ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第135話 突然の訪問者

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 奴隷も購入し一息ついていると、

 ピンポーン

 俺の部屋に取り付けたチャイムが鳴る。はて? 夕食には早いしおやつはもう終わったし、何かあったのかな?

 扉を開けるとシュリが部屋の前にいた。また訪問者があったので俺を呼びに来たらしい。前回の事があるから追い返そうと思ったら、この街の領主、ジャルジャンという中立都市の支配者、国王みたいなものだろうか? いい予感がしないな。

 領主が待っている部屋、ヒキガエルが汚した部屋だ。娘たちに掃除させるのは嫌だったので、綺麗に流した後にDPで同じもので作り替えたよ。

「お待たせしました。この家の主、シュウです」

「突然の訪問失礼するよ。このジャルジャンの街の領主フェピー・ジャルジャンだ。今日は話したいことがあって訪問させてもらった」

「はぁ、どういった内容でしょうか?」

「あ~、私をケールみたいなごみクズと一緒にしてくれるな。こっちとしては君がボコボコにしてくれたからすっきりしたよ。一応ライチェル王国の貴族だから私が出張って捕えると角が立つが、君が被害を報告して調べる形にしたから助かってるんだよ。あんなヒキガエルの事はどうでもいいんだ」

 おっと? ヒキガエルとな、気が合いそうだな。

「今日は君に聞きたいことがあってここに来たんだ。ここのメイドのお嬢さんがとてつもなく強いと聞いてな、どうやって育てたのか、もしくは何をしてそこまで強くなったのか知りたくてな。十歳にも満たない子供が、鎧を着こんだ兵士を倒したのか知りたくてな」

 この質問はこの質問でめんどくさいな。適当に誤魔化せばいっか。

「あ~シェリルの事ですね。それなりに『ダンジョンで』修行をさせましたが、やはり本人のやる気におけるところが大きいのではないでしょうか? あのヒキガエルに付いてきた兵士が弱すぎたのではないですか? 自分から見ても装備で威嚇するクズの様に見えましたので」

「ふむ、あの年でダンジョンか、末恐ろしいな。確かにあのごみクズに付いてきていた兵士はカスじゃったが、あの老執事はBランクの上位の冒険者に匹敵する実力があったはずだが、それでそれなりの修行というのか?」

「あ、その老執事はここにいるシュリが無力化しました。この娘は小さい頃から戦闘訓練や実戦をしていたのですが、ある事故で足が動かなくなってしまい奴隷にされてしまい、自分が買ってダンジョンで手に入れたポーションを使って治してあげたんですよ。

 今では家族の様に思っているのですが、なかなか奴隷を解除させてもらえなくて困っています。首輪はつけていても家族なんですよ」

「なるほどなるほど……となると、譲ってもらう交渉はできないってことですな」

 あん? 今、譲ってとか言ったか? 仕方がなく説明してやってるのに、俺が心を痛めて話してやってんのに、譲るじゃの譲らんじゃのそんな話をわざわざしに来たんか? ヒキガエルの件を知っているなら、それが地雷だと考えんのか?

「貴様! その殺気を抑えないと叩き切るぞ!」

 フェピーの後ろに控えていた兵士二人が、すぐさま主人をかばう位置に移動した。シュリも兵士たちが剣を向けているので、俺の前ににある机を蹴とばしてかばう位置に来た。

「お前ら落ち着け、今のは私の配慮ミスだ。シュウ君はシュリ君を家族だと言ったのに、譲って等と言ってしまったのが悪い、剣を下ろしなさい」

「ですが! 非礼にも殺気をフェピー様にむけt『黙りなさい』」

「うちの兵士が失礼した、許してほしい。後、私の失言も許してもらえるとありがたい」

 ん? 今までの貴族? とは違うタイプの人間か? てっきり同じかと思ってしまった。

「ご主人様、家族と思ってくださるのは大変うれしいですが、少し過敏すぎるかと思います。落ち着いてください」

「あ、あぁ。すまん。フェピー殿、過剰な反応をしてしまいすいませんでした。許していただきたい」

「こちらこそ、すまなかった。話を変える意味でも本題に入っていいかな?」

「本題? ですか」

「うむ、最近この街からビスマルク男爵の街へ行く間に、盗賊が出るようになったんです。ライチェル王国側で被害にあうため、ビスマルク男爵に盗賊討伐の依頼をしたら、『私達は被害にあっていないから緊急性があるとは思えない。したがって、私が兵士を派遣する必要は見いだせない』と返信が来たのです。

 調べてみると、ビスマルク男爵の言っているようにこの街の商人たちだけが、被害にあっている状況だったのです。ただ、ライチェル王国内であるためこの街から兵士を派遣できないのです。だから、戦闘能力の高いあなたたちにお願いしたいと思いまして」

