安全第一異世界生活

文字の大きさ
138 / 244
イルグリット王国 魔道具編

137話 トーさんのお仕置きと侵入者の正体

しおりを挟む
名前:桃李 司
年齢:14歳
種族:人族
職業:フリムスト所属:召喚勇者(仮)
レベル:45
称号:殺人鬼
異世界召喚前に2人の人間を殺害。召喚後、勇者の肩書を手に入れ奴隷、平民、商人、多種族を次々に殺してきた。殺害人数19人
状態:強制昏睡状態

「うん。前の世界に居た頃にも人を殺してる…… やっぱ危ない奴だったか。」

私の足元に寝ている少年が居る。たまに身体がピックとゆれるが、それ以外は寝ているだけ…。鑑定のモノクル装着中のトーさんが私の隣に立ち私の頭に手を置いて

「大丈夫か?」

心配げに見てくるが、私はトーさんを見上げ笑顔だ

「問題ないよ」

そう答え、少年の後方に縛り上げられた男女を見やり、指をさす。

「後ろの二人は、ゴンさんと、ギリルさん。元イルグリット王国の魔道具技師。現在はフリムスト所属、公国魔道具技師の二人だよ。役職は無し。ギリルさんが珍しい時戻しの使い手。」

「なっ!!小娘!!!貴様なぜそれを知っている!!」

私の言葉に激昂するギリルさんに、トーさんが思い出したかのように言葉を添える

「あ…さっきの欠損回復は時を戻したのか…面白い。」

「時戻し……」そう小声で呟いたシンさんは、少し離れたところで3人を見ていた。灰髪のギリルさんは、奥歯を強く噛み締め、私たちを射殺さんばかりの形相で睨み据えてきている。 

「そこのクソガキは生きてるんだろうな」

「あぁ、悪夢でお仕置きしてるだけだぞ。こいつは質が悪いからな。」

捕まって初めて、大柄なゴンさんと呼ばれた男の人が声を出した。

「……お仕置き?」

「あぁ、自分が殺した相手と同じ状況で同じように殺されるのを殺した人数分、夢の中で体験させている。」

「あぁ…」
「こりゃぁ、お仕置きが終わったら廃人だな」

ゴンさんはあきらめの顔をして、ギリルさんは匙を投げるような発言だ。彼を見ていた人がこの反応だ碌な事をしてなかったのは明白だね…

「廃人で済めばいいけど。ククク」

そう言ったトーさんは口角を上げて楽し気に言った。煽ってる…煽ってるよ…私はトーさんを見ながら考えて言葉を出す

「おじさんと、おばさんは隣の国の人でしょ?なんで国の管理課にある下水道に入ってきたの?悪い事だよね?」

ギリルさんは私を睨み吐き捨てて言った

「私らはもともとこの国の人間だ!糞王族に魔石欲しさに騙されフリムストに売られたんだよ!!悪い事だと言うなら!王族こそ悪だろーが!!」

「売ってないニャ!!再三に亘りフリムストに返還要求したニャ!!」

離れて岩に座っていたシンさんが立ち上がって叫んだ!!

「「は?」」 

縛られている二人は肩をいからせながら近づいてくるシンさんを凝視している。

「手紙を何度も書いたし!!安否を確認したニャ!!」 

「爺だって何とか帰って来てもらおうと王家に何度も抗議をしたにゃ!!」

「フリムストの使者との謁見に立ち会わせてもらったニャ。でもフリムストは全員死んだ!の、一点張りだったんだニャ!!」

二人は、目を見開きゴンさんが恐る恐る言葉を紡ぐ。

「俺の嫁は、俺を売った金で、違う男と結婚したと…」

そう言うと悔しそうに唇をかみ下を向いた。シンさんがそんなゴンさんの前に立つと質問した。 

「おじさんのお嫁さんて誰ニャ?」

「魔道具工房ジェニストのジェニーだが…工房ももうないだろ…」

「ジェニーおばさんの旦那さんニャ?親子で元気だニャ。おばさん怒ると超怖いけどニャ。職人達と元気に工房でお仕事してるニャ」

シンさんは知り合いの旦那さんが戻ってきて嬉しいのかニコニコと笑顔で返事をすると、ゴンさんはブルブル震えて

「子供ってなんだ!!誰との子供だ!!やっぱり俺を売ったんだろ!!」

ゴンさんの言葉に、シンさんは目が据わっていつもより低い声で言った

「おじさんがフリムストに行ってから妊娠が分かって出産した子だニャ。ジェニーおばさんは女手一つで、息子のルクスを大切に育てているニャ。15歳ニャ。わかる? おばさんは良く怒るけど、旦那の分までルクスを立派に育てないとって口癖なのニャ」

