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第192話 事後処理
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襲撃を受けてから六時間後、ヴローツマインの竜騎士たちがグレッグに到着する。
「お? ダリアだ。お久しぶり~元気してたか?」
「お久しぶりです。あなたは相変わらず大変そうですね。色々なトラブルに巻き込まれているみたいで……それよりあの話本当でしょうね?」
「番と卵五個か? 番は調教してみないとわからないけど、卵は間違いなく五個といわず十個は用意できるぞ」
「本当ですか? 番いらないので卵十個にしてください。即戦力になる二匹のワイバーンは確かに貴重ですが、確実に戦力になる五匹の方が後々の事を考えると便利ですからね」
「そんなもんか? じゃぁ卵十個な。俺たちがディストピアに戻ったら取りに行ってくるから渡すのはその後でいいか?」
「そうですね、ここの後始末にも時間がかかると思うのでそう焦らなくてもいいですよ。それでですが、この街をどうしたらいいですか?」
「はぁ? 何でそんなこと俺に聞くんだ?」
「何言ってるんですか、領主とこの街最大の商会の長を犯罪者として捕縛したのですから、実質的なこの街の権利はあなたになるんですよ?」
「何でそうなった? 戦争したわけでもないのに、この街が俺のものっておかしくね?」
「ん~どう説明したらわかりやすいですかね」
ダリアはかいつまんで話してくれた内容を要約したのが以下の通りだ。
中立都市以外での街の権利の移譲は戦争によってしか動かないが、中立都市において武力行使(正当な理由のない暴力)、犯罪行為が行われそれを取り押さえた場合、対象の持っている権利が全部移譲されるというのだ。
この部分は中立都市独自のルールであるらしい。普通の都市の場合は、損害賠償や奴隷として売り払ったお金が入るが、領主をとらえても貴族になる事はできない。王国の例をあげれば、親族に引き継がれるのが常だ。もしそういった対象がいなければ、王が誰かを任命して新しい領主になるという流れらしい。
「……という事で、この街の領主権限はすべてあなたのもの、この街最大の商会の地位もあなたのものというわけです。さすがに私一人ではさばききれないので、例の通路を使ってこちらに人員を派遣しています。馬車は準備できましたが、馬はそちらからウォーホースを借りました」
「じゃぁ、とりあえずこの馬鹿共の私兵の称号チェックをお願いするか。兵だけじゃなく上層部は全員確認してもらうか、どのくらいの人間がかかわってるか知らないが、ここに来た人間だけが犯罪の称号があるとは思えないからな。
称号があった際は全部奴隷落ちにしてヴローツマインで引き取ってくれ、その代わり聖国から流れてくる獣人の奴隷は優先的に保護してくれ。その内聖国側の中立都市にも顔出すから支援も頼む」
「ん~、ここで手に入れられる戦奴の代わりになる兵士の数を考えれば悪くない取引でしょうかね? その話乗りました。それよりここの領主どうしますか?」
「あ~俺が今は領主になるのか、代行をお願いできる人がダリアの部下にいないか? ついでに商会の方も代行できる人がいると助かるんだが」
「そこらへんはリンドさんにお願いした方が確実だと思いますよ。あの方の弟子ってはっきり言って異常ですし、私も弟子のひとりではありますが、下から数えた方が早いくらいの能力しかありませんしね。ただそれなりにそつなくこなせるから重宝されてたようなものです」
「じゃぁ、リンドに連絡しておこう。しばらくはダリアにお願いする形でよろしく頼む。その間に準備するわ。あ、竜騎士が来るって言ってたから酒準備しといた、飲み過ぎないように注意してくれよ」
簡単な話が終わったところで、さっそくもう一度リンドに連絡を取ることにした。何人か見繕える人間がいるようだったのでお願いした。護衛に関して相談した所、一ヶ月もらえれば五十人は準備できるとのこと。
その五十人は十人ずつのローテーションで護衛していない期間は、ディストピアへ住める事にしてもらえれば何の問題もないらしい。ダリアの話だとリンドの弟子は異常らしいが準備に一ヶ月も必要なのだろうか? 俺にはよくわからないが大切な何かがあるのかもな。
来てもらう人の護衛は問題なくなったから、屋敷やその屋敷の警備や馬車なんかも準備してやらんとな。ブラウニーを四人くらい派遣してもらって、孤児たちの中で問題ないレベルに仕上がったメンバーを何人か派遣するか。
後、文官や商人になりたいって言ってた孤児が何人かいたはずだから、こっちに派遣して勉強してもらうか。警備にはもちろんリビングアーマー大先生を起用しよう。動かなくても苦痛なく待機できる人材って本当に便利なんだよな、寝食もいらないというコスパの良さ!
