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第103話 リーファスの街のお片付け
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借りた家まで案内してもらい、家の中を確認する。しばらくいるだけの家なので、風呂場と調理場、寝室、食堂がこの人数で問題なければそれでいいと思っていたが、予想以上に大きな家だった。フレデリクの街にある俺の家と同じくらいのサイズの家だった。
うむ、これなら十分すぎるほどだな。ここで問題ない事を伝え本来の適正価格を聞いてチップと一緒にお金を押し付けた。
「じゃぁシルキー達は食事の準備をしてもらっていいかな?アクアとメイは結界をはってくれ。娘達は戦争の時に使った装備に着替えて入口に集合。じゃぁ行動して~」
みんなに指示を出してから俺も一応戦闘装備に着替えていく。とはいっても、ミスリル繊維で作った行動アシスト付きパワードスーツは自動サイズ補正、蒸れ防止、汚れ防止などがついていて、基本的に外出する際にはいつも着ている、というか着ていないと外出できなくなった。
でも、クリエイトゴーレムで作った繊維の布にはエンチャントがかけられたんだよな。魔法とエンチャントは違うものなのだろう。他に実験はしていないが、それ以外で今のところ説明ができないのでそういう事にしておく。
このミスリル繊維で作った行動アシスト付きパワードスーツ・・・いちいち長いな・・・アシスーツでいっか。このアシスーツはステータスには影響しないが、数値にすると力とスピードが約五〇〇程上がってるのではないかと思う。
ステータスの数値通りのものが上がってるわけじゃないので、正確とは言えないが、シュリとの打ち合いで使ったら圧倒的に負けていた力が、ある程度対抗できるようになったし、スピードでもついていけるようになったのでそういう風に判断している。
色々考えていると、娘たちが準備を終わらせて集まってきた。
「みなさん、討ち入りでござる」
「ご主人様? 何かの雰囲気作りの一環でしょうか?」
娘たちに心配されるような顔をされ、ピーチに声をかけられてしまった、気まずい。ノリでやった少し前の俺をしばきたい。
「すまん、ノリでやってみたが受けがよくなかったな。この街のネルビ男爵の屋敷に向かう。商業ギルドで男爵がいない間に、家臣が税金を取り立てたらしい。帰るまでに時間があったから、先に誰かを返して回収した可能性がある。
戦後処理は私財を使ってしてもらう予定だった。なのに既に金を集めた後に、男爵が帰ってきて税金を戻したらしいが、それは意味のない事だ。集めたお金を返していないようなので、集めたお金の分は次期の分を減税させるつもりだ。
首を縦に振らないなら戦争の続きをしよう。ライルさんが俺たちに都合のいいようにしてくれた、戦後処理の書類を最大限利用して、リーファスの街のみなさんのためになることをしようと思います。では出陣」
ネルビ男爵からすればたまったものではないが、これも戦争に勝った者の特権なのだから行使させてもらおう。行使する実力だってあるのだからな!
