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第一条:時間厳守。
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街の外れにある、一階部分が丸々ガレージになった少し大きな一件の白い家屋。そこが五条探偵事務所だった。
その二階部分にある事務所で、窓際のデスクへ長い両足を不作法に乗せながら、椅子の倒した背もたれに寄りかかるようにして一人の男が惰眠を貪っている。下がったブラインドの隙間から差し込む昼下がりの陽光に顔をしかめながら眠る、大きく前髪を掻き上げた黒いオールバック・ヘアのその男は、ハリー・ムラサメという名だった。
アルマーニのスーツジャケットを背もたれに掛け、ネクタイと襟元を緩めたワイシャツに包まれた上体を倒れた椅子の背もたれに預け。同じくアルマーニの黒いスーツズボンに包まれた脚を硬いマボガニー材のデスクの上に投げ出しながら、ハリーは眠り続けていた。天井で大きな風車めいたシーリング・ファンが回る中、静かな事務所の中で、独り眠り続けている。
実に緩やかな昼下がりだった。仕事が無い、暇だと言われればそれまでだが、ハリーはこんな静寂が好きだった。静かな事務所の中、こうして昼寝を貪るのが、ハリーにとって数少ない至福の時でもあった。
しかし――――そんな彼の心安まるひとときに無粋にも横やりを刺してきたのは、唐突に鳴り響いたインターフォンの呼び鈴だった。
「……誰だ、こんな時に」
何度も何度も、しつこいぐらいに何度も鳴らされるインターフォンに苛立ちながら、目を覚ましたハリーが億劫そうにデスクから立ち上がる。ふわーあ、なんて欠伸をかきながら窓に近寄ると、ハリーは指先でスッとブラインドを掻き分け、窓から眼下の事務所前を見下ろす。
「……銀のサーブラウ」
この事務所は一階部分がガレージになっていて、その横を伝う階段で二階の事務所に上がる仕組みだ。そして、そのガレージのシャッター前には一台のスマートなルックスのスポーツカーが横付けされている。
「また、アイツか……」
昼下がりの日差しにステンレスめいた銀色のボディを煌めかせるソイツは、1999年式のTVR・サーブラウ。イギリス製のスポーツカーだ。そしてハリーは、そのサーブラウの主に心当たりがある。この事務所を訪れる人間でサーブラウなんて珍しすぎる酔狂な代物を乗り回す人間など、ハリーに思い当たるのは一人しかいない。
「ったく、アポぐらい取ってから来てくれよ……」
ブラインドから目を離せば、ハリーは至極億劫そうにひとりごちながら、事務所の扉の方へと赴く。施錠を解き、扉をこちらから開いてやれば。その扉の前に立っていたのは、やはりハリーの予想した通りの人物だった。
「はぁい、晴彦。調子はどう?」
そんな軽い調子を、しかし妖艶な雰囲気を振りまきながらで開口一番に言うそのキャリア・ウーマンのような隙の無い雰囲気を纏うその女こそ、ハリーの予想した通りの女だった。
「冴子……」
彼女の名は鷹橋冴子。栗色のセミ・ロングの髪に恐ろしいぐらいの美貌とスラッとした長身のモデル体型。スカート・スタイルのレディース・スーツに身を包む彼女は、これでもれっきとした警視庁公安部の刑事だ。
「急で悪いけれど、仕事よ晴彦」
「その名前で呼ぶな、俺はハリー・ムラサメだ」
ウィンクでも交えながらな冴子の言葉に、ハリーが小さく反論する。五条晴彦は確かに彼の本名だが、ハリーにとってはハリー・ムラサメという名の方が馴染み深いのだ。今更本名で呼ばれても、却って違和感しか感じられない。
「晴彦は晴彦よ、五条晴彦。――――それより、立ち話も何でしょう? 上がらせて欲しいわ」
「相変わらず、君には勝てない……。好きにしてくれ、冴子」
溜息交じりに肩を大袈裟に竦めながらハリーが諦めれば、「じゃ、お構いなく」と冴子が勝手知ったる顔で事務所の中に足を踏み入れる。
「珈琲、要るか?」
今までハリーが寝ていたデスクのすぐ目の前、低いテーブルを挟んだ黒い革張りのソファに腰掛けた冴子にハリーが一応訊いてやるが、しかし冴子は「お構いなく」とそれを断る。「代わりに、灰皿貰えるかしら?」