といっても、全部にアダマンコーティングをほどこすけどな! こいつらの役目は逃げ出すまでの時間稼ぎが主だからな。鹵獲された場合でも装備できないように、細身の鎧を使用しているので相手の戦力が増えることはないだろう。
色々考えてはみたが、俺一人の考えでは気付かない点があるので、タブレット先輩を使った緊急会議を開催する。参加者は、俺・カエデ・レイリー・娘たち・リンド・グリエル・ガリア・老ドワーフ十人・精霊たちとかなりのメンバーになった。
俺の考えていたことは全部が問題ないようで案が通過した。追加案として、
グリエルから、鬼人の人たちの戦闘訓練はもう十分なので諜報としての実験台として、グレッグを利用してはどうか? この街であれば種族による差別がないので問題ないだろうとのこと。鬼人の人たちも街という環境に慣れるために利用できないか?
リンドからは早めにこの街の近くに地下通路の入口を作って、貿易を開始してみては?領主がシュウであるなら多少の無理も効くだろうし、この街の商会のトップの座もあるのであくどい商いをしていない商会を選んで貿易を開始させて、問題なければ誘致してはどうか?
精霊たちからは、屋敷の警護に関して眷属を派遣させてほしいとのお願いがあった。ディストピアに人が集まってくる前に経験を積ませてあげたいという親心の様だ。
三幼女から、そろそろニコの後輩を準備してあげてほしい! とお願いされた。今回の件には全く関係ないが、善処しよう。
追加で出された案も、俺にとって利益の高い物なので進めていくことになった。鬼人たちに関しては、本人たちの気持ちの問題もあるので相談してからの実行になる。もし問題があれば都度対処していこうという話に落ち着き行動を開始する。
ん~何かよくわからないうちにグレッグを乗っ取っちまったようだな。こんな領主や商会がのさばってたんだから、あくどい事もやってたんだろうな。まずはそこを直してかないと。捕まえた屑共はどうなったんだろう?
様子を見るために後始末を任せていたダリアを探していると、ちょうどよくダリアも様子を見に行くようだった。話だと、一緒に連れてきた竜騎士に取り調べを任せていたらしいが、その竜騎士からこんな奴らの世話はいやだと言われたらしく、様子を見に行くところだったらしい。
取り調べをしている部屋について事情を察した。
あ~・・・うん、こんな奴らの取り調べ俺も絶対に嫌だ。ひたすらにめんどくさい状況だ。
部屋にたどり着くまでに聞こえてきたのは、「無礼にもほどがあるだろ!」「一族もろとも殺されたいのか?」「なぜ私たちがそんなものに手を置かねばならん」「早く私の護衛を連れて来い」等など、相手の根負けを誘っているのではないかと思えるような状況だ。
「貴様! 私に逆らった上に不当な拘束をするとはどういうことだ! 万死に値するぞ!」
「グレッグの領主、今回の襲撃は中立都市同盟で犯罪行為だぞ」
「ふん、何を言っておるんだお前は? 私がここに訪れたらこいつが私を襲ってきたんだぞ? それを撃退しようとして失敗してしまっただけだ。私は悪い事なぞしておらん」
「はいはい、あんたの言い分はこの真実の瞳に手をのせて犯罪の称号が無ければ聞いてやる。ちなみに、ここにいるシュウや娘たちには犯罪の称号はついていなかった。あんたも無罪を主張するなら手をのせろ。
本当にのせられるならな。っていってももうお前らの犯罪は決定してるから、中立都市同盟の決まりであなたたちの権利はすべて、ここにいるシュウに移譲されてますので何言っても無駄ですよ」
「ふざけるな! この街は私のものだ! 勝手に奪うな!」
「もういいや、お前ら黙れ。俺から娘たちを奪おうとした領主、娘たちをとらえて製法を吐かせようとした商会長、娘たちを犯してやるといった兵士たち……さすがにもうめんどくさくなった。お前には強引にでも手を乗せさせてやる」
