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第32話 娘たちの戦闘体験
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始めは、年長組のピーチ・ライム・シュリ・アリス・マリー・ライラ・メアリー・ケイティの八人に戦闘訓練してもらう。召喚する獲物は、ゲームやファンタジーではお馴染みコボルトでいこう。Lv4で1匹だけを少し離れたところへ召喚する。
なぜLv4かというと、召喚しようとしたコボルトはLv5を超えると一気に身体能力が向上するようで、安全のために弱い状態のコボルトを召喚したのだ。
「俺の索敵にコボルトがひっかかったから、年長組は気を引き締めてかかるように。この周辺に出る魔物は強くないから、みんなで協力すれば問題なく倒せる。どうにもならないと判断したら、俺やカエデ、レイリーが倒すから安心して戦ってほしい」
娘たちはそれを聞いて、戦闘に介入されたら買っていただいた意味がなくなってしまうと考えたようだった。恐ろしいことに、アイコンタクトですべてを悟ったかのように娘たちが一致団結していた。
シュウがそれを知るすべはないが……
コボルトが視界に入ると、タンクを務めるシュリは、大きな声をだしてコボルトの意識を引いている。遭遇時のヘイトを稼ぐことはできているようだ。ヘイトを稼ぐスキルが無いから維持するのは難しいだろう。コボルトの早くない攻撃を盾で受けながら足を剣で攻撃していた。
お? デバフ的な攻撃の仕方か、確かにヘイトを稼ぐには効果的な方法だな。自分で考えたのだろうか? よく見ると、立ち位置を調整してアタッカーが攻撃しやすい位置へ移動していた。
「シュリ、足を攻撃するよ!」
二刀流のマリーが、手数を生かした物理のデバフを行う。嫌がったコボルトがマリーを攻撃しようとするが、シュリが盾を構えて体当たりでコボルトの体勢を崩す。
態勢を崩したところを見逃さずに、魔法使いのライムが『ストーンバレット』を放って追い打ちをかけた。態勢を崩されたところに魔法を打ち込まれ、コボルトは転倒した。
「トドメいきます!」
転倒したところへ、両手剣をかまえたライラが力いっぱい振りかぶった。コボルトの首を狙っていたようだったが振り慣れていない武器だったため、胸の部分を大きく切り込むような感じで突き刺さった。
コボルトが消滅してドロップアイテムが落ちた。
「「「「「「「やったー!!」」」」」」」
年長組はみんなで喜びの声を上げていた。
シュウは、初めての俺よりも全然動けていた年長組を見て混乱していた。
「ピーチ、初めての戦闘だったはずなのに、何で動けてたんだ?」
「夕食の終わった後にご主人様からいただいた自由時間に、レイリーさんに頼んで戦闘のイロハを教えてもらったんです。眠ってしまった年下の娘たちは、今日起きてからレイリーさんに習ったことを教えています。みんな一通りの役割を体験するとの事だったので、気を付ける点を教わっています」
そこでピーチは一息入れて、
「同士討ちをしないためにも声掛けは大切だという事も習いました。熟練のパーティーなら声をかけなくても動けるようになると聞いて、私たちもその高みを目指したいと思っています。そのためには、各役割をしっかり把握することが大切なんですよね、ご主人様?」
予想以上に向上心のある娘たちに驚きを隠せずにいた。
「確かに大切だけど、初日からそんなに気張ってたら疲れないか?」
「いえ、必要以上に休める時間をいただいていますので、自由な時間はご主人様の為になる事をみんなでしようって決めたんです。自由時間ですから問題ないですよね? ご主人様が何度も言われているように、無理や無茶はするつもりはありません。できる範囲で行っていきますのでこれからも続けていいですか?」
「あぁ……自由時間だからそれは何の問題もないよ。何度も言ってるけど、無理や無茶をしないならこっちからいう事は何もないよ」
「ありがとうございます。ご主人様」
年長組の役割を交換して全部の役割を体験してもらうが、特に問題はなかった。一日の勉強でここまで動けるようになるものなのだろうか? 本気になった人がすごいのだろうか? 問題がない事はいいことなのだが、初めて魔物を殺した時の事を思い出すと 俺って情けなかったと思ってしまう……