「相変わらずだな、その煙草癖も」
呆れながらハリーが灰皿を彼女の前に置いてやり、「ありがと」なんて言いながらハイライト・メンソールの煙草を咥え始める冴子の対面に自分も腰掛ける。
「それで、要件は?」
折角なので自分もマールボロ・ライトの煙草を吹かし始めつつ、怪訝な顔をしてハリーが訊いた。
「君が直接持ちかけてくる仕事だ、絶対にロクなモンじゃないだろうが」
「そう言わないで頂戴よ、ハリー。今回、私はあくまで仲介役でしか無いんだから」
「仲介役?」
「ええ」と、頷く冴子。「今回の依頼はね、政府筋から直接の仕事よ」
「政府筋……」
公的機関からの依頼、ということだろう。決してこれが初めてというワケじゃないが、毎回ロクな思い出がない。ハリーにとっては、正直敬遠したい相手だった。
――――五条晴彦、ハリー・ムラサメの本業は殺し屋、拳銃稼業なのだ。探偵業というのは、あくまで表向きと税金対策のモノでしかない。
では何故、冴子みたいな公安の刑事が彼を逮捕せずに彼と関わっているのかと聞かれれば、そこにはかなりややこしい事情が介在する。だがまあ、ハリーの現在の立ち位置は、言ってしまえば国の暗部、その外注業者のようなモノなのだ。
言うなれば、掃除屋とでも言うのだろうか。政府筋のそういった表には出せない仕事を請け、個人相手の仕事も請け負う。それこそが、ハリー・ムラサメの稼業だった。
「で、要件は?」
ハリーが訊く。すると冴子は待ってましたと言わんばかりにニッと小さく微笑みながら、咥えていたハイライト・メンソールの煙草を一旦灰皿に置いた。
「防衛省の防衛事務次官、園崎雄一が拉致された」
「それは大変だな」
そんな話は一切報道されていない、なんてことを思いつつ、ハリーが至極適当な相槌を打つ。すると冴子は「ええ、とても大変なの」と頷き返してきた。
「ってことは、俺の仕事は、その防衛事務次官殿の捜索か?」
「残念ながら、違うわ」と、冴子。
「事務次官の件に関しては、既に公安と、それに政府の秘密諜報機関が動いている。貴方にやって貰いたいのは、その娘の護衛よ」
「娘?」怪訝な顔で、ハリーが訊き返す。「どういうことだ、説明してくれ冴子」
「焦らなくても、してあげるわよ。……百聞は一見に如かず、まずはこれを見て」
手持ちのハンドバッグから取り出した数枚の写真を、冴子がテーブルの上を滑らせてハリーに渡す。
「……随分と、美人な娘さんだ」
そこに写っていたのは、およそ十代とは思えないほどに美しい少女だった。
海のように蒼い髪を頭の後ろで結い、それが長く尾を引いたポニーテールみたいな髪型だ。赤い切れ長の双眸を湛えた顔立ちもかなり端正で、スラッとしたスマートな体躯もあって正にモデルのよう。
そんな彼女は文字通りの美少女だが、写真で見るだけでもその雰囲気はかなり大人びていて。もし学園のモノらしき制服を着た写真でなければ、ハリーは彼女を二十代前半だと誤解していだろう。それぐらいに、彼女の雰囲気は大人びていた。
「名前は園崎和葉、現在高校三年生。此処から割と近くの学園に在籍中よ」
「で、俺には彼女を護れと?」
「そういうこと」と、冴子。「アメリカ西海岸帰りの伝説の殺し屋、ハリー・ムラサメ。要人護衛にも定評のある貴方になら、この仕事を任せられると判断したの」
「ま、確かに護衛は俺の十八番でもあるけどさ。
――――それより冴子、報酬の方は?」
冴子の言い草に参ったみたいに肩を竦めながら、ハリーは途端に表情をシリアスな色へと塗り替える。プロフェッショナルたる者、金は重要な問題だ。仕事内容に見合った対価を得られなければ、この仕事を請ける意味は無い。
「前払いに円で五千万、依頼完遂後に残りを米ドルで五十万。レートの問題もあるから大雑把にだけれど、大体半分ずつよ」
「大雑把に一億か、流石にお役所仕事だと気前が良い」
「普通これだけ出さないわ。それだけ貴方を信頼してるのよ、晴彦」
「ルール第二条、仕事は正確に、完璧に遂行せよ。
――――俺の信条だ、忘れたか?」