そう宣言して領主の顔を前から鷲掴みにして力を加える。痛みで奇声をあげているが無視して右手を真実の瞳の上にのせる。続けて商会長ものせる。二人とも殺人鬼・拷問王等の上位の犯罪称号がついていた。
「お? ダリアだ。お久しぶり~元気してたか?」
「お久しぶりです。あなたは相変わらず大変そうですね。色々なトラブルに巻き込まれているみたいで……それよりあの話本当でしょうね?」
「番と卵五個か? 番は調教してみないとわからないけど、卵は間違いなく五個といわず十個は用意できるぞ」
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「そうですね、ここの後始末にも時間がかかると思うのでそう焦らなくてもいいですよ。それでですが、この街をどうしたらいいですか?」
「はぁ? 何でそんなこと俺に聞くんだ?」
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「何でそうなった? 戦争したわけでもないのに、この街が俺のものっておかしくね?」
「ん~どう説明したらわかりやすいですかね」
ダリアはかいつまんで話してくれた内容を要約したのが以下の通りだ。
中立都市以外での街の権利の移譲は戦争によってしか動かないが、中立都市において武力行使(正当な理由のない暴力)、犯罪行為が行われそれを取り押さえた場合、対象の持っている権利が全部移譲されるというのだ。
この部分は中立都市独自のルールであるらしい。普通の都市の場合は、損害賠償や奴隷として売り払ったお金が入るが、領主をとらえても貴族になる事はできない。王国の例をあげれば、親族に引き継がれるのが常だ。もしそういった対象がいなければ、王が誰かを任命して新しい領主になるという流れらしい。
「……という事で、この街の領主権限はすべてあなたのもの、この街最大の商会の地位もあなたのものというわけです。さすがに私一人ではさばききれないので、例の通路を使ってこちらに人員を派遣しています。馬車は準備できましたが、馬はそちらからウォーホースを借りました」
「じゃぁ、とりあえずこの馬鹿共の私兵の称号チェックをお願いするか。兵だけじゃなく上層部は全員確認してもらうか、どのくらいの人間がかかわってるか知らないが、ここに来た人間だけが犯罪の称号があるとは思えないからな。
称号があった際は全部奴隷落ちにしてヴローツマインで引き取ってくれ、その代わり聖国から流れてくる獣人の奴隷は優先的に保護してくれ。その内聖国側の中立都市にも顔出すから支援も頼む」
「ん~、ここで手に入れられる戦奴の代わりになる兵士の数を考えれば悪くない取引でしょうかね? その話乗りました。それよりここの領主どうしますか?」
「あ~俺が今は領主になるのか、代行をお願いできる人がダリアの部下にいないか? ついでに商会の方も代行できる人がいると助かるんだが」
「そこらへんはリンドさんにお願いした方が確実だと思いますよ。あの方の弟子ってはっきり言って異常ですし、私も弟子のひとりではありますが、下から数えた方が早いくらいの能力しかありませんしね。ただそれなりにそつなくこなせるから重宝されてたようなものです」
「じゃぁ、リンドに連絡しておこう。しばらくはダリアにお願いする形でよろしく頼む。その間に準備するわ。あ、竜騎士が来るって言ってたから酒準備しといた、飲み過ぎないように注意してくれよ」
簡単な話が終わったところで、さっそくもう一度リンドに連絡を取ることにした。何人か見繕える人間がいるようだったのでお願いした。護衛に関して相談した所、一ヶ月もらえれば五十人は準備できるとのこと。
その五十人は十人ずつのローテーションで護衛していない期間は、ディストピアへ住める事にしてもらえれば何の問題もないらしい。ダリアの話だとリンドの弟子は異常らしいが準備に一ヶ月も必要なのだろうか? 俺にはよくわからないが大切な何かがあるのかもな。
