安全第一異世界生活

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番外編・召喚された者達

172話 番外編 曽根さんと山田君の異世界生活 ②

宿の食堂は宿泊客は決まったメニューが出される。が、希望して追加料金払えば、聖女様の考案メニューに変更ができる。日本ではよくあるシステムだけど、この世界ではなかなか珍しいそうで、聖女様考案メニューを申し込んだ時、良く知っていたなっと感心されてしまった。カレーが食べたい一心で受付所の美人ねーさんに確認したからね。

キッチンから凄く懐かしいスパイシーな食欲をそそる香りがしてきた。少しして運ばれてきたトレーを見るとご飯にグレイビーボートに入ったカレー。野菜サラダに、スープとセット。日本ではよく見るセットに山田の目じりに感動の涙がたまっている。
そっか…山田はこちらに来てから21年たってるんだよね…
二人で手を合わせて「「いただきます」」と言うと、辺りから暖かい視線を向けられた。アタシ達二人は首を傾げ、ご飯にカレーを少し欠けパクっと一口、久々の懐かしいカレーに頬が緩む。目の前の山田は、もぐもぐと咀嚼しながら、涙を流していた。

「またカレーが食べれるなんて…嬉しい…美味しい」

そう言いながら、ご飯に残りのカレーを一気に注ぎ、もぐもぐと泣きながら食べ続け感動して泣いている山田を前に、アタシも静かに山田を見ながらご飯を食べた。小食の山田にしては珍しくカレーを恥ずかしそうにお代わりする姿についつい頬が緩んだ。

「ごちそうさまでした」山田が手を合わせて挨拶をするとクスクスと隣のテーブルに座っている女性に笑われた。私たちは首を傾げて女性を見ると、

「ごめんなさいね。懐かしくてつい」

女性のテーブルには、金髪のイケメン顔のお兄さんも居て、ニコニコこちらを見ていた。

「君たちが案内所に現れた聖女様と会いたい人たちなのだろ?容姿的には日本人ぽくはなさそうだけど?カナメちゃん位分かりやすければ良いんだけど」

「エド、女の子の方は日本人よ。髪は毛染めして金髪にしているの。ほら根元が黒くなってるでしょ。私もこちらに召喚された頃は、栗色に毛を染めていたのよ。懐かしいわ、ふふふ。男の子の方は地毛よね?元から茶色いのかしら?」

ニコニコと話し始める二人の会話を聞いて、ビックリした。

「え?聖女様?」

女性はニッコリ笑って

「フフフ、三神彩音と言います。ここに召喚されて20年経つの。よろしくね」

「あ!えっと僕は、21年前にこちらに転生した、山田力輝(ヤマダリキ)と言います。こちらの世界での名前はバートン・ナイジェルでしたが、曽根さんと一緒に旅に出る為勘当されて、バートンになりました」

エドと呼ばれた男性と聖女様は、山田の言葉に二人してびっくりしながらも、嬉しそうにしている。山田の自己紹介にアタシが嬉しくてニコニコ山田を見ていると、二人の視線を気にして山田が、

「曽根さん僕を見てないで自己紹介は?ねぇ曽根さん恥ずかしいから」

あぁ照れた山田もかわいい。デレデレしながら、聖女様をみて頭を掻きながら

「えっと、曽根ミホです。こっちに召喚されて2カ月くらいかな?一緒に召喚された友達に彼ぴが出来たので、安心して国を出奔してきました。あ!!大丈夫。ひとまず騎士団長とか偉い人には言ってきたから」

「あら?複数人召喚されたの?」

「3人。勇者って呼ばれたサイコヤローに、大和なでしこ美人の魔法使いに、聖女って呼ばれたアタシ。の3人。聖女とか絶対アタシの柄じゃないのよ!!絶対紬木の方が似合ったのにねぇ」

三神さんはクスクスと笑う。エドさんがぶつぶつと呟く

「複数人ってあれかな魔力媒体使っての召喚かな…それとも魔法使いを潰したか…ろくでもない…」

その言葉を聞いていた山田がおずおずと手を上げた

「あの…分かればで良いのですが、お聞きしたいです。僕曽根さんが召喚される3ヵ月前に事故にあいあちらの世界で死んだんです。気がついたらこちらの世界に産まれ落ちてて21年。そして2カ月前に召喚された曽根さんに会いました。時間が全然違うんです」

エドさんが顎に手を当て首をかしげる

「時間軸が違うと」

「そうです」

その二人の会話を聞き、アー確かにそうだなと納得した。山田同い年だったのに、こっちだと5歳も年上だもんね。二人の会話を聞きながらずっと山田が気にしていたんだと初めて知った。アタシが山田たちを見たら三神さんがニコニコとアタシを見てて首を傾げた。

「ミホさんは気にならないのね」

「時間?確かに山田が5歳とかだったら気にするけど、今の年齢差だったら結婚できるし、一緒に入れるなら大丈夫。山田が側に居てくれるなら気にならない」

アタシの言葉に山田が真っ赤になるし、エドさんも三神さんもクスクス笑う。エドさんが

「ベタ惚れだね」

山田の肩を叩きながら私に言うので、素直に気持ちを伝えた

「山田以外アタシの中でありえないから」

顔を真っ赤ににした山田が視線を泳がせながら

「僕も曽根さんが奥さんになって欲しいです」

それを聞いたアタシはテーブルが間にあるのも構わず山田の頭を引き寄せてお互いの頭をくっつけグリグリとして喜んだ。エドさんが口笛で「ヒュー」と音を鳴らし
、食堂に居た他のお客さんからも「お熱いね」とか「兄ちゃん茹でだこじゃないか」
「ねーちゃん大胆だな」とかいろいろ言われた。でもそんなこと良いんだ。山田が居てアタシが居る。それが幸せ。山田を離してニコニコ顔のアタシ。嬉しそうにはにかむ山田。私たちを見ていたエドさんと、三神さんは顔を見合わせて頷いた。

「ミホさん達は、良ければしばらく私の近くでこの世界を学びませんか?カレーの様に過去の異世界人が残した食が残る国も教えてあげられますよ。あと山田さんが喜びそうなお料理も一緒に」

アタシ達は顔を見合わせ、頷いた。

「「ぜひお願いします」」

二人の声が重なって大きく食堂に響いた。
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