戦っていなかった娘たちは全員、年長組の戦闘をしっかりとみて各役割と動きをしっかりと学んでいる様子だった。カエデと俺とレイリーは、一戦闘ごとによかった点や悪かった点を話して、娘たちにいいところは吸収してもらえるように努めた。
次に年中組のリリー・チェルシー・シャルロット・ジュリエット・マリア・キリエ・クシュリナの7人による戦闘訓練が始まる。危険のないようにコボルトのLvを二にさげ、カエデがパーティーの最後尾に入れ、危険を感じたら魔物を切り捨てるようにお願いした。
年中組は緊張しているようだがお互いに声をかけあって、周囲を警戒しながら歩いていた。
「さて、お話はこの辺でおわり。もう少し行くとコボルトが見えてくると思うよ」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
1分もしないうちにコボルトと遭遇する。タンク役のリリーが慌てずに前に出て声を出して威嚇する。それを聞いたコボルトもお返しと言わんばかりに唸り声をあげ走ってきた。年長組のタンク役を見ていたリリーは、まず盾を構えて体当たりでコボルトの動きを止め腕を切り付けていた。
お返しとコボルトが持っていた剣を振りかぶるが、リリーの盾に弾かれ体勢を崩した。リリーはその隙を見逃さず、剣を胸に向かって突き立てた。そのまま、ドロップ品を残しコボルトは消えてしまった。
……いくらLv2のコボルトとはいえ、1人で完勝してしまったリリーを見て、シュウはまた反応に困っていた。どう声をかけようかと思っていたが、俺が声をかける前に、
「「「リリーちゃんばっかりずるいよ!」」」
リリーは、戦闘に参加できなかった残りの7人からブーイングをくらっていた。
「みんな落ち着いて、言いたいことはわかるけど、チャンスがあったらしっかりとトドメをさすことも、冒険者としては大切だよ。倒せるときに倒さないで、仲間の誰かが怪我したらやでしょ?
分かったらブーイングはしないようにね。リリー、今の判断が間違ってるとは言わないけど、今は戦闘の体験と役割を経験してもらうためのパーティー戦だから、1人で倒し切るのは控えてね」
ブーイングを飛ばしていた娘たちもリリーもちょっと視線が下がっていた。こんな空気を打開するべく、Lv2のコボルトを2匹召喚する。
「ほらほら、気を取り直して次行くよ! 近くに2匹のコボルトがいるから気を引き締めるんだよ。カエデ、危ないと思ったら切り捨てて」
「了解。みんな聞いてたね、危なくなったら助けるから、気張らずに習ったことをしっかり思い出して声をかけながら戦闘するんだよ」
「「「「「「「はい!」」」」」」
2匹のコボルトに対峙して、初戦と同じようにリリーが声を出して威嚇する。注意が引かれている所に、魔法杖を持っているジュリエットから声がかかり『ファイアバレット』がコボルトに命中する。火が体中に回らない様に地面に転がっているコボルトに向かって、マリアが両手剣を振り下ろす。
コボルトに近すぎた為かマリアから離れた位置にある右腕が落ちて胸の半ばまで剣が食い込んでいた。マリアは振り返りもう1匹のコボルトを視界に収めている。その後ろでクシュリナが両手斧をつかってコボルトの命を絶っていた。
「マリアちゃん、トドメはさせる時にしないとだめだよ。獣だって死に物狂いになったら危険なんだから」
「ごめん、倒せたと思ってた」
そんなやり取りを聞いていると、リリーが盾でコボルトをはじきながら
「反省はあとで! 今は敵が目の前にいるんだよ」
「リリー、ボウガンいくね」
ボウガンを構えたシャルロットが矢を放つ。見事に左の太ももあたりに刺さった。
「追撃いきます」
双剣のチェルシーが一気に距離をつめて、浅いが的確に足と腕を捕らえていた。
コボルトが嫌がってチェルシーから距離をとろうとしたところ、
「みんな追わないで」
キリエの魔法の杖から『ウィンドカッター』がはなたれ首に綺麗に当たり切断される。
トドメをさしきれなかったときのやり取り以外は問題が無い。もっと苦戦するかと思っていたのに、全然苦戦する様子がない。みんな可愛いから、ちょっとピンチになったら助けて「おぉ!」とか「カッコいい」とか言われる妄想してたのに!
