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イルグリット王国 魔道具編
131話 カナメの消えた世界
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カナメちゃんが死んだ。
それは何の変哲もない平日の眠い国語の授業中突然だった。突然授業中に先生が来て私が呼ばれ、知らされた訃報。そのまま帰り支度をしてもつれそうな足を前に出し教室を飛び出した。
カナメちゃんは、私の母の母。私の大好きなおばあちゃんだ。
親ってほら勉強とか勉強とか勉強とかね、将来を考えてとか、うるさいじゃん。だから私はしょっちゅうカナメちゃんの家に家出していた。だってカナメちゃんの側は空気が温かくてホンワカするんだ。好き。大好き。
いや、自分が子供で親に甘えているのは分かって居るし、親に暴力振るわれたとか暴言浴びせられたとかそう言うDV的なものは何もないんだ。それでも何て言うのかな、カナメちゃんの言葉は心に入ってくるのに親の言葉は心に入れたくないってあるじゃん。まあぶっしゃけ世にいう思春期ってやつ。
家に帰るとすぐにお母さんに電話する。すると一旦帰宅するから待ってっと言われ
荷物を部屋に置き、とりあえず制服を脱いで普段着に着替えた。制服を釣ろうとハンガーラックに歩を進めて釣ってある衣装に目が行く。
『細かい!!細かいわよ!!ミカちゃん!老眼の私には辛いわこの衣装』
そう言いながら私のコスプレ衣装を作ってくれたカナメちゃん。好き。
太ったら合わなくなるから決して太るなと念押しされた聖女様のコスプレ衣装。この衣装を作ってもらった時から私の体重は基本変わっていない。オタクってこういう事には心血を注げるのホントよね。
『こういうのが着たいって素敵な事ね。まるで神聖な天使みたい』
あー聖女様だし間違って無いのかな?いや違うか?
私は13歳。カナメちゃんは52歳。こんなに違うのに、年齢差を感じない。若い子の考える考え方って~なんて、したり顔で否定しない。凄いわねーって感心されることもしばしば。そんなカナメちゃんが大好きだ。大好き。ホント好き。
瞳から溢れそうな水分を腕で無造作に拭ってリビングに行く。
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ ………
我が家のアナログの壁掛け時計の秒針が動く音が部屋に響く。こんな時はいつも動画サイトや漫画アプリで時間をつぶすのに、今は何もしようとも思わない。
お母さんたちが、勘違いだったのよって笑いながら帰ってくるんじゃないかって期待して、リビングのソファーの上でスマホを握りしめて膝を抱えていた。
玄関からガチャガチャと鍵を開ける音がして、ソファーから飛び起き玄関に走る。扉から入ってきたのは憔悴したお母さんと、その肩を抱くお父さんだった…
あぁ…もうそれだけで先ほど考えていた浅はかな考えは木っ端みじんに消え去った
カナメちゃんの死は不慮の事故だった。
始めにカナメちゃんの傍を歩いていた少女に車が突っ込んで事故にあい、その少女の持ち物がカナメちゃんにぶつかり、その衝撃でそのまま車道に投げ出された。そして引きづられ身体の半分以上が無くなった。衝撃だった。身体が無くなるって何…現実味が無い話だった。