ちなみにネルビ男爵の家の場所は知らないよ? おそらく街の中心にある大きな屋敷が、そいつの屋敷だと思う。というかマップ先生で検索すれば、そこに男爵がいるのだから間違いないだろう。もし違うやつの屋敷だった場合は、ネルビ男爵を恨んでもらおう。
ただ今午後十時三十分、この世界では寝静まっている時間だがそんなことは関係ない。この世界は一日二十四時間、一ヶ月二十八日、一年十三ヶ月の三六四日である。
そんなことはさておき、俺たちは貴族街を歩いてネルビ男爵の屋敷と思われる場所へ向かっている。リーファスの街もフレデリクの街と一緒で、貴族街に入るためには門を抜けていかなければならなかったのだが、そこで止められることはなかった。
門番をしていたのが戦争であの蹂躙劇をみた兵士だったため、何も言われることなく通過できたのだ。
しばらく歩いていると目的の屋敷が見えてきた。門が閉まっており門番もいた。
「おい、お前たち、ここが貴族街でこの先がネルビ男爵の屋敷と知ってここにいるのか? 今から戻るなら何も見なかったことにしてやるからさっさと帰れ。奴隷どもは置いてっていいぞ、俺たちがかわいがってやるから、捕まらなかったことを感謝しろよ。しばらく楽しんだら返してやるからな」
「あ゛! てめえ殺すぞ! 誰が誰に何をするって? 寝言は寝てからいえ。お前らの奴隷じゃないのに、自分の物のように言うなボケ」
「小僧! 誰に口きいてるか分かってるのか? この街を守る兵士に向かってそのセリフは許されないぞ。覚悟しろよ」
門番をしていた二人の兵士が剣を抜き威嚇してくる。
「この街の兵士は、こういった振る舞いをするもんなのか? それともどこの街でもこんなにゲスな連中が兵士なのか? ちょっと矯正が必要だな。武器抜いてるから、戦いたいみたいだけど相手したい娘いるか?」
門番は自分たちを無視して会話を進めるシュウに苛立ち、ギャーギャー騒いでいるが完璧にスルーしていた。
俺を守るように娘たちがさりげなく位置を移動していたので、戦いたい娘がいないか聞いてみたが、誰も手を上げようといなかった。あれ? 君たち、戦闘好きじゃないっけ? その様子を見ていた兵士たちが調子に乗ってビビッてやがるとか言ってるけど、それ死亡フラグだぞ?
ん? 服を引っ張られる感覚にそっちをむくとシェリルがいた。
「ご主人様、あの人たちってバカなの? 後衛職のイリアちゃんにだって近接戦闘で勝てないのに、どうしてあんなに偉そうにしてるの?」
子供の包み隠さない物言いに笑ってしまった。
「シェリル、分かっててもああいう頭の悪そうな人の前で、本当の事を言っちゃだめだよ」
シェリルは慌てて口をふさぐ仕草をする。娘たちはみんなその様子を見て微笑んでいた。だが俺たちの会話を聞いて我慢の限界が来た兵士は、笛を鳴らして汚い言葉を使って俺を罵倒していた。
この娘たちの前で教育に悪い言葉使うなよ、変な言葉覚えたらどうするんだ。あれ? みんなが怒ってる? 急に何があった? ピーチが口をひらいた。
「シェリル、このおバカな兵士に教えてあげなさい」
は~い、という軽い返事をした後に戦争に使っていたグローブをつけ、拳を体の前で力強く数回たたいていた……あれ? あのグローブって、砂鉄で拳を守るタイプだったのに、物騒な音がしてないか?
そこら辺をお散歩でもするかのように、兵士に近付いていったシェリルに向かって、兵士が剣を振り下ろ……せなかった。シェリルをとらえようとしていた剣が当たる前に、シェリルの手に抑えられて止まっていた。
身長が全然違うので途中まで振り下ろされた形ではあるが、兵士は目を白黒させていた。あいつ今確実に殺そうとしてたよな。
「シェリル、そいつ俺によこせ」
おっと、怒りのあまり口が悪くなってしまった。イカンイカン。シェリルは気にした様子もなく、俺に道をあけて違う兵士に警戒をしている。
それより娘たちが黄色い声を上げているのが気になる。今さっきまで殺気放ってただろ君たち!
「さて、お前はすこし矯正が必要だな。他の奴らがくるまで、付き合ってもらおうか。ピーチ回復準備」
シェリルに剣を止められた兵士はわけもわからず、戦う前から回復準備するとか負ける気満々じゃねえかと嘲笑っていた。もう一人の兵士は、シェリルが剣を素手で止めた事に異常だと感じて青い顔をしている。
さて、ボコボコにしますか。シェリルとお揃いのグローブをつけて兵士の前にでる。
兵士が剣を振り上げた瞬間に懐に入り、剣を持っていた右の肩に拳を叩きこんだ、何かが折れた音がする、肩の骨が砕けたな。そのまま諸手の掌底で股関節をうちぬく、大腿骨頸部が砕けた。立っていられなくなった兵士は、その場に崩れ落ちる。
右の足首を踏み抜いてみる。あまりの痛みに声すら出ないようだ。次は左の足首、両膝と踏み抜いていく。そうすると反応が無くなった。どうやら気絶したようだった。
ピーチに声をかけ全身の骨折を直してもらった。それが終わるころになると、門の向こうから声が聞こえてきた。
そこから出てきたのは、リーファスの団長だった。引きつった顔をして今にも気絶しそうな表情をしている。俺の顔をみてその反応は無いだろ、失礼な奴だな!