役割を変えて戦闘をしても、問題があるわけなく年中組の戦闘体験は終わった。
最後に年少組の戦闘体験だが、レイリーにタンク役の補助として入ってもらって、危なくなったら倒すようにしてもらうか。
「次は、イリア・シェリル・エレノア・サーシャ・ソフィー・レミー・メルフィの7人だけど、心配なのでレイリーに付き添いをしてもらいます。元々タンクのレイリーならヘイト稼ぐスキル持ってるから、危なくなったら使ってくれ」
「了解しました」
「え~私たちだけでも大丈夫だよ!」
俺の意見に不満の声を上げたのは最年少のシェリルだった。
「シェリル、できるかできないかじゃなくて、君たちのことを心配なんだよ。もしレイリーの付き添いが嫌なら、年少組の体験は今日はなしになるか『シェリル、おじいちゃんの付き添い嬉しい! だから戦闘の体験するの!』」
誰に似たのかこの変わり身の早さは……チラッとカエデの方を見ると、バツが悪そうに頭をポリポリかいていた。
苦笑しながらその姿を見つつ、コボルトのLv1を召喚する。
「もうちょっと進んだらコボルトがいるよ、みんな気を引き締めて」
「「「「「「「は~い」」」」」」」
コボルトが姿をあらわすと、一番気の弱そうなメルフィがタンクとして大きな声出した。
「かかってきなさい、ワンコロ!」
戦闘に入ると人格が変わっちゃうあれですかね? おしとやかに育ってほしいものだ。
先の2組のように盾を構えて体当たりして、注意をさらに引き付けている。シェリルが声をかけてボウガンを腕に命中させていた。ひるんだコボルトにレミーが『ファイアバレット』をあてていた。
なりふり構わず逃げようとしたコボルトに、エレノアが両手武器(片手剣の大きめのサイズ)で切りかかっていた。
背中を大きく傷付けられ膝をついたコボルトにサーシャが全速で近寄って、勢いのまま剣を突き刺してコボルトは息絶えた。
年少組も役割を入れ替えて体験をするが、何も問題はなかった。コボルトのLvを抜きにしても一番動けていたのが年少組だった。前の2組の動きを見てしっかり覚えたせいなのだろうか? この世界の人間って基本的に戦闘ができるような、恩恵みたいなものがあるんじゃないかと感じてしまった。
なぜLv4かというと、召喚しようとしたコボルトはLv5を超えると一気に身体能力が向上するようで、安全のために弱い状態のコボルトを召喚したのだ。
「俺の索敵にコボルトがひっかかったから、年長組は気を引き締めてかかるように。この周辺に出る魔物は強くないから、みんなで協力すれば問題なく倒せる。どうにもならないと判断したら、俺やカエデ、レイリーが倒すから安心して戦ってほしい」
娘たちはそれを聞いて、戦闘に介入されたら買っていただいた意味がなくなってしまうと考えたようだった。恐ろしいことに、アイコンタクトですべてを悟ったかのように娘たちが一致団結していた。
シュウがそれを知るすべはないが……
コボルトが視界に入ると、タンクを務めるシュリは、大きな声をだしてコボルトの意識を引いている。遭遇時のヘイトを稼ぐことはできているようだ。ヘイトを稼ぐスキルが無いから維持するのは難しいだろう。コボルトの早くない攻撃を盾で受けながら足を剣で攻撃していた。
お? デバフ的な攻撃の仕方か、確かにヘイトを稼ぐには効果的な方法だな。自分で考えたのだろうか? よく見ると、立ち位置を調整してアタッカーが攻撃しやすい位置へ移動していた。
「シュリ、足を攻撃するよ!」
二刀流のマリーが、手数を生かした物理のデバフを行う。嫌がったコボルトがマリーを攻撃しようとするが、シュリが盾を構えて体当たりでコボルトの体勢を崩す。
態勢を崩したところを見逃さずに、魔法使いのライムが『ストーンバレット』を放って追い打ちをかけた。態勢を崩されたところに魔法を打ち込まれ、コボルトは転倒した。
「トドメいきます!」
転倒したところへ、両手剣をかまえたライラが力いっぱい振りかぶった。コボルトの首を狙っていたようだったが振り慣れていない武器だったため、胸の部分を大きく切り込むような感じで突き刺さった。