来てもらう人の護衛は問題なくなったから、屋敷やその屋敷の警備や馬車なんかも準備してやらんとな。ブラウニーを四人くらい派遣してもらって、孤児たちの中で問題ないレベルに仕上がったメンバーを何人か派遣するか。
後、文官や商人になりたいって言ってた孤児が何人かいたはずだから、こっちに派遣して勉強してもらうか。警備にはもちろんリビングアーマー大先生を起用しよう。動かなくても苦痛なく待機できる人材って本当に便利なんだよな、寝食もいらないというコスパの良さ!
といっても、全部にアダマンコーティングをほどこすけどな! こいつらの役目は逃げ出すまでの時間稼ぎが主だからな。鹵獲された場合でも装備できないように、細身の鎧を使用しているので相手の戦力が増えることはないだろう。
色々考えてはみたが、俺一人の考えでは気付かない点があるので、タブレット先輩を使った緊急会議を開催する。参加者は、俺・カエデ・レイリー・娘たち・リンド・グリエル・ガリア・老ドワーフ十人・精霊たちとかなりのメンバーになった。
俺の考えていたことは全部が問題ないようで案が通過した。追加案として、
グリエルから、鬼人の人たちの戦闘訓練はもう十分なので諜報としての実験台として、グレッグを利用してはどうか? この街であれば種族による差別がないので問題ないだろうとのこと。鬼人の人たちも街という環境に慣れるために利用できないか?
リンドからは早めにこの街の近くに地下通路の入口を作って、貿易を開始してみては?領主がシュウであるなら多少の無理も効くだろうし、この街の商会のトップの座もあるのであくどい商いをしていない商会を選んで貿易を開始させて、問題なければ誘致してはどうか?
精霊たちからは、屋敷の警護に関して眷属を派遣させてほしいとのお願いがあった。ディストピアに人が集まってくる前に経験を積ませてあげたいという親心の様だ。
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ん~何かよくわからないうちにグレッグを乗っ取っちまったようだな。こんな領主や商会がのさばってたんだから、あくどい事もやってたんだろうな。まずはそこを直してかないと。捕まえた屑共はどうなったんだろう?
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取り調べをしている部屋について事情を察した。
あ~・・・うん、こんな奴らの取り調べ俺も絶対に嫌だ。ひたすらにめんどくさい状況だ。
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「貴様! 私に逆らった上に不当な拘束をするとはどういうことだ! 万死に値するぞ!」
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「ふん、何を言っておるんだお前は? 私がここに訪れたらこいつが私を襲ってきたんだぞ? それを撃退しようとして失敗してしまっただけだ。私は悪い事なぞしておらん」
「はいはい、あんたの言い分はこの真実の瞳に手をのせて犯罪の称号が無ければ聞いてやる。ちなみに、ここにいるシュウや娘たちには犯罪の称号はついていなかった。あんたも無罪を主張するなら手をのせろ。
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「ふざけるな! この街は私のものだ! 勝手に奪うな!」
「もういいや、お前ら黙れ。俺から娘たちを奪おうとした領主、娘たちをとらえて製法を吐かせようとした商会長、娘たちを犯してやるといった兵士たち……さすがにもうめんどくさくなった。お前には強引にでも手を乗せさせてやる」
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