安全第一異世界生活

文字の大きさ
57 / 244
旅と出会いと冒険と

56話 閑話 不思議生物と腹黒の旧友

しおりを挟む
吐く息が白い。見渡す限り白い世界
オーラシアン王国の北部地方に入ってから急に空気が変わった。
日本で言う秋から急に年末年始の寒さの厳しい真冬に入った感じだ。

ウハハが耳付きニット帽に形状変化してくれて頭もお耳もあったかい♡

先の街でたれ耳の可愛い帽子を見て「かわいいなぁ~」っとこぼしたら
ふわふわ垂れ耳帽子に即座にウハハが形状変化。
赤くなった手には魔道具の手袋をトーさんが用意。濡れても即乾燥の風と火の魔法付与付き。過保護が凄い。えへへ暖かい。ニコニコしちゃう。

北部は風が強く今日は一段と寒さが増しているので、テントでの野営は厳しいと、久々に街の宿屋に入った。中はとても温かく、冷え切った耳も手も少しジーンとしている。入った先はカウンター、カウンターには竹の様な植物が活けられている。

「いらっしゃい!何名様ですか?」

元気な女の子の声が飛んできた。どこにいるのかな?キョロキョロあたりを見渡してみる

「子供1人と大人1人。従魔のスライムが1匹」

「はーい、ダブル1室で良いですか?」

「それで頼む。あとスライムにも1人前の食事を。いくらだ?」

「銀貨8枚と銅貨8枚になります」

トーさんが銀貨9枚をカウンターのトレーに置くと、花瓶から竹の様な植物がぴょんと出てきて、お金の確認を触らず収納した。そして収納からヨイショ、ヨイショと銅貨を出している。めっちゃ枝で引っ張っている。
私は目を丸くしながらえ?え?え???がいっぱい飛んでいる。トーさんが

「おつりは良い。少ないがチップだ。手伝い偉いな」

と植物を褒めると、植物はぴょんと飛び上がって、嬉しそうに銅貨をしまった。しまうのは早いな。次に木札をさっと出す。

「3階の山茶花の部屋へどうぞ。食事はもう食堂開いておりますので、22時までに降りて食べてください。朝食は朝の6時から9時までです。遅れるとありませんので、時間厳守でお願いします」

「わかった」

木札を受け取り、階段へ。カウンターに植物はヨイショヨイショと花瓶に戻っている…植物?生物?やっぱり「?」が飛ぶ。部屋に入るとすぐに植物の事をトーさんに聞いた。

「あれは、植物の魔物だな。良く躾けられている。宿の誰かの従魔なんだろう。」

「しゃべっていたけど」

「高位魔物はしゃべるぞ?ダンゴ虫三兄弟もしゃべっていただろう?」

「ウハハは普通にしゃべらないけど」

「ウハハは生まれてまだ1年もたたない赤子だろ?」

ウハハは私の頭からぴょんと降りるとトーさんに体当たりで訴えている

「ウハハ!!ヴォハハ!!」

トーさんはそんなウハハを優しく抱っこして

「ウハハはそこもかわいくて良いじゃないか。焦らずに成長したらいい」

トーさんはウハハを撫でながらそう言うと、ウハハはコクコクと身体を縦に動かした。かわいい。

食堂は大勢の人でいっぱいになっていた。お酒を飲む人もいる。賑やかだ。
接客していた方が私たちに気づいて声をかけてくれた。

「空いてるところに座っておくれ」

私とトーさんはぺこりとしてカウンターに開いた席に着く。ウハハは私とトーさんの間のカウンターに鎮座。「ウワハハ♡」ごはん楽しみなのね。
少しして、白いスープ・黒パンとこんがり焼いたお肉が乗ったプレートが運ばれてきた。

「足りなかったら追加料金かかるが出せるから、注文して」

そう言って3人分。白いスープはミルクを使ったスープだ。さらっとしてるけどシチューの手前って感じかな。温かいのホッとする♡
黒パンは硬いから、シチューに浸してもぐもぐ。美味しい。