コボルトが消滅してドロップアイテムが落ちた。
「「「「「「「やったー!!」」」」」」」
年長組はみんなで喜びの声を上げていた。
シュウは、初めての俺よりも全然動けていた年長組を見て混乱していた。
「ピーチ、初めての戦闘だったはずなのに、何で動けてたんだ?」
「夕食の終わった後にご主人様からいただいた自由時間に、レイリーさんに頼んで戦闘のイロハを教えてもらったんです。眠ってしまった年下の娘たちは、今日起きてからレイリーさんに習ったことを教えています。みんな一通りの役割を体験するとの事だったので、気を付ける点を教わっています」
そこでピーチは一息入れて、
「同士討ちをしないためにも声掛けは大切だという事も習いました。熟練のパーティーなら声をかけなくても動けるようになると聞いて、私たちもその高みを目指したいと思っています。そのためには、各役割をしっかり把握することが大切なんですよね、ご主人様?」
予想以上に向上心のある娘たちに驚きを隠せずにいた。
「確かに大切だけど、初日からそんなに気張ってたら疲れないか?」
「いえ、必要以上に休める時間をいただいていますので、自由な時間はご主人様の為になる事をみんなでしようって決めたんです。自由時間ですから問題ないですよね? ご主人様が何度も言われているように、無理や無茶はするつもりはありません。できる範囲で行っていきますのでこれからも続けていいですか?」
「あぁ……自由時間だからそれは何の問題もないよ。何度も言ってるけど、無理や無茶をしないならこっちからいう事は何もないよ」
「ありがとうございます。ご主人様」
年長組の役割を交換して全部の役割を体験してもらうが、特に問題はなかった。一日の勉強でここまで動けるようになるものなのだろうか? 本気になった人がすごいのだろうか? 問題がない事はいいことなのだが、初めて魔物を殺した時の事を思い出すと 俺って情けなかったと思ってしまう……
戦っていなかった娘たちは全員、年長組の戦闘をしっかりとみて各役割と動きをしっかりと学んでいる様子だった。カエデと俺とレイリーは、一戦闘ごとによかった点や悪かった点を話して、娘たちにいいところは吸収してもらえるように努めた。
次に年中組のリリー・チェルシー・シャルロット・ジュリエット・マリア・キリエ・クシュリナの7人による戦闘訓練が始まる。危険のないようにコボルトのLvを二にさげ、カエデがパーティーの最後尾に入れ、危険を感じたら魔物を切り捨てるようにお願いした。
年中組は緊張しているようだがお互いに声をかけあって、周囲を警戒しながら歩いていた。
「さて、お話はこの辺でおわり。もう少し行くとコボルトが見えてくると思うよ」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
1分もしないうちにコボルトと遭遇する。タンク役のリリーが慌てずに前に出て声を出して威嚇する。それを聞いたコボルトもお返しと言わんばかりに唸り声をあげ走ってきた。年長組のタンク役を見ていたリリーは、まず盾を構えて体当たりでコボルトの動きを止め腕を切り付けていた。
お返しとコボルトが持っていた剣を振りかぶるが、リリーの盾に弾かれ体勢を崩した。リリーはその隙を見逃さず、剣を胸に向かって突き立てた。そのまま、ドロップ品を残しコボルトは消えてしまった。
……いくらLv2のコボルトとはいえ、1人で完勝してしまったリリーを見て、シュウはまた反応に困っていた。どう声をかけようかと思っていたが、俺が声をかける前に、
「「「リリーちゃんばっかりずるいよ!」」」
リリーは、戦闘に参加できなかった残りの7人からブーイングをくらっていた。
「みんな落ち着いて、言いたいことはわかるけど、チャンスがあったらしっかりとトドメをさすことも、冒険者としては大切だよ。倒せるときに倒さないで、仲間の誰かが怪我したらやでしょ?
