安全第一異世界生活

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イルグリット王国 魔道具編

164話 彼らが去った後 【宿屋 ゆりかごの天使 編】

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今回はかなり短めです。

***
長期滞在の冒険者親子を見送った宿屋『ゆりかごの天使』の親方様は言葉を漏らす。

「あの子達が居なくなると皆も張り合いが無くなるのぉ」

番頭らしい男が頷きながら言う

「どこに居ても見つけられるあのような者たちは初めてでした。部下たちがどうしたら見つからないかと今まで以上に真剣に修行する様は嬉しくなりました」

親方様は笑いながら

「若い連中、あの黒ずくめの父親に尾行を見破られ、あまつさえ捕まって尋問までされたと言って居ったな。伸びきった天狗の鼻をぽっきり折られて良い刺激になったじゃろうて」

うさ耳の受付女性も頷きながら

「私よりも耳の良い子供も初めて見ました。後から合流した子供何者だったのでしょう?」

その言葉に親方様は優しい笑みをこぼし

「世の中には、知らねば良かったと思う事は腐るほどあるのじゃよ。一緒にいたあのスライムもホンニヤバかったぞ…」

その言葉を聞いて皆心の中で恐怖した。親方様にこんな言葉を言わせた、あの幼児にスライム…いったい何者?そう思いつつ皆にこやかに、内心冷や汗をかいていた。そんな中、料理長が寂しそうに

「ガンゾウ様から伝えられたレシピで作ったモノをあの少女は本当においしそうに食べてくれて僕は嬉しかったですよ」

1ヵ月も滞在すれば皆あの少女がご飯を食べてる姿を見かけることがあった様で、その時の様子を思い出しうんうん頷いた。それにうさ耳の受付嬢が聞く

「そう言えば私もこの間久しぶりにガンゾウ様の秘伝レシピメニュー注文したんだけど、なんか味が前より深みが出て美味しかったんだよ。料理長、腕上げたね」

料理長は照れたように顔を赤らめ、

「レシピじゃなくて、だしの取り方のアドバイスをもらってね…一度作ったら、あのレシピがさらに美味しくなったんだ」

!!!!!
その時みんな想像した顔は同じだったのかもしれないが、まさかと思いながらうさ耳受付嬢が料理長に尋ねた

「………誰に?」

「あの少女だよ」

皆絶句した。あの少女はどう見ても5歳前後…料理作って50年の料理長にアドバイス?あの子いったい何者なんだ…

「そういえばあの子の料理もおいしかったですよね、親方様」

「そうじゃのう。ありゃあ良い母親になるのう」

嫁じゃなくて、母?親方様5歳児にそれは……いやあの子なら…皆は考えうんうん納得して頷いた。

「あの周りを固める布陣を抜けて求婚できる猛者…現れればじゃがな、ホホホホ」

皆その言葉にまたも頷く。だってあの子の周り何かしらの結界が常にかかっていたみたいだし、幼児は近づくものをまずけん制していたし、お父さんは後ろ手に、うちの娘に何か?って感じの圧を放っていたし…番頭も、料理長も思い出して身震いした。そんな中、うさ耳受付嬢は拳を握り上下に振って訴えた。

「今さらりと流しましたが、あの5歳の少女が料理を?え!!食べたかった!!」

その姿をそこに居る面々がみて皆一様に『子供か!!』っと突っ込み入れたくなったのは黙っておく。料理長は思い出し感心したように声を漏らした

「5歳児が作る料理とは到底思えなかったですな。あの幼児にせがまれてしまって、料理を作りたいから台所を貸してほしいと言われた時は驚きましたがね、ベテラン主婦の様な手際の良さにもびっくりでした」

番頭もうんうん頷き肯定しながら

「なんとも不思議な子でしたね」

そう漏らした言葉に全員が納得した。それを横で聞きながら親方様は確信していた。あの少女はガンゾウ様と同じ異世界からの迷い人なのだろうと。そう思いながらにっこり笑って、家族たちが去っていった方向に目を向けた。

またこの国に来たときは、我が宿、ゆりかごの天使に滞在してくれる事を願って。
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