安全第一異世界生活

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イルグリット王国 魔道具編

162話 家族たちとの再会と皆の活躍

王城の謁見の間にはフリムストに派遣されていた14名の魔道具技師たちが揃っていた。その傍らにはその家族が。涙を流しながら抱擁する姿があちらこちらから。

王も王妃も王太子も、警護をする騎士達も、見守る大臣たちも皆目じりに涙を浮かべ、笑顔だ。私たちも功労者と言う事でその場に居た。私たちの後ろにはシンさんが隠れる様に立っている。シンさんのお父さんがこの派遣された技師たちのリーダーをしていた人で、洞窟であの勇者に会った時に側に居た女性が、お母さんだった…
シンさんの灰色の髪はお母さん似、獣人はお父さん似だったんだね。私の傍でトーさんの後ろに隠れているシンさんに二人は声を掛ける。その二人の横で小さなおじいさんが困り顔をしていた。無理もない、写真を見て知ってはいたが、目の前の人たちが自分の家族だと頭で分かって居ても…心が揺れる。目の前に現れた人たちに自分は受け入れられるのか…と。
私はシンさんとつないだ手をポンポンと軽く叩き目を合わせる。

「大丈夫。お爺ちゃんも居るんでしょ。お父さんも、お母さんもシンさんの顔を見たがっているよ」

私がそう言うとシンさんの目が不安げに揺れる。シンさんはお爺さんと目を合わせると、お爺さんが優しく頷く。おずおずと私の手を握りながら二人の前に顔を見せると、銀髪の猫耳のお父さんが膝を付きシンさんの顔を下から覗き込み笑った。

「長い間寂しい思いをさせてすまなかった。初めて会う私たちを受け入れがたいだろう。少しづつで良い。家族になって行こう」

シンさんは目に涙をためながらコクリと頷くと男性は軽いハグをした。その後ろにこの前会ったギリルさんがいて、凄く鳴きそうな顔をしていたが、

「生きていてくれてありがとう」

それだけ言って静かに泣いていた。その姿が痛いたしくて、辛そうで…この人の16年が忍ばれた。そのギリルさんの姿に涙をこぼしシンさんは抱きつき

「おか、えり、なさい…」

それだけ言って3人は静かに泣いた。それを横で見ていた爺さんは嬉しそうに笑っていた。その目じりには涙が光っていた。

皆が家族と会って、少し落ち着いた頃、王様が言葉を紡いだ。

「この度、国の為に長きに亘る出向大儀であった。もっと早く皆を戻したかったが今回の様な形になり皆の苦労も相当なものであったと聞いた。本当に祖国の為の尽力に感謝する」

男性皆が片膝をつき頭を下げる。女性はスカートを広げカーテシーをした。王様は全体に視線を走らせ

「面を上げよ、今回皆の帰還に尽力してくれた者達を紹介する。呼ばれたものは前に来るように」

そう言うと王様は名を呼んだ

「フリムストの王太子、ウィルフレッド・レミア・フリムスト殿 、前へ」

王に言われ、少し緊張気味に王の近くに立つ。すると王はウィルの事を皆に話始めた。

「今回のフリムストの王の謀略を知り、我が国に危険を知らせ、あまつさえ危険を顧みず再度国に戻り逐一報告をしてくれた、先日部下に刺され、瀕死の重傷に陥ったと聞いたが、回復されて良かった」

ウィルは王の言葉にびっくりはしていたが、首を横に振り

「我が父の行いで皆さまを気づ付けた事に比べれば些細な事です。陛下」

そう言って軽く会釈した。その言葉に王様は微笑み、次に名前を呼んだ。

「オーラシアン王国から来たA級冒険者クロトとその娘カナメ、それからガンゾウ工房の孫娘シン、共に前へ」

私とトーさんは手を繋いでコーちゃんとも手を繋いで、ウハハはトーさんの肩の上に乗って、シンさんは家族と居たので、そこから前に出てきて、王様の側に行って皆で一礼した、そして礼をしてくれている皆の方に向き直る

「クロト親子とシンはこの国の地下下水道で張り巡らされていた陰謀を根本から撤去して、脅威を無くしてくれた功労者だ。そして、かの国が我が国に秘かに入国させた殺人鬼を見つけ出しそちらの討伐もしてくれた。そして君たち使節団の濃い洗脳を解く為、裏で動いてくれた立役者だ。カッコいいだけではなくそれに見合う強さ感服した」

殺人鬼ってあれか勇者の事かな。うんうんあれはそれでいいと思う。トーさんがメッチャ褒められているのが本当に嬉しい。ニコニコしながらトーさんの顔を見ていると、

「そしてその娘カナメ、この度我が国を襲う魔物の脅威をどけてくれた功労者だ。なんとフリムストで恐れられていたあの黒きドラゴンと従魔契約をして家族になったと報告してくれた時には、わしも腰を抜かした。わが国とも友好を結んでくれる事を願う」

会場中がざわざわと皆が困惑しているのが分かる。私は

「コーちゃんドラゴンの姿に戻ったら……ちょっとここでは入りきらないよね…角と尾っぽや羽を人型でも出すことは出来る?」

「できるぞ」

コーちゃんはポンと自分に軽く煙の様な幕を纏うとすぐに取り払った。そうすると角と羽。尾っぽがついた龍人族の姿になった。コーちゃんの姿を見て会場から、

「あの小さな子がドラゴン?」
「そんな…あれが五大龍の一龍とは」
「かわいい」

などなど色々な声が聞こえてくる。かわいいには同意です。

「我は別に人間と敵対するつもりも無い。これから、主について動くことになるが、主が国を滅ぼしたいと思うような事が無い限りは人間に友好的である。ただし主たちに手を出そうものならその者が世界の果てに逃げても追いかけて駆逐すると伝えておく。努々手を出そうなどと考えないように」

可愛い3歳児の姿で偉そうに話すコーちゃん。私は可愛すぎて笑ってしまいながら

「私、魔道具が好きです。今泊っている宿で食べれるご飯も大好きで、王族の人たちも国民の事を考える良い人で、この国に友達も出来て、理由は理由ですが、新しい家族も迎えられてこの国に悪い印象が無いのでこれからも仲良くしてくれると嬉しいです」

私が笑いながら挨拶をすると皆がホッとしたように笑った。そして王様は声を出した。

「各魔道具技師工房の尽力あって、此度あの結界を構築できた。皆の働き見事であった」

王のその言葉にシンさんのお爺さんが手を上げた。それを見て王様が

「ガンゾウ工房のガンジどうした?」

「恐れながら、今回構築出来た結界はまだ消費魔力が多くかなり維持に資金がかかるもの。そしてワイバーン程度の攻撃が2発防げる程度のモノです。まだこれは完成じゃありません。若い者達も帰って来た。これからもっといいものを作り上げていきます」

お爺さんはそう言って誇らしげに笑って頭を下げた。その言葉に王様と王妃様は嬉しそう笑い、手を叩いた。そして王妃様も、バルトロメオ殿下も、ウィルも大臣たちも、謁見の間は拍手に包まれた。16年の功績を鑑みて魔道具技師たちは褒美をもらえることになり、詳細は後々として話が終わった。
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