事故の現場検証やら何やらで数日たって、ようやくカナメちゃんの遺体が戻り葬儀場に届けられた。上半身が無いんだと…衝撃的な事を聞かされ、棺桶の中は見ない方が良いと警察からも、病院で検死した医者からも釘を刺された。私たちはカナメちゃんに最後のお別れも顔を見て言う事が出来ない状態で、明日が葬儀となった。
親族が少ないカナメちゃんの通夜に集まったのは同僚や、近所の人、死んだお爺ちゃんの親族など挨拶をし少しして皆帰って行った。私たちは、誰も帰ろうとしなかった。従妹の心晴は3歳で小さいのに不思議そうに棺桶をぺちぺち叩きカナメちゃんを呼ぶ。そんな姿が愛らしいのに胸が締め付けられる思いで下を向いていた。畳の上の机の所でお母さんが悔しがって泣いている。あと少しでカナメちゃんと一緒に住めるはずだったのに、残念…ううん…悔しい…だね。
私がカナメちゃんの写真を見て唇をかみしめていると、お母さんが突然
「え?」
そうしてキョロキョロし始めた。そんなお母さんを見て、お父さんが
「どうした?」
と困惑しているようだけど、そこでお母さんが変な事を言い始めた。
「声が…声が聞こえたの」
いつもは強気なお母さんが、大粒の涙をボロボロとこぼし
「お母さん……?まさか…そんな……」
そう言って持っていたハンカチを目に当て…どうしたんだろ?こんなに取り乱す事なんて無い人なのに…すると夢子叔母さんもボロボロ涙をこぼし、お母さんに話しかけた
「姉さん…姉さん…今、今ね…」
二人の視線がぶつかると、お母さんは大きく頷いて
「私も聞こえたわ」
涙でぐしょぐしょの顔で二人は笑った…二人の目に光が灯ったように見えた。すると恭弥叔父さんに頭を撫でられていた心晴ちゃんが、
「ニーニ、バーバがね、ニーニと仲良くって言うの。バーバどこかな?」
キョロキョロ見回す心晴ちゃん。そんな心晴を苦しそうな顔で見ながら拳を握る優くんが、
「ミー、バーバはね、死んじゃったんだよ声が聞こえるわけ無いんだよ…」
そう言った従妹の優は、正座で棺の前に私と座っている。優の顔を見て驚いた。目を大きく見開いてカナメちゃんの写真を凝視している。みるみる間に瞳から涙がこぼれ
「おばあちゃん?」
そう言った直後、私の手がヒヤッと感じた直後頭の中に可愛らしい、心晴の声に似た声が響いた
”ミカちゃんミカちゃんのおかげで私異世界に行ったときちゃんとステータス見れたわ。ありがとう。”
「は?」
突然の声に唖然としたけどその内容にびっくりしながら、皆を見回した私は
「ねー皆、異世界でステータス見れたよありがとうって聞こえたんだけど…え誰?まさか…まさか……カナメちゃん?」
皆はいっせいに私を見る。そしてお母さんも、夢子叔母さんも優も頷いた。噓でしょう?
”ふふふ異世界ってね実は美華ちゃんの大好きな「華白の聖女」の世界なの。聖女様にも会ったわ。そして友達になったのよ。
でねその世界の魔王様だった人が、魔王にならずに私の養父になってくれたの。凄いでしょ。私こちらの世界でスライムの「ウハハ」と養父の「クロト」さんと楽しく冒険者生活をしているわ。毎日が楽しくて充実してる。美華ちゃんも、趣味だけじゃなくて、きちんとお勉強もして楽しい毎日を過ごしてね。あまり愛子と雅也さんに心労かけてはダメよ。何になりたいかきちんと未来の自分を見てね。私に楽しい世界を教えてくれた美華ちゃん、ありがとう。大好きだったよ、ありがとう。”
情報量が多いわ!!多いのよ!!