ピッと人差し指を立ててみせながら、ハリーが当然のような顔でそう言ってみせれば。すると冴子はフッと小さく笑う。
「そうだったわね」
その二階部分にある事務所で、窓際のデスクへ長い両足を不作法に乗せながら、椅子の倒した背もたれに寄りかかるようにして一人の男が惰眠を貪っている。下がったブラインドの隙間から差し込む昼下がりの陽光に顔をしかめながら眠る、大きく前髪を掻き上げた黒いオールバック・ヘアのその男は、ハリー・ムラサメという名だった。
アルマーニのスーツジャケットを背もたれに掛け、ネクタイと襟元を緩めたワイシャツに包まれた上体を倒れた椅子の背もたれに預け。同じくアルマーニの黒いスーツズボンに包まれた脚を硬いマボガニー材のデスクの上に投げ出しながら、ハリーは眠り続けていた。天井で大きな風車めいたシーリング・ファンが回る中、静かな事務所の中で、独り眠り続けている。
実に緩やかな昼下がりだった。仕事が無い、暇だと言われればそれまでだが、ハリーはこんな静寂が好きだった。静かな事務所の中、こうして昼寝を貪るのが、ハリーにとって数少ない至福の時でもあった。
しかし――――そんな彼の心安まるひとときに無粋にも横やりを刺してきたのは、唐突に鳴り響いたインターフォンの呼び鈴だった。
「……誰だ、こんな時に」
何度も何度も、しつこいぐらいに何度も鳴らされるインターフォンに苛立ちながら、目を覚ましたハリーが億劫そうにデスクから立ち上がる。ふわーあ、なんて欠伸をかきながら窓に近寄ると、ハリーは指先でスッとブラインドを掻き分け、窓から眼下の事務所前を見下ろす。
「……銀のサーブラウ」
この事務所は一階部分がガレージになっていて、その横を伝う階段で二階の事務所に上がる仕組みだ。そして、そのガレージのシャッター前には一台のスマートなルックスのスポーツカーが横付けされている。
「また、アイツか……」
昼下がりの日差しにステンレスめいた銀色のボディを煌めかせるソイツは、1999年式のTVR・サーブラウ。イギリス製のスポーツカーだ。そしてハリーは、そのサーブラウの主に心当たりがある。この事務所を訪れる人間でサーブラウなんて珍しすぎる酔狂な代物を乗り回す人間など、ハリーに思い当たるのは一人しかいない。
「ったく、アポぐらい取ってから来てくれよ……」
ブラインドから目を離せば、ハリーは至極億劫そうにひとりごちながら、事務所の扉の方へと赴く。施錠を解き、扉をこちらから開いてやれば。その扉の前に立っていたのは、やはりハリーの予想した通りの人物だった。
「はぁい、晴彦。調子はどう?」
そんな軽い調子を、しかし妖艶な雰囲気を振りまきながらで開口一番に言うそのキャリア・ウーマンのような隙の無い雰囲気を纏うその女こそ、ハリーの予想した通りの女だった。
「冴子……」
彼女の名は鷹橋冴子。栗色のセミ・ロングの髪に恐ろしいぐらいの美貌とスラッとした長身のモデル体型。スカート・スタイルのレディース・スーツに身を包む彼女は、これでもれっきとした警視庁公安部の刑事だ。
「急で悪いけれど、仕事よ晴彦」
「その名前で呼ぶな、俺はハリー・ムラサメだ」
ウィンクでも交えながらな冴子の言葉に、ハリーが小さく反論する。五条晴彦は確かに彼の本名だが、ハリーにとってはハリー・ムラサメという名の方が馴染み深いのだ。今更本名で呼ばれても、却って違和感しか感じられない。
「晴彦は晴彦よ、五条晴彦。――――それより、立ち話も何でしょう? 上がらせて欲しいわ」
「相変わらず、君には勝てない……。好きにしてくれ、冴子」
溜息交じりに肩を大袈裟に竦めながらハリーが諦めれば、「じゃ、お構いなく」と冴子が勝手知ったる顔で事務所の中に足を踏み入れる。
「珈琲、要るか?」
今までハリーが寝ていたデスクのすぐ目の前、低いテーブルを挟んだ黒い革張りのソファに腰掛けた冴子にハリーが一応訊いてやるが、しかし冴子は「お構いなく」とそれを断る。「代わりに、灰皿貰えるかしら?」
「相変わらずだな、その煙草癖も」
呆れながらハリーが灰皿を彼女の前に置いてやり、「ありがと」なんて言いながらハイライト・メンソールの煙草を咥え始める冴子の対面に自分も腰掛ける。
