ヤンキー・モンキー・ベイビー!

卯月うさぎ

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133.お前は一体何処におんねん!そして、怨念はそこにおんねん!前編

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「なぁジル、もう一度確認するがバカ猿は誰のところに転移したと思う?」
「祖の王に決まってるだろ。こういう場合一番確実で信頼できる人間に言うべきだ。だからこうして、王の居室に向かってんだろ?」

例の王城の隠し通路を使って王の居室に向かう面子。進むにつれて、不安で俺の足は重くなっていた。

「そうだよな…普通はそうなんだ…普通は……むぅ…何だろうこのモヤモヤした感じは……」
「・・・。」
「因みに、こうなった経緯を考えても普通じゃないっすよ、あの人の頭の中……」
「・・・。」

そうなのだ引っかかりはそこなんだ。


その発端を思い出す・・・。

カラスから聞いた情報を庭で寛いでいた全員に話した。全員が信じられないという顔をしたが、カラスの情報だというと皆が納得できなくも、ローレリアに行く必要があると答えを出した。


すぐにジルがポポに指示を出す。

「ポポ、悪いが転送を頼めるか。俺と健太・・念のためベルナール、グランも来てくれ」
『私が行ってくる!』
「却…かだ、ん?・・・・・」

バカ猿が自分が行くと言ったので、却下だと俺が振り向いたらもう姿が無かった。
バカ猿が居たであろう場所を見続けること数秒・・・。


「ぎゃぁーーー・・・!!」



・・・で、作戦も何もすっ飛ばして飛んで行ってしまったバカ猿を、慌てて追って来たという訳なのだが・・・
全く前回いえでと同じ経緯である為、他の奴らも引っ掛かりがあるのかジルにあいつの行動パターンを説明しだした。


「トーカ親分、前回の家出の時も普通はローレリアに行くはずが、まず北に行ったんだよな……」
「・・・。」
「トーカ殿は、路銀をその出だしの北で殆ど買い食いに使い切ってしまわれたぐらい本能で動かれるお方……」
「・・・。」
「じっとしてろと言っても、じっとした試しがない。その例がジャージルでのジル殿との対峙……」
「・・・。」
「僕の時も、止めるのではなく一緒に喧嘩上等しに行こうと誘われました……」


それを証明するように、向かっていた上ではなく下から爆発音がした。ジル以外全員が、頭を押さえて声が出た。


「「やっぱりかー!」」


全員が爆発音がした方に戻る。ジルがここ等へんかと言って開けた所は儀式の間だった。
だが、そこには誰も居ない。儀式の間の床にぽっかりと穴が開いていて、全員がその穴を覗き見る。

するとホルス殿とバカ猿の対峙してる姿がちょうど見えた。どうもそこは地下部屋らしい。その存在を知らなかったジルがなんだあの場所はとうなっていた。

爆発音で同じようにルビナス様と祖の王達も警備兵と一緒に駆けつける。


「ホルス!どういう事だ。何をしておる!」
『あっ親父、こいつホルスさんちゃうで、アイザックや!』


「「「は?」」」


そこに居た全員がバカ猿の言った意味が分からず声が出た。


健太だけがその意味が分かるのか、変な術式を口ずさむ。

「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏・・・悪霊退散ーー!!」

祖の王の声で上を向いたホルス殿が俺達全員を見て、にやりと笑った。

「役者がちょうど揃ったようだ。私にお前の悲しみと絶望…そして憎悪に満ちた顔を見せろ!お前も私と同じ黒なのだと証明してやる!」

そうホルス殿が言ったかと思うと、俺達の足元を攻撃して床を崩した。崩れた床ごと下に叩き付けられる。

バカ猿が慌てて寄ってこようとした時、ホルス殿が手前にいたベルナールを術式で縛って井戸のような所に自分もろとも引きずり込んだ。


慌てたバカ猿と俺達。


ベルナールとホルス殿が落ちた井戸を覗き見ると、真っ暗な闇を俺らに見せた。それは絶望という闇だ。
それは絶望という闇だ。
だが諦めないバカ猿が躊躇もなしにその井戸の中に飛び込んだ。

条件反射で、俺の手が出る。バカ猿の腕を掴んだが体勢が悪く、俺も井戸の中に落ちた。

その時、何かにどんとぶつかって落ちる。
落ちるさ中、ジル達が追うように飛び込んだのが見えた。それ以降、真っ黒い海の中にいるような感覚で落ちていった。

何故か恐怖はなかった。その理由はバカ猿の手だ。バカ猿の腕を掴んでいたはずの俺が、逆に手を握られてたからだ・・・。


真っ暗な闇の中、そんなあったかい手の持ち主に声をかける。

「バカ猿、無事か?」
『私は無事や。皆はおるか?!』
「むぅ・・・」
『誰やっ?!』
「俺っす、・・・・健太っす」
「あ゛?何でお前も落ちてんだよ!こういう時要領よく逃げんのに・・・」
「攻撃が来ないようマルクスさんの陰に隠れてたら、そのマルクスさんとぶつかったっすよ。巻き込まれたっす・・・ひどいっすぅ、、、」
「『(要領が仇となったか・・・)』」


目を凝らすも、真っ暗で何も見えない。不安が過る中、俺等が無事なんだ、ベルナール達も大丈夫だろうと自分達に言い聞かせた。
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