「ちょっと!カナメちゃん!!魔王様が養父ってどういう事?ずるい!私も行きたい!!!」
私のいきなりの叫びに皆が目を丸くする。そしてわらわらと何を言われたか皆が言っていく。
そんな中恭弥叔父さんもいきなり話し始め。お父さんも泣き始めた。え?え?カオスじゃん。
「ちょっと皆、書いて行こう。お母さんはなんて言われたの、書いていくから言って…いや自分で書いて!!大人は紙とペンを渡すからさあ書いて!!ちびは書いてあげるから言って!!」
私たちは一気に紙に向かった。書きながら、涙を流す皆。
でも空気が変わってる。
そうまるで、凍り付いた厳しい冬が終わりを迎え、春の訪れのように、つくしや小花が咲き始める。そんな感じ。
だって強張っていた皆の顔に、 カナメちゃんの言葉が、安堵と希望をくれた。
私の周りは、涙を流しながらカナメちゃんから言われた言葉を、お互い見せあう穏やかな時間が流れ始めたのだから。
やっぱりカナメちゃんは凄い。
異世界か、きっと異世界でもカナメちゃんは、カナメちゃんだろうな…
私の大好きなおばあちゃん。
カナメちゃん。大好きだよ。
それは何の変哲もない平日の眠い国語の授業中突然だった。突然授業中に先生が来て私が呼ばれ、知らされた訃報。そのまま帰り支度をしてもつれそうな足を前に出し教室を飛び出した。
カナメちゃんは、私の母の母。私の大好きなおばあちゃんだ。
親ってほら勉強とか勉強とか勉強とかね、将来を考えてとか、うるさいじゃん。だから私はしょっちゅうカナメちゃんの家に家出していた。だってカナメちゃんの側は空気が温かくてホンワカするんだ。好き。大好き。
いや、自分が子供で親に甘えているのは分かって居るし、親に暴力振るわれたとか暴言浴びせられたとかそう言うDV的なものは何もないんだ。それでも何て言うのかな、カナメちゃんの言葉は心に入ってくるのに親の言葉は心に入れたくないってあるじゃん。まあぶっしゃけ世にいう思春期ってやつ。
家に帰るとすぐにお母さんに電話する。すると一旦帰宅するから待ってっと言われ
荷物を部屋に置き、とりあえず制服を脱いで普段着に着替えた。制服を釣ろうとハンガーラックに歩を進めて釣ってある衣装に目が行く。
『細かい!!細かいわよ!!ミカちゃん!老眼の私には辛いわこの衣装』
そう言いながら私のコスプレ衣装を作ってくれたカナメちゃん。好き。
太ったら合わなくなるから決して太るなと念押しされた聖女様のコスプレ衣装。この衣装を作ってもらった時から私の体重は基本変わっていない。オタクってこういう事には心血を注げるのホントよね。
『こういうのが着たいって素敵な事ね。まるで神聖な天使みたい』
あー聖女様だし間違って無いのかな?いや違うか?
私は13歳。カナメちゃんは52歳。こんなに違うのに、年齢差を感じない。若い子の考える考え方って~なんて、したり顔で否定しない。凄いわねーって感心されることもしばしば。そんなカナメちゃんが大好きだ。大好き。ホント好き。
瞳から溢れそうな水分を腕で無造作に拭ってリビングに行く。
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ ………
我が家のアナログの壁掛け時計の秒針が動く音が部屋に響く。こんな時はいつも動画サイトや漫画アプリで時間をつぶすのに、今は何もしようとも思わない。
お母さんたちが、勘違いだったのよって笑いながら帰ってくるんじゃないかって期待して、リビングのソファーの上でスマホを握りしめて膝を抱えていた。
玄関からガチャガチャと鍵を開ける音がして、ソファーから飛び起き玄関に走る。扉から入ってきたのは憔悴したお母さんと、その肩を抱くお父さんだった…
あぁ…もうそれだけで先ほど考えていた浅はかな考えは木っ端みじんに消え去った
カナメちゃんの死は不慮の事故だった。
始めにカナメちゃんの傍を歩いていた少女に車が突っ込んで事故にあい、その少女の持ち物がカナメちゃんにぶつかり、その衝撃でそのまま車道に投げ出された。そして引きづられ身体の半分以上が無くなった。衝撃だった。身体が無くなるって何…現実味が無い話だった。
事故の現場検証やら何やらで数日たって、ようやくカナメちゃんの遺体が戻り葬儀場に届けられた。上半身が無いんだと…衝撃的な事を聞かされ、棺桶の中は見ない方が良いと警察からも、病院で検死した医者からも釘を刺された。私たちはカナメちゃんに最後のお別れも顔を見て言う事が出来ない状態で、明日が葬儀となった。