ゴンさんは涙目になりながら

「ジェニーが………そんな…俺たちは…ずっとずっと…売られたと…もう帰れないと…」

そんなゴンさんを一瞥してギリルさんは縛られたまま胡坐をかいて上を見上げた。見上げた天井は石のレンガを整え作られた空間。それを一瞥して…ボソりと呟く

「ありえなねーなぁ…十六年…騙されていたとかありえねーなぁ。ちょっとそこのあんた!ガンゾウ工房はまだあるのか?」

上を向いていた視線をシンさんに向けて聞いたきた。その言葉を聞いたシンさんは目を見開いた後…手をぎゅっと握って、目線を下げて頷く。

「そこに子供は居ないか?女の子だ!ゴンの所とそう変わらない…いや一つ年上か?…」

思い出しながらか、ギリルさんは上空を見たり右を見たりと、視線を彷徨わせながら聞いてくる。それに対してシンさんは無言で足元に目線を落としている…

シンさん?

何の返答もしないシンさんにしびれを切らしたのか、少し声を荒げ、

「なあ、ゴンの所が分かるならガンゾウ工房もあんた知ってるんだろう?」

その声に俯いていた顔を上げシンさんはギリルさんを見やって、小さな声で言った。

「名前を…言ってくださいニャ…」

「…名前?いや…名前が決まる前に派遣されたから…名前は判らない」

困ったように眉を顰め答えると、シンさんは睨みつけるような、怒気を帯びた視線をギリルさんに向け、いつもより低い声で問う。

「子供に名前も付けずに、派遣メンバーに入ったって事ですニャ…」

「なんだ…なぜ責められる?意味が解らないんだが?」

先ほどよりも眉間の皺が濃くなったギリルさんが訝しむようにシンさんと目線を合わした直後、シンさんの強く握っていた掌が震え、ギリルさんを睨む瞳には涙の膜が張っていった。そうして爆発したように、叫んだ!

「爺も婆も出産直後だから派遣メンバーから外してもらったと言ってたニャ!!なのに産まれて間もない我が子を放置して、あんたはその中に入ったって聞いたニャ。自分の子に名前も付けずにニャ!!」

シンさんのその言葉を、理解したのかギリルさんは、目を大きく見開いてシンさんの方に身体を向けて

「……あんた…まさか……」

期待に満ちた視線を受け、シンさんは先ほどのギリルさんと同じように眉間に皺をよせ

「アタシの親は死んだニャ!16年前にアタシを捨てて死んだニャ!!」

シンさんはそう言い捨てて身をひるがえし下水道の反対側の道に駆け出した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
ファンタジー
ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

勇者召喚に失敗したと捨てられましたが、魔王の家政婦になりました。

藤 ゆみ子
ファンタジー
家政婦として働いていた百合はある日、会社の倒産により仕事を失った。 気が沈んだまま家に帰り、おばあちゃんの仏壇に手を合わせていると突然知らない場所にいた。 訳がわからないまま、目の前にいる神官に勇者の召喚に失敗したと魔王の棲む森へと捨てられてしまう。 そして魔物に襲われかけたとき、小汚い男性に助けられた。けれどその男性が魔王だった。 魔王は百合を敵だと認識し、拘束して魔王城へと連れていく。 連れて行かれた魔王城はボロボロで出されたご飯も不味く魔王の生活はひどいありさまだった。 それから百合は美味しいご飯を作り、城を綺麗にし、魔王と生活を共にすることに。 一方、神官たちは本物の勇者を召喚できずに焦っていた。それもそう、百合が勇者だったのだから。 本人も気づかないうちに勇者としての力を使い、魔王を、世界を、変えていく。

処理中です...