないと分かり、ほっとする。

健太は結構頭の回転がいい。機転も利く。鍛えればいい諜報員になると思った。
今こうして、ナーニワに来ているのだって、こいつの意見だ。

カルガラに向かおうとしていた俺達を、こいつは止めた。


「ちょっといいっすか。先に追手として行ったグランって人達から今だ何の連絡もないんすよね。それなら、進展がないって事じゃないっすか?因みに俺、ナーニワが怪しいと見てるっす!」

全員がグラン達から連絡がない事には引っ掛かりがあった。だから、健太が怪しいと思う理由を聞く。

「ナーニワって国名が、桃花さんの生まれ育った所と同じ名称なんすよ。それと食べ歩きランキングの評価星の多さっす。食い意地は人一倍の桃花さんですからね…、名前でまず食い付いて、星数が背中を押したみたいな映像が俺には見えたっす」

「「「・・・。」」」


そこに居た全員にも、その映像が見えた……。


結局、ディオにカルガラに居るグランに、俺達がナーニワに行くことの伝令をお願いする。この意味が分かれば、反対側から回って挟み込んでくれるだろう……。



そして、健太の読みは当たっていた……。
ナーニワに着いた途端、バカ猿の食い散らかした跡が出まくった。どの店にも食いに行ってたみたいで、目撃情報が出るわ、出るわ…。しまいには、お前は何の為にターベルを出たんだという疑問が出るぐらいだった。

冷静なギルスさんが心底残念そうに呟く。






「もう・・・お金が無いのでは?・・・・・」




その一言で、健太以外全員が脱力した。

「ぎゃはははは・・・」

大笑いする健太。脱力しながら聞てみる。

「…気持ちよく大笑いしてるとこ申し訳けねぇんだがな、この後の予測ってつくか?」
「無理っす」

一呼吸も考えずに答えた健太。…………理由を聞く。

「あの人追い込まれた時に限って、行動が読めなくなるっすよ。強運が導くって言うか、何と言うか……」


その言葉に心当たりがあり過ぎて、また全員が脱力した。

仕方なく泊まった宿屋などを聞き込みをして、何かあいつの手掛かりがないか探す。すると、1軒の宿屋で有力な手掛かりをクロード皇太子達が持って来た。

「姉弟で泊まったらしんだが、その姉が聞いた事のない鈍り。しかも、嘘泣きして宿代をケチろうとしたらしい……」
「ぎゃはははは・・・間違いなく、桃花さんだ!ぎゃはははは・・・、俺笑い死にしそうっす!!」


そう言ってまたも、大笑いする健太。
笑い死にすると言う健太をほっといて、クロード皇太子に再度聞く。

「…クロード皇太子、その一緒に泊まったって言う少年の詳細は分かりますか?」
「歳は、11~13ぐらいで、人種は白だ。髪色は茶色で目は緑。ロバで行商しているとまでしか分からなかった。ただ…妙な事に、姉の方が先に出立して、その数時間後に弟が出立したと言っていた。弟の方が殴られたような怪我をしていたせいか…宿代がなく、トーカがその少年と同室しただけなのか……」


それを聞いてピタリと笑うのを止めた健太。全員が健太に視線を向ける。

「何かあるのか?」
「それ怪しいっすね……あの人の関わり方って、全て喧嘩で始まるっすよ」

その言葉にまた、心当たりがある全員。

「じゃ、やっぱりそいつと一緒ってことか?」
「……だが、出立は別々だったと言っていた」

俺が言うとベルナールが疑問をぶつける。

「その弟の怪我の治療何処でやったかすぐ探すっす!」
「何で探すんだ?」
「身元が分かれば、手掛かりになるかもっす」

その言葉が終るか終わらないかで、番認定者全員が散らばった…。
広場に健太と2人立ったまま、その素早さに惚ける。が、ある人物も居ない事に気が付く。


「ぎゃー…!ゲル様も居ねぇ!!」


慌てて頭脳だけのゲル様を追っかける。勘弁してくれよ…。そんな俺に、健太はいってらっしゃ~いと呑気に手を振っていた。

そして、すぐに街医者が見つかった。クロード皇太子が見つけたあの宿屋のすぐ側だった。

「その少年、東のゴルダに向かう途中で物取りにあったらしい。それをトーカが救ったって話だ」
「読みは当たったぞ。グラン殿達が反対側から回って挟み込んでくれたら掴まえられるのではないか?」
「そうでござるな!これも健太殿のおかげだ」

クロード皇太子の報告にゲル様とラムス閣下が歓喜の声を上げる。
そんな健太が、あることをクロード皇太子に聞く。

「因みに、その物取り捕まったんすか?」
「あぁ。警備隊の者が森に行くと、2人は失神して、あと1人は…手首にヒビが入ってたらしい」
「ぎゃはははは…、半端ねぇ握力っす!!絶対あの人にち○こ握ってほしくないっすね!子種じゃなく別の物がでるっす。もうあそこはスプラッタ―っすよ。命がけの子作りっ半端ねぇ!ぎゃはははは……」


ここにその番認定者がいるとも知らず、そう言って大笑いする健太。
当の番認定者はぶるっと身震いしながら股間を押さえてる…。関係ない俺も、股間のモノがキュッと縮んだ。

ギルスさんと顔を見合わせて、脱力気味に言う。


「先を急ぎますかね……」
「ですね……」


そして、2人して大きな溜息を吐いた。
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