親族が少ないカナメちゃんの通夜に集まったのは同僚や、近所の人、死んだお爺ちゃんの親族など挨拶をし少しして皆帰って行った。私たちは、誰も帰ろうとしなかった。従妹の心晴は3歳で小さいのに不思議そうに棺桶をぺちぺち叩きカナメちゃんを呼ぶ。そんな姿が愛らしいのに胸が締め付けられる思いで下を向いていた。畳の上の机の所でお母さんが悔しがって泣いている。あと少しでカナメちゃんと一緒に住めるはずだったのに、残念…ううん…悔しい…だね。
私がカナメちゃんの写真を見て唇をかみしめていると、お母さんが突然
「え?」
そうしてキョロキョロし始めた。そんなお母さんを見て、お父さんが
「どうした?」
と困惑しているようだけど、そこでお母さんが変な事を言い始めた。
「声が…声が聞こえたの」
いつもは強気なお母さんが、大粒の涙をボロボロとこぼし
「お母さん……?まさか…そんな……」
そう言って持っていたハンカチを目に当て…どうしたんだろ?こんなに取り乱す事なんて無い人なのに…すると夢子叔母さんもボロボロ涙をこぼし、お母さんに話しかけた
「姉さん…姉さん…今、今ね…」
二人の視線がぶつかると、お母さんは大きく頷いて
「私も聞こえたわ」
涙でぐしょぐしょの顔で二人は笑った…二人の目に光が灯ったように見えた。すると恭弥叔父さんに頭を撫でられていた心晴ちゃんが、
「ニーニ、バーバがね、ニーニと仲良くって言うの。バーバどこかな?」
キョロキョロ見回す心晴ちゃん。そんな心晴を苦しそうな顔で見ながら拳を握る優くんが、
「ミー、バーバはね、死んじゃったんだよ声が聞こえるわけ無いんだよ…」
そう言った従妹の優は、正座で棺の前に私と座っている。優の顔を見て驚いた。目を大きく見開いてカナメちゃんの写真を凝視している。みるみる間に瞳から涙がこぼれ
「おばあちゃん?」
そう言った直後、私の手がヒヤッと感じた直後頭の中に可愛らしい、心晴の声に似た声が響いた
”ミカちゃんミカちゃんのおかげで私異世界に行ったときちゃんとステータス見れたわ。ありがとう。”
「は?」
突然の声に唖然としたけどその内容にびっくりしながら、皆を見回した私は
「ねー皆、異世界でステータス見れたよありがとうって聞こえたんだけど…え誰?まさか…まさか……カナメちゃん?」
皆はいっせいに私を見る。そしてお母さんも、夢子叔母さんも優も頷いた。噓でしょう?
”ふふふ異世界ってね実は美華ちゃんの大好きな「華白の聖女」の世界なの。聖女様にも会ったわ。そして友達になったのよ。
でねその世界の魔王様だった人が、魔王にならずに私の養父になってくれたの。凄いでしょ。私こちらの世界でスライムの「ウハハ」と養父の「クロト」さんと楽しく冒険者生活をしているわ。毎日が楽しくて充実してる。美華ちゃんも、趣味だけじゃなくて、きちんとお勉強もして楽しい毎日を過ごしてね。あまり愛子と雅也さんに心労かけてはダメよ。何になりたいかきちんと未来の自分を見てね。私に楽しい世界を教えてくれた美華ちゃん、ありがとう。大好きだったよ、ありがとう。”
情報量が多いわ!!多いのよ!!
「ちょっと!カナメちゃん!!魔王様が養父ってどういう事?ずるい!私も行きたい!!!」
私のいきなりの叫びに皆が目を丸くする。そしてわらわらと何を言われたか皆が言っていく。
そんな中恭弥叔父さんもいきなり話し始め。お父さんも泣き始めた。え?え?カオスじゃん。
「ちょっと皆、書いて行こう。お母さんはなんて言われたの、書いていくから言って…いや自分で書いて!!大人は紙とペンを渡すからさあ書いて!!ちびは書いてあげるから言って!!」
私たちは一気に紙に向かった。書きながら、涙を流す皆。
でも空気が変わってる。
そうまるで、凍り付いた厳しい冬が終わりを迎え、春の訪れのように、つくしや小花が咲き始める。そんな感じ。
だって強張っていた皆の顔に、 カナメちゃんの言葉が、安堵と希望をくれた。
私の周りは、涙を流しながらカナメちゃんから言われた言葉を、お互い見せあう穏やかな時間が流れ始めたのだから。
やっぱりカナメちゃんは凄い。
異世界か、きっと異世界でもカナメちゃんは、カナメちゃんだろうな…
私の大好きなおばあちゃん。
カナメちゃん。大好きだよ。
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