うむ、これなら十分すぎるほどだな。ここで問題ない事を伝え本来の適正価格を聞いてチップと一緒にお金を押し付けた。
「じゃぁシルキー達は食事の準備をしてもらっていいかな?アクアとメイは結界をはってくれ。娘達は戦争の時に使った装備に着替えて入口に集合。じゃぁ行動して~」
みんなに指示を出してから俺も一応戦闘装備に着替えていく。とはいっても、ミスリル繊維で作った行動アシスト付きパワードスーツは自動サイズ補正、蒸れ防止、汚れ防止などがついていて、基本的に外出する際にはいつも着ている、というか着ていないと外出できなくなった。
でも、クリエイトゴーレムで作った繊維の布にはエンチャントがかけられたんだよな。魔法とエンチャントは違うものなのだろう。他に実験はしていないが、それ以外で今のところ説明ができないのでそういう事にしておく。
このミスリル繊維で作った行動アシスト付きパワードスーツ・・・いちいち長いな・・・アシスーツでいっか。このアシスーツはステータスには影響しないが、数値にすると力とスピードが約五〇〇程上がってるのではないかと思う。
ステータスの数値通りのものが上がってるわけじゃないので、正確とは言えないが、シュリとの打ち合いで使ったら圧倒的に負けていた力が、ある程度対抗できるようになったし、スピードでもついていけるようになったのでそういう風に判断している。
色々考えていると、娘たちが準備を終わらせて集まってきた。
「みなさん、討ち入りでござる」
「ご主人様? 何かの雰囲気作りの一環でしょうか?」
娘たちに心配されるような顔をされ、ピーチに声をかけられてしまった、気まずい。ノリでやった少し前の俺をしばきたい。
「すまん、ノリでやってみたが受けがよくなかったな。この街のネルビ男爵の屋敷に向かう。商業ギルドで男爵がいない間に、家臣が税金を取り立てたらしい。帰るまでに時間があったから、先に誰かを返して回収した可能性がある。
戦後処理は私財を使ってしてもらう予定だった。なのに既に金を集めた後に、男爵が帰ってきて税金を戻したらしいが、それは意味のない事だ。集めたお金を返していないようなので、集めたお金の分は次期の分を減税させるつもりだ。
首を縦に振らないなら戦争の続きをしよう。ライルさんが俺たちに都合のいいようにしてくれた、戦後処理の書類を最大限利用して、リーファスの街のみなさんのためになることをしようと思います。では出陣」
ネルビ男爵からすればたまったものではないが、これも戦争に勝った者の特権なのだから行使させてもらおう。行使する実力だってあるのだからな!
ちなみにネルビ男爵の家の場所は知らないよ? おそらく街の中心にある大きな屋敷が、そいつの屋敷だと思う。というかマップ先生で検索すれば、そこに男爵がいるのだから間違いないだろう。もし違うやつの屋敷だった場合は、ネルビ男爵を恨んでもらおう。
ただ今午後十時三十分、この世界では寝静まっている時間だがそんなことは関係ない。この世界は一日二十四時間、一ヶ月二十八日、一年十三ヶ月の三六四日である。
そんなことはさておき、俺たちは貴族街を歩いてネルビ男爵の屋敷と思われる場所へ向かっている。リーファスの街もフレデリクの街と一緒で、貴族街に入るためには門を抜けていかなければならなかったのだが、そこで止められることはなかった。
門番をしていたのが戦争であの蹂躙劇をみた兵士だったため、何も言われることなく通過できたのだ。
しばらく歩いていると目的の屋敷が見えてきた。門が閉まっており門番もいた。
「おい、お前たち、ここが貴族街でこの先がネルビ男爵の屋敷と知ってここにいるのか? 今から戻るなら何も見なかったことにしてやるからさっさと帰れ。奴隷どもは置いてっていいぞ、俺たちがかわいがってやるから、捕まらなかったことを感謝しろよ。しばらく楽しんだら返してやるからな」
「あ゛! てめえ殺すぞ! 誰が誰に何をするって? 寝言は寝てからいえ。お前らの奴隷じゃないのに、自分の物のように言うなボケ」
「小僧! 誰に口きいてるか分かってるのか? この街を守る兵士に向かってそのセリフは許されないぞ。覚悟しろよ」
門番をしていた二人の兵士が剣を抜き威嚇してくる。
「この街の兵士は、こういった振る舞いをするもんなのか? それともどこの街でもこんなにゲスな連中が兵士なのか? ちょっと矯正が必要だな。武器抜いてるから、戦いたいみたいだけど相手したい娘いるか?」
門番は自分たちを無視して会話を進めるシュウに苛立ち、ギャーギャー騒いでいるが完璧にスルーしていた。
俺を守るように娘たちがさりげなく位置を移動していたので、戦いたい娘がいないか聞いてみたが、誰も手を上げようといなかった。あれ? 君たち、戦闘好きじゃないっけ? その様子を見ていた兵士たちが調子に乗ってビビッてやがるとか言ってるけど、それ死亡フラグだぞ?
