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第二条:仕事は正確に、完璧に遂行せよ。
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走り、走り、走り。何かに追われるように必死に走り抜けた和葉が最後に辿り着いた先は、普段使う新校舎の隣にある古びた旧校舎、そこの三階にある使われていない校舎だった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………!」
息を切らしながら空き教室に飛び込み、後ろ手に戸を閉めて鍵を掛ける。反対側の扉にも同様に鍵を掛けて、そうすると和葉はそのまま脚の力が抜けてしまい、扉に背中を預けるようにしながらずるずると座り込んでしまう。
「何よ、どうなってるのよ……!?」
まるで、ワケが分からなかった。何が起こっているのか、何がどうなっているのか、和葉の混乱しきった頭では、さっぱり理解することが出来ないでいた。
教室の奥、窓際に積み重ねられた机と椅子たちの間に入り込むようにして、和葉が身を隠す。長らく誰も使っていないのかやたら埃っぽかったが、そんなことは気にならなかった。まして、そんな些細なことを気にしている場合でもない。
「と、とにかく、アイツに連絡を……っ!」
――――アイツなら、ハリー・ムラサメなら何とかしてくれる。
我ながら都合が良いとは思うが、しかしことこうなってしまった以上、和葉が頼れる相手といえば最早彼以外に残っていない。幸いにして、何かあった時のためにと連絡先は強引に交換させられている。
和葉は制服のポケットから震える手で自分のスマートフォンをなんとか引っ張り出し、そしてディスプレイを点けた。
「ちょっと、どういうことなの……?」
――――しかし、スマートフォンの画面端に示される電波表示は、完全な圏外。動揺した和葉が何度電源を入れ直してもそれは変わらず、スマートフォンのディスプレイはただ、此処が既に電波の届かない圏外に、完全な陸の孤島と化していることを暗に和葉へと告げていた。
「っ……!」
諦めて、和葉はスマートフォンをポケットに戻す。そして、蹲った格好のまま、両手で耳を塞いだ。
これ以上、和葉は聞きたくなかったのだ。外で絶え間なく轟く激しい銃声と、木霊する怒号と悲鳴。確かな実感を伴って聞こえてくる、人の命がゴミのように刈り取られていく音も、声も。これ以上、和葉は聞きたくなかった。
「何よ、何なのよ……っ!!」
和葉は、気付いていた。自分がとんでもない事態に巻き込まれてしまった――――いや、とんでもない事態を引き起こしてしまったことを。自分の油断と傲慢のせいで、この事態を引き起こしてしまったことに、もう気付いてしまっていた。
こんなことが起こったのは、ひとえに自分が甘かったせいだと和葉は悟る。きっと、最初からあのハリー・ムラサメの忠告を聞いていれば、こんなことにはならなかった。今朝、彼が言った最後の警告に従っていれば、きっとこんな事態にはならなかった。皆を、学園の皆を巻き込むようなことには、ならなかった筈だ…………。
「やめてよ、やめてよ……! これ以上、聞きたくないのに……!」
和葉が幾ら懇願しても、耳を塞いでも、そして美しかった切れ長の紅い瞳から、小さな涙粒を滲ませても。しかし、外に響く絶え間の無い銃声と、そして悲鳴が収まることはない。
「どうしたらいいの……? どうすれば、いいの……?」
教えてよ。ねぇ、ハリー・ムラサメ――――。
和葉の流す涙と、そして胸の奥深くで響く慟哭。しかし、それに答える者は居ない。この場には、誰一人として…………。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………!」
息を切らしながら空き教室に飛び込み、後ろ手に戸を閉めて鍵を掛ける。反対側の扉にも同様に鍵を掛けて、そうすると和葉はそのまま脚の力が抜けてしまい、扉に背中を預けるようにしながらずるずると座り込んでしまう。
「何よ、どうなってるのよ……!?」
まるで、ワケが分からなかった。何が起こっているのか、何がどうなっているのか、和葉の混乱しきった頭では、さっぱり理解することが出来ないでいた。
教室の奥、窓際に積み重ねられた机と椅子たちの間に入り込むようにして、和葉が身を隠す。長らく誰も使っていないのかやたら埃っぽかったが、そんなことは気にならなかった。まして、そんな些細なことを気にしている場合でもない。
「と、とにかく、アイツに連絡を……っ!」
――――アイツなら、ハリー・ムラサメなら何とかしてくれる。
我ながら都合が良いとは思うが、しかしことこうなってしまった以上、和葉が頼れる相手といえば最早彼以外に残っていない。幸いにして、何かあった時のためにと連絡先は強引に交換させられている。
和葉は制服のポケットから震える手で自分のスマートフォンをなんとか引っ張り出し、そしてディスプレイを点けた。
「ちょっと、どういうことなの……?」
――――しかし、スマートフォンの画面端に示される電波表示は、完全な圏外。動揺した和葉が何度電源を入れ直してもそれは変わらず、スマートフォンのディスプレイはただ、此処が既に電波の届かない圏外に、完全な陸の孤島と化していることを暗に和葉へと告げていた。
「っ……!」
諦めて、和葉はスマートフォンをポケットに戻す。そして、蹲った格好のまま、両手で耳を塞いだ。
これ以上、和葉は聞きたくなかったのだ。外で絶え間なく轟く激しい銃声と、木霊する怒号と悲鳴。確かな実感を伴って聞こえてくる、人の命がゴミのように刈り取られていく音も、声も。これ以上、和葉は聞きたくなかった。
「何よ、何なのよ……っ!!」
和葉は、気付いていた。自分がとんでもない事態に巻き込まれてしまった――――いや、とんでもない事態を引き起こしてしまったことを。自分の油断と傲慢のせいで、この事態を引き起こしてしまったことに、もう気付いてしまっていた。
こんなことが起こったのは、ひとえに自分が甘かったせいだと和葉は悟る。きっと、最初からあのハリー・ムラサメの忠告を聞いていれば、こんなことにはならなかった。今朝、彼が言った最後の警告に従っていれば、きっとこんな事態にはならなかった。皆を、学園の皆を巻き込むようなことには、ならなかった筈だ…………。
「やめてよ、やめてよ……! これ以上、聞きたくないのに……!」
和葉が幾ら懇願しても、耳を塞いでも、そして美しかった切れ長の紅い瞳から、小さな涙粒を滲ませても。しかし、外に響く絶え間の無い銃声と、そして悲鳴が収まることはない。
「どうしたらいいの……? どうすれば、いいの……?」
教えてよ。ねぇ、ハリー・ムラサメ――――。
和葉の流す涙と、そして胸の奥深くで響く慟哭。しかし、それに答える者は居ない。この場には、誰一人として…………。
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