「冒険者ギルドに頼んで討伐してもらえばいいのでは?」

「それがメンドクサイ事に、ライチェル王国内にいる盗賊討伐をこの街のギルドに依頼しても受理してもらえないのです。もちろんビスマルク男爵の街の冒険者ギルドに依頼を出したのですが、向こうの冒険者たちが誰も受けてくれずどうにもならないのです」

「ふ~ん、その盗賊退治をしたとして、俺たちに何のメリットがあるのかな?」

「それ相応の対価を用意するつもりですな」

「見て分かると思いますが、お金には困っていませんね。わざわざみんなを危険にさらすつもりはないですね。よくわからない事に、あの国の国王から国家反逆罪と言われて、あの国から出てきてるのに戻る理由はないですね」

「やっぱりあの話は本当だったのか。まぁ、この街は中立だから王国の言い分を聞く必要はないしな。それに、君と話してて分かったがあの国家反逆罪の罪状は嘘なんだな。『国の大事な鉱山を廃坑にしかけた』なんてありえないだろう」

「あ~そういう話になってるんだ。落盤があったからって指名依頼が入って行ってみれば、国王直属の兵士に襲われるし、落盤は人為的に起こされた形跡があったから、はめられたと思って逃げてきたんだよな。落盤が俺たちのせいにされてるのか、あの国王やっぱりいつかボコる」

「はっはっは、まぁ金では動かないと思っていたがやっぱり動かんかったか。よほどの事じゃないと依頼は無理だよね。と思って、準備してきたものがあるんだ。あれを出してもらっていいかな」

 後ろに控えなおした兵士が、収納系のアイテムからだろうか? 一つの木箱を取り出した。中から出てきたものは……

 腕輪ではなく、籠手? アームガード? 手首から肘までを覆う防具の様なものを出してきた。それも気になるが、兵士の装備を見ても俺が召喚して出せる収納系アイテムに見えない。何だこれ、気になるな。

「という事で出してもらったが、これが何かわかるかな? って分かるような報酬じゃ君はひかれないと思ったので、珍しい物を出させてもらったよ。ん? せっかく珍しい物持ってきたのに、兵士の方を気にしてるね」

「私たちも収納のアイテムを数多く所持してますが、そちらの兵士は収納のアイテムを装備してないから気になりましてね」

「そういう事か、実はこのおっさんは以前冒険者をしてた際に、ダンジョンで収納の宝珠という物を手に入れてゲットしたそうですよ。珍しいスキルみたいだよ、容量も大きいみたいだし重宝してるよ。

 で、それはいいとして今回準備したこれだけど、変身の腕輪に隠密効果がついたものだよ。私が他の街に行くために用意していた物の一つだよ。これがあれば便利だと思ってね。これと報酬で何とか退治に行ってもらえないかな?」

 スキルにも収納があるのか、違うアイテムかと思って気になったのに残念な結果だ。それにしても変身系のアイテムか、そういえば装備品にもそういったものは無かった気がするけど。

 あってもおかしくないよな? なんか条件があるのかな? それともDPで召喚することはできないのかな? これはありがたいな。でも……

「確かに変身できるのは、今の俺にとってはありがたいけど、街に出入りするのって身分証がね。冒険者カードはもう役に立たないしな。そこらへんも何とかならないかな?」

「そういうと思って、一つ手段を提案させていただだきます。冒険者がダメなら違うギルドで、偽名で登録すればどうでしょうか? 収納の腕輪も馬車もお持ちですので、商人ギルドで登録してはいかがですか?

 偽名って言いましたがカード何て基本的には申告制の名前で、多数のギルドに登録する人もそれなりにいるので問題ないですよ。それに、国家反逆罪は真実の瞳では調べられませんからね。国が勝手に言っているだけで、シュウ君からすれば神の認めていない罪といったところでしょうか」

 ほほ~両方とも単独で登録する感じか?まぁ悪くない手だな。商人としての顔があれば色んなもの購入しまわっても怪しまれないしありだろう。神の認めていない罪……ねえ。確かにその通りだけど、神があれじゃな……

『あれって何よ!』

 うっさいわ、チビ神!

「そんな方法があるんですね、それなら問題なさそうですね。とりあえず、今回の件はお引き受けいたしましょうか。ヒキガエルの親は確実にクロでしょうし、その盗賊と思われる奴らを連れてきたほうがいいか?」

「話が早くて助かる、可能なら、盗賊全員の捕縛・リーダーの捕縛・生き残り無しの皆殺し、このどれかを達成していただきたいです。かなり厳しい条件になるので、最悪ビスマルク男爵が関与している、言質だけでもあると助かる」

「了解、じゃぁこっちからは商人に偽装するための商品を、適当に見繕ってもらっていいか? 馬車一台分程あると助かる」

「了解した。明日にでも出発できるようにこっちに運び込む。よろしく頼むよ」

 他のギルドに登録するっていう考えはなかったな、いい情報をもらえてよかった。この位ならやってやるか。一応ライチェル王国との境目よりちょっと手前から掌握しておくか。
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