ん? 服を引っ張られる感覚にそっちをむくとシェリルがいた。
「ご主人様、あの人たちってバカなの? 後衛職のイリアちゃんにだって近接戦闘で勝てないのに、どうしてあんなに偉そうにしてるの?」
子供の包み隠さない物言いに笑ってしまった。
「シェリル、分かっててもああいう頭の悪そうな人の前で、本当の事を言っちゃだめだよ」
シェリルは慌てて口をふさぐ仕草をする。娘たちはみんなその様子を見て微笑んでいた。だが俺たちの会話を聞いて我慢の限界が来た兵士は、笛を鳴らして汚い言葉を使って俺を罵倒していた。
この娘たちの前で教育に悪い言葉使うなよ、変な言葉覚えたらどうするんだ。あれ? みんなが怒ってる? 急に何があった? ピーチが口をひらいた。
「シェリル、このおバカな兵士に教えてあげなさい」
は~い、という軽い返事をした後に戦争に使っていたグローブをつけ、拳を体の前で力強く数回たたいていた……あれ? あのグローブって、砂鉄で拳を守るタイプだったのに、物騒な音がしてないか?
そこら辺をお散歩でもするかのように、兵士に近付いていったシェリルに向かって、兵士が剣を振り下ろ……せなかった。シェリルをとらえようとしていた剣が当たる前に、シェリルの手に抑えられて止まっていた。
身長が全然違うので途中まで振り下ろされた形ではあるが、兵士は目を白黒させていた。あいつ今確実に殺そうとしてたよな。
「シェリル、そいつ俺によこせ」
おっと、怒りのあまり口が悪くなってしまった。イカンイカン。シェリルは気にした様子もなく、俺に道をあけて違う兵士に警戒をしている。
それより娘たちが黄色い声を上げているのが気になる。今さっきまで殺気放ってただろ君たち!
「さて、お前はすこし矯正が必要だな。他の奴らがくるまで、付き合ってもらおうか。ピーチ回復準備」
シェリルに剣を止められた兵士はわけもわからず、戦う前から回復準備するとか負ける気満々じゃねえかと嘲笑っていた。もう一人の兵士は、シェリルが剣を素手で止めた事に異常だと感じて青い顔をしている。
さて、ボコボコにしますか。シェリルとお揃いのグローブをつけて兵士の前にでる。
兵士が剣を振り上げた瞬間に懐に入り、剣を持っていた右の肩に拳を叩きこんだ、何かが折れた音がする、肩の骨が砕けたな。そのまま諸手の掌底で股関節をうちぬく、大腿骨頸部が砕けた。立っていられなくなった兵士は、その場に崩れ落ちる。
右の足首を踏み抜いてみる。あまりの痛みに声すら出ないようだ。次は左の足首、両膝と踏み抜いていく。そうすると反応が無くなった。どうやら気絶したようだった。
ピーチに声をかけ全身の骨折を直してもらった。それが終わるころになると、門の向こうから声が聞こえてきた。
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