「ウサギの肉、久しぶりに食べたな。」

「このお肉ウサギさんなんだ」

弾力のある硬めのお肉。でも香草がしっかりしみて美味しい。もぐもぐ

「嬢ちゃんうさぎを「ウサギさん」なんて可愛らしく呼ぶの珍しいな。旅の人かい?」

「はい。南の辺境から知り合いに会いに」

私はニコニコしながらカウンターの中に居るお爺さんとお話しする。

「おぉ!南の辺境と言えばスパイクの居るギルドがある所か」

一気に私の眉間に皺が寄る。お爺さんは「ん?」って顔。

「なんだい爺さん、ギルド長と知り合いか?」

困り顔のトーさんがお爺さんに声をかける。ごめんねトーさん気を使わせて。

「あいつ今はギルド長かぁ!出世したもんだ!ハハハ
奴がまだ冒険者でやんちゃやって居た頃のパーティー仲間だよ。要領ばっか良くて、困った奴だった。」

「うげ、若い頃から変わらないのかあの腹黒」

私は苦虫を噛み潰したような顔をして吐き捨てると、私の言葉を聞いたお爺さんは大笑いをした

「なんだなんだ、あいつは爺さんになっても変わらずか、こんなかわいい子供に嫌われるとはざまぁないな!ハッハハハハ」

お爺さん豪快だなぁ。

「あいつは昔から女子供に好かれてな、こんなあからさまに嫌ってる子は初めて見たわい。」

あー口だけは達者だからねぇ。
トーさんと私はカウンターのお祖父ちゃんと腹黒の昔話を聞いた。
お爺さんはお話上手で腹黒の黒歴史を面白おかしく話してくれた。
話に聞き言っていたら気づいたらウハハが居ない!

私はキョロキョロあたりを見回す。私の動きにトーさんも気づき

「カナメどうした?」

「ウハハが居ないの!」

トーさんもびっくりしてそして集中。集中。ぱっと顔を上げたトーさんは

「受付に居るみたいだぞ」

私とトーさんとカウンターのお爺さんは受付の方に移動すると向かう先から声が聞こえる

「うはは~ウハ!ウアハハハハ!!」

「あはは、そんな焦らんでもいいと思うよ。きみの家族はそんな事で怒るのかい?」

「ウハハァ」

「ふふ、そうでしょ、じゃあ焦らなくてもいいと思うよ。その内喋れるよ」

会話に耳を澄ませ、私たちは目を合わせニコニコ
どうやら受付のあの植物魔物さんとお話しているみたい。と言うか相談に乗ってくれてるのかな?
ウハハの初めてのお友達かも フフフ
従魔だからって悩みごとの盗み聞きは良くないと、私たちは食堂に戻った。

「ねートーさん、帰りまたココに泊まろうね」

「そうだな」

私とトーさんの言葉を聞いてお爺さんもカウンターに座りながら、嬉しそうに

「ドロテアが仕事以外で話してるの久しぶりに見た。待ってるから帰りも来てくれや」

植物魔物さん「ドロテア」さんて言うのか。私もトーさんもさっきみたいに話すウハハを想像して破願した。

「「もちろん」」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

落ちこぼれの【無属性】魔術師、実は属性そのものを定義する「概念魔法」の創始者だった

風船色
ファンタジー
「魔法とは才能(血筋)ではなく、記述されるべき論理(ロジック)である」 王立魔導学院で「万年最下位」の烙印を押された少年、アリスティア・レイロード。属性至上主義のこの世界で、火すら出せない彼は「無属性のゴミ」と蔑まれ、ついに卒業試験で不合格となり国外追放を言い渡される。 しかし、彼を嘲笑う者たちは知らなかった。アリスティアが、既存の属性魔法など比較にならないほど高次の真理――世界の現象を数式として捉え、前提条件から書き換える『概念魔法(コンセプト・マジック)』の使い手であることを。 追放の道中、彼は石ころに「硬度:無限」の概念を付与し、デコピン一つで武装集団を粉砕。呪われた最果ての森を「快適な居住空間」へと再定義し、封印されていた銀嶺竜の少女・ルナを助手にして、悠々自適な研究生活をスタートさせる。 一方、彼を捨てた王国は、属性魔法が通用しない未知の兵器を操る帝国の侵攻に直面していた。「助けてくれ」と膝をつくかつての同級生や国王たちに対し、アリスティアは冷淡に告げる。 「君たちの誇りは、僕の昼寝より価値があるのか?」 これは、感情に流されない徹底した合理主義者が、己の知的好奇心のために世界の理を再構築していく、痛快な魔導ファンタジー。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
ファンタジー
ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...