分かったらブーイングはしないようにね。リリー、今の判断が間違ってるとは言わないけど、今は戦闘の体験と役割を経験してもらうためのパーティー戦だから、1人で倒し切るのは控えてね」
ブーイングを飛ばしていた娘たちもリリーもちょっと視線が下がっていた。こんな空気を打開するべく、Lv2のコボルトを2匹召喚する。
「ほらほら、気を取り直して次行くよ! 近くに2匹のコボルトがいるから気を引き締めるんだよ。カエデ、危ないと思ったら切り捨てて」
「了解。みんな聞いてたね、危なくなったら助けるから、気張らずに習ったことをしっかり思い出して声をかけながら戦闘するんだよ」
「「「「「「「はい!」」」」」」
2匹のコボルトに対峙して、初戦と同じようにリリーが声を出して威嚇する。注意が引かれている所に、魔法杖を持っているジュリエットから声がかかり『ファイアバレット』がコボルトに命中する。火が体中に回らない様に地面に転がっているコボルトに向かって、マリアが両手剣を振り下ろす。
コボルトに近すぎた為かマリアから離れた位置にある右腕が落ちて胸の半ばまで剣が食い込んでいた。マリアは振り返りもう1匹のコボルトを視界に収めている。その後ろでクシュリナが両手斧をつかってコボルトの命を絶っていた。
「マリアちゃん、トドメはさせる時にしないとだめだよ。獣だって死に物狂いになったら危険なんだから」
「ごめん、倒せたと思ってた」
そんなやり取りを聞いていると、リリーが盾でコボルトをはじきながら
「反省はあとで! 今は敵が目の前にいるんだよ」
「リリー、ボウガンいくね」
ボウガンを構えたシャルロットが矢を放つ。見事に左の太ももあたりに刺さった。
「追撃いきます」
双剣のチェルシーが一気に距離をつめて、浅いが的確に足と腕を捕らえていた。
コボルトが嫌がってチェルシーから距離をとろうとしたところ、
「みんな追わないで」
キリエの魔法の杖から『ウィンドカッター』がはなたれ首に綺麗に当たり切断される。
トドメをさしきれなかったときのやり取り以外は問題が無い。もっと苦戦するかと思っていたのに、全然苦戦する様子がない。みんな可愛いから、ちょっとピンチになったら助けて「おぉ!」とか「カッコいい」とか言われる妄想してたのに!
役割を変えて戦闘をしても、問題があるわけなく年中組の戦闘体験は終わった。
最後に年少組の戦闘体験だが、レイリーにタンク役の補助として入ってもらって、危なくなったら倒すようにしてもらうか。
「次は、イリア・シェリル・エレノア・サーシャ・ソフィー・レミー・メルフィの7人だけど、心配なのでレイリーに付き添いをしてもらいます。元々タンクのレイリーならヘイト稼ぐスキル持ってるから、危なくなったら使ってくれ」
「了解しました」
「え~私たちだけでも大丈夫だよ!」
俺の意見に不満の声を上げたのは最年少のシェリルだった。
「シェリル、できるかできないかじゃなくて、君たちのことを心配なんだよ。もしレイリーの付き添いが嫌なら、年少組の体験は今日はなしになるか『シェリル、おじいちゃんの付き添い嬉しい! だから戦闘の体験するの!』」
誰に似たのかこの変わり身の早さは……チラッとカエデの方を見ると、バツが悪そうに頭をポリポリかいていた。
苦笑しながらその姿を見つつ、コボルトのLv1を召喚する。
「もうちょっと進んだらコボルトがいるよ、みんな気を引き締めて」
「「「「「「「は~い」」」」」」」
コボルトが姿をあらわすと、一番気の弱そうなメルフィがタンクとして大きな声出した。
「かかってきなさい、ワンコロ!」
戦闘に入ると人格が変わっちゃうあれですかね? おしとやかに育ってほしいものだ。
先の2組のように盾を構えて体当たりして、注意をさらに引き付けている。シェリルが声をかけてボウガンを腕に命中させていた。ひるんだコボルトにレミーが『ファイアバレット』をあてていた。
なりふり構わず逃げようとしたコボルトに、エレノアが両手武器(片手剣の大きめのサイズ)で切りかかっていた。
背中を大きく傷付けられ膝をついたコボルトにサーシャが全速で近寄って、勢いのまま剣を突き刺してコボルトは息絶えた。
年少組も役割を入れ替えて体験をするが、何も問題はなかった。コボルトのLvを抜きにしても一番動けていたのが年少組だった。前の2組の動きを見てしっかり覚えたせいなのだろうか? この世界の人間って基本的に戦闘ができるような、恩恵みたいなものがあるんじゃないかと感じてしまった。
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