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Chapter-03『BLACK EXECUTER』
第十一章:クライシス・ポイント/02
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突如として現れた謎の部隊は、石神が緊急出動させたP.C.C.Sの実働部隊、STFオスカー・チームとグレイブ・チームの面々だった。
ギリギリのところで間に合った彼らが携えているのは、ARV‐6E2エクスカリバー自動ライフル。五〇口径の対物自動ライフル、本来ならキロメートル級の超長距離狙撃に使うバレットM107を改造。限界までの短銃身化と軽量化を施し、どうにか機動運用に適した形に仕立て直した……P.C.C.S独自開発の特別なライフルだ。
しかも装填されている弾もただの五〇口径ではなく、NXハイパーチタニウム合金を用いた対バンディット戦用の特殊徹甲焼夷弾だ。通常弾でさえ人間が挽き肉になるような威力を誇る巨大な弾薬の、しかも対バンディット戦特化仕様とあらば……瞬く間に数体のコフィンが撃破されたのも当然というものだった。
「P.C.C.Sだ、分かるか!? オタクらなら分かるよな!?」
現れたそんなSTFの隊員たちは、エクスカリバー自動ライフルを撃ちまくりながら警察部隊に合流すると、その中の一人……オスカー・チームの隊長だ。歴戦の風格を漂わせる、コールマン髭を蓄えた白人の男が手近なSAT隊員に向かってそう説明をする。
「あ、ああ……! アンタらか、例の特務機関って……!!」
すると混乱していたSAT隊員もP.C.C.Sの名を聞いたら理解してくれたようで、一気に希望を取り戻した眼で頷き返す。
それにオスカー・チームの隊長は「そうだ」と頷き返しつつ、構えたエクスカリバーを発砲。弾が切れると空弾倉を足元に落とし、新しい弾倉……樹脂製の、弁当箱のように巨大なそれを銃に装填する。
「今までよく頑張ったな、俺たちが来たからにはもう安心だ。無敵の守護天使のご到着までもう暫くだ、踏ん張るぞ!」
「無敵の……なんだって?」
言葉の意味が分からず、きょとんとするSAT隊員に「ああ」とオスカーの隊長は頷き返しつつ、彼がいつの間にか取り落としていたHK417自動ライフルを拾い上げて、それを彼に突き返してやり。そうしながら、続けて目の前の彼にこう言った。
「残念だが俺たちはあくまで前座、繋ぎの役割でしかねえ。あの化け物どもを木っ端微塵に吹き飛ばすにゃ、このバレットもどきの五〇口径、聖剣エクスカリバー様でも力不足なんでな」
「それって、どういう……」
「もうじき来てくれるのさ、可愛い俺たちの守護天使がな」
言いつつ、オスカーの隊長は張りのある声で素早く部下に指示を出しつつ、自分も迫り来るコフィンに向かって構えたエクスカリバーを撃ちまくる。
「とはいえ――――」
撃ちながら、しかし同時に覆しようのない劣勢もまた彼は感じていた。
「――――それまで、俺たちの生命が持ちゃ良いがな」
コフィンの凶弾に斃れ、或いは飛び出してきたグラスホッパーに数人一気に蹂躙され。生き残っていた警察部隊や、或いはSTF隊員が何十人も死んでいく。
そんな最悪の光景を目の当たりにしながら、歯噛みをしつつ。彼は淡々と狙いを定め、構えた重苦しいライフルの……エクスカリバーの引鉄を絞る。怒りに燃える心とは裏腹に、あくまで頭と指先は冷静なままで。
STFの介入で、既に二〇体近いコフィンを撃破することが出来ていた。
だが、それでも敵の勢いは止まらない。先陣切って突っ込んでくるグラスホッパーの大暴れを筆頭に、STF隊員や他の警察部隊が次から次へと殺されていく。
この場の全員が殺し尽くされ、全滅の末路を遂げるのは――――時間の問題だった。
(第十一章『クライシス・ポイント』了)
ギリギリのところで間に合った彼らが携えているのは、ARV‐6E2エクスカリバー自動ライフル。五〇口径の対物自動ライフル、本来ならキロメートル級の超長距離狙撃に使うバレットM107を改造。限界までの短銃身化と軽量化を施し、どうにか機動運用に適した形に仕立て直した……P.C.C.S独自開発の特別なライフルだ。
しかも装填されている弾もただの五〇口径ではなく、NXハイパーチタニウム合金を用いた対バンディット戦用の特殊徹甲焼夷弾だ。通常弾でさえ人間が挽き肉になるような威力を誇る巨大な弾薬の、しかも対バンディット戦特化仕様とあらば……瞬く間に数体のコフィンが撃破されたのも当然というものだった。
「P.C.C.Sだ、分かるか!? オタクらなら分かるよな!?」
現れたそんなSTFの隊員たちは、エクスカリバー自動ライフルを撃ちまくりながら警察部隊に合流すると、その中の一人……オスカー・チームの隊長だ。歴戦の風格を漂わせる、コールマン髭を蓄えた白人の男が手近なSAT隊員に向かってそう説明をする。
「あ、ああ……! アンタらか、例の特務機関って……!!」
すると混乱していたSAT隊員もP.C.C.Sの名を聞いたら理解してくれたようで、一気に希望を取り戻した眼で頷き返す。
それにオスカー・チームの隊長は「そうだ」と頷き返しつつ、構えたエクスカリバーを発砲。弾が切れると空弾倉を足元に落とし、新しい弾倉……樹脂製の、弁当箱のように巨大なそれを銃に装填する。
「今までよく頑張ったな、俺たちが来たからにはもう安心だ。無敵の守護天使のご到着までもう暫くだ、踏ん張るぞ!」
「無敵の……なんだって?」
言葉の意味が分からず、きょとんとするSAT隊員に「ああ」とオスカーの隊長は頷き返しつつ、彼がいつの間にか取り落としていたHK417自動ライフルを拾い上げて、それを彼に突き返してやり。そうしながら、続けて目の前の彼にこう言った。
「残念だが俺たちはあくまで前座、繋ぎの役割でしかねえ。あの化け物どもを木っ端微塵に吹き飛ばすにゃ、このバレットもどきの五〇口径、聖剣エクスカリバー様でも力不足なんでな」
「それって、どういう……」
「もうじき来てくれるのさ、可愛い俺たちの守護天使がな」
言いつつ、オスカーの隊長は張りのある声で素早く部下に指示を出しつつ、自分も迫り来るコフィンに向かって構えたエクスカリバーを撃ちまくる。
「とはいえ――――」
撃ちながら、しかし同時に覆しようのない劣勢もまた彼は感じていた。
「――――それまで、俺たちの生命が持ちゃ良いがな」
コフィンの凶弾に斃れ、或いは飛び出してきたグラスホッパーに数人一気に蹂躙され。生き残っていた警察部隊や、或いはSTF隊員が何十人も死んでいく。
そんな最悪の光景を目の当たりにしながら、歯噛みをしつつ。彼は淡々と狙いを定め、構えた重苦しいライフルの……エクスカリバーの引鉄を絞る。怒りに燃える心とは裏腹に、あくまで頭と指先は冷静なままで。
STFの介入で、既に二〇体近いコフィンを撃破することが出来ていた。
だが、それでも敵の勢いは止まらない。先陣切って突っ込んでくるグラスホッパーの大暴れを筆頭に、STF隊員や他の警察部隊が次から次へと殺されていく。
この場の全員が殺し尽くされ、全滅の末路を遂げるのは――――時間の問題だった。
(第十一章『クライシス・ポイント』了)
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