「それで、要件は?」
折角なので自分もマールボロ・ライトの煙草を吹かし始めつつ、怪訝な顔をしてハリーが訊いた。
「君が直接持ちかけてくる仕事だ、絶対にロクなモンじゃないだろうが」
「そう言わないで頂戴よ、ハリー。今回、私はあくまで仲介役でしか無いんだから」
「仲介役?」
「ええ」と、頷く冴子。「今回の依頼はね、政府筋から直接の仕事よ」
「政府筋……」
公的機関からの依頼、ということだろう。決してこれが初めてというワケじゃないが、毎回ロクな思い出がない。ハリーにとっては、正直敬遠したい相手だった。
――――五条晴彦、ハリー・ムラサメの本業は殺し屋、拳銃稼業なのだ。探偵業というのは、あくまで表向きと税金対策のモノでしかない。
では何故、冴子みたいな公安の刑事が彼を逮捕せずに彼と関わっているのかと聞かれれば、そこにはかなりややこしい事情が介在する。だがまあ、ハリーの現在の立ち位置は、言ってしまえば国の暗部、その外注業者のようなモノなのだ。
言うなれば、掃除屋とでも言うのだろうか。政府筋のそういった表には出せない仕事を請け、個人相手の仕事も請け負う。それこそが、ハリー・ムラサメの稼業だった。
「で、要件は?」
ハリーが訊く。すると冴子は待ってましたと言わんばかりにニッと小さく微笑みながら、咥えていたハイライト・メンソールの煙草を一旦灰皿に置いた。
「防衛省の防衛事務次官、園崎雄一が拉致された」
「それは大変だな」
そんな話は一切報道されていない、なんてことを思いつつ、ハリーが至極適当な相槌を打つ。すると冴子は「ええ、とても大変なの」と頷き返してきた。
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「残念ながら、違うわ」と、冴子。
「事務次官の件に関しては、既に公安と、それに政府の秘密諜報機関が動いている。貴方にやって貰いたいのは、その娘の護衛よ」
「娘?」怪訝な顔で、ハリーが訊き返す。「どういうことだ、説明してくれ冴子」
「焦らなくても、してあげるわよ。……百聞は一見に如かず、まずはこれを見て」
手持ちのハンドバッグから取り出した数枚の写真を、冴子がテーブルの上を滑らせてハリーに渡す。
「……随分と、美人な娘さんだ」
そこに写っていたのは、およそ十代とは思えないほどに美しい少女だった。
海のように蒼い髪を頭の後ろで結い、それが長く尾を引いたポニーテールみたいな髪型だ。赤い切れ長の双眸を湛えた顔立ちもかなり端正で、スラッとしたスマートな体躯もあって正にモデルのよう。
そんな彼女は文字通りの美少女だが、写真で見るだけでもその雰囲気はかなり大人びていて。もし学園のモノらしき制服を着た写真でなければ、ハリーは彼女を二十代前半だと誤解していだろう。それぐらいに、彼女の雰囲気は大人びていた。
「名前は園崎和葉、現在高校三年生。此処から割と近くの学園に在籍中よ」
「で、俺には彼女を護れと?」
「そういうこと」と、冴子。「アメリカ西海岸帰りの伝説の殺し屋、ハリー・ムラサメ。要人護衛にも定評のある貴方になら、この仕事を任せられると判断したの」
「ま、確かに護衛は俺の十八番でもあるけどさ。
――――それより冴子、報酬の方は?」
冴子の言い草に参ったみたいに肩を竦めながら、ハリーは途端に表情をシリアスな色へと塗り替える。プロフェッショナルたる者、金は重要な問題だ。仕事内容に見合った対価を得られなければ、この仕事を請ける意味は無い。
「前払いに円で五千万、依頼完遂後に残りを米ドルで五十万。レートの問題もあるから大雑把にだけれど、大体半分ずつよ」
「大雑把に一億か、流石にお役所仕事だと気前が良い」
「普通これだけ出さないわ。それだけ貴方を信頼してるのよ、晴彦」
「ルール第二条、仕事は正確に、完璧に遂行せよ。
――――俺の信条だ、忘れたか?」
ピッと人差し指を立ててみせながら、ハリーが当然のような顔でそう言ってみせれば。すると冴子はフッと小さく笑う。
「そうだったわね」
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