ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第272話 チビ神は悩む

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 のんびりした日が過ぎていく。街を見回って何か問題が無いかを確認したり、学校に行って子供たちと一緒に遊んだり、畑に行って一緒に収穫したり色々していた。そんなのんびりとした生活をしているある日。

『ちょっと! 暇してるならダンジョン攻略にでも、行ってきたらどうなのよ!』

 と、チビ神が突然現れた。

 だってお前への借りはもう返しただろ? 俺がお前の言うこと聞く必要は一切ないじゃないか! みんなの素敵な日々を邪魔しないでくれる?

『むっきー、私はチビじゃないってば! 確かに聖国の件では楽しませてもらったけど、変化が無くてつまらないのよ!』

 だったら違う世界でも見てたらどうだ? この世界以外にもたくさん見る場所あるんだろ? 気が向いたらまた冒険者みたいなことをやるけど、それは今じゃないな!

『他の世界も何の変化もないのよ。それに保身型のダンジョンマスターとか勇者しかいなくて、あなたの日常よりつまらないわ!』

 いやまて! 俺の日常を事細かに見てるって事か?

『そうよ! 日々のくだらないことから夜の営みまでね! 複数人の相手何て馬鹿げた精力してるわねあんた!』

 それほどでもないさ、シルクちゃんにお願いしてそういった加護もらってるからな! でもさすがに搾り取られてげっそりすることがあるけどな。

『恥ずかしげもなくそういう事言わないで! せっかくからかってるのに効果がないなんて、やっぱりあなたには口で勝てないわね。そんなことどうでもいいわ! 私からは一つ、あんたダンジョンバトルやりなさい!』

 え? 嫌に決まってんじゃん。寝言は寝てから言えって言ってるだろ? お前らの思い通りなんか俺はならん! 自由でいたいんだよ!

『……まさか悩む時間もなしに断られるとは思ってなかったわ。これに参加すればメリットがあるのよ? やらないと損だと思うわよ?』

 別にメリットがあってもやらんわ、今でも十分だしな。DPにも困ってないし、街の運営もみんなが頑張ってくれて順調だし、モフモフに囲まれて幸せだし、妻もたくさんいるし特に他の望みは無い!

 それに俺が本気を出したなら、おそらく誰も勝てないんだろ? じゃぁやる前から結果が見えてるじゃん?やる意味ないって。

『グッ……そうなのよね、あなたのDP収集が半端ないのよね。だから変則ルールを設けたのよ! 使えるDPの量に制限をかけた制限バトル! 限りのあるDPの中で、知略を巡らせて戦う熱いバトル! 燃えるでしょ?』

 燃えるでしょ? じゃないわ! 俺には関係ないって言ってるだろ? そもそもメンドクサイから嫌なんですけど!

『まぁ落ち着きなさいよ。メンドクサイのは分からないでもないけど、あなたにメリットを示そうじゃありませんか!』

 おいチビ神、口調が変わってんぞ!

『まぁいいじゃないの。普通なら大量のDPとかがダンジョンバトルの報酬なんだけど、あなたには必要ないわよね。そういったDPの余っているダンマスたちに対しては、ユニーク系のスキルや魔物のどれか一種類完全開放するわよ!』

 ユニークスキルか、ユニークモンスターは一匹だけだからいいんだよな。ニコは分裂してカラフルなスライムが生まれてきたけどな。そもそもユニークスキルやユニークモンスターどんなのがあるか知らんし! あんまりメリットらしいメリットじゃなくね?

『クリエイトゴーレムだってみんなが覚えれるようになるのよ! ちなみにユニークスキルは、あたしも把握してないけど一〇〇近くあるらしいわよ。魔物も一〇〇程いるってきいてるわ』

 お? クリエイトゴーレムはいいな、それにしてもクリエイトゴーレムみたいに使えるスキルが一〇〇個近くあるのか?

『…………』

 おい黙るな!

『だってクリエイトゴーレムだって、あんたみたいな使い方は初めてだからね。不思議なことに他のスキルも、あなたが使うとなんか用途が変わってくるのよ! だから答えづらいのよ!』

 俺のせいみたいに言うな! 今までそのスキル使った人間が馬鹿なんだろ?

『あのね、普通ならクリエイトゴーレムって言ったら、素材で人型を作って魔核に学習機能をつけてゆっくりと進化させるのよ? それが、壁の強化のために壁にクリエイトゴーレムかけて、修復機能つけるとかあなた変よ! それにこの前作った人造ゴーレムって呼んでるあれだけど、性能おかしいわよ? 気付いてる?』

 おかしいのは分かってるけど、Aランクの魔物十匹分は素材にかかってるぞ? それだけ性能高くて当たり前だろ? できればもう五個くらいは魔力供給用魔核をつけたいところだよ。

『まだ性能あげる気なの? 恐らくだけどあのゴーレムって、Sランク魔物に匹敵する位強いわよ? Sランクの魔物召喚DPって大体Aランクの三十倍くらいなんだよ? 普通Aランク十匹分で、あんなのができるなんてありえないわよ!』

 でもさ、人造ゴーレムはLvがないからねあれ以上強くならないじゃん。魔力さえ解決すればフルアダマンタイト製にする以外性能よくならんだろうな。

『まぁいいわ、とりあえずダンジョンバトルやりなさい!』

 うわ、拒否権すらなくなった。そもそもダンジョンバトルってなんだ?

『え? 知らないの?』

 知らないからできないね! ってことでやらん!

『ちょっと待ちなさい! 簡単に説明するから! ダンマスの作ったダンジョン同士をつなげて、コアを取り合うのよ。本来なら今あるダンジョンを強化して戦うんだけどね。

 今回は相手のダンジョンに合わせて、DPを使用してもらう形になってるわ。だから残念だけど、あなたが重宝している鬼人とか奥さんたちは参加できないのよ、相手にはいるけどそれもDP換算して作ってもらう形になってるわ』

 俺は指定されたDPだけでダンジョンを作ってバトルをするのか。でもさこれって俺が圧倒的に有利じゃね? アダマンタイトコーティングした金庫を設置するだけでほぼ負けが無くなるし、魔物のLvを強制的にDPで上げた奴で攻略すれば終わりだろ? もしくは人造ゴーレムを限界まで作れば終わりじゃないか?

『あんた、エグイわね。確かにそれをされたら勝てる相手なんていないわね。あなた本当にダンマスとして今までの奴らと全然違うわね。ダンジョンをまともに作らないで守りを固めて、最大戦力で攻めるとかえげつないわよ! もっとルール詰めないとあなたを参加させられないわね!』

 別に俺の参加なんて必要なくないか?

『何言ってるのよ! 今話題のあなたが参加しないとか面白さ半減よ!』

 っていうか、話を聞いてると他のダンマスも何人かそのダンジョンバトルに参加するのか?

『そうよ、基本的には全員参加の強制イベントなのよ。開催される周期は不明だけどね! という事でルールをもうちょっと詰めてくるから待ってなさい!』

 何かめんどくさい事に巻き込まれたな、干渉しないとか言ってたの嘘じゃんか。

『何言ってるの? 干渉してないわ、ダンジョンバトルをやれって言ってるだけよ』

 とんちにもなってねえ! まぁ拒否できないみたいだから、俺が楽しめるようなルール作ってくれ!
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