ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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61.勿体ない、ラッキーアイテム…

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「しかし、この奥に一体何があるんだ?」
「この兵士の様子から、この先に行ってもらっては困るものがあるんだろう」


ガントが一般ピープルな俺を庇いながら、兵士を叩き斬ってくれてる。
ベルナールとビリーは先頭でこの先にある何かの為に、必死に前の道を押し進んでいた。

広い城内を闇雲に動き回ってるだけで、モンキー娘もゲル様も見つからない…。時間だけが過ぎた。
今の俺達は、この奥に期待するしかない…


「はぁ…しかしこれ以上来たらやばいな。ポポ達は何処にいんだ?兵士だけじゃなく魔術師まで来てみろ、最悪だぞ」
「ガント~!!言霊になるから声に出すなよ。俺そう言う迷信、信じるタイプなんだぞ!!」
「迷信だろ?お前結構、小心者だな」

そう言って笑うガントにベルナールの声が聞こえた。


「言霊になったぞ!!」


前方から、神官服を着た男どもが来るのが見えた。

「がぁー、ガントのバカ野郎!責任取れ!!」
「俺か?俺が悪いのか?!」

もうすでに術を唱えてるのが見えた。その途端、全員が縛りを受ける。
デッドエンドだ。

俺の人生短かったなぁ…。人生に悔い無しって言える歳でもねぇ。
でも何でだろう、モンキー娘と知り合えたことだけは、良かったなと何故か思う。そして数ヶ月と短かったのが、非常に残念に思えた。ベルナール達と違って、番認定はしてない?と思うが、これからも一緒にいたかったと、こういう状況で自覚してしまった。


前にいるベルナール達に数人の兵士が剣を振り上げる。あぁ…親友が殺される瞬間が、俺の最後の風景なんだ。
見たくねぇな…目を瞑りたいが縛られて目も瞑れねぇ。それなのに涙だけは出た。縛られてるんなら涙腺も縛られろよ!

ベルナール、お前は今どんな顔をしてる?お前の場合悔いばっかりが残るんじゃねぇかな?
バカ猿に告白もしてねぇし、助けに来たのに何の役にも立たずに死ぬんだからな。それでも、お前は騎士道を貫いたことは、誇りに思うんだろうな。俺は何を誇りに思って死のうか…。

そして、ベルナールに剣が振り降ろされる。

突如、奥から大勢の声と足音が聞こえ出した。気を取られた兵士が、ベルナールに振り降ろした剣を途中で止める。一瞬助かったと思ったが、自分の視界に飛び込んできたのが傀儡だったことで苦笑する。

しかしその傀儡の行動が変だった。

向うの兵士や魔術師を斬っていく傀儡。向うの兵士も何が起てるのか分からないようで、体制が乱れた。そして傀儡が俺達の前に来て、縛りを解いた。自由になったことで、疑問の声が出る。


「どういうことだ?!」


あれだけいた敵の兵士が、傀儡達に倒されていく。自分達の進路が開かれ、傀儡達が俺達に敬意を持って膝まづいた。そして、さっき俺達の縛りを解いた傀儡が話し出す。

「我らをお救い頂き、何とお礼を申したらよいか…。この先に、祖の王達とトーカ様がおられます。そして今、祖の王達は危険な状態…、お力を拝借いたしたくジル殿から言付かってまいりました」

ちょっと待ってくれ。状況が読めなさすぎる。
ベルナールが俺達を見てから、その傀儡に言葉を返した。

「私はベルナール。トーカ殿を助けに来たが、祖の王が危険と言うのならば、我らも出来る限り力を貸す所存。だが、今一つ状況が把握できぬ故、説明をお願いできるか?」
「ごもっともでございます。私の名は、神官のナダルと申します。取りあえず急を要することゆえ、ついて来ていただけますか?説明は道すがらいたします」
「分かった」


そう言って、奥の部屋に続く廊下を急ぎ早に足を進め説明を聞く。


聞き終わる頃には、1つの大きな扉の前だった。そして、扉を押し開いた…


***


出遅れた!間違いなく、我らは出遅れたーーー!!
何故なら、今だ城門前(スタート位置)から動いていないからだ!!
何もかもこの人のせいだ。(もうトーカ殿のように、おっさん呼ばわりしてやる!!)


隣りの塔の方では、すでに何かが起っているようで、大勢の戦う声が響いていた。そして城内では大きな爆発音もした。

俺達は、城門付近になだれ込んで来た兵士達を制圧したまでは良かった。(ほとんど豹変したおっさんがやったんだが・・・)

その後が問題だった。
人間の言葉を理解しない獣と副隊長とのやり取りに、敵と戦うより労力と時間を食っていた。



今も必死で、副隊長が身振り手振りで宥めている姿は、まるでゴリラに手話を教えているようだ…。

「ら…ラムス閣下!もう制圧しました…お・わ・り・です!どうか人間にお戻りを!!ち、違ったーー!どうか正気にお戻りを!!」


ザルビアのババ将軍達はもう自分達だけで行くつもりなのか、城内に足を向けている。
くそっ!我等だけまた出遅れる、そう思った瞬間・・・塔に行っていたクロード皇太子達と、傀儡と思われる人間達が一斉にこっちにやって来るのが見えた。
ババ将軍も城に行きかけた足を止め、皇太子の一群を待つ。

「ババ将軍、今から城内に攻め込むぞ!傀儡の解放をトーカ殿がやってくれたのだ」

そう言って、一群がそのまま城内に入る。おっさんはここに残すしかないかと副隊長と顔を見合わせていると、突如鼻をクンクンしだしたおっさん。そして、雄たけびを上げる。


「ウオォォォーーー!」


だめだ…漸く言葉を理解しかけたのに、何のスイッチが入ったか、また獣に戻ってしまったおっさん。
今までの苦労も水の泡と消え、脱力した副隊長・・・。
だが、この獣がいい仕事をやってくれる事となる。


「匂う!!匂うぞ!!」


そう一言いい残し、城内に向かって走り出したからだ。

「えっ、何が?あっ、ちょっと・・待って・・どちらへ!!」

副隊長の声も無視して、城内に入ったおっさんに慌てて俺等も後を追う。
右へ左と迷いもせず突き進むおっさんに、期待が湧きだした。

はぐれたトーカ殿の所に一直線に向かったのは、この人だった事を思い出す。

風に乗って微かに匂う生理臭を追って辿り着いたからだ。(しかも、生理も終わっての微臭でだ…。)

そこで初めて、自分達がこのラッキーアイテムを無駄にしていた事を残念に思った。
そして、先に行った隊長達もこのラッキーアイテムに気づいていればと、心底残念に思えた・・・。



どんどん先を行くラムス閣下。(敬称を思わず戻す)
もうそこからは猟犬を放した狩人の気分だった。
途中で敵の兵士に会うも、邪魔だとばかりに殴り飛ばす閣下。


そして、ある大きなの扉を突き破る。
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